ラスボス1
独り言
イマイチ乗り気しない発注だった。
いや、お仕事に優劣をつけてはいけないのは百も承知の上で。
数年前に発注してくれたこの担当者は終止不機嫌そうであまりいい思い出がなかったし、たまーにしか入らない会場だからわからないこともあったりするからイマイチ乗り気になれなかったのだ。
(慣れない会場だといろいろ戸惑うのよ^^;知らない演出があったり、裏動線で迷ったり^^;)
しかも、打ち合わせに新郎は来ず新婦と母親のふたりということで、母娘密着型かと思うと、それもちょっと面倒に思っていた。
打ち合わせ当日。
案の定、昔とは入館方法が変わっていてまごまごするし、ひさしぶりの裏動線を忘れていて階段へのドアだと思って開けたら防火扉で、目の前壁!!だったりとブライダルサロンに到着するまでにすでにHPも低下気味。
なんとかサロンに到着して、不機嫌な担当者に多少面倒そうに対応されながらも、ざっくりと新郎新婦の情報を教えてもらう。
新郎は転勤で遠方にいるからほぼ新婦と母親が打ち合わせをしていること、新婦は妊娠している、そして、新婦はお父さんが他界していること。
情報を聞き、進行表や配席表のコピーを受け取り、申し送りはおしまい、あとは待つだけな雰囲気になったところで、担当者が「で、ちょっと補足が…」とさらりとつけ加えてきた。
新婦に内緒でサプライズの手紙を読んでほしいんですよ
ああ、最近、サプライズもの多いよね。
まあ、盛り上がるけど、知られちゃいけないし、内緒で進行決めなきゃいけないから、案外大変なんだよなぁ。
新婦母から、預かってて、新婦お父さんからの手紙
出席できないおばあちゃんとかじゃないのね?
??新婦父???
だって、亡くなってるんだよね?と訝しげに思っていると、とんでもない爆弾発言が
亡くなる前に書いた手紙を新婦母が持っていたんですよ
それを代読してほしいって
ええええええ!!
あ、これ
とお土産でも渡す程度の気軽さで封筒をわたしに見せる。
いや、ちょっと待って。
他界しているお父さんが亡くなる前に書いた手紙をお母さんが持っていてサプライズで読むってことだよね。
病床のお父さんが覚悟して書いたものってことだよね。
それ、かなりヤバいヤツじゃないの〜〜〜〜!!
便せんを出し手紙をわたしに渡す担当者。
ざっと目を通した先から、もうヤバい。
鼻はつんとして目がうるむ。
数年前からガンを発病して辛く長い闘病の中、娘が結婚するときに渡すために病床で新婦母に代筆してもらったのだ。
代筆しなければならないということは恐らく、ペンを持つのもままならない状態だったのだろう。
迫る死を覚悟してのこと。
あかん、これはあかんヤツやろ!!と西の人間ではないのに西の言葉を使いたくなってしまうほど、あかん。
ああ、それは大変なお手紙ですねぇ^^;
とごまかしながらも照れ笑いすると
進行のどこで読むかなんかは新婦母と連絡取ってください
とあっさり対応され元のファイルにしまわれた。
お客様が来るまで隅のデスクで待機しながら、頭は手紙のことでいっぱい。
どうしよう、絶対泣く。
いままでいろいろな代読をしてきた。
海外に行って出席できない親友の女同士の友情。
遠方のおばあさまの鉛筆書きの手紙にも胸は打たれた。
「ロミオ、あなたはなぜロミオなの」とジュリエットにならなきゃいけない、ある意味ハードな代読もあった。
それなりにいろいろなパターンの代読をしてきた中でも、最近の『いい人』の新婦からのサプライズ手紙はかなりの強敵だった。
もうあれ以上に泣かせる代読はないだろうと思っていたのに、こんな強敵が控えていたとは!!
