殿のご乱心
非日常的な日常
さあ、いよいよお城見学。(「ひとつクリア」の続きです)
靴を脱いでスリッパに履き替えて、大きくて急な階段を上がっていく。
入り口にいる係のおじさんと「寒いですね〜」なんて言いながら。
確かにスリッパを履いていても床からの冷たい空気で底冷えするけど、さっき那智さんがくれたホカロンをポケットに入れているから、それで少しは暖かい。
相変わらず、私の保護者さん。
こんな雪の日でも、見学者はいるもので、ぽつぽつと人影は切れない。
薄暗い廊下を順路の通りに歩き、壁沿いに展示してある当時の刀や鉄砲、説明書きなどを見るけど、歴史にそれほど興味のない私はちょっと退屈になってしまった。
那智さんから離れて、フラ〜ッとうろついてみる。
部屋には小さな窓が点々とあって、そこから雪で真っ白の景色を見下ろす。
とても小さい窓だから、外の景色は切り取った一部しか見えない。
小さな額縁みたい。
退屈だから妄想少女発動!!
どうしよっかな〜、幽閉されたお姫様かな。
美しい側室の子、将軍様の寵愛を受け正室の怒りに触れ、お城の片隅に閉じ込められひっそりと暮らす?
生まれつき白痴気味の姫、将軍家に相応しくないと殺されそうになるが、あまりの美しさに将軍は殺すことができず、小さな屋根裏部屋で一生を送る?
生まれてから一度もその部屋から出ることはなく、小さな窓から見える景色がその姫の世界のすべて、やがてよく見かけるお侍さんに恋をする??
な〜んて、想像しながら、那智さんのもとに戻る。
「想像してました♪閉じ込められたお姫様^^」
「はあ〜!?」
呆れてる那智さんを横目に、また小窓を覗きに行く。
この時ひとつ実感したことがある。
那智さんは、自分のしたこと以外で私の心がここにあらずになるのが、面白くないみたい。
自分が私を遠くに飛ばすのはいいのにね。
だから、ひとり妄想少女の私をみて、つまんないから遊んでしまえ!!と思ってしまったのです。
「そんなに捕われたいなら、こうしてあげるよ」
例のオレンジ色のロープ(『非日常的な日常』の『従属感』とか『市中引き回しの刑!!』に書いてあります)を取り出してみせる。
ああ、もう、こんなところで…?
こういうときの私の気持ちはとても複雑。
とても困る。
嬉しい。
酷くなりませんように。
でも、ずっとかまっていてほしい。
抵抗したいけど、拍車が掛かるから、諦めて従う。
従うことは、幸せ。
ためらったりしたら、どんどん酷くなるから、困った笑顔で大人しく手を差し出す。
最初は片手。
もうそれだけで落ち着かない。
手首にロープを結んでいることは、ちょっと変わっていることだけど、性的なこととは直結していないはずなんだけど、落ち着かないよ〜。
時々ロープの端を修さんが引いたりして遊んでいる。
人は少ないし、順路があるから、人とすれ違うことはないけれど、もたもたしていると追い抜かれたりするから、わざと那智さんはゆっくり歩いたりして、私を慌てさせるの。
このちょっと変わった私に気付きませんように。
気付かれないように、静かに慌てる感じ。
私が静かに従うことを望むくせに、しばらくするとそれじゃつまらなくなるみたいで、もう少し酷いことをして、もっとあたふたさせたがる、いじめっこの那智さん。
階段を上がると中二階のような部屋があった。
そこは特に展示物もないし、階段の途中だから、ほとんどの人はそのまま上がってしまって、チラッとだけ見るような空間。
とても薄暗くガランとした空間に、規則的に柱が立っている。
「いいのがあるね〜」
ずんずんと奥に進んで行く那智さんについて行く私。
柱にロープをぐるっと回すようにして、結んでいないほうの手首を結わこうとする。
「やめて〜〜〜〜〜」
心の中で大騒ぎ。
公共の場で大声で抵抗するわけにもいかないし、そもそも抵抗したら酷くなる。
無抵抗で、首だけ「これ以上は振れない」ってほどぶんぶん振って意思表示。
おかまいなしの那智さんによって、私は薄暗い部屋の奥に柱を抱えるように結わかれてしまったのだ。
そして「じゃあね〜」っと那智さんが離れて行ってしまった。
「行かないで!!」静かに訴え静かに地団駄を踏む、まったく効果なし。
とにかく人が通る階段に背を向けてうつむいているしかない。
その間にも、どやどやと人が上がって行く気配はしている。
本来は何も展示物のない空間なのに、私たちがいるもんだから「何かあるのかしら〜」みたいな感じで覗いている気配までもしているじゃないですか!!!
