子守唄
独特な幸福感
那智さんは、いまある女性とのやり取りを楽しんでいる。
相手のかたは、どう思っているかわからないが、真剣に楽しんでいる。
那智さんは、関わりたいとか気になるとか思ったら、ドアをノックする人だ。
もちろん適切かどうか検討して相手の人に配慮して、ノックするわけだが、そのやり取りをみていると、少しヒヤヒヤしてしまう。
私は、那智さんのように関わりたいと思っても、そんなに勇気を持ってノックできない。
まして、うわべだけの軽い会話が好きじゃない那智さんのように、深く関わるようなノックなんて、もっとできない。
もちろん深いノックは、反応だって深いはずだ。
人の心を揺らすことを極力避けたいと思っている弱虫な私は、そのスタンスに勝手にヒヤヒヤしている。
自分が、人の心を揺らすようなことをしたくないのは、逆をかえせば、私はそうされるのが苦手なのだ。
弱い私は、そうされるとすぐにへこむ。
だから、私はしないしできない。
先日、職場の女性の何気ない一言で、とても嫌な気分になってしまった。
言い返すことも真意を問うこともできず、ただ傷付いているだけの私。
そして、無神経なものの言い方をするその女性を、心の中で馬鹿にして、シャッターを下ろしてしまう。
もうその女性とは、いま以上に近くなることはないだろう。
そんな風にしているから、私の交友関係はとても狭い。
狭いのは、それでもいいのだけど、すぐに傷つく弱さは面倒くさい。
じゃあ、言い返せばとも思うのだけど、できないものはできない。
こんなときは、私の絆創膏の那智さんに、傷を包んでもらう(場合によっては、笑われておしまいなんてこともあるけど)。
しばらく忙しい日が続いて、しかも生理前、そんな時に他者のなんともない言葉で傷つき、へこんで那智さんに泣きつく。
駄々っ子のように甘えて泣く。
これはとても気持ち良いのだけど、那智さんに突っかかってしまったり、忙しいのに付き合わせたりで申し訳なくも思う。
だけど、この悲しさはどうにもならずに、甘えを自覚しながらも泣きながら訴えてしまう。
その女性の気持ちを推測したり、その後の対処方法を考えたり、一生懸命私に付き合ってくれる那智さん。
ひとしきり泣いて、那智さんのお話しを聞いていたら、なんだか眠くなってきてしまった。
そっとお布団に入って、まだ、那智さんのお話しを聞いている。
だんだん那智さんの声が子守唄のようになってしまって、もうあんまり聞けていない。
このまま眠りに落ちそうだ。
落ちてしまえば、こんなに心地よいことはない。
「眠くなってしまいました。」
こちらが付き合わせていたにも関わらず那智さんの話を遮って、なんともわがままなことを言い出してみる。
「いいよ、寝な」
ため息とも微笑みとも取れる吐息まじりに言う。
「○時になったら、起こしてくださいませんか?お客様に電話しなくちゃいけないから。」
もうわがまま放題。
「また、難しいことを」
「ごめんなさい。だって、携帯(アラーム)がそばにないから、取りに行ったら目が覚めてしまう。」
お布団も那智さんの声もわがままも気持ち良い。
電話を切って、すとんと眠りに落ちていった。
弱いより強いほうがいいだろう。
だけど、こんな心地よい眠りに着けるなら、弱いのも悪くない。
「りん子は弱いんじゃない、優しいだけだ。」
那智さんのこの慰めの言葉は、おまじないのように私のポケットに入れて、いつも私のそばに置いておく。
那智さんは、いまある女性とのやり取りを楽しんでいる。
相手のかたは、どう思っているかわからないが、真剣に楽しんでいる。
那智さんは、関わりたいとか気になるとか思ったら、ドアをノックする人だ。
もちろん適切かどうか検討して相手の人に配慮して、ノックするわけだが、そのやり取りをみていると、少しヒヤヒヤしてしまう。
私は、那智さんのように関わりたいと思っても、そんなに勇気を持ってノックできない。
まして、うわべだけの軽い会話が好きじゃない那智さんのように、深く関わるようなノックなんて、もっとできない。
もちろん深いノックは、反応だって深いはずだ。
人の心を揺らすことを極力避けたいと思っている弱虫な私は、そのスタンスに勝手にヒヤヒヤしている。
自分が、人の心を揺らすようなことをしたくないのは、逆をかえせば、私はそうされるのが苦手なのだ。
弱い私は、そうされるとすぐにへこむ。
だから、私はしないしできない。
先日、職場の女性の何気ない一言で、とても嫌な気分になってしまった。
言い返すことも真意を問うこともできず、ただ傷付いているだけの私。
そして、無神経なものの言い方をするその女性を、心の中で馬鹿にして、シャッターを下ろしてしまう。
もうその女性とは、いま以上に近くなることはないだろう。
そんな風にしているから、私の交友関係はとても狭い。
狭いのは、それでもいいのだけど、すぐに傷つく弱さは面倒くさい。
じゃあ、言い返せばとも思うのだけど、できないものはできない。
こんなときは、私の絆創膏の那智さんに、傷を包んでもらう(場合によっては、笑われておしまいなんてこともあるけど)。
