鳥肌
独り言
わたしに良くしてくれていた担当者がお開きの後こんなことを言っていた。
新郎新婦が入場するのを見たら鳥肌が立った。
この仕事は鳥肌が立たなくなったらおしまいだと思う。
だから鳥肌が立つうちは続けていかれると思ってる。
彼女はありがたいことにまだ新人に近い頃からわたしを気に入ってくれていて、別の結婚式場に異動になってからもわたしを指名し続けてくれた。
『りん子さんの雰囲気が好きだ』と言ってくれていたのだけど、もしかしたら鳥肌が立つ感性が何かわたしと共通するものがあったのかもしれない。
その担当者は出産のためいまは休職しているけど復帰したらまた指名してほしいし、彼女が良いと思っていた雰囲気を持ち続けていたいなと思うのだ。
『鳥肌』の感性。
まあ、単純に感動しぃってことかもしれないけど、これはこの仕事の雰囲気作りには役立つかもしれない。
だけど時に困ったことにもなる。
泣いちゃいそうになるんだ。
過去何度か危ないことがあったけど、今回のお客様のかなりの強敵だった(笑)
この担当者はまだ婚礼担当になって日が浅い人。
その前は現場のサービス担当だったから本番で何度か一緒に仕事をしたことがある。
婚礼担当になってはじめてのお客様をわたしがやらせていただいてから、何度も指名してくれている。
たぶん、『鳥肌』の波長が合うのかもしれない。
今回のお客様。
打ち合せの前に担当者と軽く打ち合せする。
どうやら新郎はあまり積極的に参加してくれないのだそうだ。
ちょっと不機嫌そうにしているけど、決して性格の悪い人というわけではないで気にしないでと報告された。
なるほど打ち合せの間もたしかに非協力的な感じだ。
だけど新婦のやりたいことをやらせてあげるようなところを見ていると、決して悪い人ではないのかもしれない。
打ち合せが終わって、後日新婦からメールが届いた。
そこには『新郎は結婚式をすることに反対だった』と書かれていた。
あまり派手なことをしたくない人だったようだ。
新婦は母親を亡くしている。
だから自分の周囲の人や新郎の家族に感謝を伝えたいと、新郎を説得して結婚式を挙げることに決めたのだそうだ。
なるほど、だからあまり積極的ではなかったんだね。
うん、それなら新郎にもお開きになったときに『やってよかった』と思ってもらいたいな。
ちょっと新郎に気遣いながら打ち合せをしていた新婦を思い出して、業務連絡で担当者にメールする際に余談だけどということで、新郎と新婦の状況を伝えておいた。
後日別の打ち合せで担当者と会うことがあって、当然その話題に。
だからなんですね〜
担当者も新郎の様子に納得がいった様子。
だから、せめて『やってよかった』って思ってもらいたいですね^^
わたしもできるだけふたりとコミュニケーションを取るようにしますね
なんとなく、ふたりして『心の中で握手』した気分だった。
新婦の母親が亡くなっていることは知っていたけど、話の流れでその担当者が補足でこんなことを話してくれた。
新婦が当日親族席にお母さんの写真を飾りたいっていうから、それならひと席作ってセッティングもしてお写真を飾りましょうって提案したんです。
新婦、7年前にお母さん亡くしているんだけど、お母さんのこと大好きだったんですって。
うわ!!やめて、そういうのダメ!!
