普通のひとで愛し合おう26
お薬を飲み出して、もうすぐ一か月が経つ2月最初の週末、ある出来事が起きる。
金曜の夜、あることで話し合いをするのだけど、那智さんはそのまま旧友と飲むことになっていたので答えは出ず終了。
どうやら旧友と深夜まで飲み、朝起きてからも飲んでいたのだろう。
土曜日に仕事があったわたしは移動中にも電話で話すけど、話しにならない。
わたしも仕事もあり、その日は家族の予定もあってゆっくり話せず、結局、話し合いは無理やり決着をつけるような形になってしまった(ちょっと曖昧でごめん!!)
その決着のつけ方が那智さんには不本意だったこともあり、さらにアルコールが増えた。
おそらく、あの2015年2月最初の土曜日と日曜日の2日間、アルコール漬けで那智さんの記憶は飛んでいる。
案の定、月曜日に会ったけど激しく『落ちて』いた。
たしかに、那智さんには不本意な決着のつけ方だったとは思うけど、それにしても、あの飲酒量と記憶のなさと『落ち』は、もう限界の域だ。
いままで漠然と『自分に優しく』と促してきたけど、もうすこし具体的に説得しなければ危ないとわたしは判断した。
水曜日に会う。
火曜日、那智さんを説得できる根拠を揃えようとわたしはネットを漁った。
那智さんにアルコールを控えてもらいたい、お薬と上手に付き合ってほしい、ただ『ダメ』というのではなく、脅す方法もせず、那智さんができるだけ快く取り組めるための明確な根拠と具体的な数字が必要だった。
ネットには『抗うつ剤を飲んでいる人はアルコールを控えましょう』と漠然としたことばかりで、なぜ控えないといけないのかハッキリと書いているものがない。
(那智さんの飲んでいたお薬は厳密には抗うつ剤ではないのだけどね)
那智さんに動いてもらうには『控えましょう』ではダメなのだ。
パソコンに向かい、それらしき情報を読み漁る。
次第に、那智さんの症状を引き起こす原因なども理解していき、『アルコールはよくない』以外の知識も増えていった。
そんな中、やっと抗うつ剤とアルコールについて具体的なアドバイスが書かれているサイトを見つけた。
それがどこまで正しいかはわからない、ただ漠然と『控えましょう』よりずっと那智さんを説得できる。
そこには『アルコールを摂取する時間帯』と『飲酒後の薬を飲むタイミング』が理由とともに具体的に書かれてあった。
頭から『ダメだ』としないこの方法はわたしが好きな方法。
だって、『ダメ』でできれば、やらないもんね、それでもやってしまうから依存状態なわけで、その依存状態を抜け出したいなら、まず『依存先』とうまく付き合う(ある意味肯定)ことがはじめの一歩だもの。
散々ブログで書いてきた『肯定』や『依存』や『弱さを貫く強さ』なんかは、この思考に繋がる。
わたしはわたしのやり方を信じ、那智さんに伝える。
必要な情報を組み合わせ、できるだけ読みやすく簡略化し、ぜったい読んでほしい部分にマーカーを引き。
『養生計画』とタイトルをつけて、短期と中期の計画書も作成する。
短期は、来週の会う日に穏やかに会えるようにと一週間分、中期はそれを継続できるようにすこし緩やかに数パターンのすごし方。
短期計画でひとまず危機状態から脱してもらって、中期計画の中でアルコールを控えると調子が良いという成功体験を積んでもらう。
明日、会うときに説明しながら読んでもらおう。
説明するためにはわたし自身も理解していないといけないから、サイトを何度も読み直した。
すこしでも那智さんに楽になってもらいたい。
アルコールはやめてとはいわないけど、よい具合いに減らしていってほしい。
無理をすることは、いまの那智さんの精神状態にはよくないから、快く。
わたしは、必死だった。
プリントアウトした数枚の紙をクリアファイルに入れて、翌日、那智さんに会いにいった。
<関連エントリー>
わたしの肯定など
依存
選択肢のひとつ
球体
- 関連記事
-
- 普通のひとで愛し合おう11 2019/05/08
- 普通のひとで愛し合おう21 2019/05/28
- 普通のひとで愛し合おう4 2019/04/25