またわんこです^^;3
非日常的な日常
必死に尻尾をお尻にねじ込んで、わんこが完成した。
ホッと一息ついてコーヒーをすするけど、まだ心は落ち着きを取り戻せない。
尻尾を入れたときの焦燥と、わんこになった喜びと、お尻に違和感の気持ち良さ、そして、これで終わりじゃないと想像できてしまうから、落ち着けないのだ。
「次は何をするか、わかる?」
そう言われて、頭からざばーっと水をかけられたみたいに、全身が強ばり、そして、一部が諦める。
青天の霹靂ではない。
那智さんなら、やりかねない、わかっていたこと。
想像できなくない展開だけど、改めて目の前に提示されると強ばる。
そんなの無理という気持ちと、やっぱりという気持ち、どうしたら良いのという戸惑いと、しないわけにはいかないだろうという諦め。
一瞬にしていろんな感情が吹き出る。
大きくため息を付いて、なんとか落ち着こうとする。
この時点では「拒否」がほとんど。
わんこになりたい少数派が僅かにいるけど、その少数さえも「さすがにここではねぇ」とかなり消極的。
小さく首を振って那智さんを見る。
「犬にならなきゃね。」
と言って、床を指差す。
目をぎゅっとつぶって、また小さく首を振り、「無理です」と無言で伝える。
だって、人がいるんですよ!
マ○○の店内で床に四つん這いになってる人なんて見たことないでしょ!!
「ほーら。」
また、指を指す。
無理よ、那智さん。
絶対無理。
でも、あんまりごねてると、もっと酷いことに発展してしまう危険性がある。
「隣に人が来てもするからね。」
私の心を読んだのか、こんなこと言われてしまう。
恐る恐る周りを伺う。
すでに、ちょっと不審な空気に気付いているかもしれない(みなさん、ごめんなさい)、ここで私が何かアクションを起こしたら、きっと目立ってしまう。
でも、幸いすぐ左の「仕切り」が私を全部晒すことから守ってくれるかもしれない。
勇気を振り絞り、もう一度大きく息を吐く。
ああ、こんなことしちゃうんだ私。
こんなことしちゃうんだ。
ここで私は、私の新しい感情に気付くの。
「どうか、もう提示したものを取り下げないでください。」
消極的だった少数派が、息を吹き返す。
「やめさせないで、このままりん子をわんこにして」
何かを手放し、何かを手に入れた瞬間だ。
できるだけ静かに腰をずらして、椅子から床に下りる。
誰も気付きませんように。
手放したと言ってもそれは一部、全身が心臓になったように脈打ち、頭もガンガンしている。
床に膝と手を付く。
仕切りのおかげで、全身を晒すことは避けられてるはずだ。
左手のベンチシートに座っている若い女性3人からは死角だろう。
気付いても「いなくなった?」くらいに思うはず。
左斜めのベンチシートの中年男性と那智さんの肩越しの女性は、わからない。
椅子から下りて床にいることはわかるかもしれない。
でも、何かまではわからないのではないか。
この仕切りは、高さは腰くらいまでで、横幅は壁からテーブルくらいまで。
従って、那智さんの座ってる姿はほとんど仕切りからでているはずだ。
だから、私は仕切りに守ってもらおうと、壁にお尻が付くくらい後ろに下がる。
床に膝と手を付いて座る。
でも、これじゃダメなの。
ノロノロとお尻を上げる。
四つ足になるために。
恐い。
恐いと同時に、それを他人が見て不快感を与えてしまうかもしれないことが、苦しい。
でも、お尻を上げるのは嬉しくて感じる。
怖ず怖ずと四つん這いになり、顔を上げられないでいる。
那智さんが髪を掴み、グッと顔を引き上げた。
ああ、だめ、それは私が好きなこと。
恐いと嬉しい、ごめんなさいと気持ちいい、大きく針が振れて狂いそうだ。
那智さんが腕だけ下げてデジカメを構えている、目測で写真を撮るのだ。
フラッシュが焚かれて、四つん這いの私はカメラに収められた。
(フラッシュオフにしてください〜、目立ちゃう 泣)
写真を撮って満足した那智さんが「いいよ」と言ったから、私はまたそーっと席に戻る。
恥ずかしくて周りが見られないよ。
「顔を上げて。」
激しく俯いてると、そう促される。
ふぅ〜と深呼吸して那智さんを見る。
「物足りないんじゃない。」
え?物足りない??