担当者、話しながら目うるうる。
ほぼ同時に、わたしもうるうる。
ふたりしてうるうるしながらまた『心の中で握手』した。
当日まで新婦からの質問や相談にできる限り応えすこしでも不安をなくしてもらうように努めた。
当日、快晴。
こんな晴れやかな気持ちで披露宴を楽しんでほしいなと気持ちを新たに会場入りする。
音響担当はすでにセッティングの真っ最中。
この音響さんもときどき一緒に仕事をする人。
しっかりメイクの若い子^^
この会場はあまり広いものではなく映像関係のスクリーンの位置など、ちょっと手間取っていた。
ちょうどいいポジションが決まるとテープで印をつける。
その後、念のため映像の終わりを見せてくれるのだ。(拍手のタイミングがあるからね)
今回は手作りのプロフィールとエンドロールの他に新婦のお手紙映像がある。
お手紙は泣いてしまうかもしれないと、代わりにお手紙映像も作ったのだ。
だから3種類の『終わり方』を見せてもらうことになる。
音響さんがいう。
お手紙の、ヤバいですよ(笑)
わたし昨日か確認して涙ボロボロでしたよ、ふたりのこと知らないのに(笑)
うわっ、ホントですか!?
ああ、困ったなぁ
危ないなら全部見ておきます?
ああ、ああ、そうさせてください。
ぜったい泣く。
せめて内容を知っているほうが、マシだ。
そう思って見させてもらうことにした。
『お父さんへ』からはじまるメッセージ。
画像と文字が優しく流れる。
『お母さんが亡くなってしまってからふたりで暮らした生活もとても幸せだった』と。
そして『天国にいるお母さんへ』。
あうう、ダメ…。
あー、やっぱり見ておいてよかった。
もうすでに涙だ!!(ついでに打っているいまも^^;)
『今日の衣装、お母さんが選んでくれそうな物を選びました。似合っていますか?』
って〜〜〜、そんな質問!?
司会者泣かせてどうするよ!?
もう、この辺りから試写さえすることができなくなってしまっていた。
メイク、落ちる(笑)
いちおう顔はスクリーンに向けていたけど、心は閉ざして脳に映像が届かないようにして防御していたので、飛ばし飛ばしの残像だけ記憶にある。
かろうじて『終り方』だけはちゃんと確認することができた^^;
本番。
少人数の披露宴らしく和やかにアットホームに進行した。
新郎も友人に囲まれて終止照れ笑い。
お開きが近づき、強敵『お手紙映像』!!
小田和正さんの歌声と共に映像がはじまる。
『お父さんへ』
そうそう、最初はお父さんとの思い出画像。
小さい頃海で撮ったらしいもの。
お誕生日ケーキを囲む写真。
『お母さんが亡くなってしまってから…』
チラッと親族席の新婦のお父さんを見てしまった。
ああ、ナフキンで目頭押さえてるよ!!
ああ、もうギブアップ。
この先に『天国にいるお母さんへ』から『似合ってますか?』の連続攻撃が待っている。
人間って煩悩の塊。
感動するという感情はある意味気持ちいい。
だから、普段お仕事のときにはつい『感動』に体重を傾けたくなってしまうもので、泣きそうと思いつつもついつい見てしまう。
でも今回は、そんな甘い敵ではなかった。
感動の快感なんて味わおうものなら仕事にならない!!
そうそうにタオルを投げてギブアップ、『天国にいるお母さんへ』になる一歩手前で下を向いて、それ以降は一切映像を見るのをやめた。
悟りの境地(笑)
心を無にしておいたので、被害は最小限に抑えることができた(それでもちょっと言葉に詰まってしまったけど)
無事お開き。
最後に新郎新婦にご挨拶したら残ったプチギフトをわたしにもプレゼントしてくれた。
新郎も照れ笑いのまま、ずっと笑ってくれていたから、すこしは『よかった』と思ってくれたらいいなと思う^^
それにしても今回は強烈だった。
あの担当者が言っていたようにこの仕事は鳥肌が立たなくなったらおしまいだ。
