ピンチヒッター
独り言
日曜日の朝の8時半に仕事用の携帯が鳴った。
事務所の社長からだ。
こんな時間に?
週末は仕事のことが多いからぜったい仕事のトラブルかなにか。
かなりドキドキしながら電話に出ると、どうやら今日本番のある司会者が入院をしてしまったと夜中の2時に連絡が入っていたそうだ。
このままだと穴をあけてしまいそうだということだ。
その日わたしは1本本番があるだけで残りのスケジュールはあいているから、急遽入ってくれないかということだった。
その会場は入ってことがない会場だし、いきなり打ち合わせもなく本番なんてとてもイレギュラーだし、前日の土曜日も本番や打ち合わせで立て込んでいたので、今日は朝イチの本番の後、すこしリラックスできるな〜なんて呑気に思っていたからすごーく乗り気になれなかったのだけど、この事務所にはいろいろお世話になっているし、何より新郎新婦の気持ちを考えたら少しでも力になるべきだと思い引き受けることにした。
引き受けはしたもののやっぱり気は重い、でも、まあ自分のできることを精一杯やろうと、とにかくまずは自分のお客様の披露宴を精一杯お勤めした。
本番の途中社長がやってきて、どうやら担当の司会者がなんとか退院して本番に臨めることになったことを伝えられた。
だけど、会場側が万が一に備えてもう一人司会者を会場に待機させるように言っているから、私にそれをやってほしいという。
担当司会者が具合が悪くなったらいつでも代わりに立てるようにということだ。
会場側の言い分もわかるけど、その分のギャラは当然事務所負担なわけで、なかなか下請けのツライところだろう。
そんなような内容とギリギリに連絡をよこした担当司会者の愚痴を散々垂れながら社長は帰っていった。
社長もお気の毒に^^;
かくして、わたしはいざというときの保険として、いまさっきもらったばかりの進行表や資料を手にはじめて入る会場に向かった。
たしかにしんどそうではあったけどなんとか大丈夫そうで、おそらくわたしの出番はなさそう。
わたしよりキャリアのある司会者さんだったから、ちょっと緊張の回路を切り替えて勉強させてもらおう。
チェペルでの人前式。
新郎新婦や親族には「だれ?この人」と思われているだろうな〜、片隅にそっと控えてた。
ふたりの誓約書を読み上げる場面では不覚にもウルッときてしまいながら担当司会者の進行や言い回しをメモする。
披露宴では、会場内にパーティションを立てて、その陰に椅子を用意してもらったので、今度はそこで息をひそめる。
新郎新婦が司会者が具合悪いなんて知ったら楽しめないから当然の如くわたしの存在もできるだけ隠しておかないといけないよね。
なるほど、こういう言い回しもいいな〜
こんなふうにふたりに語りかけるんだ
ほうほう、そういう情報も用意しておくといいよね
とても勉強になる。
歓談のときには担当司会者はバックスペースに椅子を用意してもらってそこで休息を取らせてもらっていた。
あまり長いこと下がっていたので、現場のキャプテンにわたしもそちらにいて様子を見ておいてほしいと言われたので一緒に控えていることになった。
そこではじめて、担当司会者はわたしがどんな経緯でここに来たのか知ったそうだ。
いわく。
昨日緊急入院して社長に夜中に連絡を入れたけど、今朝になってやっと連絡が来たそうだ。
そして人がいないからと言われて無理矢理退院してきたそうだ。
わたしがスケジュール空いているなんてひと言も言われていないそうで、そこから社長の悪口オンパレードになってしまった。
しまいにはこの会場のことも悪く言い出す始末。
たしかに無理を押して退院してきたのだから文句も言いたくなるだろうけど、わたしはどうもそれに賛同できないでいた。
(信頼していない人と共通の知り合いを悪くいうことで共感するのは苦手だ)
そして、まだこの時点でこの人はわたしに対して形式的にもお礼を言っていない。