……、ああ、そうなの、物足りないの。
「いいよ。」と言われて寂しかったの。
もう少しわんこでいたかったの。
何かを手放してしまって手に入れたものを、味わう時間が少なかったの。
顔にそう書いてあったそうだ。
隣に人が来ていないからか、来ても面白いと思ったからか、物足りないと顔に書いてある私のために「じゃあ、もう一度。」と床を差す。
床を差してくれたが、正しいな。
嬉しい、もう一回わんこになれる。
それでも、周囲に申し訳ない気持ちがなくなっているわけじゃなから、またそっと椅子から下りる。
そして、お尻を上げて四つん這いになる。
さっきより抵抗は少ないかな。
嬉しい。
那智さんにくっつきたい。
それには、前に出ないといけない。
仕切りな防壁から出ないと近づけない。
でも、くっつきたい。
よちよちと四つ足で前に進む。
那智さんの足下に行くのだ。
あの幸せな世界に行くの。
那智さんの太腿が見えた、同時にベンチシートに座ってる女性の下半身が太腿越しに視界に入ってきて、きっと何かは見えてしまうかもしれないと辛い気持ちになる。
だけど、心のどこかで「見て」とも思ってる。
変なもの見せてごめんなさいという思いが大半を占める中、見てほしい私もいるのだ。
那智さんのわんこになれる幸せと快感だけじゃない、それならホテルの中でもいいはずだ。
那智さんが誇示してくれる喜びと同じように、私の中に「この変な私を見て、那智さんのものの異質な私を見て」という気持ちもあるんだ。
やらされている、従うこのが嬉しい。
それよりももっと変態な私がいるのだ。(従う喜びも、アブノーマルなのかな!?)
だから、積極的に前に姿を現すなんてことできないけど、那智さんにくっつくために歩み寄り、そして、私の一部が誰かの視界の端に映ってもかまわない、ごめんなさい映って…と思ってしまってる。
女性の下半身を視界に捉え僅かな理性が脳にそれを伝えるけど、不安を快感が凌駕していて、私の心はもう揺れない。
那智さんの手が伸びて、首筋を撫でてくれる。
ああ、幸せ、こうしてほしかったの、さっき撫でてくれないのだもの。
那智さんの太腿と手に挟まれて、もう嬉しくて嬉しくてしかたがない。
ずっとずっとこのまりん子こにいたい、うっとりと目を閉じる。
尻尾が振れないのが残念だ。
どんなきっかけで席に戻ったか思い出せない。
気が付くと私は椅子に座り、尻尾付き女に戻っていた。
でも、心も体もわんこの気持ち良さに漂い、まったく現実感がない。
虚ろな目をしているかもしれないけど、恐らく普通に座れているはず、自分の表面と中身が別な物のようだ。
「気持ちいいんだ?」
「はい。」
この問いかけが嬉しいの。
これで気持ち良くなる私を慈しんでくれているように感じられるから。
フワフワしていると、新しくお客さんが入ってきた。
私たちの右斜め後ろの席に座る。
この席はまったく死角がない、私たちは丸見えだ。
「もう一回、やる?」
那智さん、楽しそう。
「いまならできるだろ?」
「…はい、いまならできます。」
フワフワしていて、脳みそが恍惚しているいまならできる。
いっぱいいっぱい手放してしまえる。
「でも、しちゃいけないの。」
そう言って顔を伏せる。
他人の目の前で、わんこにならずにすんだのか、なれなかったのか、どっちも本当でどっちも嘘。
できる、でも、しちゃいけない。
見せたら申し訳ない、でも、見てほしい。
葛藤。
那智さんと知り合って、ずっと葛藤している。
でも、その葛藤の種類が少し変化しているように思う。
わんこの話。
「見られたら困る、でも、わんこは嬉しい、じゃなくて見てほしいだろ?それを書かないからしっくり来ないんだよ。」
那智さんにそう言われた。
認めるの恐い。
また、変な私を那智さんに指摘されてしまった。
でも、嬉しい。
那智さんが先に認めてくれるから、私も認められるの。
だから、葛藤の振れ幅が大きくなってきていると思う。
それでも振り子のように、必ず元に戻るのだ。
だから、たくさん振れても大丈夫。
ずっと那智さんに可愛がってもらうんだ。
で、那智さん、覆面は何にします?
(きゃー、これはオチですから、真に受けないでくださいね!!)
