マイフェアレディ『心を開く2』
モカ
他愛もない話ではなく、特にモカ本人についてやこちらの意見に感想を求めたときに、モカの目は泳ぐ。
それは、相手にとってマイナスの答えをしないようにと警戒しているからだ。
これはね、相手に悪く思われたくないというものとは少し違うと思っている。
多分、相手からの反応を警戒しているように思う。
わたしほど厄介な『ガラスのハート』ではないと思うのだけど、自分が原因で相手の心に負の感情を与えて、それを向けられることを避けているような感じだ。
わたしは『脳内一人旅』と命名したのだけど、モカは相手からマイナスの反応が来ないように息を潜めながら、目を泳がせ、そして脳内で一人旅をしているのだ。
一人旅は誰の反応も気にすることはない、恐らくモカの自由な時間。
このクセ?を那智さんが見つけ、せめてわたしたちとのコミュニケーションに於いては一人旅をしないでもらいたいなと思った。
その経験は、きっとモカ自身の力になると信じて。
それにはスカイプのチャットはとても有効だった。
那智さんは、ときにからかい、ときに真剣に投げかけ、モカに自分の気持ちを表に出すことを経験させた。
それはそれは、羨望を抱くほど見事に。(もしかしたら、この日々のやり取りが一番焦がれたかもしれない 笑)
こちらの発言に『なるほど〜』とか『そうだね』と肯定の返事しかしないモカに、それ以外の気持ちを話すように促し、言葉に詰まって沈黙すると『10、9、8…(笑)』とカウントダウンして、きゃーきゃー楽しませる。
じっくり心を見つめないと答えられないような質問を与え静かに待つ、その答えにまた深い質問をする。
モカ自身も考えたことがなかったモカのことを一緒に探っている。
詰め将棋みたい。
かつてのわたしを見ているようだ。
なんでそこまで答えないといけないの?とモカの戸惑いも伝わってくる、だけど『素直と正直』を元に自分の気持ちを表現して、それを受け入れてくれる心地よさは、きっとモカに『一人旅』にはない幸福感を伝えることができているだろう。
モカとのスカイプの会話や独り言のあと、これも仕事の合間を縫ってよく那智さんと話し合った。
「俺の言ったこと理解できたかな」
那智さんが気になっているこを翌日モカに咀嚼して聞かせる。
「アイツの言いたいことって○○ってことかな」
那智さんの疑問に、代わりにわたしが質問して更に恐らく那智さんが知りたい内容まで掘り下げる。
ときどきモカが独り言で
「お父さんが言った○○って、どういうことだろう」
みたいな投げかけや、ちょっとわかりにくいことがあったりすれば、わたしがお父さんの代わりに補足説明したり。
(モカちゃんから『お父さん翻訳機』という称号をもらった^^)
そんな補足や質問のやり取りをわたしともたくさんした。
そこにもきっと『伝わる気持ち良さ』を感じてくれていたと思う。
(わたしはね〜、もうモカにりん子節全開^^語りまくっていました)
こんな伝え合う気持ち良さ、文字の会話からはじまってほんの少しずつ会っているときにも効果が生まれると信じて毎日文字の会話を積み重ねた。
ある日、いつもと違う展開が生まれた。
いままで、わたしたちが話題を振りモカがそれに答え、心を探る道筋を作り自分の言葉で相手に伝えさせるようにしてきた。
こちらが主導だったのね。
もちろん、他愛もない話はモカから『独り言』と称していろいろ発言されていたけどね。
(独り言、お返事不要という決まりで垂れ流しオッケイなのね。とーっても他愛ないのだけど、モカらしい味があってわたしたちはけっこう楽しんだ。簡単カフェモカの作り方、とかだったりするんだけどね〜)
大切な話はこちらが主導だった。
春の夕方。
いつものように『独り言』がはじまった。
でも、とても改まった感じではじまった。
自分の心を書いてみる。
ゆっくりといままでの自分を振り返り、なにが問題で何が理由で、なりたい自分になるためにどうしたらいいのだろう、と。
静かに積み重なるチャットの文字。
時々止まる、ああ、泣いているのだろうな。
それでも、わたしは見つめるだけにしていた。
促さない、助け舟を出さない、道筋を立てない。
時々、読んでるよと伝えるだけ。
なぜなら、これはモカの成長の証だから。
いままでわたしたちに引っ張ってもらっていたけど、この時は自分のことを自分で語り出したのだ。
ここで軌道を変えたり手を差し伸べてしまっては、せっかく踏み出した一歩を引き戻すことになってしまう。
綴られた文字は、それまでスカイプで語られたことをそれほど差はなかった。
違う言葉で表現されてはいたけれど特に目新しいものはなかった。
でも、これは大きな進歩。
一番重要だったのは、モカが自ら『一人旅』をしなかったことだ。
このときモカは心の深い湖にそーっと沈んで降りていくような気持ちだったそうだ。
きっと掴んだロープの先を持っているのはわたしたちだったはずだ(勝手に決める 笑)
見つけた心は決して輝かしいことばかりではなかっただろう。
だけど、それをすることができた事実と経験はモカの力になる。