しばらく忙しい日が続いて、しかも生理前、そんな時に他者のなんともない言葉で傷つき、へこんで那智さんに泣きつく。
駄々っ子のように甘えて泣く。
これはとても気持ち良いのだけど、那智さんに突っかかってしまったり、忙しいのに付き合わせたりで申し訳なくも思う。
だけど、この悲しさはどうにもならずに、甘えを自覚しながらも泣きながら訴えてしまう。
その女性の気持ちを推測したり、その後の対処方法を考えたり、一生懸命私に付き合ってくれる那智さん。
ひとしきり泣いて、那智さんのお話しを聞いていたら、なんだか眠くなってきてしまった。
そっとお布団に入って、まだ、那智さんのお話しを聞いている。
だんだん那智さんの声が子守唄のようになってしまって、もうあんまり聞けていない。
このまま眠りに落ちそうだ。
落ちてしまえば、こんなに心地よいことはない。
「眠くなってしまいました。」
こちらが付き合わせていたにも関わらず那智さんの話を遮って、なんともわがままなことを言い出してみる。
「いいよ、寝な」
ため息とも微笑みとも取れる吐息まじりに言う。
「○時になったら、起こしてくださいませんか?お客様に電話しなくちゃいけないから。」
もうわがまま放題。
「また、難しいことを」
「ごめんなさい。だって、携帯(アラーム)がそばにないから、取りに行ったら目が覚めてしまう。」
お布団も那智さんの声もわがままも気持ち良い。
電話を切って、すとんと眠りに落ちていった。
弱いより強いほうがいいだろう。
だけど、こんな心地よい眠りに着けるなら、弱いのも悪くない。
「りん子は弱いんじゃない、優しいだけだ。」
那智さんのこの慰めの言葉は、おまじないのように私のポケットに入れて、いつも私のそばに置いておく。
ふわふわな私
独特な幸福感
柔らかい私でいたい。(柔軟体操じゃなくてね♪)
いつも機嫌良く、朗らかで、刺がない私。
気の弱い私の刺は、誰からかまわず攻撃はできないから、刺しやすい人に向かってしまう。
それは、那智さんだ。
私の刺は那智さんをチクチク刺してしまう。
那智さんにとってそれは致命傷を与えるような刺ではないでしょうけど、面倒な作業には変わりない。
私は刺してしまっていることを自覚しているから「刺しています、ごめんなさい」と伝えながらサンドバックになってもらう。
受け止め方は様々だ。
慰めたり、具体的な対処を考えたり、いずれにしても匙は投げない、機嫌も変えない。
この安定と真摯な向き合い方に私は甘えてしまうのだ。
でも、那智さんがなぜそれに付き合えるかというと、私の態度にも要因があるのだそうだ。
私は、自分が刺を出していることを自覚して、それでもどうすることもできないから、那智さんに助けてと訴えている、この自覚が付き合える要因なんだ。
柔らかい私でいたい。
でも、無理なときは那智さんに訴える。
それさえできないほど、刺々しくなってしまわないように、いつも客観視できるように努力する。
時々私は那智さんを「甘え」という刺でさしてしまう。
その代わり(?)、那智さんは私に針を刺す♪
柔らかい私でいたい。(柔軟体操じゃなくてね♪)
いつも機嫌良く、朗らかで、刺がない私。
気の弱い私の刺は、誰からかまわず攻撃はできないから、刺しやすい人に向かってしまう。
それは、那智さんだ。
私の刺は那智さんをチクチク刺してしまう。
那智さんにとってそれは致命傷を与えるような刺ではないでしょうけど、面倒な作業には変わりない。
私は刺してしまっていることを自覚しているから「刺しています、ごめんなさい」と伝えながらサンドバックになってもらう。
受け止め方は様々だ。
慰めたり、具体的な対処を考えたり、いずれにしても匙は投げない、機嫌も変えない。
この安定と真摯な向き合い方に私は甘えてしまうのだ。
でも、那智さんがなぜそれに付き合えるかというと、私の態度にも要因があるのだそうだ。
私は、自分が刺を出していることを自覚して、それでもどうすることもできないから、那智さんに助けてと訴えている、この自覚が付き合える要因なんだ。
柔らかい私でいたい。
でも、無理なときは那智さんに訴える。
それさえできないほど、刺々しくなってしまわないように、いつも客観視できるように努力する。
時々私は那智さんを「甘え」という刺でさしてしまう。
その代わり(?)、那智さんは私に針を刺す♪
痛すぎます 1
非日常的な日常
今日はもうわかっている。
どれくらいの強さで、どのくらい続くのかはわからないけれど、前回の「壊れてしまった」時よりも、酷いことになることは、わかっている。
ずっと前から望んでいたことのようにも、恐ろしくて逃げ出してしまいたいようにも感じる。
今日は梁に括られるのではないようだ。
両手首をひとまとめにされて、一旦上に持ち上げられそのまま頭の後ろに持っていく。
私の両手は祈りのように頭の後ろで組まれ、肘は前に突き出して何かを主張しているようだ。
胸でクロスさせた縄と繋いで固定され、私の両手はその位置から動かすことができない。
両手を上にして、固定されただけで、どうしてこんなに心許なくなってしまうのだろう。
不安定で不安だ。