とにかく、担当がどんな人だろうと、コピーをもらっておこう。
一度デスクについてファイルをしまっていたから、ちょっと面倒そうにされながらも、コピーを取らせてもらう。
それを資料の間にそっと忍ばせて打ち合わせに向かった。
打ち合わせは滞りなく進む。
どうやら、まだ社会人になりたてでいきなり新郎が遠方に配属になり、あれよあれよというまに結婚することになったのだそうだ。
その後妊娠していることもわかったので、いまは実家に戻って結婚準備をお母さんとしているそうだ。
母娘密着型というより、子供の頃から父の闘病もあり母と一緒に戦ってきた戦友のような空気の母娘だった。
新婦がトイレに立ったときに、急いでお手紙を了承していることとどの場面で披露するかなどの詳細はメールでやり取りすれば大丈夫であることを伝える。
「心をこめて読ませていただきますね」と添えると、とてもしっかりした印象のお母様が、一瞬、安堵したような表情を見せた。
あ〜あ、なんとかするしかないよね〜〜。
と、気分は機関銃を背負ったシガニー ウィーパー。
しかし、明らかに劣勢。
披露宴当日まで、わたしの戦いは続くのであった。
めずらしくお仕事話で続きもの^^
<関連エントリー>
代読いろいろ
覚悟を決める時間
困った〜〜
いい人
『等式』感想です。加齢すると涙腺弱くなるよね?お子さまの時も泣いただろうから何時が一番泣かなかったんだろう?(笑)
イマイチ乗り気しない発注だった。
いや、お仕事に優劣をつけてはいけないのは百も承知の上で。
数年前に発注してくれたこの担当者は終止不機嫌そうであまりいい思い出がなかったし、たまーにしか入らない会場だからわからないこともあったりするからイマイチ乗り気になれなかったのだ。
(慣れない会場だといろいろ戸惑うのよ^^;知らない演出があったり、裏動線で迷ったり^^;)
しかも、打ち合わせに新郎は来ず新婦と母親のふたりということで、母娘密着型かと思うと、それもちょっと面倒に思っていた。
打ち合わせ当日。
案の定、昔とは入館方法が変わっていてまごまごするし、ひさしぶりの裏動線を忘れていて階段へのドアだと思って開けたら防火扉で、目の前壁!!だったりとブライダルサロンに到着するまでにすでにHPも低下気味。
なんとかサロンに到着して、不機嫌な担当者に多少面倒そうに対応されながらも、ざっくりと新郎新婦の情報を教えてもらう。
新郎は転勤で遠方にいるからほぼ新婦と母親が打ち合わせをしていること、新婦は妊娠している、そして、新婦はお父さんが他界していること。
情報を聞き、進行表や配席表のコピーを受け取り、申し送りはおしまい、あとは待つだけな雰囲気になったところで、担当者が「で、ちょっと補足が…」とさらりとつけ加えてきた。
新婦に内緒でサプライズの手紙を読んでほしいんですよ
ああ、最近、サプライズもの多いよね。
まあ、盛り上がるけど、知られちゃいけないし、内緒で進行決めなきゃいけないから、案外大変なんだよなぁ。
新婦母から、預かってて、新婦お父さんからの手紙
出席できないおばあちゃんとかじゃないのね?
??新婦父???
だって、亡くなってるんだよね?と訝しげに思っていると、とんでもない爆弾発言が
亡くなる前に書いた手紙を新婦母が持っていたんですよ
それを代読してほしいって
ええええええ!!
あ、これ
とお土産でも渡す程度の気軽さで封筒をわたしに見せる。
いや、ちょっと待って。
他界しているお父さんが亡くなる前に書いた手紙をお母さんが持っていてサプライズで読むってことだよね。
病床のお父さんが覚悟して書いたものってことだよね。
それ、かなりヤバいヤツじゃないの〜〜〜〜!!
便せんを出し手紙をわたしに渡す担当者。
ざっと目を通した先から、もうヤバい。
鼻はつんとして目がうるむ。
数年前からガンを発病して辛く長い闘病の中、娘が結婚するときに渡すために病床で新婦母に代筆してもらったのだ。
代筆しなければならないということは恐らく、ペンを持つのもままならない状態だったのだろう。
迫る死を覚悟してのこと。
あかん、これはあかんヤツやろ!!と西の人間ではないのに西の言葉を使いたくなってしまうほど、あかん。
ああ、それは大変なお手紙ですねぇ^^;
とごまかしながらも照れ笑いすると
進行のどこで読むかなんかは新婦母と連絡取ってください
とあっさり対応され元のファイルにしまわれた。
お客様が来るまで隅のデスクで待機しながら、頭は手紙のことでいっぱい。
どうしよう、絶対泣く。
いままでいろいろな代読をしてきた。
海外に行って出席できない親友の女同士の友情。
遠方のおばあさまの鉛筆書きの手紙にも胸は打たれた。
「ロミオ、あなたはなぜロミオなの」とジュリエットにならなきゃいけない、ある意味ハードな代読もあった。
それなりにいろいろなパターンの代読をしてきた中でも、最近の『いい人』の新婦からのサプライズ手紙はかなりの強敵だった。
もうあれ以上に泣かせる代読はないだろうと思っていたのに、こんな強敵が控えていたとは!!
