軽蔑と『大事、大事』
非日常的な日常
『縛られたい』とか『支配されたい』という自分の性的な疼きに『SM』という名前がついていると知った当初。
(20過ぎてからなんだよね。20年前はまだSMが一般的でなかったのか、それともわたしが無知だったから?)
『トパーズ』を読んだ。
いまみたいにネットもないしエッチ雑誌なんて買えないし、その頃SM嗜好を満たすには小説が一番安全確実だった(笑)
猿ぐつわをされて足首を切断される少女。
客にいわれるままに体をくねらせながらスクール水着を着るM嬢(あ、ちょっと記憶曖昧^^;)。
どれも思わず眉をひそめたくなるようなものに、わたしのモンスターはうずうずわくわく目をキラキラさせていた。
そして読後。
無性に悲しく腹立たしくなったなんだか描かれている女性たちが『何も考えていない』ように見えたからだ。
その女性たちに嫌悪感を抱いている自分に『ホントにMなのかな?』なんて思ったりもしていた。
また最近読んだフィクションでも似たような感情を持った。
内容は差し控えたいのだけど、その本には性に対して罪悪感を持たない奔放な女性たちが登場していた。
もともと性的なものに倫理も道徳もないのだけど、そこに登場している女性たちは『日常生活にも倫理も道徳もない』のだ。
その女性たちを搾取する側のことも描かれていて、やはりわたしはその事実に憤り、搾取されていることに無頓着な女性たちに対して憐れみと嫌悪感という複雑な気持ちが湧いていた。
20年前に『トパーズ』を読んだときに感じた嫌悪感とおそらく同じだ。
わたしは『何も考えていない』ように見える女性たちを嫌悪していたのだ。
この本を読んだとき。
ああ、これは嫌悪感以外にも何かあるなって感じた。
それは触っちゃダメだよってわたしがわたしに警告するようなものだ。
こういうときは苛立つような焦るような気持ちになる。
そこになにがあるかハッキリわからないまま焦燥感のようなものだけを那智さんにポツポツと話してみる。
ずっと昔からある嫌悪感の正体。
ぼんやりと輪郭は見えているけど、口にすることをためらう気持ちとそれを急かす気持ちにどうしたらよいか戸惑う。
じゃあ、それをメールにして送って
長年付き合っていると、きっとここというポイントがわかるのだろう。
わたしの核心に触れるような気配を感じ取ると那智さんは文字にさせる。
わたし自身に整理させるためとたぶん取りこぼさないようにしてくれるためだ。
その嗅覚に感謝しながら、ゆっくりキーボードを叩いた。
わたしは。
『トパーズ』に登場した女性や搾取されていることに頓着せず性に対して奔放な女性、彼女たちのように『何も考えていない』ような女性を嫌悪して、そして憧れている。
(性の対して奔放なことと『何も考えていない』故に奔放なことは違うよ)
何も考えていないバカみたいな女に憧れて、そういう女になりたい。
わたしが軽蔑するように、誰かに軽蔑の目で見られたい。
積もった埃を払っていく作業は苦しさを伴う。
だって、そこにはわたしが軽蔑するような女(わたし)がいるのだもの。
だけど一方ですこしずつ身軽になっていくようで、わずかに爽快感さえ感じる。
そんなふうに怖々ではあるけどすこしずつ埃を払って伝えた。
具体的になにがしたいというのではく、わたしは『軽蔑されるような女』に憧れているって。
電車で可愛がってもらった日。
ホテルに入ってからも、わたしはもうどこを触っても快感に声を上げるような精神状態になっていた。
ベッドに腰掛けた那智さんの足元に座り薄いニットのワンピから透ける乳首を愛撫される。
もう気持ちよくてしょうがない。
もっともっととくねらす腰はいつの間にか那智さんの足首にまとわり付いていた。
那智さんの足を太ももで挟み、おまんこを足首にぐりぐりと押し当て擦り付けていた。
乳首を潰されながら足首でオナニーする女。
はしたない。
こんなバカみたいな女大キライ!!
りん子、さっき電車で前に座っていた子、気づいていたよ
ああ、そんなのダメ…、ううん、うれしい。
…ホントに…気づいていました?
ああ
…じゃあ、バカな女って軽蔑してた?