必死に尻尾をお尻にねじ込んで、わんこが完成した。
ホッと一息ついてコーヒーをすするけど、まだ心は落ち着きを取り戻せない。
尻尾を入れたときの焦燥と、わんこになった喜びと、お尻に違和感の気持ち良さ、そして、これで終わりじゃないと想像できてしまうから、落ち着けないのだ。
「次は何をするか、わかる?」
そう言われて、頭からざばーっと水をかけられたみたいに、全身が強ばり、そして、一部が諦める。
青天の霹靂ではない。
那智さんなら、やりかねない、わかっていたこと。
想像できなくない展開だけど、改めて目の前に提示されると強ばる。
そんなの無理という気持ちと、やっぱりという気持ち、どうしたら良いのという戸惑いと、しないわけにはいかないだろうという諦め。
一瞬にしていろんな感情が吹き出る。
大きくため息を付いて、なんとか落ち着こうとする。
この時点では「拒否」がほとんど。
わんこになりたい少数派が僅かにいるけど、その少数さえも「さすがにここではねぇ」とかなり消極的。
小さく首を振って那智さんを見る。
「犬にならなきゃね。」
と言って、床を指差す。
目をぎゅっとつぶって、また小さく首を振り、「無理です」と無言で伝える。
だって、人がいるんですよ!
マ○○の店内で床に四つん這いになってる人なんて見たことないでしょ!!
「ほーら。」
また、指を指す。
無理よ、那智さん。
絶対無理。
でも、あんまりごねてると、もっと酷いことに発展してしまう危険性がある。
「隣に人が来てもするからね。」
私の心を読んだのか、こんなこと言われてしまう。
恐る恐る周りを伺う。
すでに、ちょっと不審な空気に気付いているかもしれない(みなさん、ごめんなさい)、ここで私が何かアクションを起こしたら、きっと目立ってしまう。
でも、幸いすぐ左の「仕切り」が私を全部晒すことから守ってくれるかもしれない。
勇気を振り絞り、もう一度大きく息を吐く。
ああ、こんなことしちゃうんだ私。
こんなことしちゃうんだ。
ここで私は、私の新しい感情に気付くの。
「どうか、もう提示したものを取り下げないでください。」
消極的だった少数派が、息を吹き返す。
「やめさせないで、このままりん子をわんこにして」
何かを手放し、何かを手に入れた瞬間だ。
できるだけ静かに腰をずらして、椅子から床に下りる。
誰も気付きませんように。
手放したと言ってもそれは一部、全身が心臓になったように脈打ち、頭もガンガンしている。
床に膝と手を付く。
仕切りのおかげで、全身を晒すことは避けられてるはずだ。
左手のベンチシートに座っている若い女性3人からは死角だろう。
気付いても「いなくなった?」くらいに思うはず。
左斜めのベンチシートの中年男性と那智さんの肩越しの女性は、わからない。
椅子から下りて床にいることはわかるかもしれない。
でも、何かまではわからないのではないか。
この仕切りは、高さは腰くらいまでで、横幅は壁からテーブルくらいまで。
従って、那智さんの座ってる姿はほとんど仕切りからでているはずだ。
だから、私は仕切りに守ってもらおうと、壁にお尻が付くくらい後ろに下がる。
床に膝と手を付いて座る。
でも、これじゃダメなの。
ノロノロとお尻を上げる。
四つ足になるために。
恐い。
恐いと同時に、それを他人が見て不快感を与えてしまうかもしれないことが、苦しい。
でも、お尻を上げるのは嬉しくて感じる。
怖ず怖ずと四つん這いになり、顔を上げられないでいる。
那智さんが髪を掴み、グッと顔を引き上げた。
ああ、だめ、それは私が好きなこと。
恐いと嬉しい、ごめんなさいと気持ちいい、大きく針が振れて狂いそうだ。
那智さんが腕だけ下げてデジカメを構えている、目測で写真を撮るのだ。
フラッシュが焚かれて、四つん這いの私はカメラに収められた。
(フラッシュオフにしてください〜、目立ちゃう 泣)
写真を撮って満足した那智さんが「いいよ」と言ったから、私はまたそーっと席に戻る。
恥ずかしくて周りが見られないよ。
「顔を上げて。」
激しく俯いてると、そう促される。
ふぅ〜と深呼吸して那智さんを見る。
「物足りないんじゃない。」
え?物足りない??