とにかく、担当がどんな人だろうと、コピーをもらっておこう。
一度デスクについてファイルをしまっていたから、ちょっと面倒そうにされながらも、コピーを取らせてもらう。
それを資料の間にそっと忍ばせて打ち合わせに向かった。
打ち合わせは滞りなく進む。
どうやら、まだ社会人になりたてでいきなり新郎が遠方に配属になり、あれよあれよというまに結婚することになったのだそうだ。
その後妊娠していることもわかったので、いまは実家に戻って結婚準備をお母さんとしているそうだ。
母娘密着型というより、子供の頃から父の闘病もあり母と一緒に戦ってきた戦友のような空気の母娘だった。
新婦がトイレに立ったときに、急いでお手紙を了承していることとどの場面で披露するかなどの詳細はメールでやり取りすれば大丈夫であることを伝える。
「心をこめて読ませていただきますね」と添えると、とてもしっかりした印象のお母様が、一瞬、安堵したような表情を見せた。
あ〜あ、なんとかするしかないよね〜〜。
と、気分は機関銃を背負ったシガニー ウィーパー。
しかし、明らかに劣勢。
披露宴当日まで、わたしの戦いは続くのであった。
めずらしくお仕事話で続きもの^^
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代読いろいろ
覚悟を決める時間
困った〜〜
いい人
『等式』感想です。加齢すると涙腺弱くなるよね?お子さまの時も泣いただろうから何時が一番泣かなかったんだろう?(笑)
ラスボス2
独り言
亡くなった父親が生前に覚悟して書いていた手紙を代読するという大役を任された。
その手紙のコピーを持ち帰り、試しに朗読してみる。
はるか(仮名)へ
今日は201◯年7月◯日、はるか誕生日おめでとう。
ああ、ここで、すでに声うるむ。
誕生日に合わせて書いているんだよ。
ペンが持てないほど蝕まれているのに、娘の誕生日を忘れず、いつかの日に向けた手紙を書く覚悟に、1行目でアウト。
続けてみる。
はるかへ
今日は201◯年7月◯日、はるか誕生日おめでとう。
たくさんの人に支えられ今日まで来たけれど、そんなに長くは生きられないことを知っています。
だからはるかに伝えたいことを母さんに代筆してもらいます。
そんなふうにはじまった手紙はなんとか新婦の振り袖姿を見ることができたよろこび、花嫁姿は見られなくてもずっと見守っていることそして、最後に「娘を選んでくれた彼へ」とまだ見ぬ未来の新郎に向けたメッセージが力強い新婦母の筆跡で綴られている。
その手紙は揺るぎない愛情と想像できないほどの強さに溢れていた。
はあ、わたしはこれを全部、数十人いる列席者の前で朗読しなければならないの!?
試しの朗読は終止『涙をこらえるゆえ、上ずりくぐもった聞き取りにくい』音声^^;
かつて、宮◯緑アナウンサーは本番中に涙で声を詰まらせたことがあったが、あれは冷静であるはずのニュースを読み上げる時だったからよかったのだ。
(知ってる?)