司会者としてはスキルもキャリアも人並み(以下か^^;)のわたしは、特にこの感性が商売道具みたいなものだろう。
わたしを気に入ってくれる担当者が『鳥肌の感性』を気に入ってくれているのなら、それはとてもありがたいと思うし、この感性はなくさないでいたいと思う。
だけど、あんまり鳥肌過ぎるのも困り者だなぁとも思う^^
ということで結局泣く泣くと言いながら最終的にお手紙映像の全容を知らないままのわたしなのでした^^;
わたしに良くしてくれていた担当者がお開きの後こんなことを言っていた。
新郎新婦が入場するのを見たら鳥肌が立った。
この仕事は鳥肌が立たなくなったらおしまいだと思う。
だから鳥肌が立つうちは続けていかれると思ってる。
彼女はありがたいことにまだ新人に近い頃からわたしを気に入ってくれていて、別の結婚式場に異動になってからもわたしを指名し続けてくれた。
『りん子さんの雰囲気が好きだ』と言ってくれていたのだけど、もしかしたら鳥肌が立つ感性が何かわたしと共通するものがあったのかもしれない。
その担当者は出産のためいまは休職しているけど復帰したらまた指名してほしいし、彼女が良いと思っていた雰囲気を持ち続けていたいなと思うのだ。
『鳥肌』の感性。
まあ、単純に感動しぃってことかもしれないけど、これはこの仕事の雰囲気作りには役立つかもしれない。
だけど時に困ったことにもなる。
泣いちゃいそうになるんだ。
過去何度か危ないことがあったけど、今回のお客様のかなりの強敵だった(笑)
この担当者はまだ婚礼担当になって日が浅い人。
その前は現場のサービス担当だったから本番で何度か一緒に仕事をしたことがある。
婚礼担当になってはじめてのお客様をわたしがやらせていただいてから、何度も指名してくれている。
たぶん、『鳥肌』の波長が合うのかもしれない。
今回のお客様。
打ち合せの前に担当者と軽く打ち合せする。
どうやら新郎はあまり積極的に参加してくれないのだそうだ。
ちょっと不機嫌そうにしているけど、決して性格の悪い人というわけではないで気にしないでと報告された。
なるほど打ち合せの間もたしかに非協力的な感じだ。
だけど新婦のやりたいことをやらせてあげるようなところを見ていると、決して悪い人ではないのかもしれない。
打ち合せが終わって、後日新婦からメールが届いた。
そこには『新郎は結婚式をすることに反対だった』と書かれていた。
あまり派手なことをしたくない人だったようだ。
新婦は母親を亡くしている。
だから自分の周囲の人や新郎の家族に感謝を伝えたいと、新郎を説得して結婚式を挙げることに決めたのだそうだ。
なるほど、だからあまり積極的ではなかったんだね。
うん、それなら新郎にもお開きになったときに『やってよかった』と思ってもらいたいな。
ちょっと新郎に気遣いながら打ち合せをしていた新婦を思い出して、業務連絡で担当者にメールする際に余談だけどということで、新郎と新婦の状況を伝えておいた。
後日別の打ち合せで担当者と会うことがあって、当然その話題に。
だからなんですね〜
担当者も新郎の様子に納得がいった様子。
だから、せめて『やってよかった』って思ってもらいたいですね^^
わたしもできるだけふたりとコミュニケーションを取るようにしますね
なんとなく、ふたりして『心の中で握手』した気分だった。
新婦の母親が亡くなっていることは知っていたけど、話の流れでその担当者が補足でこんなことを話してくれた。
新婦が当日親族席にお母さんの写真を飾りたいっていうから、それならひと席作ってセッティングもしてお写真を飾りましょうって提案したんです。
新婦、7年前にお母さん亡くしているんだけど、お母さんのこと大好きだったんですって。
うわ!!やめて、そういうのダメ!!
