コンプレックスの成仏
独特な幸福感
背が高いということは、『女の子』を求めているわたしにはコンプレックスだった。
いや、いまだから「女の子を求めているのだから」と言ってしまえるけど、それまではずっと『ただ』コンプレックスだった。
学生服のブレザーやリボンも。
聖子ちゃんカットもピンクハウスの大きなフリルの襟のブラウスも。
背が低いほうが可愛いし、似合う。
多感な思春期。
背が高いことはウィークポイント以外何ものでもなかった。
コンパニオンなどの仕事をするようになり、背が高いことはチャームポイントにもなるということを知り、洋服をかっこよく着るには悪くないと思えるようになっていったので、そのわたしは嫌いではなかった。
まわりから羨ましいと言われたりするので、贅沢なコンプレックスだとは思っていたけど。
ただ、ほんとうは可愛がられたいという無意識の願望のせいか、それはチャームポイントとというよりセールスポイントに感じられ、やはり根本的なコンプレックスの解消にはならなかった。
那智さんはわたしより背が低い。
女で背が高いよりも男で背が低いということのほうが、嫌な思いをすることが多かったと思う。
那智さんの美意識や負けず嫌いさんは、その経験から生まれたのかもしれないと感じる。
もしかしたら、それがあるから、那智さんの父性が培われたのではないかと思ってしまったりもする。
コンプレックスを持ち、それを跳ね返すようにしっかりと立つ那智さんは魅力的だし、とても愛おしい。
だけど。
並んで歩くとき。
自意識過剰を差し引いても人目を引く。
向かい合って抱き合うとき。
わずかにわたしが下を向き、どうしても、その身長差を意識しないわけにはいかない。
那智さんは背が高いりん子が好きと言ってくれている。
だから、わたしは足の線がきれいに見えるようにヒールの高い靴を履く。
それが那智さんの望みのはずなのに、わずかに視線を落とすとき、わたしは自分が背が高いことを少し申し訳なく思っていた。
わたしの身長コンプレックスは、また少し違った形になっていつまでも消えてくれなかった。
那智さんは、背が高いわたしが好きと言ってくれている。
だから、それを信じて申し訳ないなんて思わなければいいのだけど、どうしても、そのわたしを大好きになれなかった。
背が高いことを好きと言ってくれるのは、背の低い男性特有の自己顕示欲を満たしているからだろうと思っていた。
それもあるだろう、実際那智さんもそう言っていた。
だから、わたしは那智さんと歩くとき、堂々とヒールの高い靴を履き、那智さんと腕を組む。
那智さんの自己顕示欲を満たして差し上げたいなと思うのだ。
でも、同時に、その道具になっているようで、道具の自分を好きになれなかったんだな、結局セールスポイントのままだったのね。
だから、道具以外の部分で、申し訳ない気持ちがなくならなかった。
(那智さんはわたしを道具だなんて思っていないですよ。俺を見くびるなって言われそうです)
この夏。
わたしは少しだけ足首を痛めた。
だから、2回ほど足に負担のかからない低い靴を履いて那智さんに会った。
3回目のランチデートのとき。
少し回復していたし、ランチデーとは長い距離を移動しないから久しぶりに9cmヒールのパンプスを履いていった。
ランチが終わって、那智さんはお仕事場に、わたしは駅に。
左右に分かれて歩き出した。
振り返り那智さんを見る。
ひと呼吸遅れて那智さんも振り返った。
立ち止まり、わたしは小さく手を振る。
『うん』と頷いて、那智さんはまた歩き出す。
すぐに携帯が鳴った、那智さんからだ。
通話ボタンを押して、もう一度振り返る。
遠ざかる那智さんの背中。
「お疲れさまでしたぁ、午後もお仕事がんばってください〜」
他愛もない会話を始めたら、ふいにこう言われた。
「俺、やっぱり、背の高いりん子が好きだ。だから、早く、足治してください。」
しゅわしゅわしゅわ〜っと、コンプレックスが成仏していくのを感じた。
那智さんが背の高いわたしが好きなのは道具なんかじゃなくて、ただ好きでいてくれるだけだ。
一緒に歩いて自己顕示せず、離れて眺めてもそれを好きと思ってくれたのだもの。
ずっと、那智さんはそう言い続けてくれていたはずなんだけど。
実感するきっかけが、いまだったんだ。
気付くのが遅くなってごめんなさい。
でも、わたし、背が高いわたしが好きになれたよ、那智さん。
その自分自身が好きになれたから、それからは思い切って那智さんの『自己顕示欲』を満たす役割を引き受けられる。
高いヒール履きますよ、いっぱい目立っちゃいましょうね。