強く押されたら、体だけじゃなく心まで倒れてしまいそうだ。
今日は、酷いことになる。
怖い、そして、望んでいる。
しかし、厄介なことに、それを意識してしまっている。
酷くなることを意識しているというより、壊れることを意識してしまっている。
それさえわからないほど追い詰められるかもしれないけど、意識していることを自覚してしまっている状態は、ちょっと厄介だ。
そんな危惧をよそに、床に跪き体を折り曲げて上半身をベッドに預けるように体勢を整える那智さん。
怖い、本当に私はこれを望んでいるのだろうか。
なんだか、いろんなことが頭をよぎる。
掌と靴べらではじめに狙われたのは、太腿だ。
ピシッ、ピシッと太腿の外側と内側を打たれる。
露になった肌に当たるプスチックの無機質な痛みに縮こまってしまう。
それほど強い力で打っているのではないことは、わかっているのだけど、なんだかとても痛い。
それが、内股のような場所だからなのか、わからないけど、いつもより痛いと感じてしまうのは、この後に来るであろう強烈な痛みへの恐怖を増す。
痛い、先のことを考えてしまってもっと怖い、弱虫の私が心の中で大騒ぎをしている。
こんなことで、痛がってどうする、今日は「飛ぶ」んだ。
この前、那智さんと一緒に開けた扉を、もう一度一緒に開けて中に入ってみるのだ。
手をつないで、離さないで、二人にしか見ることのできない景色を見るんだ。
両肘や額で自分を支えて、まだ扉の確認さえできていない状態で、尻込みしている自分を奮い立たせている。
今日はもうわかっている。
どれくらいの強さで、どのくらい続くのかはわからないけれど、前回の「壊れてしまった」時よりも、酷いことになることは、わかっている。
ずっと前から望んでいたことのようにも、恐ろしくて逃げ出してしまいたいようにも感じる。
今日は梁に括られるのではないようだ。
両手首をひとまとめにされて、一旦上に持ち上げられそのまま頭の後ろに持っていく。
私の両手は祈りのように頭の後ろで組まれ、肘は前に突き出して何かを主張しているようだ。
胸でクロスさせた縄と繋いで固定され、私の両手はその位置から動かすことができない。
両手を上にして、固定されただけで、どうしてこんなに心許なくなってしまうのだろう。
不安定で不安だ。
強く押されたら、体だけじゃなく心まで倒れてしまいそうだ。
今日は、酷いことになる。
怖い、そして、望んでいる。
しかし、厄介なことに、それを意識してしまっている。
酷くなることを意識しているというより、壊れることを意識してしまっている。
それさえわからないほど追い詰められるかもしれないけど、意識していることを自覚してしまっている状態は、ちょっと厄介だ。
そんな危惧をよそに、床に跪き体を折り曲げて上半身をベッドに預けるように体勢を整える那智さん。
怖い、本当に私はこれを望んでいるのだろうか。
なんだか、いろんなことが頭をよぎる。
掌と靴べらではじめに狙われたのは、太腿だ。
ピシッ、ピシッと太腿の外側と内側を打たれる。
露になった肌に当たるプスチックの無機質な痛みに縮こまってしまう。
それほど強い力で打っているのではないことは、わかっているのだけど、なんだかとても痛い。
それが、内股のような場所だからなのか、わからないけど、いつもより痛いと感じてしまうのは、この後に来るであろう強烈な痛みへの恐怖を増す。
痛い、先のことを考えてしまってもっと怖い、弱虫の私が心の中で大騒ぎをしている。
こんなことで、痛がってどうする、今日は「飛ぶ」んだ。
この前、那智さんと一緒に開けた扉を、もう一度一緒に開けて中に入ってみるのだ。
手をつないで、離さないで、二人にしか見ることのできない景色を見るんだ。
両肘や額で自分を支えて、まだ扉の確認さえできていない状態で、尻込みしている自分を奮い立たせている。
痛すぎます 2
非日常的な日常
靴べらの冷たい痛さに弱気になっている。
そして、この後起こる酷いことと、それがもたらす快感を期待して無駄な意識が働いてしまっている。
そんな中で感じる痛みは、邪念だらけでちっとも嬉しくない。
痛い、怖い、いつまで続くの?
そんなことを考えられなくなるくらいグチャグチャになってしまったほうが、もしかしたら楽かもしれないと思ってしまうほど、この無駄な意識は邪魔だ。
ほどなくして、那智さんの動く気配を感じる。
バラ鞭だ。
グチャグチャにしてもらったほうがいいと思いながら、やはり鞭の痛みを想像するだけで、身がすくんでしまう。
今日は泣くのだろうか。
手放しでわんわん泣くのは、気持ちよかった。
地団駄を踏んで叫び声を上げたあとの放心状態も、快感だった。
すでに、弱虫な気分の私だが、あの感覚を味わおうといろんな覚悟を決めて、お尻を差し出す。
降り下ろされた鞭は、私のお尻と太腿を容赦なく打ち付ける。
あまりの衝撃に、お尻ではなく脳みそに打撃を食らったみたいだ。
一発目からこんな強さなんだ。
呻き声を上げる間もなく、二発目が飛んでくる。
「うわああ」
今度は声を上げる。
声を上げないと耐えられそうもないほど、痛い。
