壊れる
非日常的な日常
めずらしく那智さんが先にチェックインしているホテルに1時間ほど遅れてチェックインする。
先でも後でもひとりでラブホに入るのはいつまでたっても勇気がいる。
前回、拘束してもらってものすごい幸福だったし那智さんも満足そうだったから、またするのかなと期待半分、恐いの半分。
きっと、ただ拘束するだけじゃなくて鞭などの痛いこともセットになっているのは想像できるから、まだ拘束+痛いことに慣れていないわたしにとっては恐さもある。
一度、ものすごい快感を味わえても、また次同じようになれるとは限らないからだ。
部屋に入るとTシャツとパンツでおくつろぎな那智さん。
ベッドサイドテーブルに縄や電マや鞭が置いてあって、やっぱり落ち着かない。
まず、いきなり手にしたのはサイドテーブルのそれらではなく那智さんお手製の最新凶器。
プラスチックの布団叩きの柄の部分。
那智さん曰く『なんちゃって乗馬鞭』。
その『なんちゃって乗馬鞭』で、スカートから伸びているふくらはぎに1発。
続けて、スカートをめくり、太ももに数発。
さらにめくって、お尻にも。
痛い、とっても、痛い。
細かく分析するものではないかもしれないけど、この痛さも、またいままでのものとは違う特徴があるんだ。
皮膚に当たった瞬間は、もちろんゴムのバラ鞭のほうが破壊力はあるけれど、これは、そこから痛みの増幅が激しい。
靴べらと同じような表面を弾くような最初の衝撃の後、まるで火傷をしたような重く深い痛みがぐわーんと押し寄せるのだ、しかも、右肩上がりで。
普通、痛みって最初が一番痛くて、徐々に引いていくものだと思うけど、これはなぜか痛みがみるみるうちに増していく。
そのストーリーにまだ気づいていない段階だったので、何?この痛さは!!と最初から逃げ腰。
痛い、痛いと大騒ぎする。
しばらく、それで遊んで、首輪とリードをつけてもらい、那智さん、ソファに移動。
四つん這いになってついていく。
ソファで一服している那智さんの足の間に顔をくっつけひと呼吸したのもつかの間、またスカートをめくり四つん這いのお尻に、また数発。
バチンという響きの後、増幅する痛みに混乱する。
耐え難い痛みに四つん這いのお尻が下がってしまうけどリードを引かれた体は不自由だ。
那智さんの太ももに顔を強く押当てて耐えるしかない。
立ち上がりリードを引き、またベッドに。
スカートもシャツもめくられ露わになった皮膚を打ち据える。
那智さん、これ、痛いです!!
後からもずっと痛いの;;
慣れない痛みと混乱で涙が出る。
そうそう、これ、後から痛いよな(笑)
ベッドで身をよじるわたしに添い寝するように転がり微笑む。
そうなのだ、那智さん、試し打ちしているんだ、だから、わかる。
そうですよね!?
打った後のほうが痛いです;;
ぐわ〜〜んって痛くなるよな(笑)
と言いながら、『ぐわ〜〜ん』と体を反らして痛みを表現してくれる。
ああ、うれしいな。
この痛みを那智さんは知っていて、それを共有することでわたしの不安を払拭しようとしてくれる、笑いながら。
痛さはかわらないけど、この共有は、その痛さを受け入れる気持ちを作ってくれるのだ。
立たされ洋服を脱がしてもらう。
裸になり、今度は全身を打つ。
ああ、それでも、この痛みは慣れない。
そのうち、鞭も使いはじめた。
太ももやお尻や背中に数発の増幅する痛みの後、お尻や腰や太ももに強烈なバラ鞭。
ぜんぜん、無理!!
