夢が叶うとき3
非日常的な日常
那智さんに付いて行く。
もうすぐコンビニの前だ。
コンビニが視界に入って、私は思わず胸を撫で下ろした。
入り口横のゴミ箱の所に3人の男女がタバコを吸っておしゃべりをしている。
よかった、先に人がいる場合、那智さんはそこでは露出行為(露出というのか!?)はしないはずだ。
このままコンビニでミネラルウォーターを買っている間あの人たちがいてくれたら、コンビニ前はなくなる。
祈るような気持ちで、買い物をする那智さんに付いて行く。
1Lのミネラルウォーターを買って外に出る。
まだ、おしゃべりは続いていた。
ああ、よかった。
那智さんはちょっと残念そうだ。
コンビニを後にして、ホテル街の角に差し掛かり例の「くぼみ」が見えた。
あそこもかなりの「お外」だけど、まあ、コンビニの前よりはまし。
でも、那智さんが私の提案通りにしてくれるはずもなく、その角を曲がらずにそのまま先に進んで行った。
その角より先にはあまり行ったことがない。
10mほど行くと大きめのビルが建っていて、その横にコインパーキングがある。
その入り口が、僅かに歩道から奥に入ってる。
大きなビルが壁になっていて、くぼみよりは一般道路だけど、コンビニよりは拓けていないという絶妙の空間になっていた。
ただ、パーキングを利用しようとする人がいたら、それはとても至近距離。
ああ、どうしよう。
ここで、ここで、頭からお水をかけられるんだ。
2m先は歩道だ。
人が歩いている。
ほんとに、そんなことをするのだろうか。
歩いている人はなんて思うだろう。
痴話げんか?熱中症対策?いずれにしても「変」なことだ。
数年前、私が見たあの夢。
私の中にある「かわった性癖」を突きつけられ、そして、それを持つ自分に救いようのない困惑を感じさせたあの夢。
それと同じことが、いま行われようとしてる。
その、とても変な行いをする覚悟。
そして、あの時感じた困惑から解放されるかもしれないという胸の高鳴り。
コインパーキングの入り口に立ち。
那智さんの手を握って、行動をさえぎる。
腰が引けてしまっている。
胸が高鳴ると言っても、やっぱり「ほんとにそんなことするの!?」という恐怖が強い。
手を握り腰を引き那智さんに訴える。
「嫌がってるんじゃないんです。覚悟決める時間を少しください。」
(かつて、恐怖のあまりしゃがみ込んだことを「拒否」ととられてしまって、更に酷いことに発展してしまった経験があるから、ここは「拒否」じゃないことを伝えておかないと…)
「うん、いいよ。」
大きくため息をついて、辺りを見回す。
コンビニ前よりは、少しだけ人通りが少ないかもしれない。
それでも、サラリーマンやら学生風の女の子の姿が視界に入って、ああ、やっぱり怖い。
「拒否じゃないんです。もう少し、覚悟を決めさせてください。」
もう、立っている力がない。
恐怖とか背徳感とか高揚で両足に力が入らない。
同じようなことを伝えて、ヘナヘナとその場にしゃがみ込んでしまった。
両手で顔を覆い、ため息をついたその時。
冷たい水の衝撃が襲った。
頭から首筋、背中、その冷たい衝撃に体が硬直する。
その瞬間、なんて言ったらいいのだろう、物凄いスピードでシャッターが下りて、すべてが閉ざされたようだった。
目、耳、口、毛穴、理性、モラル、恐怖、すべてが閉ざされたみたい。
もしくは、勢い良く真空のシェルターに放り投げられたみたい。
真空のシェルターなんて状態わからないけど、そんな感覚。
もしくは、足にサメが食い付き勢い良く海中に引きずり込まれたような。
雑踏ではない何かがざわついている、それもちょっと遠くで。
シャッターの下りる音か、シェルターの換気扇か(真空で換気もないけど^^;)、海中で息を吐く音か。
耳に綿を詰められてそれらを聞かされているような不思議な音を聞きながら、孤独な空間を物凄いスピードで移動しているような感じだ。