コンプレックスが好きに変わった日だった。
那智さんはリップサービスをしない人。
だからこそ、それを信用することができる。
その那智さんの口から、時々こぼれ落ちる賛辞はわたしの大事な宝物。
そして、そういうときに男の沽券なんかを持ち出さずきちんと伝えてくれる那智さんが、わたしはとても好き。
こういう宝物を記録したくて、ノロケだらけのブログになってしまうのでした^^;
あ、もうひとつ、この身長の利点がありました。
わんこになるとき、わたし背が高いからけっこう大きなわんこになれるのね。
だから、那智さんが手を伸ばすと労せず頭や首筋を撫でることができるのです。
これは、わたしには大きな利点。
これにも最近気付いたの。
よかった、おっきなわんこで^^
背が高いということは、『女の子』を求めているわたしにはコンプレックスだった。
いや、いまだから「女の子を求めているのだから」と言ってしまえるけど、それまではずっと『ただ』コンプレックスだった。
学生服のブレザーやリボンも。
聖子ちゃんカットもピンクハウスの大きなフリルの襟のブラウスも。
背が低いほうが可愛いし、似合う。
多感な思春期。
背が高いことはウィークポイント以外何ものでもなかった。
コンパニオンなどの仕事をするようになり、背が高いことはチャームポイントにもなるということを知り、洋服をかっこよく着るには悪くないと思えるようになっていったので、そのわたしは嫌いではなかった。
まわりから羨ましいと言われたりするので、贅沢なコンプレックスだとは思っていたけど。
ただ、ほんとうは可愛がられたいという無意識の願望のせいか、それはチャームポイントとというよりセールスポイントに感じられ、やはり根本的なコンプレックスの解消にはならなかった。
那智さんはわたしより背が低い。
女で背が高いよりも男で背が低いということのほうが、嫌な思いをすることが多かったと思う。
那智さんの美意識や負けず嫌いさんは、その経験から生まれたのかもしれないと感じる。
もしかしたら、それがあるから、那智さんの父性が培われたのではないかと思ってしまったりもする。
コンプレックスを持ち、それを跳ね返すようにしっかりと立つ那智さんは魅力的だし、とても愛おしい。
だけど。
並んで歩くとき。
自意識過剰を差し引いても人目を引く。
向かい合って抱き合うとき。
わずかにわたしが下を向き、どうしても、その身長差を意識しないわけにはいかない。
那智さんは背が高いりん子が好きと言ってくれている。
だから、わたしは足の線がきれいに見えるようにヒールの高い靴を履く。
それが那智さんの望みのはずなのに、わずかに視線を落とすとき、わたしは自分が背が高いことを少し申し訳なく思っていた。
わたしの身長コンプレックスは、また少し違った形になっていつまでも消えてくれなかった。
那智さんは、背が高いわたしが好きと言ってくれている。
だから、それを信じて申し訳ないなんて思わなければいいのだけど、どうしても、そのわたしを大好きになれなかった。
背が高いことを好きと言ってくれるのは、背の低い男性特有の自己顕示欲を満たしているからだろうと思っていた。
それもあるだろう、実際那智さんもそう言っていた。
だから、わたしは那智さんと歩くとき、堂々とヒールの高い靴を履き、那智さんと腕を組む。
那智さんの自己顕示欲を満たして差し上げたいなと思うのだ。
でも、同時に、その道具になっているようで、道具の自分を好きになれなかったんだな、結局セールスポイントのままだったのね。
だから、道具以外の部分で、申し訳ない気持ちがなくならなかった。
(那智さんはわたしを道具だなんて思っていないですよ。俺を見くびるなって言われそうです)
この夏。
わたしは少しだけ足首を痛めた。
だから、2回ほど足に負担のかからない低い靴を履いて那智さんに会った。
3回目のランチデートのとき。
少し回復していたし、ランチデーとは長い距離を移動しないから久しぶりに9cmヒールのパンプスを履いていった。
ランチが終わって、那智さんはお仕事場に、わたしは駅に。
左右に分かれて歩き出した。
振り返り那智さんを見る。
ひと呼吸遅れて那智さんも振り返った。
立ち止まり、わたしは小さく手を振る。
『うん』と頷いて、那智さんはまた歩き出す。
すぐに携帯が鳴った、那智さんからだ。
通話ボタンを押して、もう一度振り返る。
遠ざかる那智さんの背中。
「お疲れさまでしたぁ、午後もお仕事がんばってください〜」
他愛もない会話を始めたら、ふいにこう言われた。
「俺、やっぱり、背の高いりん子が好きだ。だから、早く、足治してください。」