慣れない痛みのせいか、最近はわりと早く快感に転がるバラ鞭が思うように快感になってくれない。
痛い、痛いと地団駄を踏む。
また、立たされ、次は麻縄。
前回わたしを幸福に導いてくれた拘束。
痛みの混乱の中での、それに、今日は心が折れそうになる。
やっぱり、拘束と痛みのセットは恐怖だ。
露わになっている場所に麻縄が食い込むのは下着をつけていた前回では味わわなかった感覚だ。
縄が柔らかい皮膚を痛めないか、すこし心配する。
(みんな、よく股縄とか、大丈夫だなぁなんてぼんやり思ったり^^;)
手足も動けないように拘束され、すこし途方に暮れる。
前回の夢が叶ったような不自由に対する甘美なそれとはすこし違う。
いま、痛みに対して少し抵抗感を感じているこの段階での拘束に、この先あの痴人状態の快感が来るとは思えなくて、混乱した頭で途方に暮れているのだ。
それでも、やはり拘束されることはうれしい。
よっこいしょとベッドに寝転がるのを手伝ってもらう不完全な自分でいることは那智さんのものという思いを強くしてくれる。
なんちゃって乗馬鞭とバラ鞭で全身を打つ。
お尻、太もも、胸、お腹、背中、ふくらはぎ、腕。
どこもかしこも痛い。
バラ鞭でいつもの快感の糸口が見えそうになるとプラスチックの鋭い痛みにまた引き戻される。
胸を愛撫してもらって違う快感に落ちると、また慣れない痛みで戻される。
お願いです、那智さん、いつもの痛さにして、否応なくあの世界に連れて行って。
なんちゃって乗馬鞭の痛みは後から増幅するから、打った瞬間のリアクションはバラ鞭のようにすぐ七転八倒するようなものではなく、それほど大きくないのだ。
瞬間的なリアクションにならず地味に後からすごく痛い。
だから、那智さん、あまり痛いと思ってくれていないんじゃないか。
痛いと訴えてもおしまいにしてくれないことを、そんなふうに想像して、痛くて、混乱して、思ったように快感にならなくて、那智さんわかってくれなくて、痛みと恐さと悲しさでわんわん泣く。
股縄を引き上げられて、痛くて気持ちいいけど、それはそこ止まり。
心が折れ気味で洗濯バサミに『痛すぎます』のセーフティワードを発令。
もう、混乱して、ヘタレ状態。
快感と覚醒を行き来して混乱する。
ぷつん。
糸が切れた。
あるときを境に、手足を拘束されうつ伏せの状態から動けなくなってしまった。
お尻や太もも強烈に鞭を振り下ろされても、なんちゃって乗馬鞭の増幅する痛みを背中に感じても、その振動に揺れるだけで、自らの力ではピクリとも動けない。
那智さんも不思議に思ったのか、さらに、力を込めて打つ。
それでも、わたしは屍のように微動だにしない。
今日は痴人状態になるような快感にはなっていない。
だから、痛いのものは、痛い、それも強烈に痛い。
でも、痛さに体を動かし抵抗を示す気力が、尽きてしまったのだ。
身をよじり痛みをやり過ごしたいのに、声を上げて痛みに耐えたいのに、それすらできないほどの無気力状態になったしまったのだ。
拷問って、こういう感じになるのかな。
本当の拷問を、これで想像するのはお門違いだと思うけど、人から生きる力を奪うことが拷問の目的のひとつだとしたら、その気持ちが1ミリくらい想像できた気がする。
痛いんですけど、痛がる気力がなくなってしまいました…
ボソボソとつぶやくわたしを見て
りん子、壊れちゃった?(笑)
と、打つのをおしまいにして、縄を解きはじめてくれた。
いえ、人間、そんな簡単に壊れません
そう?でも、けっこう壊れているみたいだよ
腕と足の拘束を解き、体を起こさせ、上半身の縄も解く。
されるがままで、まったく力が入らない。
ゆらゆらとゆらめき、きっと虚ろな表情で呂律の回らないわたしを見て、那智さんはそんなことをいう。
あはは、たしかに、いえ、戻れる程度のことは壊れるとは言いませんけどね
でも、けっこう、それに近いかも
力の入らない夢心地な状態で屁理屈いう自分に、笑う。
面白いほど、ふわふわだ。