「人間耐えられない痛みなんて、そうそうあるもんじゃない。」と豪語していた私に教えてあげたい。
声を上げて紛らわさなくては耐えられないほどの痛みはある。
そして、それは性的な空間ででさえ、ある、と。
間髪入れずに打たれる。
バラ鞭を捻って一本の太い鞭にして打つ。
そのよろけるほどの衝撃に、思わず体をよじるけど、体勢を整えなければもっと痛い場所に鞭が飛んでくるかもしれないから、叫びながらなんとか元の体勢に戻す。
それだけで精一杯。
目に涙が溜まってくるのはわかる。
でも、号泣までには至らない。
ここでも、あの瞬間が訪れるかもしれないと少し意識している。
この意識は邪魔だ。
しかし、そう思っている時間は、僅かだった。
強い強い鞭の嵐が、私のお尻と脳みそを打ち、身をよじり、また打たれ、声を上げ続け(那智さん曰くそんなに大騒ぎしていなかったそうですが)、多少残る意識がだんだんと遠ざかっていく。
このときの私は、前回の「壊れる」という感覚は味わえなかった。
放心状態という感じではなかった。
それでも、不思議な感覚を覚えたのだ。
「痛い」
それだれなのだ。
そのときの私には「痛い」という感覚以外、感情の入る余地がないくらい「痛い」だけだったのだ。
「痛いからやめて」
「痛いけどやめないで」
「痛いことが辛い」
「痛いことが気持ち良い」
痛いという感覚に訴えるもののあとには、何かしら感情が伴うと思うのだけど、このときはそれがなかった。
「痛すぎます」ということを感じて、それを伝えるなんて思考の入る余地のない痛みだけの感覚。
感覚と感情がひとつになって「痛い」だけ。
痛い以外なにもない世界。
放心さえもできないくらい、痛いだけなのか。
それとも、この先に「破壊」が存在するのか。
そのときの私には、どうでもいいこと、「どうでもいい」と思うことすらない。
ただ痛いだけ。
それをやめてほしいのか、続けてほしいのか、そんな感情はどこかにいってしまっている。
鞭が止まった。
私も我に帰る。
痛みは残るが、すーっと隙間が開いて、怖かったとか、終わったとか、いろんな感情が湧き上がってくる。
なんだか人間に戻ったみたいだ。
それでも、やっぱり「壊れる」とは思えていなくて、でも、一回人間に戻っていろんな感情が戻ってしまって、もう今日は(今日は!!)壊れるのは怖いと、また弱気が芽生えている。
那智さんが、手首と胴体を繋ぐ縄を「ぐいっ」引き、そのまま私を和室の畳の上になぎ倒す。
無防備に両肘を掲げ、されるがままに仰向けに横たわる。
手に持っているのは洗濯バサミだ。
しかも、ビニールのラッピングがされたままの、新品。
まだ、終わりじゃないんだ。
弱気の私が戻ってしまって、もう怖くてしかたがない。
終わりかもしれないと思ってしまったから、尚更だ。
ビニールを破り取り出した洗濯バサミを、まず両方の乳首に付ける。
この痛さは、いつもの痛さと同じだ。
痛いことには変わりないが、わかっている分怖さはない。
次に乳房に、ひとつずつ。
さらに、左右に平行して胸の下からお腹にかけてみっつずつ(くらい?)。
寝転んでいるから、お腹の脂肪をつまむのに、ちょっと苦労している、当然少しだけしかつまめないから、痛い。
その痛みは刻々と増していく。
そして、おまんこにふたつずつ。
最後に、クリトリスにひとつ。
まるで、犬や猫のおっぱいみたいに、体にいくつも突起物がある異様な姿だ。
クリトリスは痛い。
刺すように痛い。
これは、怖さも相まって、無理に感じたから「これははずしてください、そうしたら耐えられる」とお願いしてしまった。
このお願いは言葉選びを間違えてしまった。
「耐えられる」ではなく「耐える努力ができる」だったのだ。
「耐えられる」だと、「じゃあ耐えられなくしてあげる♪」になってしまう。
一瞬後悔するけれど、訂正するほどの余裕は私には残っていなかった。
なぜなら、那智さんがその洗濯バサミを鞭ではたきはじめたのだ。
那智さんが用意したその洗濯バサミは、お尻(?)の部分にプラスチックの紐が輪になって付いているもの(わかります?引っ掛ける用かな)で、鞭が引っ掛かりやすいみたい。
それほど強い力ではないから、鞭自体は耐えられる。
でも、那智さんはその方法で、この洗濯バサミを弾き飛ばそうとしているのだ。
強く打てば、一度に取れる可能性は高い、でも、その痛みは想像しただけでも震えてしまう。
はたく程度なら、一度の強烈な痛みは回避できるが、じわじわと痛みが増しながら長引くのだ。
那智さんは後者を選んだ。
洗濯バサミが鞭に引っ掛かり、少しずれる。
つまむ量が少なければ少ないほど、痛くなることは避けられない。
足をばたつかせ、体を丸め、声を上げて、なんとか耐える。
更に、はたかれてひとつかふたつは弾け飛んだ。
このときの私は、感情がちゃんとある人間だ。
この14個の洗濯バサミが全部弾け飛ばなければ終わらないことも、ふたつ取るのにかかった時間から14個全部を飛ばす時間も推測できてしまう。
いっそ、感情がなくなるほど「壊れて」しまいたいと思うほど、苦痛と恐怖の持続だ。
