ラスボス3
独り言
いよいよ本番当日。
当日、会場オリジナルのはじめての演出もあり、なかなか気が抜けない中、キャプテンと音響と打ち合わせ。
新婦の亡くなった父からの手紙だという事実にうろたえる人はいない(笑)
当然だよね、読むのはわたしだから、皆さんは進行が間違わなければ、それでいいのだもの。
わたしひとり必要以上のプレッシャーの中、粛々と打ち合わせは終了。
その手紙朗読用に新婦母がBGMを用意しているそうだったので、音響に確認してみたら『ハナミズキ』だった。
ううう、これはわたしの中では中レベルヤバさ。(上レベルは『糸』^^)
曲に意識がいっちゃうとマズいな〜という感じ。
でも、こういう事前情報も泣かないためには必要だよね。
さあ、披露宴もはじまり、新婦母に挨拶したらわたしの顔見るなり泣いていた。
お母さんも頑張ったよね、今日は思い切り楽しんでください!!という気持ちをこめる。
披露宴は賑やかに和やかに進み。
そして、いよいよ、花束贈呈、その前の新婦手紙。
さあ、いくぞーーーー。
ゆっくり読む、そして、心をこめる、わたしがやるのはそのふたつ。
言い聞かせて、深呼吸して、集中する。
暗転した会場、新郎新婦と、司会台にもスポットライトが当たる。
謝辞位置に立つ新婦母の表情を一度見る。
新婦手紙の前に、一通サプライズの手紙があります
天国にいるお父様からの手紙をお母様から預かっていますので、ここでご披露いたします
え〜〜
と困惑と照れ隠しで声を出す新婦
抑えて。
でも、お父様の優しさ、お母様の強さ、どうか、わたしの声で表現させて。
はるかへ
自分を鼓舞する。
心をこめろ。
でも、浸るな。
何度も読んだのに、この圧倒的な手紙はわたしの心を揺さぶり、泣かせようとする。
一瞬でも気を抜くと感動に浸ってしまう。
浸ったら、泣く。
でも、心をこめたい。
だから、心をこめて、浸らないのだ。
会場の様子がひとつ外側に感じられるような、不思議な集中力。
でも、半歩でも揺らげば、一気に崩れ落ちそうなぎりぎりの集中力。
恐怖と自負と祝福の願いをこめて、読む。
「娘を選んでくれた彼へ」
ラスボスの最後の攻め。
声がうるむ。
やばい。
落ち着け。
さっきまでの流れを断ち切る覚悟で、一拍置く。
深呼吸。
お父さんの気持ち、新郎に届け。
「娘を選んでくれた彼へ」
自分の実力の中で最大級に集中して心をこめる。
「幸せを祈っています。201◯年 ◯月◯日 父より」
読み切った。
泣かなかった。
たぶん、ちゃんと聞こえたはずだ。
そこここから鼻をすする音が聞こえる。
ひと呼吸して、そのまま進行を続ける、この切り替えも仕事。
何事もなかったようにお開きになり、わたしひとりのラスボスとの戦いは終わった^^
はああ、それにしても大変だった。
途中、集中を切らないように、でも、浸ってしまわないように、で、心をこめるってかなり至難の技だったけど、やり切った感は清々しい^^
最後、音響のアシスタントの女性がお開き後
朗読、すごく上手でしたね!!