いつも痴人状態になるときもふわふわだけど、ぐったりすることはあったけど、『まったく体が動かせない』という状態のふらふらははじめてだった。
那智さんの縄を解いてもらいながら快感とは違う極限を垣間みたようで、不思議な安堵に包まれていた。
これがそのとき。
「等式」感想です。飽きさせない、飽きたくない故の人体実験かもしれません。楽しませたい、楽しみたいの気持ちも当然あります。最近の傾向でりん子には可哀想なのだが快感から引き戻したり、継続している快感の上昇ベクトルを変えたりしています。快感が途切れても直ぐ復活出来る心身にしたい。
めずらしく那智さんが先にチェックインしているホテルに1時間ほど遅れてチェックインする。
先でも後でもひとりでラブホに入るのはいつまでたっても勇気がいる。
前回、拘束してもらってものすごい幸福だったし那智さんも満足そうだったから、またするのかなと期待半分、恐いの半分。
きっと、ただ拘束するだけじゃなくて鞭などの痛いこともセットになっているのは想像できるから、まだ拘束+痛いことに慣れていないわたしにとっては恐さもある。
一度、ものすごい快感を味わえても、また次同じようになれるとは限らないからだ。
部屋に入るとTシャツとパンツでおくつろぎな那智さん。
ベッドサイドテーブルに縄や電マや鞭が置いてあって、やっぱり落ち着かない。
まず、いきなり手にしたのはサイドテーブルのそれらではなく那智さんお手製の最新凶器。
プラスチックの布団叩きの柄の部分。
那智さん曰く『なんちゃって乗馬鞭』。
その『なんちゃって乗馬鞭』で、スカートから伸びているふくらはぎに1発。
続けて、スカートをめくり、太ももに数発。
さらにめくって、お尻にも。
痛い、とっても、痛い。
細かく分析するものではないかもしれないけど、この痛さも、またいままでのものとは違う特徴があるんだ。
皮膚に当たった瞬間は、もちろんゴムのバラ鞭のほうが破壊力はあるけれど、これは、そこから痛みの増幅が激しい。
靴べらと同じような表面を弾くような最初の衝撃の後、まるで火傷をしたような重く深い痛みがぐわーんと押し寄せるのだ、しかも、右肩上がりで。
普通、痛みって最初が一番痛くて、徐々に引いていくものだと思うけど、これはなぜか痛みがみるみるうちに増していく。
そのストーリーにまだ気づいていない段階だったので、何?この痛さは!!と最初から逃げ腰。
痛い、痛いと大騒ぎする。
しばらく、それで遊んで、首輪とリードをつけてもらい、那智さん、ソファに移動。
四つん這いになってついていく。
ソファで一服している那智さんの足の間に顔をくっつけひと呼吸したのもつかの間、またスカートをめくり四つん這いのお尻に、また数発。
バチンという響きの後、増幅する痛みに混乱する。
耐え難い痛みに四つん這いのお尻が下がってしまうけどリードを引かれた体は不自由だ。
那智さんの太ももに顔を強く押当てて耐えるしかない。
立ち上がりリードを引き、またベッドに。
スカートもシャツもめくられ露わになった皮膚を打ち据える。
那智さん、これ、痛いです!!
後からもずっと痛いの;;
慣れない痛みと混乱で涙が出る。
そうそう、これ、後から痛いよな(笑)
ベッドで身をよじるわたしに添い寝するように転がり微笑む。
そうなのだ、那智さん、試し打ちしているんだ、だから、わかる。
そうですよね!?
打った後のほうが痛いです;;
ぐわ〜〜んって痛くなるよな(笑)
と言いながら、『ぐわ〜〜ん』と体を反らして痛みを表現してくれる。
ああ、うれしいな。
この痛みを那智さんは知っていて、それを共有することでわたしの不安を払拭しようとしてくれる、笑いながら。
痛さはかわらないけど、この共有は、その痛さを受け入れる気持ちを作ってくれるのだ。
立たされ洋服を脱がしてもらう。
裸になり、今度は全身を打つ。
ああ、それでも、この痛みは慣れない。
そのうち、鞭も使いはじめた。
太ももやお尻や背中に数発の増幅する痛みの後、お尻や腰や太ももに強烈なバラ鞭。
ぜんぜん、無理!!