身を捩り、腰を浮かせ、なんとか痛みと戦っている、そのとき視線を胴に向けると、ずれてしまっている洗濯バサミがつまんでいる皮膚が破けて血が滲んでいるのを見つけてしまった。
そこで、私の心は我慢できなくなってしまったのだ。
「痛すぎます」
洗濯バサミは外され、ポツポツと体に複数の乳首のような後だけが残る。
髪はぐしゃぐしゃで、お尻はヒリヒリと痛み(よく見ると、二カ所皮膚が破れて、こちらも血が滲んでいる)、洗濯バサミの痕は痛々しい。
那智さんがお風呂にお湯を張りにいってくれている間も、ぼんやりとして思い出している。
飛べていないだろう、それでも「痛すぎます」は言ってしまった。
本当に痛いのは、鞭の方だ。
だけど、あのとき私は「痛すぎます」を言うという選択肢がないほど、無感情だった。
痛すぎるときには、痛すぎますは発動しない(できない)らしい。
現実として、「痛すぎます」は、いろんな感情が混ざってできるもののようだ。
「痛い、辛い、怖い、いつまで続く?」そんなものがごちゃ混ぜになって「痛すぎます」を言ってしまうのだ。
痛すぎますは弱虫の産物、人間の証拠。
これは、「本当の痛すぎる」を那智さんに委ねることを意味するのかもしれない。
とても、怖いこと(那智さんにとってもね)だが、恐らく那智さんと私が望んでいる扉は、そういう方法で開くのではないだろうか。
それにしても、痛すぎるを伝える思考さえ停止している状態ってなんなのでしょう。
でも、飛べていないなんて、それもどうなのでしょう。
いろいろ意識してしまうけど、それもあんまり良くないように感じて、那智さんに聞いてみたら、「無理にどうすることもない、意識してしまうならすればいいよ」という答え。
自然にしていればいいのだそうだ。
こんなときも「自意識過剰」なのかな、私は。
湯船に浸かって那智さんに後ろから優しく包んでもらった。
お尻がピリピリと滲みるけど、柔らかい毛布から離れられずに滲みたままずっと抱かれていた。
靴べらの冷たい痛さに弱気になっている。
そして、この後起こる酷いことと、それがもたらす快感を期待して無駄な意識が働いてしまっている。
そんな中で感じる痛みは、邪念だらけでちっとも嬉しくない。
痛い、怖い、いつまで続くの?
そんなことを考えられなくなるくらいグチャグチャになってしまったほうが、もしかしたら楽かもしれないと思ってしまうほど、この無駄な意識は邪魔だ。
ほどなくして、那智さんの動く気配を感じる。
バラ鞭だ。
グチャグチャにしてもらったほうがいいと思いながら、やはり鞭の痛みを想像するだけで、身がすくんでしまう。
今日は泣くのだろうか。
手放しでわんわん泣くのは、気持ちよかった。
地団駄を踏んで叫び声を上げたあとの放心状態も、快感だった。
すでに、弱虫な気分の私だが、あの感覚を味わおうといろんな覚悟を決めて、お尻を差し出す。
降り下ろされた鞭は、私のお尻と太腿を容赦なく打ち付ける。
あまりの衝撃に、お尻ではなく脳みそに打撃を食らったみたいだ。
一発目からこんな強さなんだ。
呻き声を上げる間もなく、二発目が飛んでくる。
「うわああ」
今度は声を上げる。
声を上げないと耐えられそうもないほど、痛い。
「人間耐えられない痛みなんて、そうそうあるもんじゃない。」と豪語していた私に教えてあげたい。
声を上げて紛らわさなくては耐えられないほどの痛みはある。
そして、それは性的な空間ででさえ、ある、と。
間髪入れずに打たれる。
バラ鞭を捻って一本の太い鞭にして打つ。
そのよろけるほどの衝撃に、思わず体をよじるけど、体勢を整えなければもっと痛い場所に鞭が飛んでくるかもしれないから、叫びながらなんとか元の体勢に戻す。
それだけで精一杯。
目に涙が溜まってくるのはわかる。
でも、号泣までには至らない。
ここでも、あの瞬間が訪れるかもしれないと少し意識している。
この意識は邪魔だ。
しかし、そう思っている時間は、僅かだった。
強い強い鞭の嵐が、私のお尻と脳みそを打ち、身をよじり、また打たれ、声を上げ続け(那智さん曰くそんなに大騒ぎしていなかったそうですが)、多少残る意識がだんだんと遠ざかっていく。
このときの私は、前回の「壊れる」という感覚は味わえなかった。
放心状態という感じではなかった。
それでも、不思議な感覚を覚えたのだ。
「痛い」
それだれなのだ。
そのときの私には「痛い」という感覚以外、感情の入る余地がないくらい「痛い」だけだったのだ。
「痛いからやめて」
「痛いけどやめないで」
「痛いことが辛い」
「痛いことが気持ち良い」
痛いという感覚に訴えるもののあとには、何かしら感情が伴うと思うのだけど、このときはそれがなかった。
「痛すぎます」ということを感じて、それを伝えるなんて思考の入る余地のない痛みだけの感覚。
感覚と感情がひとつになって「痛い」だけ。
痛い以外なにもない世界。
放心さえもできないくらい、痛いだけなのか。
それとも、この先に「破壊」が存在するのか。
そのときの私には、どうでもいいこと、「どうでもいい」と思うことすらない。
ただ痛いだけ。
それをやめてほしいのか、続けてほしいのか、そんな感情はどこかにいってしまっている。