もちろんわたしにもギャラは発生するからお礼を言ってもらう義理はないだろうけど、この人はわたしに最寄り駅を聞いて「(いまヘルプしてても)帰りそんなに大変じゃないね」と言っただけだ。
なんとなく、ちょっぴり残念な気持ちだった。
それでも披露宴後半には新婦の兄弟が替え歌を歌ったり(それがぜんぜん下手なのに、なんだか泣ける歌だったんだよね〜)、お昼食べる時間なかったからお腹鳴りそうになったり、睡魔が襲ってきたりで、なんだかんだ2時間半がすぎていった。
披露宴は滞りなくお開きになり、わたしは新郎新婦に挨拶できるわけでもないから、担当司会者に別れを告げて帰路についた。
(最後、駐車券をもらってきてと頼まれてお客様のフリしてもらってきたら、それを含めてはじめてお礼を言ってくれた)
仕事だと割り切り、でも、なにか自分に有意義なことはないかと過ごした時間だったけど、なんだかちょっと後味悪かったな。
社長もこの司会者もキャリアも実力もある司会者だ。
実際、朝まで点滴をしていたにも関わらず滑らかに進行する様子を目にするとプロだな〜と感心する。
何年経っても、けっこうドジするしあいかわらずよく噛むわたしよりずっと優れていると思う。
でも、一点だけ、わたしけっこうやるじゃんって思えた。
わたしの作る祝福の空気はきっといい。
キャリアのある人の言い回しを知ることができたし、座っているだけでギャラ入ったし、ヘタウマな味のある替え歌も聞けたし^^
自分の良いところと、まだまだなところと評価することもできたし。
やっぱりトータル良しとしよう^^
<関連エントリー>
お仕事いろいろ
『限りなく素人に近い…』
『司会者に必要なものは』
『ヤンキー万歳^^』
『普段通り』
『鳥肌』
『心を動かす力』
自分で誇れる物があるのは素晴らしい。そして、それが雰囲気という抽象画な実体はあるけれど目に見えないパワーだから尚更。私には無い誇らしい才能がりん子にはある、羨ましい。
日曜日の朝の8時半に仕事用の携帯が鳴った。
事務所の社長からだ。
こんな時間に?
週末は仕事のことが多いからぜったい仕事のトラブルかなにか。
かなりドキドキしながら電話に出ると、どうやら今日本番のある司会者が入院をしてしまったと夜中の2時に連絡が入っていたそうだ。
このままだと穴をあけてしまいそうだということだ。
その日わたしは1本本番があるだけで残りのスケジュールはあいているから、急遽入ってくれないかということだった。
その会場は入ってことがない会場だし、いきなり打ち合わせもなく本番なんてとてもイレギュラーだし、前日の土曜日も本番や打ち合わせで立て込んでいたので、今日は朝イチの本番の後、すこしリラックスできるな〜なんて呑気に思っていたからすごーく乗り気になれなかったのだけど、この事務所にはいろいろお世話になっているし、何より新郎新婦の気持ちを考えたら少しでも力になるべきだと思い引き受けることにした。
引き受けはしたもののやっぱり気は重い、でも、まあ自分のできることを精一杯やろうと、とにかくまずは自分のお客様の披露宴を精一杯お勤めした。
本番の途中社長がやってきて、どうやら担当の司会者がなんとか退院して本番に臨めることになったことを伝えられた。
だけど、会場側が万が一に備えてもう一人司会者を会場に待機させるように言っているから、私にそれをやってほしいという。
担当司会者が具合が悪くなったらいつでも代わりに立てるようにということだ。
会場側の言い分もわかるけど、その分のギャラは当然事務所負担なわけで、なかなか下請けのツライところだろう。
そんなような内容とギリギリに連絡をよこした担当司会者の愚痴を散々垂れながら社長は帰っていった。
社長もお気の毒に^^;
かくして、わたしはいざというときの保険として、いまさっきもらったばかりの進行表や資料を手にはじめて入る会場に向かった。