もらい泣きしちゃいました^^
とわざわざ言いにきてくれた。
聞き取れていたんだとここでハッキリわかって、はじめてホッとできた。
わたしの仕事はとても幸福な仕事だ。
毎週『おめでとう』が言えるのだもの。
そう考えると、脅迫に近い後押しをしてくれた那智さんに対する感謝の気持ちは、いつまでも消えることはない。
様々な新郎新婦、家族、友人関係、『祝福』と一括りにしてしまえるほど、それぞれの人生は単純ではないだろう。
だけど、せめて司会者のわたしは、まっすぐに『祝福』だけを思いたい。
がんばるのではなく『祝福』、これも那智さんが教えてくれたこと。
きっと、その気持ちはその数時間に魔法をかけてくれると、わたしはずっと信じている^^
那智さんがわたしに教えてくれたように、今週末もわたしは『祝福』の魔法をかけるのだ。
ね、那智さん^^
だけど、時々、切なさやプレッシャーでけっこう心がヒリヒリするけどね^^;
こんなお仕事のときなどは、特に^^
でも、ここまでのラスボス級はそうそうないだろうと思うと、いい経験だし、とても、しあわせな戦いでした(笑)
追伸
これ以上のラスボスはいないと思っていたけど、先日『実家で飼っているネコから』サプライズで祝電という形で家族が寄越し、語尾に「にゃ〜」がつけられた祝電を実家のネコっぽく読み上げなければならないものも登場して、いやあ、敵はあの手この手で攻めてきます^^
まだまだ、わたしの戦いは続くのでした〜。
<関連エントリー>
普段通り
「等式」「ラスボス」感想です。何時も想うが、会場の空気を良く変えることの出来るりん子の資質。今回も臨場感溢れる文章だけれど彼女の呼吸が聞こえ、それが手紙の内容と共に会場を魅了しているのはうれしい。
「等式」感想その2。「浸らないで、伝える。」劇場で舞台の見せ場を作る語り手兼演出家みたいなものでしょうか。他者の「祝福」を伝える努力をするのはMの資質も良いのかもしれません。感情を込めて、浸らず、伝え、泣かない。一人舞台ではなく出席者を見方にするのは早々出来ることではありません。
いよいよ本番当日。
当日、会場オリジナルのはじめての演出もあり、なかなか気が抜けない中、キャプテンと音響と打ち合わせ。
新婦の亡くなった父からの手紙だという事実にうろたえる人はいない(笑)
当然だよね、読むのはわたしだから、皆さんは進行が間違わなければ、それでいいのだもの。
わたしひとり必要以上のプレッシャーの中、粛々と打ち合わせは終了。
その手紙朗読用に新婦母がBGMを用意しているそうだったので、音響に確認してみたら『ハナミズキ』だった。
ううう、これはわたしの中では中レベルヤバさ。(上レベルは『糸』^^)
曲に意識がいっちゃうとマズいな〜という感じ。
でも、こういう事前情報も泣かないためには必要だよね。
さあ、披露宴もはじまり、新婦母に挨拶したらわたしの顔見るなり泣いていた。
お母さんも頑張ったよね、今日は思い切り楽しんでください!!という気持ちをこめる。
披露宴は賑やかに和やかに進み。
そして、いよいよ、花束贈呈、その前の新婦手紙。
さあ、いくぞーーーー。
ゆっくり読む、そして、心をこめる、わたしがやるのはそのふたつ。
言い聞かせて、深呼吸して、集中する。
暗転した会場、新郎新婦と、司会台にもスポットライトが当たる。
謝辞位置に立つ新婦母の表情を一度見る。
新婦手紙の前に、一通サプライズの手紙があります
天国にいるお父様からの手紙をお母様から預かっていますので、ここでご披露いたします
え〜〜
と困惑と照れ隠しで声を出す新婦
抑えて。
でも、お父様の優しさ、お母様の強さ、どうか、わたしの声で表現させて。
はるかへ
自分を鼓舞する。
心をこめろ。
でも、浸るな。
何度も読んだのに、この圧倒的な手紙はわたしの心を揺さぶり、泣かせようとする。
一瞬でも気を抜くと感動に浸ってしまう。
浸ったら、泣く。
でも、心をこめたい。
だから、心をこめて、浸らないのだ。
会場の様子がひとつ外側に感じられるような、不思議な集中力。
でも、半歩でも揺らげば、一気に崩れ落ちそうなぎりぎりの集中力。
恐怖と自負と祝福の願いをこめて、読む。
「娘を選んでくれた彼へ」
ラスボスの最後の攻め。
声がうるむ。
やばい。
落ち着け。
さっきまでの流れを断ち切る覚悟で、一拍置く。
深呼吸。
お父さんの気持ち、新郎に届け。
「娘を選んでくれた彼へ」
自分の実力の中で最大級に集中して心をこめる。
「幸せを祈っています。201◯年 ◯月◯日 父より」
読み切った。
泣かなかった。
たぶん、ちゃんと聞こえたはずだ。
そこここから鼻をすする音が聞こえる。
ひと呼吸して、そのまま進行を続ける、この切り替えも仕事。
何事もなかったようにお開きになり、わたしひとりのラスボスとの戦いは終わった^^
はああ、それにしても大変だった。
途中、集中を切らないように、でも、浸ってしまわないように、で、心をこめるってかなり至難の技だったけど、やり切った感は清々しい^^
最後、音響のアシスタントの女性がお開き後
朗読、すごく上手でしたね!!