鞭が止まった。
私も我に帰る。
痛みは残るが、すーっと隙間が開いて、怖かったとか、終わったとか、いろんな感情が湧き上がってくる。
なんだか人間に戻ったみたいだ。
それでも、やっぱり「壊れる」とは思えていなくて、でも、一回人間に戻っていろんな感情が戻ってしまって、もう今日は(今日は!!)壊れるのは怖いと、また弱気が芽生えている。
那智さんが、手首と胴体を繋ぐ縄を「ぐいっ」引き、そのまま私を和室の畳の上になぎ倒す。
無防備に両肘を掲げ、されるがままに仰向けに横たわる。
手に持っているのは洗濯バサミだ。
しかも、ビニールのラッピングがされたままの、新品。
まだ、終わりじゃないんだ。
弱気の私が戻ってしまって、もう怖くてしかたがない。
終わりかもしれないと思ってしまったから、尚更だ。
ビニールを破り取り出した洗濯バサミを、まず両方の乳首に付ける。
この痛さは、いつもの痛さと同じだ。
痛いことには変わりないが、わかっている分怖さはない。
次に乳房に、ひとつずつ。
さらに、左右に平行して胸の下からお腹にかけてみっつずつ(くらい?)。
寝転んでいるから、お腹の脂肪をつまむのに、ちょっと苦労している、当然少しだけしかつまめないから、痛い。
その痛みは刻々と増していく。
そして、おまんこにふたつずつ。
最後に、クリトリスにひとつ。
まるで、犬や猫のおっぱいみたいに、体にいくつも突起物がある異様な姿だ。
クリトリスは痛い。
刺すように痛い。
これは、怖さも相まって、無理に感じたから「これははずしてください、そうしたら耐えられる」とお願いしてしまった。
このお願いは言葉選びを間違えてしまった。
「耐えられる」ではなく「耐える努力ができる」だったのだ。
「耐えられる」だと、「じゃあ耐えられなくしてあげる♪」になってしまう。
一瞬後悔するけれど、訂正するほどの余裕は私には残っていなかった。
なぜなら、那智さんがその洗濯バサミを鞭ではたきはじめたのだ。
那智さんが用意したその洗濯バサミは、お尻(?)の部分にプラスチックの紐が輪になって付いているもの(わかります?引っ掛ける用かな)で、鞭が引っ掛かりやすいみたい。
それほど強い力ではないから、鞭自体は耐えられる。
でも、那智さんはその方法で、この洗濯バサミを弾き飛ばそうとしているのだ。
強く打てば、一度に取れる可能性は高い、でも、その痛みは想像しただけでも震えてしまう。
はたく程度なら、一度の強烈な痛みは回避できるが、じわじわと痛みが増しながら長引くのだ。
那智さんは後者を選んだ。
洗濯バサミが鞭に引っ掛かり、少しずれる。
つまむ量が少なければ少ないほど、痛くなることは避けられない。
足をばたつかせ、体を丸め、声を上げて、なんとか耐える。
更に、はたかれてひとつかふたつは弾け飛んだ。
このときの私は、感情がちゃんとある人間だ。
この14個の洗濯バサミが全部弾け飛ばなければ終わらないことも、ふたつ取るのにかかった時間から14個全部を飛ばす時間も推測できてしまう。
いっそ、感情がなくなるほど「壊れて」しまいたいと思うほど、苦痛と恐怖の持続だ。
身を捩り、腰を浮かせ、なんとか痛みと戦っている、そのとき視線を胴に向けると、ずれてしまっている洗濯バサミがつまんでいる皮膚が破けて血が滲んでいるのを見つけてしまった。
そこで、私の心は我慢できなくなってしまったのだ。
「痛すぎます」
洗濯バサミは外され、ポツポツと体に複数の乳首のような後だけが残る。
髪はぐしゃぐしゃで、お尻はヒリヒリと痛み(よく見ると、二カ所皮膚が破れて、こちらも血が滲んでいる)、洗濯バサミの痕は痛々しい。
那智さんがお風呂にお湯を張りにいってくれている間も、ぼんやりとして思い出している。
飛べていないだろう、それでも「痛すぎます」は言ってしまった。
本当に痛いのは、鞭の方だ。
だけど、あのとき私は「痛すぎます」を言うという選択肢がないほど、無感情だった。
痛すぎるときには、痛すぎますは発動しない(できない)らしい。
現実として、「痛すぎます」は、いろんな感情が混ざってできるもののようだ。
「痛い、辛い、怖い、いつまで続く?」そんなものがごちゃ混ぜになって「痛すぎます」を言ってしまうのだ。
痛すぎますは弱虫の産物、人間の証拠。
これは、「本当の痛すぎる」を那智さんに委ねることを意味するのかもしれない。
とても、怖いこと(那智さんにとってもね)だが、恐らく那智さんと私が望んでいる扉は、そういう方法で開くのではないだろうか。
それにしても、痛すぎるを伝える思考さえ停止している状態ってなんなのでしょう。
でも、飛べていないなんて、それもどうなのでしょう。
いろいろ意識してしまうけど、それもあんまり良くないように感じて、那智さんに聞いてみたら、「無理にどうすることもない、意識してしまうならすればいいよ」という答え。
自然にしていればいいのだそうだ。
こんなときも「自意識過剰」なのかな、私は。
湯船に浸かって那智さんに後ろから優しく包んでもらった。
お尻がピリピリと滲みるけど、柔らかい毛布から離れられずに滲みたままずっと抱かれていた。
不完全燃焼