目を閉じているのに、真っ白だ。
両足には体重が掛かってるはずだけど、実感がない。
周りの存在はわかってる、わかっているけど私だけ違う空間にいる感じだ。
スピード感と不思議な雑音、そして、外部から遮断させた感覚。
衝撃はずっと続いている。
冷たさは全身に染み渡る。
ああ、お水かけられてる。
幸せ、幸せ、幸せ。
凄いスピードで落ちながらシェルターの中で心が躍る。
あり得ないほど、理由はわからないけど大喜びしてる。
その一方で、この瞬間を、染み渡る水のように静かに心に刻む私もいる。
ああ、嬉しい、私、いま夢が叶ってる。
ずっとこうしてほしかったの。
困って、困って、そして、お水をかけてほしかったの。
変な私にしてほしかったの。
あの困惑を、喜びに変えてほしかったの。
絶対に守ってくれると信じて、その姿を人前に晒したかったの。
そう、まわりの存在を認識する中での「シェルター」、これが「お外」の喜びだ。
このまわりを意識してはじめて感じるシェルターが3つ目の願望。
だから、外がいい。
もうずっとお水をかけていてほしい。
大喜びの私と静寂の私、2人の私がそう願っていた。
1Lが、多かったのか少なかったのか、たかだか数十秒だろう。
でも、凄い距離を移動した気分だ。
お水が終わったのはわかったけど、立ち上がれない。
残念ながら、外は「没頭」が長くない。
一部の理性が戻り(それでも一部)、いまの自分を俯瞰する。
ニットワンピはそれほど透けてないだろう。
綿のカーディガンが腕に張り付いて、これが不自然なはずだ。
瞬時に判断して「上、脱いでいいですか?」と顔を覆ったまま聞く。
「いいよ。」
上から声だけが聞こえて、しゃがんで俯いたままささっと脱いだ。
それで安心したのか、そこから立って歩き出した記憶が曖昧なの。
急かされたのか、自分の意志で立ったのか、わからない。
気付いたら、那智さんの後に付いて歩いてる。
ぼんやりとふわふわと歩いてる。
カーディガンを握りしめ、髪も洋服も体もびしょ濡れ、髪からはポタポタと水が滴り落ち、私はすれ違う人の目にどんな風に映ってるのか、それもあまり気にならない。
角を曲がり、ホテルに向かう道に入った。
那智さんの手が私の顎を摘む。
そこで、ビンタ。
またぎゅーんと胸が締め付けられる。
私の頬を叩いたその手をきつく握り、その手だけを頼りにふらふらとホテルに入っていった。
この日、夢が叶った。
困らされて、洋服を濡らされて、外で晒してくれた。
そして、その真空のシェルターを味わわせてもらった。
持て余していた私の中の「変態」を幸福にしてあげられることができて、とても嬉しい。
こんな、変な夢だけど、それを信頼する大好きな那智さんに叶えてもらった。
私の夢が叶った日。
そして、さらに夢は叶っていく。
「今度は下着を着けないで水をかけてあげるね。」こんな予告がそれを教えてくれる。
実は、もうひとつ、あの瞬間に感じたことがあるの。
それは、「お水かけてもらって幸せ」と心が躍ったのは、夢が叶ってるという喜びと、もうひとつ、水遊びの感覚なの^^
「暑いから水かけたら気持ちいいだろうな〜」という、この出来事の発端となった那智さんの言葉がその感覚を植え付けたのかもしれないのだけど。
あのね、犬か小さい子。(またって呆れないでね)
硬直してしゃがみ込んで真空状態の私の脳の何%かは「飼い主に(お父さんに)夏の暑い日に、水遊びしてもらってる犬(女の子)」だったのだ。
そのきゃっきゃとした感じが、とっても楽しくて嬉しかったの。
ああ、これも、私の核になる部分ね。
「夢が叶う」
ただの変態行為だけど、私は私の「この子」によかったねって、心の中でつぶやく。
そうそう、凄く暑い日だったから、純粋に冷たくて気持ちよかったっていうもの、ほんとの感想のひとつ^^
那智さんに付いて行く。