「すいません、何もないです、早く上にどうぞ…」
心の中で、謝る。
やっと柱から解放されて、また移動。
もう妄想少女なんてどころじゃない。
どきどき、はあはあだ。
移動中も、スカートに手を入れたり、私をいじくりまくる。
もっとどきどき、はあはあ。
極めつけは天守閣近くの柱。
上手に説明できるかな…。
三角形の大きな格子窓があって、その窓の高さだけ出窓のように1、5mくらい奥まっているの。
その窓の下部分は床から始まっているから、奥まっているところは人が腰を屈めないと入れないというような窓があった。
三角窓の格子越しに雪景色が広がってみえる。
景色がきれいだから、腰を屈めて奥に進むと、那智さんはその出窓の真ん中くらいにある柱にロープを結わこうとしているの。
「お願いします!!やめてください!!!」
もちろん心の中の声。
でも、さすがにこれはちょっと抵抗してしまった。
そんな抵抗は屁とも思わない様子で、両手を柱に結ぶ。
私はその場に正座してじっと堪える。
那智さんが視界から消えていくのが見えた。
きっと一歩下がったくらいなのでしょうけれど、振り返るわけにはいかないから、私には一歩も数mも同じ「大騒ぎ」。
いや、行かないでください!!
でも、振り返れない、だって人が来る気配がすろのだもの。
しかもけっこう大人数っぽい。
しかも、私が窓を覗いている風だから、立ち止まってしまっている。
しかも窓を見ようと、腰を屈めて覗き込んでいる動きまで気配でわかる。
那智さん、どこ!?助けてください。
ただただうつむいているしかできない。
こういう一見「ちょっと変な人」の時は平然としているほうが良いと那智さんは言うけれど、だいたい柱に縛られている状態でしれっと窓の外を眺められるわけない。
窓の格子に括り付けられているなら、体を寄せて窓を覗き込む風を装えるかもしれないけど、窓の手前数十㎝の所で正座をして平然とできますか!?と言いたい。
とにかく、このちっとも性的ではない変な状態を耐えるしかなく、不自然にうつむく。
その人たちが、どこまで私の異変に気付いているのか、そうじゃなくてもそんなところに正座しているだけでもおかしいから、その人たちの気持ちを考えると辛くなる、もうじっとして嵐が過ぎるのを待つだけ。
ヘトヘト。
その団体がいなくなって、ロープを解いてもらった。
頭の中がパニックでぐちゃぐちゃ。
その団体に追いつきたくないと、思うだけで精一杯。
なんとか命からがら無事(?)天守閣まで辿り着いた。
天守閣に立派な座布団が置いてあって、その上に「ここにお殿様がいましたよ」って看板が置いてある。(忘れたけど、なんか漢字で書いてありました。)
皆さんその座布団の横で写真を撮っている。
その人たちがいなくなったら、那智さんはその看板をどかして「やっぱ、ここで撮らなきゃね」と私を座らせる。
お殿様だ♪
立派な座布団に正座して、記念撮影。
うふふ、ちょっと嬉しい。
看板を戻して、よいしょと立ち上がろうとしたら、那智さんが強い力で私を押し倒して、思い切りスカートをたくし上げてきた。
その瞬間、人影がないこと確認して、人が来ないことを祈って、これ以上のことにならないように願って、咄嗟に出た言葉。
「と、殿、ご乱心でございます〜」
「面白いから許す。」
それ以上酷くならずに回避できたのでした。
私の殿の心のスイッチは、一貫しているような、そうでもないような、お供するのは疲労困憊です。
さあ、いよいよお城見学。(「ひとつクリア」の続きです)
靴を脱いでスリッパに履き替えて、大きくて急な階段を上がっていく。
入り口にいる係のおじさんと「寒いですね〜」なんて言いながら。
確かにスリッパを履いていても床からの冷たい空気で底冷えするけど、さっき那智さんがくれたホカロンをポケットに入れているから、それで少しは暖かい。
相変わらず、私の保護者さん。
こんな雪の日でも、見学者はいるもので、ぽつぽつと人影は切れない。
薄暗い廊下を順路の通りに歩き、壁沿いに展示してある当時の刀や鉄砲、説明書きなどを見るけど、歴史にそれほど興味のない私はちょっと退屈になってしまった。
那智さんから離れて、フラ〜ッとうろついてみる。
部屋には小さな窓が点々とあって、そこから雪で真っ白の景色を見下ろす。
とても小さい窓だから、外の景色は切り取った一部しか見えない。
小さな額縁みたい。
退屈だから妄想少女発動!!
どうしよっかな〜、幽閉されたお姫様かな。
美しい側室の子、将軍様の寵愛を受け正室の怒りに触れ、お城の片隅に閉じ込められひっそりと暮らす?