たしかにしんどそうではあったけどなんとか大丈夫そうで、おそらくわたしの出番はなさそう。
わたしよりキャリアのある司会者さんだったから、ちょっと緊張の回路を切り替えて勉強させてもらおう。
チェペルでの人前式。
新郎新婦や親族には「だれ?この人」と思われているだろうな〜、片隅にそっと控えてた。
ふたりの誓約書を読み上げる場面では不覚にもウルッときてしまいながら担当司会者の進行や言い回しをメモする。
披露宴では、会場内にパーティションを立てて、その陰に椅子を用意してもらったので、今度はそこで息をひそめる。
新郎新婦が司会者が具合悪いなんて知ったら楽しめないから当然の如くわたしの存在もできるだけ隠しておかないといけないよね。
なるほど、こういう言い回しもいいな〜
こんなふうにふたりに語りかけるんだ
ほうほう、そういう情報も用意しておくといいよね
とても勉強になる。
歓談のときには担当司会者はバックスペースに椅子を用意してもらってそこで休息を取らせてもらっていた。
あまり長いこと下がっていたので、現場のキャプテンにわたしもそちらにいて様子を見ておいてほしいと言われたので一緒に控えていることになった。
そこではじめて、担当司会者はわたしがどんな経緯でここに来たのか知ったそうだ。
いわく。
昨日緊急入院して社長に夜中に連絡を入れたけど、今朝になってやっと連絡が来たそうだ。
そして人がいないからと言われて無理矢理退院してきたそうだ。
わたしがスケジュール空いているなんてひと言も言われていないそうで、そこから社長の悪口オンパレードになってしまった。
しまいにはこの会場のことも悪く言い出す始末。
たしかに無理を押して退院してきたのだから文句も言いたくなるだろうけど、わたしはどうもそれに賛同できないでいた。
(信頼していない人と共通の知り合いを悪くいうことで共感するのは苦手だ)
そして、まだこの時点でこの人はわたしに対して形式的にもお礼を言っていない。
もちろんわたしにもギャラは発生するからお礼を言ってもらう義理はないだろうけど、この人はわたしに最寄り駅を聞いて「(いまヘルプしてても)帰りそんなに大変じゃないね」と言っただけだ。
なんとなく、ちょっぴり残念な気持ちだった。
それでも披露宴後半には新婦の兄弟が替え歌を歌ったり(それがぜんぜん下手なのに、なんだか泣ける歌だったんだよね〜)、お昼食べる時間なかったからお腹鳴りそうになったり、睡魔が襲ってきたりで、なんだかんだ2時間半がすぎていった。
披露宴は滞りなくお開きになり、わたしは新郎新婦に挨拶できるわけでもないから、担当司会者に別れを告げて帰路についた。
(最後、駐車券をもらってきてと頼まれてお客様のフリしてもらってきたら、それを含めてはじめてお礼を言ってくれた)
仕事だと割り切り、でも、なにか自分に有意義なことはないかと過ごした時間だったけど、なんだかちょっと後味悪かったな。
社長もこの司会者もキャリアも実力もある司会者だ。
実際、朝まで点滴をしていたにも関わらず滑らかに進行する様子を目にするとプロだな〜と感心する。
何年経っても、けっこうドジするしあいかわらずよく噛むわたしよりずっと優れていると思う。
でも、一点だけ、わたしけっこうやるじゃんって思えた。
わたしの作る祝福の空気はきっといい。
キャリアのある人の言い回しを知ることができたし、座っているだけでギャラ入ったし、ヘタウマな味のある替え歌も聞けたし^^
自分の良いところと、まだまだなところと評価することもできたし。
やっぱりトータル良しとしよう^^
<関連エントリー>
お仕事いろいろ
『限りなく素人に近い…』
『司会者に必要なものは』
『ヤンキー万歳^^』
『普段通り』
『鳥肌』
『心を動かす力』
自分で誇れる物があるのは素晴らしい。そして、それが雰囲気という抽象画な実体はあるけれど目に見えないパワーだから尚更。私には無い誇らしい才能がりん子にはある、羨ましい。