普通のひとで愛し合おう25
そのころ、那智さんにご自分を把握してほしくて(何事も自覚することが最初の一歩)、簡単な日記をつけてもらっていた。
前日のアルコール量と体調と気分を簡単に。
できれば、Qさんへの感情や出来事(那智さん、これも相当『健忘』しているんだよね)も書ける範囲で書いてもらっていた。
これらは那智さんの回復の手助けにもなるし、後に診療や弁護士への相談に役立てることができた。
それをもとに心療内科で薬を処方してもらう。
わたしも付き添う。
このときの那智さんは自分の現状を話すだけで、『いろいろ思い出してしまって苦しくなる』ことに繋がってしまうので、わたしが代わりに伝えるのだ。
しかも、たぶん、わたしのほうが客観的に那智さんの状態を把握できていたし。
病院の予約を入れて那智さん自身もホッとしたのだろうか、すこし食欲も戻り雰囲気も以前のような感じになる日もあり、お薬を処方してもらってからも『落ちない』感じの日もあった。
多少ましな感じにはなったけど、やはり慣れない薬だし、先生も最初は『最悪』から脱出させるために多めに処方したのだろう、しばらくはお薬に振り回されているようだった。
那智さん自身も怖いと感じるほど気分が高揚することもあるようだった。
また、アルコール量は相変わらずで、薬との飲み合わせも、おそらくよくないこともあっただろう。
休日は朝から飲む状態は相変わらずだし、夜多少抑えられても夜中に起きてまた飲んだりと、逆に高揚しているがゆえの暴走みたいな状態のときもあった。
お薬とアルコールの関係は明らかによくないことは想像できるけど、ハッキリとした根拠がなく、しばらく、お薬に頼りながら、日々、高揚と暴走気味と反動で落ち込む合間に貴重な穏やか状態がある、そんな感じで過ごしていた。
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