担当者、話しながら目うるうる。
ほぼ同時に、わたしもうるうる。
ふたりしてうるうるしながらまた『心の中で握手』した。
当日まで新婦からの質問や相談にできる限り応えすこしでも不安をなくしてもらうように努めた。
当日、快晴。
こんな晴れやかな気持ちで披露宴を楽しんでほしいなと気持ちを新たに会場入りする。
音響担当はすでにセッティングの真っ最中。
この音響さんもときどき一緒に仕事をする人。
しっかりメイクの若い子^^
この会場はあまり広いものではなく映像関係のスクリーンの位置など、ちょっと手間取っていた。
ちょうどいいポジションが決まるとテープで印をつける。
その後、念のため映像の終わりを見せてくれるのだ。(拍手のタイミングがあるからね)
今回は手作りのプロフィールとエンドロールの他に新婦のお手紙映像がある。
お手紙は泣いてしまうかもしれないと、代わりにお手紙映像も作ったのだ。
だから3種類の『終わり方』を見せてもらうことになる。
音響さんがいう。
お手紙の、ヤバいですよ(笑)
わたし昨日か確認して涙ボロボロでしたよ、ふたりのこと知らないのに(笑)
うわっ、ホントですか!?
ああ、困ったなぁ
危ないなら全部見ておきます?
ああ、ああ、そうさせてください。
ぜったい泣く。
せめて内容を知っているほうが、マシだ。
そう思って見させてもらうことにした。
『お父さんへ』からはじまるメッセージ。
画像と文字が優しく流れる。
『お母さんが亡くなってしまってからふたりで暮らした生活もとても幸せだった』と。
そして『天国にいるお母さんへ』。
あうう、ダメ…。
あー、やっぱり見ておいてよかった。
もうすでに涙だ!!(ついでに打っているいまも^^;)
『今日の衣装、お母さんが選んでくれそうな物を選びました。似合っていますか?』
って〜〜〜、そんな質問!?
司会者泣かせてどうするよ!?
もう、この辺りから試写さえすることができなくなってしまっていた。
メイク、落ちる(笑)
いちおう顔はスクリーンに向けていたけど、心は閉ざして脳に映像が届かないようにして防御していたので、飛ばし飛ばしの残像だけ記憶にある。
かろうじて『終り方』だけはちゃんと確認することができた^^;
本番。
少人数の披露宴らしく和やかにアットホームに進行した。
新郎も友人に囲まれて終止照れ笑い。
お開きが近づき、強敵『お手紙映像』!!
小田和正さんの歌声と共に映像がはじまる。
『お父さんへ』
そうそう、最初はお父さんとの思い出画像。
小さい頃海で撮ったらしいもの。
お誕生日ケーキを囲む写真。
『お母さんが亡くなってしまってから…』
チラッと親族席の新婦のお父さんを見てしまった。
ああ、ナフキンで目頭押さえてるよ!!
ああ、もうギブアップ。
この先に『天国にいるお母さんへ』から『似合ってますか?』の連続攻撃が待っている。
人間って煩悩の塊。
感動するという感情はある意味気持ちいい。
だから、普段お仕事のときにはつい『感動』に体重を傾けたくなってしまうもので、泣きそうと思いつつもついつい見てしまう。
でも今回は、そんな甘い敵ではなかった。
感動の快感なんて味わおうものなら仕事にならない!!
そうそうにタオルを投げてギブアップ、『天国にいるお母さんへ』になる一歩手前で下を向いて、それ以降は一切映像を見るのをやめた。
悟りの境地(笑)
心を無にしておいたので、被害は最小限に抑えることができた(それでもちょっと言葉に詰まってしまったけど)
無事お開き。
最後に新郎新婦にご挨拶したら残ったプチギフトをわたしにもプレゼントしてくれた。
新郎も照れ笑いのまま、ずっと笑ってくれていたから、すこしは『よかった』と思ってくれたらいいなと思う^^
それにしても今回は強烈だった。
あの担当者が言っていたようにこの仕事は鳥肌が立たなくなったらおしまいだ。
司会者としてはスキルもキャリアも人並み(以下か^^;)のわたしは、特にこの感性が商売道具みたいなものだろう。
わたしを気に入ってくれる担当者が『鳥肌の感性』を気に入ってくれているのなら、それはとてもありがたいと思うし、この感性はなくさないでいたいと思う。
だけど、あんまり鳥肌過ぎるのも困り者だなぁとも思う^^
ということで結局泣く泣くと言いながら最終的にお手紙映像の全容を知らないままのわたしなのでした^^;
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