そうだね、軽蔑してたかもね
本当は気づいたらいけないの。
ごめんなさいなの。
だけど快感に浸かるわたしは大キライな女になっていく。
その女性に気づいてほしくて眉をひそめてほしいと思ってしまう。
おまんこから足首を離して、濡れたそれで今度はわたしを踏む。
床に寝転んだわたしは那智さんの足で踏まれ蹴られ、顔は
歪み潰される。
うれしくて気持ちよくてたまらなのに足首がなくなってさみしいおまんこは、探すように揺れ続けた。
ぐいっとベッドに引き上げられた。
那智さんは、息は上がり汗や体液で湿り気を帯びた体を抱えくしゃくしゃの髪を指で撫で
大事、大事
トントンと抱きかかえて子守唄のように小さくささやいてくれた。
これが那智さんのやり方なんだろう。
わたしは被虐嗜好がある。
今回の埃取り作業でわかったように誰かから軽蔑の目で見られるような女になりたいと思ってしまっているようだ。
そんな自分にすこし傷つく。
わたしは『傷つく性癖』のようだ。
被虐嗜好があるくせに蔑まれると傷つく。
たくさんの男に抱かれている女性に興奮するくせに、男たちから女性を軽んじる空気を感じ取ると悲しくなってしまう。
被虐嗜好があるくせに、それではしたなくなる自分に嫌悪する。
誰かから軽蔑の目で見られたらきっととても傷つくだろう。
まったく面倒な性質だ。
那智さんの『大事、大事』が他者の蔑みや自己嫌悪からわたしを守ってくれているようだ。
『大切にしながら酷いこと』なんて生粋(?)のサディストさんからしたら生温いのかもしれない。
『大事、大事』なんて甘いと、忠誠心を求めるご主人様は思うかもしれない。
蔑みも我慢もない可愛がるSM行為。
那智さんのやり方。
被虐嗜好やそれの叶え方はいろいろでしょうけど、たぶん、いまのわたしにはこのスタンスが一番幸福なんだろうなと思う。
想像の中のはしたないわたしは道行く人から軽蔑の眼差しで眺められながら『大事、大事』と那智さんに髪を撫でられているのだ。
<関連エントリー>
20年前のこと
『私について(性癖1 2)』
『真剣なお遊び』
『傷つく性癖』
モンスターちゃん、いろいろ^^
『モンスターを抱きしめて』
『否応なくマゾ』
『いろんな涙4』
『縛られたい』とか『支配されたい』という自分の性的な疼きに『SM』という名前がついていると知った当初。
(20過ぎてからなんだよね。20年前はまだSMが一般的でなかったのか、それともわたしが無知だったから?)
『トパーズ』を読んだ。
いまみたいにネットもないしエッチ雑誌なんて買えないし、その頃SM嗜好を満たすには小説が一番安全確実だった(笑)
猿ぐつわをされて足首を切断される少女。
客にいわれるままに体をくねらせながらスクール水着を着るM嬢(あ、ちょっと記憶曖昧^^;)。
どれも思わず眉をひそめたくなるようなものに、わたしのモンスターはうずうずわくわく目をキラキラさせていた。
そして読後。
無性に悲しく腹立たしくなったなんだか描かれている女性たちが『何も考えていない』ように見えたからだ。
その女性たちに嫌悪感を抱いている自分に『ホントにMなのかな?』なんて思ったりもしていた。
また最近読んだフィクションでも似たような感情を持った。
内容は差し控えたいのだけど、その本には性に対して罪悪感を持たない奔放な女性たちが登場していた。
もともと性的なものに倫理も道徳もないのだけど、そこに登場している女性たちは『日常生活にも倫理も道徳もない』のだ。
その女性たちを搾取する側のことも描かれていて、やはりわたしはその事実に憤り、搾取されていることに無頓着な女性たちに対して憐れみと嫌悪感という複雑な気持ちが湧いていた。
20年前に『トパーズ』を読んだときに感じた嫌悪感とおそらく同じだ。
わたしは『何も考えていない』ように見える女性たちを嫌悪していたのだ。
この本を読んだとき。
ああ、これは嫌悪感以外にも何かあるなって感じた。
それは触っちゃダメだよってわたしがわたしに警告するようなものだ。
こういうときは苛立つような焦るような気持ちになる。
そこになにがあるかハッキリわからないまま焦燥感のようなものだけを那智さんにポツポツと話してみる。
ずっと昔からある嫌悪感の正体。