生まれつき白痴気味の姫、将軍家に相応しくないと殺されそうになるが、あまりの美しさに将軍は殺すことができず、小さな屋根裏部屋で一生を送る?
生まれてから一度もその部屋から出ることはなく、小さな窓から見える景色がその姫の世界のすべて、やがてよく見かけるお侍さんに恋をする??
な〜んて、想像しながら、那智さんのもとに戻る。
「想像してました♪閉じ込められたお姫様^^」
「はあ〜!?」
呆れてる那智さんを横目に、また小窓を覗きに行く。
この時ひとつ実感したことがある。
那智さんは、自分のしたこと以外で私の心がここにあらずになるのが、面白くないみたい。
自分が私を遠くに飛ばすのはいいのにね。
だから、ひとり妄想少女の私をみて、つまんないから遊んでしまえ!!と思ってしまったのです。
「そんなに捕われたいなら、こうしてあげるよ」
例のオレンジ色のロープ(『非日常的な日常』の『従属感』とか『市中引き回しの刑!!』に書いてあります)を取り出してみせる。
ああ、もう、こんなところで…?
こういうときの私の気持ちはとても複雑。
とても困る。
嬉しい。
酷くなりませんように。
でも、ずっとかまっていてほしい。
抵抗したいけど、拍車が掛かるから、諦めて従う。
従うことは、幸せ。
ためらったりしたら、どんどん酷くなるから、困った笑顔で大人しく手を差し出す。
最初は片手。
もうそれだけで落ち着かない。
手首にロープを結んでいることは、ちょっと変わっていることだけど、性的なこととは直結していないはずなんだけど、落ち着かないよ〜。
時々ロープの端を修さんが引いたりして遊んでいる。
人は少ないし、順路があるから、人とすれ違うことはないけれど、もたもたしていると追い抜かれたりするから、わざと那智さんはゆっくり歩いたりして、私を慌てさせるの。
このちょっと変わった私に気付きませんように。
気付かれないように、静かに慌てる感じ。
私が静かに従うことを望むくせに、しばらくするとそれじゃつまらなくなるみたいで、もう少し酷いことをして、もっとあたふたさせたがる、いじめっこの那智さん。
階段を上がると中二階のような部屋があった。
そこは特に展示物もないし、階段の途中だから、ほとんどの人はそのまま上がってしまって、チラッとだけ見るような空間。
とても薄暗くガランとした空間に、規則的に柱が立っている。
「いいのがあるね〜」
ずんずんと奥に進んで行く那智さんについて行く私。
柱にロープをぐるっと回すようにして、結んでいないほうの手首を結わこうとする。
「やめて〜〜〜〜〜」
心の中で大騒ぎ。
公共の場で大声で抵抗するわけにもいかないし、そもそも抵抗したら酷くなる。
無抵抗で、首だけ「これ以上は振れない」ってほどぶんぶん振って意思表示。
おかまいなしの那智さんによって、私は薄暗い部屋の奥に柱を抱えるように結わかれてしまったのだ。
そして「じゃあね〜」っと那智さんが離れて行ってしまった。
「行かないで!!」静かに訴え静かに地団駄を踏む、まったく効果なし。
とにかく人が通る階段に背を向けてうつむいているしかない。
その間にも、どやどやと人が上がって行く気配はしている。
本来は何も展示物のない空間なのに、私たちがいるもんだから「何かあるのかしら〜」みたいな感じで覗いている気配までもしているじゃないですか!!!
「すいません、何もないです、早く上にどうぞ…」
心の中で、謝る。
やっと柱から解放されて、また移動。
もう妄想少女なんてどころじゃない。
どきどき、はあはあだ。
移動中も、スカートに手を入れたり、私をいじくりまくる。
もっとどきどき、はあはあ。
極めつけは天守閣近くの柱。
上手に説明できるかな…。
三角形の大きな格子窓があって、その窓の高さだけ出窓のように1、5mくらい奥まっているの。
その窓の下部分は床から始まっているから、奥まっているところは人が腰を屈めないと入れないというような窓があった。
三角窓の格子越しに雪景色が広がってみえる。
景色がきれいだから、腰を屈めて奥に進むと、那智さんはその出窓の真ん中くらいにある柱にロープを結わこうとしているの。
「お願いします!!やめてください!!!」
もちろん心の中の声。
でも、さすがにこれはちょっと抵抗してしまった。
そんな抵抗は屁とも思わない様子で、両手を柱に結ぶ。
私はその場に正座してじっと堪える。
那智さんが視界から消えていくのが見えた。
きっと一歩下がったくらいなのでしょうけれど、振り返るわけにはいかないから、私には一歩も数mも同じ「大騒ぎ」。
いや、行かないでください!!