しゅわしゅわしゅわ〜っと、コンプレックスが成仏していくのを感じた。
那智さんが背の高いわたしが好きなのは道具なんかじゃなくて、ただ好きでいてくれるだけだ。
一緒に歩いて自己顕示せず、離れて眺めてもそれを好きと思ってくれたのだもの。
ずっと、那智さんはそう言い続けてくれていたはずなんだけど。
実感するきっかけが、いまだったんだ。
気付くのが遅くなってごめんなさい。
でも、わたし、背が高いわたしが好きになれたよ、那智さん。
その自分自身が好きになれたから、それからは思い切って那智さんの『自己顕示欲』を満たす役割を引き受けられる。
高いヒール履きますよ、いっぱい目立っちゃいましょうね。
コンプレックスが好きに変わった日だった。
那智さんはリップサービスをしない人。
だからこそ、それを信用することができる。
その那智さんの口から、時々こぼれ落ちる賛辞はわたしの大事な宝物。
そして、そういうときに男の沽券なんかを持ち出さずきちんと伝えてくれる那智さんが、わたしはとても好き。
こういう宝物を記録したくて、ノロケだらけのブログになってしまうのでした^^;
あ、もうひとつ、この身長の利点がありました。
わんこになるとき、わたし背が高いからけっこう大きなわんこになれるのね。
だから、那智さんが手を伸ばすと労せず頭や首筋を撫でることができるのです。
これは、わたしには大きな利点。
これにも最近気付いたの。
よかった、おっきなわんこで^^
COMMENT
わぁ、ちょっとうるっときてしまいました……><。
もう大分前の記事ですが、コメントさせてください。
りん子さん、よかったですね~~~><*
背が大きくてスタイルがよく見えたりするのって、嬉しいことだけれど、
「好きなひとより大きい」のは、ちょっと厄介だったりしますよね。
実は、わたしもそうなのです。
それで、ご主人様は気にしていないと仰って下さったけど、わたしはずっと気にしたままです……。
たかが2~3cm、されど2~3cm……。
しかも、年齢差が30歳近いので、更に目立ってしまうのです。
わたしもりん子さんみたいに成仏させてあげたいな……(´・ω・`)
もう大分前の記事ですが、コメントさせてください。
りん子さん、よかったですね~~~><*
背が大きくてスタイルがよく見えたりするのって、嬉しいことだけれど、
「好きなひとより大きい」のは、ちょっと厄介だったりしますよね。
実は、わたしもそうなのです。
それで、ご主人様は気にしていないと仰って下さったけど、わたしはずっと気にしたままです……。
たかが2~3cm、されど2~3cm……。
しかも、年齢差が30歳近いので、更に目立ってしまうのです。
わたしもりん子さんみたいに成仏させてあげたいな……(´・ω・`)
過去エントリーにありがとうございます^^
しかも、これはわたしもお気に入りのエントリー、よく見つけてくださいました!!
そんなことをいったら、那智さんとわたしなんて2〜3㎝なんてものじゃありません(計ったことないけど^^;)
だから、ご主人様が気にしていないとおっしゃる言葉はその通りなのだと思うけど、やはりコンプレックスを成仏させるには「その菜々子が好き」と言っていただけると効果抜群だと思います。
本当はご主人様もそう思っているかもしれないけど、言葉にする機会を逃しているのかもしれませんね。
このエントリーをこそっとご主人様にご覧いただくか(笑)
「いつかその菜々子が好きと思ったときがあったら、そう教えてくださいね」とお伝えすることをオススメします^^
この方法は那智さん方式なんですが、聞いて言ってもらうより、ずっとこちらはうれしいから^^(あ、今度、これもネタにしよう、ありがとう♪)
しかも、これはわたしもお気に入りのエントリー、よく見つけてくださいました!!
そんなことをいったら、那智さんとわたしなんて2〜3㎝なんてものじゃありません(計ったことないけど^^;)
だから、ご主人様が気にしていないとおっしゃる言葉はその通りなのだと思うけど、やはりコンプレックスを成仏させるには「その菜々子が好き」と言っていただけると効果抜群だと思います。
本当はご主人様もそう思っているかもしれないけど、言葉にする機会を逃しているのかもしれませんね。
このエントリーをこそっとご主人様にご覧いただくか(笑)
「いつかその菜々子が好きと思ったときがあったら、そう教えてくださいね」とお伝えすることをオススメします^^
この方法は那智さん方式なんですが、聞いて言ってもらうより、ずっとこちらはうれしいから^^(あ、今度、これもネタにしよう、ありがとう♪)