何より聞いてほしいと思う相手がいて、その人に話す心地よさや安心感を知ることは大切なことだ。
かつてわたしが、那智さんによって心地よさを知ったように。
人は『気持ちいい』ことを知ると、それ以降はそれを基準にすることができる。
モカはちょっと捨て鉢なところがあって『わかってくれなくてもいい』というところが少しある。
でもね、あのとき心の泉にすーっと沈んでいったとき、モカはきっと『わかってほしい』と思ったはずだ。
独り言を一人じゃない状態でしたのだから。
居酒屋で3人で話す。
基本はわたしが話題提供をして、さらに語り^^お父さんが自分の考えを話す。
ふたりはモカを見る。
…
「あ、いま目泳いでる(笑)」
「ほんとだ、いいよ〜、ゆっくり考えな〜」
わたしたちとの間でも、まだこんな具合だった。
短い時間ですべてをクリアにすることは不可能だった。
いまでもきっと目を泳がせるモカがいるだろう。
それでもかまわない。
一人旅をしても、一人旅じゃない良さを知っていることは強い。
心を開く経験はきっとモカの実力になってくれたと思っている。
モカは相手を捜していた。
これから先どんな出会いが待っているか出会いを求めるか、それはわからない。
だけど『気持ちいい』を知っていれば、無駄に消耗するような付き合いは避けられると信じている。
知っているのと知らないのとでは大きな違いがある。
人はそんなに簡単に変われるものではないだろう。
だけど、少なくともわたしたちの前で心を開くことを感じてくれたモカは、きっと選択肢をひとつ増やしてくれたはずだ。
どの場面でどの道を選ぶかはモカの自由。
どういう道を歩くか、選択肢が広がることは人生に於いて悪いことじゃないよね。
わたしの手元に『わかりやすい恋』という銀色夏生さんの詩集がある。(いまでも活躍されているのかな^^;)
ずーっと昔、年下の男の子がスペイン語の新聞紙で作ってくれたブックカバー、色褪せたそれに包まれたままずっと本棚にいる。
その中の詩に『君は僕に愛されたという事実を 金ピカのバッジにして胸にはって 歩いていくんだよ』という一節がある。
モカのことを思うとき、この一節を思い出すんだ。
だから金ピカのバッジを添えてモカちゃんにエールを贈ります^^
金ピカのバッジ。
きっと胸についていると信じているよ。
これは心を開いた印。
だからね、さみしくない。
その心を消耗するより、ずっとさみしくないのだよ。
他愛もない話ではなく、特にモカ本人についてやこちらの意見に感想を求めたときに、モカの目は泳ぐ。
それは、相手にとってマイナスの答えをしないようにと警戒しているからだ。
これはね、相手に悪く思われたくないというものとは少し違うと思っている。
多分、相手からの反応を警戒しているように思う。
わたしほど厄介な『ガラスのハート』ではないと思うのだけど、自分が原因で相手の心に負の感情を与えて、それを向けられることを避けているような感じだ。
わたしは『脳内一人旅』と命名したのだけど、モカは相手からマイナスの反応が来ないように息を潜めながら、目を泳がせ、そして脳内で一人旅をしているのだ。
一人旅は誰の反応も気にすることはない、恐らくモカの自由な時間。
このクセ?を那智さんが見つけ、せめてわたしたちとのコミュニケーションに於いては一人旅をしないでもらいたいなと思った。
その経験は、きっとモカ自身の力になると信じて。
それにはスカイプのチャットはとても有効だった。
那智さんは、ときにからかい、ときに真剣に投げかけ、モカに自分の気持ちを表に出すことを経験させた。
それはそれは、羨望を抱くほど見事に。(もしかしたら、この日々のやり取りが一番焦がれたかもしれない 笑)
こちらの発言に『なるほど〜』とか『そうだね』と肯定の返事しかしないモカに、それ以外の気持ちを話すように促し、言葉に詰まって沈黙すると『10、9、8…(笑)』とカウントダウンして、きゃーきゃー楽しませる。
じっくり心を見つめないと答えられないような質問を与え静かに待つ、その答えにまた深い質問をする。
モカ自身も考えたことがなかったモカのことを一緒に探っている。
詰め将棋みたい。
かつてのわたしを見ているようだ。
なんでそこまで答えないといけないの?とモカの戸惑いも伝わってくる、だけど『素直と正直』を元に自分の気持ちを表現して、それを受け入れてくれる心地よさは、きっとモカに『一人旅』にはない幸福感を伝えることができているだろう。
モカとのスカイプの会話や独り言のあと、これも仕事の合間を縫ってよく那智さんと話し合った。
「俺の言ったこと理解できたかな」
那智さんが気になっているこを翌日モカに咀嚼して聞かせる。
「アイツの言いたいことって○○ってことかな」
那智さんの疑問に、代わりにわたしが質問して更に恐らく那智さんが知りたい内容まで掘り下げる。
ときどきモカが独り言で
「お父さんが言った○○って、どういうことだろう」
みたいな投げかけや、ちょっとわかりにくいことがあったりすれば、わたしがお父さんの代わりに補足説明したり。