もうすぐコンビニの前だ。
コンビニが視界に入って、私は思わず胸を撫で下ろした。
入り口横のゴミ箱の所に3人の男女がタバコを吸っておしゃべりをしている。
よかった、先に人がいる場合、那智さんはそこでは露出行為(露出というのか!?)はしないはずだ。
このままコンビニでミネラルウォーターを買っている間あの人たちがいてくれたら、コンビニ前はなくなる。
祈るような気持ちで、買い物をする那智さんに付いて行く。
1Lのミネラルウォーターを買って外に出る。
まだ、おしゃべりは続いていた。
ああ、よかった。
那智さんはちょっと残念そうだ。
コンビニを後にして、ホテル街の角に差し掛かり例の「くぼみ」が見えた。
あそこもかなりの「お外」だけど、まあ、コンビニの前よりはまし。
でも、那智さんが私の提案通りにしてくれるはずもなく、その角を曲がらずにそのまま先に進んで行った。
その角より先にはあまり行ったことがない。
10mほど行くと大きめのビルが建っていて、その横にコインパーキングがある。
その入り口が、僅かに歩道から奥に入ってる。
大きなビルが壁になっていて、くぼみよりは一般道路だけど、コンビニよりは拓けていないという絶妙の空間になっていた。
ただ、パーキングを利用しようとする人がいたら、それはとても至近距離。
ああ、どうしよう。
ここで、ここで、頭からお水をかけられるんだ。
2m先は歩道だ。
人が歩いている。
ほんとに、そんなことをするのだろうか。
歩いている人はなんて思うだろう。
痴話げんか?熱中症対策?いずれにしても「変」なことだ。
数年前、私が見たあの夢。
私の中にある「かわった性癖」を突きつけられ、そして、それを持つ自分に救いようのない困惑を感じさせたあの夢。
それと同じことが、いま行われようとしてる。
その、とても変な行いをする覚悟。
そして、あの時感じた困惑から解放されるかもしれないという胸の高鳴り。
コインパーキングの入り口に立ち。
那智さんの手を握って、行動をさえぎる。
腰が引けてしまっている。
胸が高鳴ると言っても、やっぱり「ほんとにそんなことするの!?」という恐怖が強い。
手を握り腰を引き那智さんに訴える。
「嫌がってるんじゃないんです。覚悟決める時間を少しください。」
(かつて、恐怖のあまりしゃがみ込んだことを「拒否」ととられてしまって、更に酷いことに発展してしまった経験があるから、ここは「拒否」じゃないことを伝えておかないと…)
「うん、いいよ。」
大きくため息をついて、辺りを見回す。
コンビニ前よりは、少しだけ人通りが少ないかもしれない。
それでも、サラリーマンやら学生風の女の子の姿が視界に入って、ああ、やっぱり怖い。
「拒否じゃないんです。もう少し、覚悟を決めさせてください。」
もう、立っている力がない。
恐怖とか背徳感とか高揚で両足に力が入らない。
同じようなことを伝えて、ヘナヘナとその場にしゃがみ込んでしまった。
両手で顔を覆い、ため息をついたその時。
冷たい水の衝撃が襲った。
頭から首筋、背中、その冷たい衝撃に体が硬直する。
その瞬間、なんて言ったらいいのだろう、物凄いスピードでシャッターが下りて、すべてが閉ざされたようだった。
目、耳、口、毛穴、理性、モラル、恐怖、すべてが閉ざされたみたい。
もしくは、勢い良く真空のシェルターに放り投げられたみたい。
真空のシェルターなんて状態わからないけど、そんな感覚。
もしくは、足にサメが食い付き勢い良く海中に引きずり込まれたような。
雑踏ではない何かがざわついている、それもちょっと遠くで。
シャッターの下りる音か、シェルターの換気扇か(真空で換気もないけど^^;)、海中で息を吐く音か。
耳に綿を詰められてそれらを聞かされているような不思議な音を聞きながら、孤独な空間を物凄いスピードで移動しているような感じだ。
目を閉じているのに、真っ白だ。