もらい泣きしちゃいました^^
とわざわざ言いにきてくれた。
聞き取れていたんだとここでハッキリわかって、はじめてホッとできた。
わたしの仕事はとても幸福な仕事だ。
毎週『おめでとう』が言えるのだもの。
そう考えると、脅迫に近い後押しをしてくれた那智さんに対する感謝の気持ちは、いつまでも消えることはない。
様々な新郎新婦、家族、友人関係、『祝福』と一括りにしてしまえるほど、それぞれの人生は単純ではないだろう。
だけど、せめて司会者のわたしは、まっすぐに『祝福』だけを思いたい。
がんばるのではなく『祝福』、これも那智さんが教えてくれたこと。
きっと、その気持ちはその数時間に魔法をかけてくれると、わたしはずっと信じている^^
那智さんがわたしに教えてくれたように、今週末もわたしは『祝福』の魔法をかけるのだ。
ね、那智さん^^
だけど、時々、切なさやプレッシャーでけっこう心がヒリヒリするけどね^^;
こんなお仕事のときなどは、特に^^
でも、ここまでのラスボス級はそうそうないだろうと思うと、いい経験だし、とても、しあわせな戦いでした(笑)
追伸
これ以上のラスボスはいないと思っていたけど、先日『実家で飼っているネコから』サプライズで祝電という形で家族が寄越し、語尾に「にゃ〜」がつけられた祝電を実家のネコっぽく読み上げなければならないものも登場して、いやあ、敵はあの手この手で攻めてきます^^
まだまだ、わたしの戦いは続くのでした〜。
<関連エントリー>
普段通り
「等式」「ラスボス」感想です。何時も想うが、会場の空気を良く変えることの出来るりん子の資質。今回も臨場感溢れる文章だけれど彼女の呼吸が聞こえ、それが手紙の内容と共に会場を魅了しているのはうれしい。
「等式」感想その2。「浸らないで、伝える。」劇場で舞台の見せ場を作る語り手兼演出家みたいなものでしょうか。他者の「祝福」を伝える努力をするのはMの資質も良いのかもしれません。感情を込めて、浸らず、伝え、泣かない。一人舞台ではなく出席者を見方にするのは早々出来ることではありません。
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COMMENT
わぁ~りん子さん、お疲れさまでした^^
心を込めながらも感情移入し過ぎないようにって、すごく難しいと思います。
まっすぐにいつも通り祝福って、種をみつけられないときよりもこういうときの方が大変なんでしょうね。
それにしても、「にゃ~」聞きたかったです(笑)
心を込めながらも感情移入し過ぎないようにって、すごく難しいと思います。
まっすぐにいつも通り祝福って、種をみつけられないときよりもこういうときの方が大変なんでしょうね。
それにしても、「にゃ~」聞きたかったです(笑)
めぐさん
ありがとうございますーー!!
いやぁ、ホント大変でした^^;
でも、なんだかやり切った感は大きいです。
むしろ、「にゃー」のほうが心残りかも!?
もっとネコになり切ればよかった(笑)
犬には感情移入できるんだけどねー(って、そこじゃない?笑)
ありがとうございますーー!!
いやぁ、ホント大変でした^^;
でも、なんだかやり切った感は大きいです。
むしろ、「にゃー」のほうが心残りかも!?
もっとネコになり切ればよかった(笑)
犬には感情移入できるんだけどねー(って、そこじゃない?笑)