慣れない痛みのせいか、最近はわりと早く快感に転がるバラ鞭が思うように快感になってくれない。
痛い、痛いと地団駄を踏む。
また、立たされ、次は麻縄。
前回わたしを幸福に導いてくれた拘束。
痛みの混乱の中での、それに、今日は心が折れそうになる。
やっぱり、拘束と痛みのセットは恐怖だ。
露わになっている場所に麻縄が食い込むのは下着をつけていた前回では味わわなかった感覚だ。
縄が柔らかい皮膚を痛めないか、すこし心配する。
(みんな、よく股縄とか、大丈夫だなぁなんてぼんやり思ったり^^;)
手足も動けないように拘束され、すこし途方に暮れる。
前回の夢が叶ったような不自由に対する甘美なそれとはすこし違う。
いま、痛みに対して少し抵抗感を感じているこの段階での拘束に、この先あの痴人状態の快感が来るとは思えなくて、混乱した頭で途方に暮れているのだ。
それでも、やはり拘束されることはうれしい。
よっこいしょとベッドに寝転がるのを手伝ってもらう不完全な自分でいることは那智さんのものという思いを強くしてくれる。
なんちゃって乗馬鞭とバラ鞭で全身を打つ。
お尻、太もも、胸、お腹、背中、ふくらはぎ、腕。
どこもかしこも痛い。
バラ鞭でいつもの快感の糸口が見えそうになるとプラスチックの鋭い痛みにまた引き戻される。
胸を愛撫してもらって違う快感に落ちると、また慣れない痛みで戻される。
お願いです、那智さん、いつもの痛さにして、否応なくあの世界に連れて行って。
なんちゃって乗馬鞭の痛みは後から増幅するから、打った瞬間のリアクションはバラ鞭のようにすぐ七転八倒するようなものではなく、それほど大きくないのだ。
瞬間的なリアクションにならず地味に後からすごく痛い。
だから、那智さん、あまり痛いと思ってくれていないんじゃないか。
痛いと訴えてもおしまいにしてくれないことを、そんなふうに想像して、痛くて、混乱して、思ったように快感にならなくて、那智さんわかってくれなくて、痛みと恐さと悲しさでわんわん泣く。
股縄を引き上げられて、痛くて気持ちいいけど、それはそこ止まり。
心が折れ気味で洗濯バサミに『痛すぎます』のセーフティワードを発令。
もう、混乱して、ヘタレ状態。
快感と覚醒を行き来して混乱する。
ぷつん。
糸が切れた。
あるときを境に、手足を拘束されうつ伏せの状態から動けなくなってしまった。
お尻や太もも強烈に鞭を振り下ろされても、なんちゃって乗馬鞭の増幅する痛みを背中に感じても、その振動に揺れるだけで、自らの力ではピクリとも動けない。
那智さんも不思議に思ったのか、さらに、力を込めて打つ。
それでも、わたしは屍のように微動だにしない。
今日は痴人状態になるような快感にはなっていない。
だから、痛いのものは、痛い、それも強烈に痛い。
でも、痛さに体を動かし抵抗を示す気力が、尽きてしまったのだ。
身をよじり痛みをやり過ごしたいのに、声を上げて痛みに耐えたいのに、それすらできないほどの無気力状態になったしまったのだ。
拷問って、こういう感じになるのかな。
本当の拷問を、これで想像するのはお門違いだと思うけど、人から生きる力を奪うことが拷問の目的のひとつだとしたら、その気持ちが1ミリくらい想像できた気がする。
痛いんですけど、痛がる気力がなくなってしまいました…
ボソボソとつぶやくわたしを見て
りん子、壊れちゃった?(笑)
と、打つのをおしまいにして、縄を解きはじめてくれた。
いえ、人間、そんな簡単に壊れません
そう?でも、けっこう壊れているみたいだよ
腕と足の拘束を解き、体を起こさせ、上半身の縄も解く。
されるがままで、まったく力が入らない。
ゆらゆらとゆらめき、きっと虚ろな表情で呂律の回らないわたしを見て、那智さんはそんなことをいう。
あはは、たしかに、いえ、戻れる程度のことは壊れるとは言いませんけどね
でも、けっこう、それに近いかも
力の入らない夢心地な状態で屁理屈いう自分に、笑う。
面白いほど、ふわふわだ。
いつも痴人状態になるときもふわふわだけど、ぐったりすることはあったけど、『まったく体が動かせない』という状態のふらふらははじめてだった。
那智さんの縄を解いてもらいながら快感とは違う極限を垣間みたようで、不思議な安堵に包まれていた。
これがそのとき。
「等式」感想です。飽きさせない、飽きたくない故の人体実験かもしれません。楽しませたい、楽しみたいの気持ちも当然あります。最近の傾向でりん子には可哀想なのだが快感から引き戻したり、継続している快感の上昇ベクトルを変えたりしています。快感が途切れても直ぐ復活出来る心身にしたい。
COMMENT
りんこさぁん
大丈夫ですかぁ??
よしよしってしたくなるエントリーです。
大丈夫ですかぁ??
よしよしってしたくなるエントリーです。
あこさーん。
ありがとー、よしよしうれしいよう。
たしかに、このときヘトヘトで快感なんてどころじゃなかったです^^;
ありがとー、よしよしうれしいよう。
たしかに、このときヘトヘトで快感なんてどころじゃなかったです^^;