聞いている人が冷静である必要のない感動的なシーンで演出側が泣いてしまっては聞いている人たちは引く。
わたしがやらなければならないことは、きちんと聞き取れるように、お父さんの気持ちを少しでも乗せて伝えること。
許されるのはせいぜい『うる』くらいだろう。
はあ、ラスボス…。
気を取り直し、まず新婦母と進行決めにやり取りをする。
わたしは『新婦お色直し退場時』がいいかなと思っていたけど、那智さんは『新婦お手紙の前』がいいと推す。
あうう、たしかにそれが一番いいですけど、それだと最後の最後まで取っておかないといけないし、わたし自身余計に感極まってしまいそうだし、さらに、新婦が泣いちゃってその後手紙を読めないかもしれないから、避けたいなと抵抗する。
でも、結局、『一番感動する』に重点を置き、那智さんの意見を採用^^
その結果を提案しながら、新婦母とのやり取りの中でも、わたしを信頼してもらうように、安心して当日を楽しめるように努めた。
一方。
もう、わたしは会う人会う人にこの話しをしまくった(笑)
こういうのは慣れが必要なのだ。
最初のインパクトは大きいけれど、何度も何度も『うるうる』しているうちに徐々に慣れていくはず。
みんな一様に『うるうる』してくれる(笑)
きっと、この共感もわたしの心にはいいのだろう^^
それでも、家で手紙を開き練習するたびに声が詰まる。
那智さんも「もう、覚えるくらいにしたら(笑)」と^^
そうだ。
手紙だからいけないんだ。
新婦母の直筆からはハンパない気が溢れ出している、これにやられちゃうんだ。
そう思い、手紙をテキストにしてプリントする。
いつもの読みやすいフォントとサイズ。
一箇所だけてにをはが間違っていて、どうしも不自然な部分だけ直した。
これを何度も読む。
何度も読んでいくと徐々に慣れてくる。
ただ、最後の「娘を選んでくれた彼へ」だけは、どうしてもダメだった。
(いま打っててもダメ 笑)
娘さんだけではないく、まだ見ぬ新郎にまで思いを馳せる娘を思う気持ちにどうしてもやられてしまう^^;
でも、ほとんど『うる』くらいで済むようにはなった。
そして、本番当日を迎えるのだった!!
まだ続きますよ〜(笑)
亡くなった父親が生前に覚悟して書いていた手紙を代読するという大役を任された。
その手紙のコピーを持ち帰り、試しに朗読してみる。
はるか(仮名)へ
今日は201◯年7月◯日、はるか誕生日おめでとう。
ああ、ここで、すでに声うるむ。
誕生日に合わせて書いているんだよ。
ペンが持てないほど蝕まれているのに、娘の誕生日を忘れず、いつかの日に向けた手紙を書く覚悟に、1行目でアウト。
続けてみる。
はるかへ
今日は201◯年7月◯日、はるか誕生日おめでとう。
たくさんの人に支えられ今日まで来たけれど、そんなに長くは生きられないことを知っています。
だからはるかに伝えたいことを母さんに代筆してもらいます。
そんなふうにはじまった手紙はなんとか新婦の振り袖姿を見ることができたよろこび、花嫁姿は見られなくてもずっと見守っていることそして、最後に「娘を選んでくれた彼へ」とまだ見ぬ未来の新郎に向けたメッセージが力強い新婦母の筆跡で綴られている。
その手紙は揺るぎない愛情と想像できないほどの強さに溢れていた。
はあ、わたしはこれを全部、数十人いる列席者の前で朗読しなければならないの!?
試しの朗読は終止『涙をこらえるゆえ、上ずりくぐもった聞き取りにくい』音声^^;
かつて、宮◯緑アナウンサーは本番中に涙で声を詰まらせたことがあったが、あれは冷静であるはずのニュースを読み上げる時だったからよかったのだ。
(知ってる?)
聞いている人が冷静である必要のない感動的なシーンで演出側が泣いてしまっては聞いている人たちは引く。
わたしがやらなければならないことは、きちんと聞き取れるように、お父さんの気持ちを少しでも乗せて伝えること。
許されるのはせいぜい『うる』くらいだろう。
はあ、ラスボス…。
気を取り直し、まず新婦母と進行決めにやり取りをする。
わたしは『新婦お色直し退場時』がいいかなと思っていたけど、那智さんは『新婦お手紙の前』がいいと推す。
あうう、たしかにそれが一番いいですけど、それだと最後の最後まで取っておかないといけないし、わたし自身余計に感極まってしまいそうだし、さらに、新婦が泣いちゃってその後手紙を読めないかもしれないから、避けたいなと抵抗する。
でも、結局、『一番感動する』に重点を置き、那智さんの意見を採用^^
その結果を提案しながら、新婦母とのやり取りの中でも、わたしを信頼してもらうように、安心して当日を楽しめるように努めた。
一方。
もう、わたしは会う人会う人にこの話しをしまくった(笑)
こういうのは慣れが必要なのだ。
最初のインパクトは大きいけれど、何度も何度も『うるうる』しているうちに徐々に慣れていくはず。
みんな一様に『うるうる』してくれる(笑)
きっと、この共感もわたしの心にはいいのだろう^^
それでも、家で手紙を開き練習するたびに声が詰まる。
那智さんも「もう、覚えるくらいにしたら(笑)」と^^
そうだ。
手紙だからいけないんだ。
新婦母の直筆からはハンパない気が溢れ出している、これにやられちゃうんだ。
そう思い、手紙をテキストにしてプリントする。
いつもの読みやすいフォントとサイズ。
一箇所だけてにをはが間違っていて、どうしも不自然な部分だけ直した。
これを何度も読む。
何度も読んでいくと徐々に慣れてくる。
ただ、最後の「娘を選んでくれた彼へ」だけは、どうしてもダメだった。
(いま打っててもダメ 笑)
娘さんだけではないく、まだ見ぬ新郎にまで思いを馳せる娘を思う気持ちにどうしてもやられてしまう^^;
でも、ほとんど『うる』くらいで済むようにはなった。
そして、本番当日を迎えるのだった!!