でも、振り返れない、だって人が来る気配がすろのだもの。
しかもけっこう大人数っぽい。
しかも、私が窓を覗いている風だから、立ち止まってしまっている。
しかも窓を見ようと、腰を屈めて覗き込んでいる動きまで気配でわかる。
那智さん、どこ!?助けてください。
ただただうつむいているしかできない。
こういう一見「ちょっと変な人」の時は平然としているほうが良いと那智さんは言うけれど、だいたい柱に縛られている状態でしれっと窓の外を眺められるわけない。
窓の格子に括り付けられているなら、体を寄せて窓を覗き込む風を装えるかもしれないけど、窓の手前数十㎝の所で正座をして平然とできますか!?と言いたい。
とにかく、このちっとも性的ではない変な状態を耐えるしかなく、不自然にうつむく。
その人たちが、どこまで私の異変に気付いているのか、そうじゃなくてもそんなところに正座しているだけでもおかしいから、その人たちの気持ちを考えると辛くなる、もうじっとして嵐が過ぎるのを待つだけ。
ヘトヘト。
その団体がいなくなって、ロープを解いてもらった。
頭の中がパニックでぐちゃぐちゃ。
その団体に追いつきたくないと、思うだけで精一杯。
なんとか命からがら無事(?)天守閣まで辿り着いた。
天守閣に立派な座布団が置いてあって、その上に「ここにお殿様がいましたよ」って看板が置いてある。(忘れたけど、なんか漢字で書いてありました。)
皆さんその座布団の横で写真を撮っている。
その人たちがいなくなったら、那智さんはその看板をどかして「やっぱ、ここで撮らなきゃね」と私を座らせる。
お殿様だ♪
立派な座布団に正座して、記念撮影。
うふふ、ちょっと嬉しい。
看板を戻して、よいしょと立ち上がろうとしたら、那智さんが強い力で私を押し倒して、思い切りスカートをたくし上げてきた。
その瞬間、人影がないこと確認して、人が来ないことを祈って、これ以上のことにならないように願って、咄嗟に出た言葉。
「と、殿、ご乱心でございます〜」
「面白いから許す。」
それ以上酷くならずに回避できたのでした。
私の殿の心のスイッチは、一貫しているような、そうでもないような、お供するのは疲労困憊です。
COMMENT
わぁ~っ!
これはドキドキのはあはあのへろへろですね(^^;;
お疲れ様でした(笑)
中二階のような部屋での拘束は、てっきり柱を背にしてだと思ったら、抱えて結わえられたんですね。
背にしてだと、後から来た人とご対面~になっちゃうから、流石にそれはないのかな?(笑)
「殿、ご無体な~」だったら
「よいではないか、よいではないか」だったのかも( ̄ー ̄)ニヤリ
これはドキドキのはあはあのへろへろですね(^^;;
お疲れ様でした(笑)
中二階のような部屋での拘束は、てっきり柱を背にしてだと思ったら、抱えて結わえられたんですね。
背にしてだと、後から来た人とご対面~になっちゃうから、流石にそれはないのかな?(笑)
「殿、ご無体な~」だったら
「よいではないか、よいではないか」だったのかも( ̄ー ̄)ニヤリ
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もー、大変でした!!
いま思い出してもはあはあしちゃいます。
でも、でも、柱を背にしてというのは、いい!!
マゾ心をうずかせますね^^;
いや、実際されたら、とんでもないことなんですけど、とんでもないことを妄想するのがわたしたちなので、ね^^
おお、『ご無体な〜』、そのセリフをありましたね、今後『よいではないか』でいける場面用にメモしておこう(笑)
いま思い出してもはあはあしちゃいます。
でも、でも、柱を背にしてというのは、いい!!
マゾ心をうずかせますね^^;
いや、実際されたら、とんでもないことなんですけど、とんでもないことを妄想するのがわたしたちなので、ね^^
おお、『ご無体な〜』、そのセリフをありましたね、今後『よいではないか』でいける場面用にメモしておこう(笑)
柱を背にしてというのに反応して頂けて嬉しいです^^
うずきますよね~、マゾ心(笑)
よりとらわれの身って感じがしませんか?
立ってても正座でもいいですねっ^^
うずきますよね~、マゾ心(笑)
よりとらわれの身って感じがしませんか?
立ってても正座でもいいですねっ^^
ああ、正座ね!!
それも想像していませんでした。
じつは、あんまり想像力のないマゾのようです、わたし^^;
きっと同じイメージを繰り返しタイプなのかもしれません(そんなタイプ分け必要ないけど^^)
それも想像していませんでした。
じつは、あんまり想像力のないマゾのようです、わたし^^;
きっと同じイメージを繰り返しタイプなのかもしれません(そんなタイプ分け必要ないけど^^)