独特な幸福感
那智さんは特別用事がない限り、朝電話をくれる。
ほとんど一言程度なのだが、私の生活の「スイッチオン!!」になる。
デートの日にも同じようにしてくれる。
これは、「変更ない?」という意味もある。
その日も、デートの前連絡、「変更ない?」と言いながら他愛ない会話をする。
「ああ、ちくしょ〜」
なんだか悔しがっている。
どうやら、ヤフーオークションで競り負けたらしい。
「りん子にプレゼントしようとしたんだけど、ちくしょ〜」
¥48、000(傷物)の物を¥2,000で入札したのだけど、¥2、220で落札されてしまったのだそうだ。
私はもう、その品物が何か知りたくてたまらない。
「ちくしょ〜」と話題に出したということは、これで楽しんでいいよというサインだ。
本当に内緒にしておいた方が、私のためだと思ったらそんなリアクションはしない人。
だけど、質問が面白くなければ、もちろん答えてくれない。
「何ですか?」なんて邪道だ。
ただ、朝の忙しい時間で、質問を画策することはできず、不完全燃焼のまま電話を切る。
なんとなく、その不完全燃焼を抱えたまま、ホテルでもぎこちない私。
正直に話すと「俺が話題に出したんから、遊んでいいんだよ♪朝が忙しいなら今質問しなよ。」と、いつものお遊びが始まった。
「当たったら、当たりって言ってくれますか?」
「三回までなら、いいよ」
そこから、私の質問攻撃が始まる。
チャンスは三回、それまでに有効な質問を投げかけて、答えを導きだすんだ。
「それは、身につける物ですか?」
「そうだね。」
「それは、一般的に外で身につける物ですか?それとも部屋の中?」
「どちらでも」
「外で見せても支障のない物ですか?」
「部屋の中なら全部見せられるけど、外なら一部だけなら見せられるかな。」
「いままで話題に出たことはありますか?それは、どちらから話題に出しましたか?」
「ずいぶん前に、俺から。」
「それは、ホテルの部屋では見せられるなら、ホテルの通路では?」
「見せられないことはないけど、ちょっと厳しいかな。」
「SM的な物?
「そうとも言える」
「デパートには売っていますか?」
「売ってる。」
「イトーヨーカドーでは?」
「う〜ん、売ってる。」
「セブンイレブンでは?」
「売ってない。」
「一般的に女性のプレゼントとして、通用しますか?」
「プレゼントできなくはないけど、あまりしないかな。」
ホテルの中だけで見せられて、外では一部だけ、SM的で、でも、デパートで売っている物。
「ガーターベルトですか?」
「ブブー!!」
外ではストッキングの部分だけ見せるという意味で、これって思ったけど一回目の回答はハズレでした。
実際は、これの三倍くらいの質問をしています。
ホテルに入って、コーヒーを飲みながらこんなやり取り、ちっとも性的な空気なし。
ここで、私がおしっこしたくなって、それをきっかけにあれこれ始まり一時中断。
いろんなことが終わって、マッサージタイム。
続きの質問にも取りかかる。
質問を考えて、想像することで精一杯で、マッサージも疎かになってしまうけど、クスクスと笑いながら遊ぶこんなくだらない時間も楽しい。
「色は?」
「ピンク」
「それを一般女性が出勤時に着ることはありますか?」
「かなり限定すれば、ある。」
「那智さんがそれを着た私を見て、どう思いますか?」
「いいねえ」
「私はそれを着たいと思いますか?」
「りん子は、思っていないかもしれない。」
那智さんが「いいねえ」と思って私があんまり好きじゃない物、限定で出勤できる(一部だけ見せる?)物。
「ネグリジェとかナイトウエアですか?(遅刻しそう!!ネグリジェにコート羽織って、、なんて)」
「ブブー!!!」
ここに至るまでに、更に三倍くらいの質問はしている。
最後のチャンスだ。
慎重に考えよう。
「それを職業として着ている人はいますか?」
「いるけど、これも限定されてる。」
「一般的な通販カタログには載っていますか?」
「う〜ん、見たことないな〜。」
このあたりで、コスプレ(警察官とか、ウエイトレスとか)または民族衣装(チャイナドレスやアオザイ)くらいしか頭に浮かんでこなくなってしまった。
でも、私はコスプレもチャイナドレスも嫌いじゃない♪
行き詰まってしまったが、次の質問が起死回生となった。
「どの年齢層がユーザーに多いですか?」
「いい質問だね〜年配女性。」
んんん?もしかして!?
「それは、私でも着る技術はありますか?」
「それくらいなら着られるだろう。」
「ということは着られない部分もある?」
「そうだね。」
この間ににも、「奥さんは持っているか?」とか「どの時間帯で着ることが多いか?」とか、トータルで一時間半はこの応酬。
さあ、何だかわかりましたか?
答えは、次回!!
なんてことはいたしません。
こんなくだらないお話しに最後までお付き合いくださったのだから、そんなことはいたしません。
答えは「長襦袢」でした。
長襦袢姿でこ拘束なんてことを、那智さんは楽しみたかったらしい。
「お殿様、おやめください。」の世界か!?
おわかりになりましたか?