まだ続きますよ〜(笑)
ラスボス3
独り言
いよいよ本番当日。
当日、会場オリジナルのはじめての演出もあり、なかなか気が抜けない中、キャプテンと音響と打ち合わせ。
新婦の亡くなった父からの手紙だという事実にうろたえる人はいない(笑)
当然だよね、読むのはわたしだから、皆さんは進行が間違わなければ、それでいいのだもの。
わたしひとり必要以上のプレッシャーの中、粛々と打ち合わせは終了。
その手紙朗読用に新婦母がBGMを用意しているそうだったので、音響に確認してみたら『ハナミズキ』だった。
ううう、これはわたしの中では中レベルヤバさ。(上レベルは『糸』^^)
曲に意識がいっちゃうとマズいな〜という感じ。
でも、こういう事前情報も泣かないためには必要だよね。
さあ、披露宴もはじまり、新婦母に挨拶したらわたしの顔見るなり泣いていた。
お母さんも頑張ったよね、今日は思い切り楽しんでください!!という気持ちをこめる。
披露宴は賑やかに和やかに進み。
そして、いよいよ、花束贈呈、その前の新婦手紙。
さあ、いくぞーーーー。
ゆっくり読む、そして、心をこめる、わたしがやるのはそのふたつ。
言い聞かせて、深呼吸して、集中する。
暗転した会場、新郎新婦と、司会台にもスポットライトが当たる。
謝辞位置に立つ新婦母の表情を一度見る。
新婦手紙の前に、一通サプライズの手紙があります
天国にいるお父様からの手紙をお母様から預かっていますので、ここでご披露いたします
え〜〜
と困惑と照れ隠しで声を出す新婦
抑えて。
でも、お父様の優しさ、お母様の強さ、どうか、わたしの声で表現させて。
はるかへ
自分を鼓舞する。
心をこめろ。
でも、浸るな。
何度も読んだのに、この圧倒的な手紙はわたしの心を揺さぶり、泣かせようとする。
一瞬でも気を抜くと感動に浸ってしまう。
浸ったら、泣く。
でも、心をこめたい。
だから、心をこめて、浸らないのだ。
会場の様子がひとつ外側に感じられるような、不思議な集中力。
でも、半歩でも揺らげば、一気に崩れ落ちそうなぎりぎりの集中力。
恐怖と自負と祝福の願いをこめて、読む。
「娘を選んでくれた彼へ」
ラスボスの最後の攻め。
声がうるむ。
やばい。
落ち着け。
さっきまでの流れを断ち切る覚悟で、一拍置く。
深呼吸。
お父さんの気持ち、新郎に届け。
「娘を選んでくれた彼へ」
自分の実力の中で最大級に集中して心をこめる。
「幸せを祈っています。201◯年 ◯月◯日 父より」
読み切った。
泣かなかった。
たぶん、ちゃんと聞こえたはずだ。
そこここから鼻をすする音が聞こえる。
ひと呼吸して、そのまま進行を続ける、この切り替えも仕事。
何事もなかったようにお開きになり、わたしひとりのラスボスとの戦いは終わった^^
はああ、それにしても大変だった。
途中、集中を切らないように、でも、浸ってしまわないように、で、心をこめるってかなり至難の技だったけど、やり切った感は清々しい^^
最後、音響のアシスタントの女性がお開き後
朗読、すごく上手でしたね!!