(モカちゃんから『お父さん翻訳機』という称号をもらった^^)
そんな補足や質問のやり取りをわたしともたくさんした。
そこにもきっと『伝わる気持ち良さ』を感じてくれていたと思う。
(わたしはね〜、もうモカにりん子節全開^^語りまくっていました)
こんな伝え合う気持ち良さ、文字の会話からはじまってほんの少しずつ会っているときにも効果が生まれると信じて毎日文字の会話を積み重ねた。
ある日、いつもと違う展開が生まれた。
いままで、わたしたちが話題を振りモカがそれに答え、心を探る道筋を作り自分の言葉で相手に伝えさせるようにしてきた。
こちらが主導だったのね。
もちろん、他愛もない話はモカから『独り言』と称していろいろ発言されていたけどね。
(独り言、お返事不要という決まりで垂れ流しオッケイなのね。とーっても他愛ないのだけど、モカらしい味があってわたしたちはけっこう楽しんだ。簡単カフェモカの作り方、とかだったりするんだけどね〜)
大切な話はこちらが主導だった。
春の夕方。
いつものように『独り言』がはじまった。
でも、とても改まった感じではじまった。
自分の心を書いてみる。
ゆっくりといままでの自分を振り返り、なにが問題で何が理由で、なりたい自分になるためにどうしたらいいのだろう、と。
静かに積み重なるチャットの文字。
時々止まる、ああ、泣いているのだろうな。
それでも、わたしは見つめるだけにしていた。
促さない、助け舟を出さない、道筋を立てない。
時々、読んでるよと伝えるだけ。
なぜなら、これはモカの成長の証だから。
いままでわたしたちに引っ張ってもらっていたけど、この時は自分のことを自分で語り出したのだ。
ここで軌道を変えたり手を差し伸べてしまっては、せっかく踏み出した一歩を引き戻すことになってしまう。
綴られた文字は、それまでスカイプで語られたことをそれほど差はなかった。
違う言葉で表現されてはいたけれど特に目新しいものはなかった。
でも、これは大きな進歩。
一番重要だったのは、モカが自ら『一人旅』をしなかったことだ。
このときモカは心の深い湖にそーっと沈んで降りていくような気持ちだったそうだ。
きっと掴んだロープの先を持っているのはわたしたちだったはずだ(勝手に決める 笑)
見つけた心は決して輝かしいことばかりではなかっただろう。
だけど、それをすることができた事実と経験はモカの力になる。
何より聞いてほしいと思う相手がいて、その人に話す心地よさや安心感を知ることは大切なことだ。
かつてわたしが、那智さんによって心地よさを知ったように。
人は『気持ちいい』ことを知ると、それ以降はそれを基準にすることができる。
モカはちょっと捨て鉢なところがあって『わかってくれなくてもいい』というところが少しある。
でもね、あのとき心の泉にすーっと沈んでいったとき、モカはきっと『わかってほしい』と思ったはずだ。
独り言を一人じゃない状態でしたのだから。
居酒屋で3人で話す。
基本はわたしが話題提供をして、さらに語り^^お父さんが自分の考えを話す。
ふたりはモカを見る。
…
「あ、いま目泳いでる(笑)」
「ほんとだ、いいよ〜、ゆっくり考えな〜」
わたしたちとの間でも、まだこんな具合だった。
短い時間ですべてをクリアにすることは不可能だった。
いまでもきっと目を泳がせるモカがいるだろう。
それでもかまわない。
一人旅をしても、一人旅じゃない良さを知っていることは強い。
心を開く経験はきっとモカの実力になってくれたと思っている。
モカは相手を捜していた。
これから先どんな出会いが待っているか出会いを求めるか、それはわからない。
だけど『気持ちいい』を知っていれば、無駄に消耗するような付き合いは避けられると信じている。
知っているのと知らないのとでは大きな違いがある。
人はそんなに簡単に変われるものではないだろう。
だけど、少なくともわたしたちの前で心を開くことを感じてくれたモカは、きっと選択肢をひとつ増やしてくれたはずだ。
どの場面でどの道を選ぶかはモカの自由。
どういう道を歩くか、選択肢が広がることは人生に於いて悪いことじゃないよね。
わたしの手元に『わかりやすい恋』という銀色夏生さんの詩集がある。(いまでも活躍されているのかな^^;)
ずーっと昔、年下の男の子がスペイン語の新聞紙で作ってくれたブックカバー、色褪せたそれに包まれたままずっと本棚にいる。
その中の詩に『君は僕に愛されたという事実を 金ピカのバッジにして胸にはって 歩いていくんだよ』という一節がある。
モカのことを思うとき、この一節を思い出すんだ。
だから金ピカのバッジを添えてモカちゃんにエールを贈ります^^
金ピカのバッジ。
きっと胸についていると信じているよ。
これは心を開いた印。
だからね、さみしくない。
その心を消耗するより、ずっとさみしくないのだよ。
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