たしかにSM的に使うこともできるし、デパートにはあってセブンイレブンや通販では見かけない、着物じゃないからお外では一部だけだ。
そして、私は背が高くて怒り肩だから、着物関係は苦手意識がある。
年始の出勤に限定で、使用する場合もある。
いろんな意味ですっきりのデートの出来事でした。
あんまりくだらないから、読んでる人がすっきりしませんね♪
不完全燃焼は、読んでくださった方にバトンタッチです♪
那智さんは特別用事がない限り、朝電話をくれる。
ほとんど一言程度なのだが、私の生活の「スイッチオン!!」になる。
デートの日にも同じようにしてくれる。
これは、「変更ない?」という意味もある。
その日も、デートの前連絡、「変更ない?」と言いながら他愛ない会話をする。
「ああ、ちくしょ〜」
なんだか悔しがっている。
どうやら、ヤフーオークションで競り負けたらしい。
「りん子にプレゼントしようとしたんだけど、ちくしょ〜」
¥48、000(傷物)の物を¥2,000で入札したのだけど、¥2、220で落札されてしまったのだそうだ。
私はもう、その品物が何か知りたくてたまらない。
「ちくしょ〜」と話題に出したということは、これで楽しんでいいよというサインだ。
本当に内緒にしておいた方が、私のためだと思ったらそんなリアクションはしない人。
だけど、質問が面白くなければ、もちろん答えてくれない。
「何ですか?」なんて邪道だ。
ただ、朝の忙しい時間で、質問を画策することはできず、不完全燃焼のまま電話を切る。
なんとなく、その不完全燃焼を抱えたまま、ホテルでもぎこちない私。
正直に話すと「俺が話題に出したんから、遊んでいいんだよ♪朝が忙しいなら今質問しなよ。」と、いつものお遊びが始まった。
「当たったら、当たりって言ってくれますか?」
「三回までなら、いいよ」
そこから、私の質問攻撃が始まる。
チャンスは三回、それまでに有効な質問を投げかけて、答えを導きだすんだ。
「それは、身につける物ですか?」
「そうだね。」
「それは、一般的に外で身につける物ですか?それとも部屋の中?」
「どちらでも」
「外で見せても支障のない物ですか?」
「部屋の中なら全部見せられるけど、外なら一部だけなら見せられるかな。」
「いままで話題に出たことはありますか?それは、どちらから話題に出しましたか?」
「ずいぶん前に、俺から。」
「それは、ホテルの部屋では見せられるなら、ホテルの通路では?」
「見せられないことはないけど、ちょっと厳しいかな。」
「SM的な物?
「そうとも言える」
「デパートには売っていますか?」
「売ってる。」
「イトーヨーカドーでは?」
「う〜ん、売ってる。」
「セブンイレブンでは?」
「売ってない。」
「一般的に女性のプレゼントとして、通用しますか?」
「プレゼントできなくはないけど、あまりしないかな。」
ホテルの中だけで見せられて、外では一部だけ、SM的で、でも、デパートで売っている物。
「ガーターベルトですか?」
「ブブー!!」
外ではストッキングの部分だけ見せるという意味で、これって思ったけど一回目の回答はハズレでした。
実際は、これの三倍くらいの質問をしています。
ホテルに入って、コーヒーを飲みながらこんなやり取り、ちっとも性的な空気なし。
ここで、私がおしっこしたくなって、それをきっかけにあれこれ始まり一時中断。
いろんなことが終わって、マッサージタイム。
続きの質問にも取りかかる。
質問を考えて、想像することで精一杯で、マッサージも疎かになってしまうけど、クスクスと笑いながら遊ぶこんなくだらない時間も楽しい。
「色は?」
「ピンク」
「それを一般女性が出勤時に着ることはありますか?」
「かなり限定すれば、ある。」
「那智さんがそれを着た私を見て、どう思いますか?」
「いいねえ」
「私はそれを着たいと思いますか?」
「りん子は、思っていないかもしれない。」
那智さんが「いいねえ」と思って私があんまり好きじゃない物、限定で出勤できる(一部だけ見せる?)物。
「ネグリジェとかナイトウエアですか?(遅刻しそう!!ネグリジェにコート羽織って、、なんて)」
「ブブー!!!」
ここに至るまでに、更に三倍くらいの質問はしている。
最後のチャンスだ。
慎重に考えよう。
「それを職業として着ている人はいますか?」
「いるけど、これも限定されてる。」
「一般的な通販カタログには載っていますか?」
「う〜ん、見たことないな〜。」
このあたりで、コスプレ(警察官とか、ウエイトレスとか)または民族衣装(チャイナドレスやアオザイ)くらいしか頭に浮かんでこなくなってしまった。
でも、私はコスプレもチャイナドレスも嫌いじゃない♪
行き詰まってしまったが、次の質問が起死回生となった。
「どの年齢層がユーザーに多いですか?」
「いい質問だね〜年配女性。」
んんん?もしかして!?
「それは、私でも着る技術はありますか?」
「それくらいなら着られるだろう。」
「ということは着られない部分もある?」
「そうだね。」
この間ににも、「奥さんは持っているか?」とか「どの時間帯で着ることが多いか?」とか、トータルで一時間半はこの応酬。
さあ、何だかわかりましたか?
答えは、次回!!
なんてことはいたしません。
こんなくだらないお話しに最後までお付き合いくださったのだから、そんなことはいたしません。
答えは「長襦袢」でした。
長襦袢姿でこ拘束なんてことを、那智さんは楽しみたかったらしい。
「お殿様、おやめください。」の世界か!?
おわかりになりましたか?
たしかにSM的に使うこともできるし、デパートにはあってセブンイレブンや通販では見かけない、着物じゃないからお外では一部だけだ。
そして、私は背が高くて怒り肩だから、着物関係は苦手意識がある。
年始の出勤に限定で、使用する場合もある。
いろんな意味ですっきりのデートの出来事でした。
あんまりくだらないから、読んでる人がすっきりしませんね♪
不完全燃焼は、読んでくださった方にバトンタッチです♪