もらい泣きしちゃいました^^
とわざわざ言いにきてくれた。
聞き取れていたんだとここでハッキリわかって、はじめてホッとできた。
わたしの仕事はとても幸福な仕事だ。
毎週『おめでとう』が言えるのだもの。
そう考えると、脅迫に近い後押しをしてくれた那智さんに対する感謝の気持ちは、いつまでも消えることはない。
様々な新郎新婦、家族、友人関係、『祝福』と一括りにしてしまえるほど、それぞれの人生は単純ではないだろう。
だけど、せめて司会者のわたしは、まっすぐに『祝福』だけを思いたい。
がんばるのではなく『祝福』、これも那智さんが教えてくれたこと。
きっと、その気持ちはその数時間に魔法をかけてくれると、わたしはずっと信じている^^
那智さんがわたしに教えてくれたように、今週末もわたしは『祝福』の魔法をかけるのだ。
ね、那智さん^^
だけど、時々、切なさやプレッシャーでけっこう心がヒリヒリするけどね^^;
こんなお仕事のときなどは、特に^^
でも、ここまでのラスボス級はそうそうないだろうと思うと、いい経験だし、とても、しあわせな戦いでした(笑)
追伸
これ以上のラスボスはいないと思っていたけど、先日『実家で飼っているネコから』サプライズで祝電という形で家族が寄越し、語尾に「にゃ〜」がつけられた祝電を実家のネコっぽく読み上げなければならないものも登場して、いやあ、敵はあの手この手で攻めてきます^^
まだまだ、わたしの戦いは続くのでした〜。
<関連エントリー>
普段通り
「等式」「ラスボス」感想です。何時も想うが、会場の空気を良く変えることの出来るりん子の資質。今回も臨場感溢れる文章だけれど彼女の呼吸が聞こえ、それが手紙の内容と共に会場を魅了しているのはうれしい。
「等式」感想その2。「浸らないで、伝える。」劇場で舞台の見せ場を作る語り手兼演出家みたいなものでしょうか。他者の「祝福」を伝える努力をするのはMの資質も良いのかもしれません。感情を込めて、浸らず、伝え、泣かない。一人舞台ではなく出席者を見方にするのは早々出来ることではありません。
いよいよ本番当日。
当日、会場オリジナルのはじめての演出もあり、なかなか気が抜けない中、キャプテンと音響と打ち合わせ。
新婦の亡くなった父からの手紙だという事実にうろたえる人はいない(笑)
当然だよね、読むのはわたしだから、皆さんは進行が間違わなければ、それでいいのだもの。
わたしひとり必要以上のプレッシャーの中、粛々と打ち合わせは終了。
その手紙朗読用に新婦母がBGMを用意しているそうだったので、音響に確認してみたら『ハナミズキ』だった。
ううう、これはわたしの中では中レベルヤバさ。(上レベルは『糸』^^)
曲に意識がいっちゃうとマズいな〜という感じ。
でも、こういう事前情報も泣かないためには必要だよね。
さあ、披露宴もはじまり、新婦母に挨拶したらわたしの顔見るなり泣いていた。
お母さんも頑張ったよね、今日は思い切り楽しんでください!!という気持ちをこめる。
披露宴は賑やかに和やかに進み。
そして、いよいよ、花束贈呈、その前の新婦手紙。
さあ、いくぞーーーー。
ゆっくり読む、そして、心をこめる、わたしがやるのはそのふたつ。
言い聞かせて、深呼吸して、集中する。
暗転した会場、新郎新婦と、司会台にもスポットライトが当たる。
謝辞位置に立つ新婦母の表情を一度見る。
新婦手紙の前に、一通サプライズの手紙があります
天国にいるお父様からの手紙をお母様から預かっていますので、ここでご披露いたします
え〜〜
と困惑と照れ隠しで声を出す新婦
抑えて。
でも、お父様の優しさ、お母様の強さ、どうか、わたしの声で表現させて。
はるかへ
自分を鼓舞する。
心をこめろ。
でも、浸るな。
何度も読んだのに、この圧倒的な手紙はわたしの心を揺さぶり、泣かせようとする。
一瞬でも気を抜くと感動に浸ってしまう。
浸ったら、泣く。
でも、心をこめたい。
だから、心をこめて、浸らないのだ。
会場の様子がひとつ外側に感じられるような、不思議な集中力。
でも、半歩でも揺らげば、一気に崩れ落ちそうなぎりぎりの集中力。
恐怖と自負と祝福の願いをこめて、読む。
「娘を選んでくれた彼へ」
ラスボスの最後の攻め。
声がうるむ。
やばい。
落ち着け。
さっきまでの流れを断ち切る覚悟で、一拍置く。
深呼吸。
お父さんの気持ち、新郎に届け。
「娘を選んでくれた彼へ」
自分の実力の中で最大級に集中して心をこめる。
「幸せを祈っています。201◯年 ◯月◯日 父より」
読み切った。
泣かなかった。
たぶん、ちゃんと聞こえたはずだ。
そこここから鼻をすする音が聞こえる。
ひと呼吸して、そのまま進行を続ける、この切り替えも仕事。
何事もなかったようにお開きになり、わたしひとりのラスボスとの戦いは終わった^^
はああ、それにしても大変だった。
途中、集中を切らないように、でも、浸ってしまわないように、で、心をこめるってかなり至難の技だったけど、やり切った感は清々しい^^
最後、音響のアシスタントの女性がお開き後
朗読、すごく上手でしたね!!