……、ああ、そうなの、物足りないの。
「いいよ。」と言われて寂しかったの。
もう少しわんこでいたかったの。
何かを手放してしまって手に入れたものを、味わう時間が少なかったの。
顔にそう書いてあったそうだ。
隣に人が来ていないからか、来ても面白いと思ったからか、物足りないと顔に書いてある私のために「じゃあ、もう一度。」と床を差す。
床を差してくれたが、正しいな。
嬉しい、もう一回わんこになれる。
それでも、周囲に申し訳ない気持ちがなくなっているわけじゃなから、またそっと椅子から下りる。
そして、お尻を上げて四つん這いになる。
さっきより抵抗は少ないかな。
嬉しい。
那智さんにくっつきたい。
それには、前に出ないといけない。
仕切りな防壁から出ないと近づけない。
でも、くっつきたい。
よちよちと四つ足で前に進む。
那智さんの足下に行くのだ。
あの幸せな世界に行くの。
那智さんの太腿が見えた、同時にベンチシートに座ってる女性の下半身が太腿越しに視界に入ってきて、きっと何かは見えてしまうかもしれないと辛い気持ちになる。
だけど、心のどこかで「見て」とも思ってる。
変なもの見せてごめんなさいという思いが大半を占める中、見てほしい私もいるのだ。
那智さんのわんこになれる幸せと快感だけじゃない、それならホテルの中でもいいはずだ。
那智さんが誇示してくれる喜びと同じように、私の中に「この変な私を見て、那智さんのものの異質な私を見て」という気持ちもあるんだ。
やらされている、従うこのが嬉しい。
それよりももっと変態な私がいるのだ。(従う喜びも、アブノーマルなのかな!?)
だから、積極的に前に姿を現すなんてことできないけど、那智さんにくっつくために歩み寄り、そして、私の一部が誰かの視界の端に映ってもかまわない、ごめんなさい映って…と思ってしまってる。
女性の下半身を視界に捉え僅かな理性が脳にそれを伝えるけど、不安を快感が凌駕していて、私の心はもう揺れない。
那智さんの手が伸びて、首筋を撫でてくれる。
ああ、幸せ、こうしてほしかったの、さっき撫でてくれないのだもの。
那智さんの太腿と手に挟まれて、もう嬉しくて嬉しくてしかたがない。
ずっとずっとこのまりん子こにいたい、うっとりと目を閉じる。
尻尾が振れないのが残念だ。
どんなきっかけで席に戻ったか思い出せない。
気が付くと私は椅子に座り、尻尾付き女に戻っていた。
でも、心も体もわんこの気持ち良さに漂い、まったく現実感がない。
虚ろな目をしているかもしれないけど、恐らく普通に座れているはず、自分の表面と中身が別な物のようだ。
「気持ちいいんだ?」
「はい。」
この問いかけが嬉しいの。
これで気持ち良くなる私を慈しんでくれているように感じられるから。
フワフワしていると、新しくお客さんが入ってきた。
私たちの右斜め後ろの席に座る。
この席はまったく死角がない、私たちは丸見えだ。
「もう一回、やる?」
那智さん、楽しそう。
「いまならできるだろ?」
「…はい、いまならできます。」
フワフワしていて、脳みそが恍惚しているいまならできる。
いっぱいいっぱい手放してしまえる。
「でも、しちゃいけないの。」
そう言って顔を伏せる。
他人の目の前で、わんこにならずにすんだのか、なれなかったのか、どっちも本当でどっちも嘘。
できる、でも、しちゃいけない。
見せたら申し訳ない、でも、見てほしい。
葛藤。
那智さんと知り合って、ずっと葛藤している。
でも、その葛藤の種類が少し変化しているように思う。
わんこの話。
「見られたら困る、でも、わんこは嬉しい、じゃなくて見てほしいだろ?それを書かないからしっくり来ないんだよ。」
那智さんにそう言われた。
認めるの恐い。
また、変な私を那智さんに指摘されてしまった。
でも、嬉しい。
那智さんが先に認めてくれるから、私も認められるの。
だから、葛藤の振れ幅が大きくなってきていると思う。
それでも振り子のように、必ず元に戻るのだ。
だから、たくさん振れても大丈夫。
ずっと那智さんに可愛がってもらうんだ。
で、那智さん、覆面は何にします?
(きゃー、これはオチですから、真に受けないでくださいね!!)
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