静かな自慰
非日常的な日常
『ひとりでします』
那智さんに抱かれた翌日が一番欲情する。
充分抱かれたはずなのに。
一度ついた火種はなかなか鎮火してくれないのだ。
こういうときのオナニーは、とにかく鎮火したい一心。
もしかしたら男性の『抜く』と似ているかもしれない。
この情緒の欠片もない欲情、乙女としてはあまり歓迎しないもの(笑)
なんだか情けなくてあんまり好きなわたしじゃない。
ほんの少し自嘲気味に、動画サイトで手頃なものを選びさっさと抜いてしまおうと思う。
ちょうどお昼時。
今頃那智さんは整体が終るころだろう。
たいがいお昼にお電話がもらえるとしたら、この整体が終ってご飯を食べてその後の一服のときだ。
オナニーの宣言と報告は決まり事。
これは自己嫌悪から救ってくれる。
そしてタイミングが合い聞いてくれることは、許容してもらっているようで安心するし感じる。
だけど、だけど。
いまからすると宣言するのも聞いてもらうことも、どうしようもなく恥ずかしい!!
だから、つい時計を見てしまう。
聞いてもらうことは幸せだけど、恥ずかしさが勝ってお電話ができにくい時間を選んでしまうこともある。
しかも『抜く』ようなオナニーだ、即物的なそれはさっさとおしまいにしてしまいたい。
いまならまだお電話が可能な時間じゃないだろう。
そう思って宣言のメールを送った。
送信を押した、瞬間、携帯の着信音!!
那智さんからだ。
もうメール、見たの!?
どうやら偶然だったらしい。
めずらしくランチタイムにお仕事場でひとりになったようで、いつもより早めにお電話をくれたのだ。
で、わたしの『もしもし』のタイミングでメールを受信したみたい。
メール用の携帯をチェックしたようだ。
面白がる。
いいね〜、じゃあ、して
無理です、無理です。
こんなタイミング、恥ずかしすぎます。
一気に火が消える。
ああ、でも、火種が残っていることは充分過ぎるほど、わかっている。
このまま聞いてもらわないでいたら、後で即物的なオナニーをするとき寂しい気持ちになる。
何観ようとしてたの?
教えな、同じもの観ててあげる
ああああ、わたしが選んだエッチな動画を那智さんが一緒に観てくれる。
エッチなわたしを一緒に抱きしめてくれるみたいだ。
こんな方法で安心と興奮をくれる。
なんでも那智さんと一緒が嬉しいわたしは、こんな一緒さえ喜んでしまうのだ。
無理です、無理ですと抵抗しながら、なんともホクホクした欲情が生まれてしまっていた。
残念ながら、那智さんのパソコンではわたしがスマートフォンで観ようとしていたものは観られなかったけど、このホクホクした欲情は抵抗感をなくしてくれた。(って、もう!!あんまりリアル過ぎて、死にそうに恥ずかしい!!!)
じゃあ、普段みたいにしてみ
那智さんに聞いてもらって興奮を高めるようなものではなく、『抜く』それをしてごらんということだ。
ねえ、この違い、ある?
わたしは、ある。
那智さんはその違いをリアルに楽しみたいのかもしれない、いろいろなわたしを知りたいのかもしれない。
でも、それだと静かですよ?那智さんつまらなかもしtれない
かまわないよ
かまわないんだ、それなら、それを信じよう。
クリトリスに触れる。
はぅと息が漏れる。
那智さんに聞いてもらっていると、それが興奮に繋がって『聞いてもらうオナニー』になるのだけど、このときは普段通りが指示だ。
回路を戻す。
黙々と触り続ける。
いやらしい吐息も色っぽい喘ぎ声もない静かな時間。
那智さんが聞いてくれていると思うと、どうしてもそっちの興奮に転がって時折『うう』と声が漏れるくらいだ。
でも、やっぱり普段とは状況も心境も違うから、思ったようにイケない。
那智さん、退屈してしまわないか。
いっそのこと『聞いてもらうオナニー』に回路を変えて、そっちの快楽に腰を振ってしまおうか。
でも普段通りは指示だし、それにわたしはさくっとおしまいにしたかったんだ。
気持ちはあちこち。
那智さんはずっと黙っている。
きっとパソコンの画面でも見ているのだろう。
こちらがどんなに静かでも、煽ることも手助けすることもしない。
わたしのオナニーなんか、取るに足らないことのように。
ときどきキーボードを叩く音だけが聞こえる。
その動かないでいてくれる気配がだんだんわたしを落ち着かせてきた。
ず。
お茶をすすり、飲み込む音が吐息と共に聞こえた。
ああ、那智さん、そこにいる。
なんて安心するのだろう。
安心は快感になる。
ひとつひとつステージを上がるように指がイクに向かって動く。
抜くオナニーでイクときは、ちょっと息を止めて体に力を入れたほうがイキやすい。
息を止めるのだ、やっぱり声は上がらない。
キーボードを叩く静かな音の中、やっと『イッてもいいですか』とはじめてまともな声を上げた。
許可を得て、イク。
あああ、気持ちいい。
那智さんに聞いてもらって『抜く』。
いつもなら抜いたらおしまいのはずのそれを、大きな大きなため息と共に快感を噛みしめ、いつまでもおしまいにしようと思わなかった。
『抜く』オナニーは即物的だ。
なんだか猿みたいで情けないといつもほんの少し自嘲してしまう。
だからイッたらさっさとおしまいにしていた。
まるで、そんなわたしをなかったことにするように。
このときは聞いてもらっていることが、わたしを安心と興奮に浸らせてくれた。
こんなふうに、いままで何度も何度も受け入れ難い自分を那智さんの手で幸福に感じられるようにしてもらっている。
きっとわたしは次からは、これさえも聞いてもらいたいと思うようになる、あまりに心地よくて。
これが那智さんのやり方だなって思う。
ううう、恥ずかし過ぎます…、でも書いてしまったよ^^;
幸福伝えたくて。
COMMENT
オナニで声出した事ないので(ノД`)シクシク
やれって言われて声出せって言われると・・・メッチャ作業的になってしまうw
やれって言われて声出せって言われると・・・メッチャ作業的になってしまうw
薫さん
いい!!
何がいいって、いまの次点で今頃コメントしてくれるところ(笑)
特別感がなくて、いままでの延長な気持ちになれて、うれしかったよ。
あ、ついでにぶっちゃけ話もうれしい*^^*
いい!!
何がいいって、いまの次点で今頃コメントしてくれるところ(笑)
特別感がなくて、いままでの延長な気持ちになれて、うれしかったよ。
あ、ついでにぶっちゃけ話もうれしい*^^*