もらい泣きしちゃいました^^
とわざわざ言いにきてくれた。
聞き取れていたんだとここでハッキリわかって、はじめてホッとできた。
わたしの仕事はとても幸福な仕事だ。
毎週『おめでとう』が言えるのだもの。
そう考えると、脅迫に近い後押しをしてくれた那智さんに対する感謝の気持ちは、いつまでも消えることはない。
様々な新郎新婦、家族、友人関係、『祝福』と一括りにしてしまえるほど、それぞれの人生は単純ではないだろう。
だけど、せめて司会者のわたしは、まっすぐに『祝福』だけを思いたい。
がんばるのではなく『祝福』、これも那智さんが教えてくれたこと。
きっと、その気持ちはその数時間に魔法をかけてくれると、わたしはずっと信じている^^
那智さんがわたしに教えてくれたように、今週末もわたしは『祝福』の魔法をかけるのだ。
ね、那智さん^^
だけど、時々、切なさやプレッシャーでけっこう心がヒリヒリするけどね^^;
こんなお仕事のときなどは、特に^^
でも、ここまでのラスボス級はそうそうないだろうと思うと、いい経験だし、とても、しあわせな戦いでした(笑)
追伸
これ以上のラスボスはいないと思っていたけど、先日『実家で飼っているネコから』サプライズで祝電という形で家族が寄越し、語尾に「にゃ〜」がつけられた祝電を実家のネコっぽく読み上げなければならないものも登場して、いやあ、敵はあの手この手で攻めてきます^^
まだまだ、わたしの戦いは続くのでした〜。
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普段通り
「等式」「ラスボス」感想です。何時も想うが、会場の空気を良く変えることの出来るりん子の資質。今回も臨場感溢れる文章だけれど彼女の呼吸が聞こえ、それが手紙の内容と共に会場を魅了しているのはうれしい。
「等式」感想その2。「浸らないで、伝える。」劇場で舞台の見せ場を作る語り手兼演出家みたいなものでしょうか。他者の「祝福」を伝える努力をするのはMの資質も良いのかもしれません。感情を込めて、浸らず、伝え、泣かない。一人舞台ではなく出席者を見方にするのは早々出来ることではありません。
被虐趣味
140字もどき
被虐趣味というのは、その人のないぶに、細かいがものすごく堅固な、頼みの綱のようなものがあって成立するものなのだろうと、わたしは思う。
乱暴に換言すれば、自分に強い自信がなければ被虐を悦楽にできないと。
小説から引用です。
なにげなく手に取った小説にあった文章。
その通りだと思わずメモしてしまった。
わたしは主従や奴隷さんというものはよくわからない。
もっというと、なにをもってしてSMかも、じつは、もうわからなくなっている。
ただ、一般的に『精神的肉体的に苦痛』と感じるであろう行為に興奮し快感を感じることをマゾというなら、上の文章はその通りだ。
体を痛めつけ、みじめな姿になるダメージは、確固たる頼みの綱を自覚できているから、被虐を幸福のもとに快感にできるのだろう。
幸福のもとにゆえ、継続も可能なのだろう。
だから、あえて極論しちゃうと、いわゆる『不安定なM女さんや奴隷さん』には被虐行為はしないほうがいいのではないだろうか。
ほめてもらえるから、よろこんでもらえるから、そういう理由で苦痛を受けることは、ただ傷つくだけになってしまうような気がします。
だから、不安定なM女さんや奴隷さんは、まず、たっぷり自信をつけさせていただいてからSM的調教を受けられるといいのにな〜と思うのです^^
そもそも性癖を理解し満たしていくには、どんな性癖だとしても成熟した大人であるほうがいいのだよね。
「等式」感想です。「確固」たる自信がない、興味がある男女はやってはいけないと言うことではないと思う。不安定な女につけこむ男が悪いのであろうか?つけこまれる女が悪いのか?昔はつけこむを男が悪いと思っていたが、平等の意識で考えると今はどちらかが悪い訳ではないと思う。(笑)
