年老いたバレリーナ
独り言
那智さんがゴムのバラ鞭を見つけた、見つけてしまった。
痛いことが遠ざかっていたのは、諸々の事情はあるけど、じつは鞭が見当たらなくなっていたこともあった。
ビンタや乳首を潰すことやゴムの棒などの痛いアイテムは様々あれど、やはり『とても痛いこと』と『それにより得られる快感(みたいなもの)』は鞭であるところが大きいので、わたしたちにとって痛いことに鞭は必要なものだった。
その鞭がいつからか、見当たらなくなっていたらしい。
痛いことは遠ざかれば遠ざかるほど、安堵感は増す。
一抹の寂しさはあれど、やはり、あんなに痛いことを『快感の保証』なしに受け入れるのは怖い。
だから、見当たらないと聞いて、どこかでホッとしていたのだ。
たくさんの思い出の詰まったゴムのバラ鞭。
なくなってしまったとしたら、寂しいとは思うけど、思い出は『等式』に書いてあるからいいかなとか思っていた。
『遠い日の花火』なんてエントリーを書いたくらい、いまのわたしには『痛いこと』は、過去のわたしの出来事になっていた。
それなのに。
見つかったのだ。
寝た子を起こされたような。
でも、もうあんな世界に行くことは難しいだろうという諦め。
なんとも言えない複雑な気持ち。
鞭で笑い出すような境地に至るまでかかった年数や情熱を、いまから、わたしたちが注げるとは、あまり思えない。
それならば、ゴムのバラ鞭はただただものすごく痛いもの、でしかないのだ。
恐ろしい。
起こさないでほしい、ような気がする。
年老いたバレリーナが現役時代のトゥシューズを手にしたら、こんな気分なんじゃないだろうか。
あの頃のように踊れないのはわかっているのに、あのとき感じていた高揚感だけは生々しく湧き上がる。
痛いのは怖い。
あの頃のように踊れなかったら、きっとがっかりする。
でも、心のどこで、なにかがそわそわし始めている。
那智さん、わたし、どうしたらいいかわかりません。
その鞭を再び使うとき、わたしはこの複雑な思いをあなたに伝えるでしょう。
それでも、那智さんに委ねる。
うまくいっても、いかなくても。
時間がかかっても、時間をかけることなく諦めても。
那智さんがよいようにしてくれるから。
だから、どうか、ほんの少しだけ、鞭の前にぐずぐず甘えさせてください(笑)
ああ、怖い。
でも、鞭、見つかって、やっぱりうれしい。
<関連エントリー>
遠い日の花火
「等式」「年老いたバレリーナ」感想です。昔もゴールを目指していた訳ではないと思う。今日の積み重ねで、未来が出来た、同じ道を重ねるのか、違う道を訪ねるのかは二人の気分次第。思っていた頂上には登った、余裕を持って歩みましょう。
那智さんがゴムのバラ鞭を見つけた、見つけてしまった。
痛いことが遠ざかっていたのは、諸々の事情はあるけど、じつは鞭が見当たらなくなっていたこともあった。
ビンタや乳首を潰すことやゴムの棒などの痛いアイテムは様々あれど、やはり『とても痛いこと』と『それにより得られる快感(みたいなもの)』は鞭であるところが大きいので、わたしたちにとって痛いことに鞭は必要なものだった。
その鞭がいつからか、見当たらなくなっていたらしい。
痛いことは遠ざかれば遠ざかるほど、安堵感は増す。
一抹の寂しさはあれど、やはり、あんなに痛いことを『快感の保証』なしに受け入れるのは怖い。
だから、見当たらないと聞いて、どこかでホッとしていたのだ。
たくさんの思い出の詰まったゴムのバラ鞭。
なくなってしまったとしたら、寂しいとは思うけど、思い出は『等式』に書いてあるからいいかなとか思っていた。
『遠い日の花火』なんてエントリーを書いたくらい、いまのわたしには『痛いこと』は、過去のわたしの出来事になっていた。
それなのに。
見つかったのだ。
寝た子を起こされたような。
でも、もうあんな世界に行くことは難しいだろうという諦め。
なんとも言えない複雑な気持ち。
鞭で笑い出すような境地に至るまでかかった年数や情熱を、いまから、わたしたちが注げるとは、あまり思えない。
それならば、ゴムのバラ鞭はただただものすごく痛いもの、でしかないのだ。
恐ろしい。
起こさないでほしい、ような気がする。
年老いたバレリーナが現役時代のトゥシューズを手にしたら、こんな気分なんじゃないだろうか。
あの頃のように踊れないのはわかっているのに、あのとき感じていた高揚感だけは生々しく湧き上がる。
痛いのは怖い。
あの頃のように踊れなかったら、きっとがっかりする。
でも、心のどこで、なにかがそわそわし始めている。
那智さん、わたし、どうしたらいいかわかりません。
その鞭を再び使うとき、わたしはこの複雑な思いをあなたに伝えるでしょう。
それでも、那智さんに委ねる。
うまくいっても、いかなくても。
時間がかかっても、時間をかけることなく諦めても。
那智さんがよいようにしてくれるから。
だから、どうか、ほんの少しだけ、鞭の前にぐずぐず甘えさせてください(笑)
ああ、怖い。
でも、鞭、見つかって、やっぱりうれしい。
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遠い日の花火
「等式」「年老いたバレリーナ」感想です。昔もゴールを目指していた訳ではないと思う。今日の積み重ねで、未来が出来た、同じ道を重ねるのか、違う道を訪ねるのかは二人の気分次第。思っていた頂上には登った、余裕を持って歩みましょう。
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