両足には体重が掛かってるはずだけど、実感がない。
周りの存在はわかってる、わかっているけど私だけ違う空間にいる感じだ。
スピード感と不思議な雑音、そして、外部から遮断させた感覚。
衝撃はずっと続いている。
冷たさは全身に染み渡る。
ああ、お水かけられてる。
幸せ、幸せ、幸せ。
凄いスピードで落ちながらシェルターの中で心が躍る。
あり得ないほど、理由はわからないけど大喜びしてる。
その一方で、この瞬間を、染み渡る水のように静かに心に刻む私もいる。
ああ、嬉しい、私、いま夢が叶ってる。
ずっとこうしてほしかったの。
困って、困って、そして、お水をかけてほしかったの。
変な私にしてほしかったの。
あの困惑を、喜びに変えてほしかったの。
絶対に守ってくれると信じて、その姿を人前に晒したかったの。
そう、まわりの存在を認識する中での「シェルター」、これが「お外」の喜びだ。
このまわりを意識してはじめて感じるシェルターが3つ目の願望。
だから、外がいい。
もうずっとお水をかけていてほしい。
大喜びの私と静寂の私、2人の私がそう願っていた。
1Lが、多かったのか少なかったのか、たかだか数十秒だろう。
でも、凄い距離を移動した気分だ。
お水が終わったのはわかったけど、立ち上がれない。
残念ながら、外は「没頭」が長くない。
一部の理性が戻り(それでも一部)、いまの自分を俯瞰する。
ニットワンピはそれほど透けてないだろう。
綿のカーディガンが腕に張り付いて、これが不自然なはずだ。
瞬時に判断して「上、脱いでいいですか?」と顔を覆ったまま聞く。
「いいよ。」
上から声だけが聞こえて、しゃがんで俯いたままささっと脱いだ。
それで安心したのか、そこから立って歩き出した記憶が曖昧なの。
急かされたのか、自分の意志で立ったのか、わからない。
気付いたら、那智さんの後に付いて歩いてる。
ぼんやりとふわふわと歩いてる。
カーディガンを握りしめ、髪も洋服も体もびしょ濡れ、髪からはポタポタと水が滴り落ち、私はすれ違う人の目にどんな風に映ってるのか、それもあまり気にならない。
角を曲がり、ホテルに向かう道に入った。
那智さんの手が私の顎を摘む。
そこで、ビンタ。
またぎゅーんと胸が締め付けられる。
私の頬を叩いたその手をきつく握り、その手だけを頼りにふらふらとホテルに入っていった。
この日、夢が叶った。
困らされて、洋服を濡らされて、外で晒してくれた。
そして、その真空のシェルターを味わわせてもらった。
持て余していた私の中の「変態」を幸福にしてあげられることができて、とても嬉しい。
こんな、変な夢だけど、それを信頼する大好きな那智さんに叶えてもらった。
私の夢が叶った日。
そして、さらに夢は叶っていく。
「今度は下着を着けないで水をかけてあげるね。」こんな予告がそれを教えてくれる。
実は、もうひとつ、あの瞬間に感じたことがあるの。
それは、「お水かけてもらって幸せ」と心が躍ったのは、夢が叶ってるという喜びと、もうひとつ、水遊びの感覚なの^^
「暑いから水かけたら気持ちいいだろうな〜」という、この出来事の発端となった那智さんの言葉がその感覚を植え付けたのかもしれないのだけど。
あのね、犬か小さい子。(またって呆れないでね)
硬直してしゃがみ込んで真空状態の私の脳の何%かは「飼い主に(お父さんに)夏の暑い日に、水遊びしてもらってる犬(女の子)」だったのだ。
そのきゃっきゃとした感じが、とっても楽しくて嬉しかったの。
ああ、これも、私の核になる部分ね。
「夢が叶う」
ただの変態行為だけど、私は私の「この子」によかったねって、心の中でつぶやく。
そうそう、凄く暑い日だったから、純粋に冷たくて気持ちよかったっていうもの、ほんとの感想のひとつ^^
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