「続き」騙される女、勘違いする女も悪いなんて寂しい考えだと私は思う。
被虐趣味というのは、その人のないぶに、細かいがものすごく堅固な、頼みの綱のようなものがあって成立するものなのだろうと、わたしは思う。
乱暴に換言すれば、自分に強い自信がなければ被虐を悦楽にできないと。
小説から引用です。
なにげなく手に取った小説にあった文章。
その通りだと思わずメモしてしまった。
わたしは主従や奴隷さんというものはよくわからない。
もっというと、なにをもってしてSMかも、じつは、もうわからなくなっている。
ただ、一般的に『精神的肉体的に苦痛』と感じるであろう行為に興奮し快感を感じることをマゾというなら、上の文章はその通りだ。
体を痛めつけ、みじめな姿になるダメージは、確固たる頼みの綱を自覚できているから、被虐を幸福のもとに快感にできるのだろう。
幸福のもとにゆえ、継続も可能なのだろう。
だから、あえて極論しちゃうと、いわゆる『不安定なM女さんや奴隷さん』には被虐行為はしないほうがいいのではないだろうか。
ほめてもらえるから、よろこんでもらえるから、そういう理由で苦痛を受けることは、ただ傷つくだけになってしまうような気がします。
だから、不安定なM女さんや奴隷さんは、まず、たっぷり自信をつけさせていただいてからSM的調教を受けられるといいのにな〜と思うのです^^
そもそも性癖を理解し満たしていくには、どんな性癖だとしても成熟した大人であるほうがいいのだよね。
「等式」感想です。「確固」たる自信がない、興味がある男女はやってはいけないと言うことではないと思う。不安定な女につけこむ男が悪いのであろうか?つけこまれる女が悪いのか?昔はつけこむを男が悪いと思っていたが、平等の意識で考えると今はどちらかが悪い訳ではないと思う。(笑)
「続き」騙される女、勘違いする女も悪いなんて寂しい考えだと私は思う。
良いも悪いも^^
140字もどき
那智さんは「俺の責任」と思い
わたしは「わたしのせい」と思う
なにごとにおいてもその思考回路になる。
色合いの違いはあるけれど、この特性はきっと似ている。
これが過ぎるのはよくないことだ。
長い時間をかけてわたしは那智さんから、なんでもかんでも自分のせいにせず適正な責任の取り方を教えてもらってきたから、ずいぶん緩和されてきた。
だからね、那智さんも、全部俺の責任って思うことないと最近思うのです。
わたしに教えてくれたように^^
『男の子』はカッコいいけど^^
惹かれ合うもの同士は映し鏡。
『等式』を願うわたしたちだから、わたしが変わったら、あなたもきっと変われます^^
「等式」感想です。互いに自分の責任だと思い、相手を庇うことで意見の相違が出来る。そこから、私の過剰な意識がりん子を困らせる場合があることを知る。
那智さんは「俺の責任」と思い
わたしは「わたしのせい」と思う
なにごとにおいてもその思考回路になる。
色合いの違いはあるけれど、この特性はきっと似ている。
これが過ぎるのはよくないことだ。
長い時間をかけてわたしは那智さんから、なんでもかんでも自分のせいにせず適正な責任の取り方を教えてもらってきたから、ずいぶん緩和されてきた。
だからね、那智さんも、全部俺の責任って思うことないと最近思うのです。
わたしに教えてくれたように^^
『男の子』はカッコいいけど^^
惹かれ合うもの同士は映し鏡。
『等式』を願うわたしたちだから、わたしが変わったら、あなたもきっと変われます^^
「等式」感想です。互いに自分の責任だと思い、相手を庇うことで意見の相違が出来る。そこから、私の過剰な意識がりん子を困らせる場合があることを知る。