ぼんやりと輪郭は見えているけど、口にすることをためらう気持ちとそれを急かす気持ちにどうしたらよいか戸惑う。
じゃあ、それをメールにして送って
長年付き合っていると、きっとここというポイントがわかるのだろう。
わたしの核心に触れるような気配を感じ取ると那智さんは文字にさせる。
わたし自身に整理させるためとたぶん取りこぼさないようにしてくれるためだ。
その嗅覚に感謝しながら、ゆっくりキーボードを叩いた。
わたしは。
『トパーズ』に登場した女性や搾取されていることに頓着せず性に対して奔放な女性、彼女たちのように『何も考えていない』ような女性を嫌悪して、そして憧れている。
(性の対して奔放なことと『何も考えていない』故に奔放なことは違うよ)
何も考えていないバカみたいな女に憧れて、そういう女になりたい。
わたしが軽蔑するように、誰かに軽蔑の目で見られたい。
積もった埃を払っていく作業は苦しさを伴う。
だって、そこにはわたしが軽蔑するような女(わたし)がいるのだもの。
だけど一方ですこしずつ身軽になっていくようで、わずかに爽快感さえ感じる。
そんなふうに怖々ではあるけどすこしずつ埃を払って伝えた。
具体的になにがしたいというのではく、わたしは『軽蔑されるような女』に憧れているって。
電車で可愛がってもらった日。
ホテルに入ってからも、わたしはもうどこを触っても快感に声を上げるような精神状態になっていた。
ベッドに腰掛けた那智さんの足元に座り薄いニットのワンピから透ける乳首を愛撫される。
もう気持ちよくてしょうがない。
もっともっととくねらす腰はいつの間にか那智さんの足首にまとわり付いていた。
那智さんの足を太ももで挟み、おまんこを足首にぐりぐりと押し当て擦り付けていた。
乳首を潰されながら足首でオナニーする女。
はしたない。
こんなバカみたいな女大キライ!!
りん子、さっき電車で前に座っていた子、気づいていたよ
ああ、そんなのダメ…、ううん、うれしい。
…ホントに…気づいていました?
ああ
…じゃあ、バカな女って軽蔑してた?
そうだね、軽蔑してたかもね
本当は気づいたらいけないの。
ごめんなさいなの。
だけど快感に浸かるわたしは大キライな女になっていく。
その女性に気づいてほしくて眉をひそめてほしいと思ってしまう。
おまんこから足首を離して、濡れたそれで今度はわたしを踏む。
床に寝転んだわたしは那智さんの足で踏まれ蹴られ、顔は
歪み潰される。
うれしくて気持ちよくてたまらなのに足首がなくなってさみしいおまんこは、探すように揺れ続けた。
ぐいっとベッドに引き上げられた。
那智さんは、息は上がり汗や体液で湿り気を帯びた体を抱えくしゃくしゃの髪を指で撫で
大事、大事
トントンと抱きかかえて子守唄のように小さくささやいてくれた。
これが那智さんのやり方なんだろう。
わたしは被虐嗜好がある。
今回の埃取り作業でわかったように誰かから軽蔑の目で見られるような女になりたいと思ってしまっているようだ。
そんな自分にすこし傷つく。
わたしは『傷つく性癖』のようだ。
被虐嗜好があるくせに蔑まれると傷つく。
たくさんの男に抱かれている女性に興奮するくせに、男たちから女性を軽んじる空気を感じ取ると悲しくなってしまう。
被虐嗜好があるくせに、それではしたなくなる自分に嫌悪する。
誰かから軽蔑の目で見られたらきっととても傷つくだろう。
まったく面倒な性質だ。
那智さんの『大事、大事』が他者の蔑みや自己嫌悪からわたしを守ってくれているようだ。
『大切にしながら酷いこと』なんて生粋(?)のサディストさんからしたら生温いのかもしれない。
『大事、大事』なんて甘いと、忠誠心を求めるご主人様は思うかもしれない。
蔑みも我慢もない可愛がるSM行為。
那智さんのやり方。
被虐嗜好やそれの叶え方はいろいろでしょうけど、たぶん、いまのわたしにはこのスタンスが一番幸福なんだろうなと思う。
想像の中のはしたないわたしは道行く人から軽蔑の眼差しで眺められながら『大事、大事』と那智さんに髪を撫でられているのだ。
<関連エントリー>
20年前のこと
『私について(性癖1 2)』
『真剣なお遊び』
『傷つく性癖』
モンスターちゃん、いろいろ^^
『モンスターを抱きしめて』
『否応なくマゾ』
『いろんな涙4』