生きるために
独特な幸福感
那智さんが首を絞めてきた。
浴衣の紐を首に回して、左右にぐーっと引いた。
いままでも、首の血管を押さえて脳に血液が行かないようにして頭をぼーっとさせる(何とかプレイ?)ことや、軽く首を絞めることもあったけど。
このときはとても強い力で絞められた。
無抵抗。
力を入れはじめた時に那智さんの顔を見ていたはずだけど、力が増していく間に視界には何も映らなくなっていた。
目は開いているはずなんだけど、思い出せない。
その時の景色も気配も。
苦しいな〜とぼんやりと思っていた。
このまま力を入れ続けたら、私は死んでしまうのかしら。
那智さんはそんなことするはずない。
でも、殺されても、それもいいかもしれないと思う自分がいて困る。
そんなに長い時間ではないのでしょうけれど、時間の経過がわからない。
浴衣の紐が緩んで、私の呼吸は元に戻る。
気管を絞めたから、咳が止まらない。
むせるように咳をしながら、涙が溢れてしょうがなかった。
父を看取り、人が死んでいくことは、ちっとも甘くない厳しい現実だけだということを目の当たりにした。
だから、「殺されてもいい」なんて、甘美な妄想に過ぎないことも分かっている。
私には、私を愛してくれる人も、私を必要としてくれる人もいる。
だから、簡単に「死」を口にしてはいけないとも思う。
私は、まだ死んじゃいけないのだもの。
でも、首を絞められているときに、どこまでも無抵抗でいてしまうかもしれないと、何%かは確実に抵抗しない私がいることを見てしまったような感じがして、怖くて涙が出て来てしまった。
咳き込んで抱きしめられながら、怖くて泣いた。
欲望や背徳や歪んだ心を、私は那智さんと一緒に理性の淵ぎりぎりのところからたくさん覗いてきた。
落っこちないように手をしっかりと握って。
それを覗いて「こんな私がいましたね」なんて、生還の安堵の中で語り合う感じ。
このときの「ぎりぎり」は、無抵抗かもしれないと思い知ることで、「生きていく」と再認識するような淵だった。
那智さんは、恐らく「(死を選んでしまいそうな)りん子を生かそう」と思ったはず。
私は、那智さんに委ねると思った。
まあ、本当に殺人なんてことはないでしょうから、これも大げさなお話なのですが、私が那智さんに委ねてしまっていると、那智さんは律していてくれるの。
これは、ずるいことかもしれない。
でも、あなた次第と言えるほうが私には幸せなこと。
こう書いていて、私は那智さんの心の底を一緒に覗いているのだろうかと、心配になってしまった。
あなたは私の道標、私はあなたのもの、所有されている(と思っている)ものが、所有している者の心の底を見るものではないのかもしれない。
けれど、手を繋いで一緒に覗いてくれる人がいるってことは、とても幸せなことで、その行為は人生を豊かにできると思っているから、那智さんはそれを味わえているのかしらと、心配になった。
私ばかり享受しているみたい。
恐らく、心の底を見せられる第一候補者は私なんじゃないかなとも思うから、私ばっかりで良いのかしらと思う。
きっと、那智さんはそれで良いのかもしれない。
手を握って覗かせて「わあ」とか言いながらあなたにしがみつく、それをさせることが那智さんの心の底なのかもしれないから。
でも、一緒に覗くなら、私はいつでもお供いたしましょう。
ちょっと怖いけど…。
それでも、首絞められていても濡れていたな〜私^^;
那智さんが首を絞めてきた。
浴衣の紐を首に回して、左右にぐーっと引いた。
いままでも、首の血管を押さえて脳に血液が行かないようにして頭をぼーっとさせる(何とかプレイ?)ことや、軽く首を絞めることもあったけど。
このときはとても強い力で絞められた。
無抵抗。
力を入れはじめた時に那智さんの顔を見ていたはずだけど、力が増していく間に視界には何も映らなくなっていた。
目は開いているはずなんだけど、思い出せない。
その時の景色も気配も。
苦しいな〜とぼんやりと思っていた。
このまま力を入れ続けたら、私は死んでしまうのかしら。
那智さんはそんなことするはずない。
でも、殺されても、それもいいかもしれないと思う自分がいて困る。
そんなに長い時間ではないのでしょうけれど、時間の経過がわからない。
浴衣の紐が緩んで、私の呼吸は元に戻る。
気管を絞めたから、咳が止まらない。
むせるように咳をしながら、涙が溢れてしょうがなかった。
父を看取り、人が死んでいくことは、ちっとも甘くない厳しい現実だけだということを目の当たりにした。
だから、「殺されてもいい」なんて、甘美な妄想に過ぎないことも分かっている。
私には、私を愛してくれる人も、私を必要としてくれる人もいる。
だから、簡単に「死」を口にしてはいけないとも思う。
私は、まだ死んじゃいけないのだもの。
でも、首を絞められているときに、どこまでも無抵抗でいてしまうかもしれないと、何%かは確実に抵抗しない私がいることを見てしまったような感じがして、怖くて涙が出て来てしまった。
咳き込んで抱きしめられながら、怖くて泣いた。
欲望や背徳や歪んだ心を、私は那智さんと一緒に理性の淵ぎりぎりのところからたくさん覗いてきた。
落っこちないように手をしっかりと握って。
それを覗いて「こんな私がいましたね」なんて、生還の安堵の中で語り合う感じ。
このときの「ぎりぎり」は、無抵抗かもしれないと思い知ることで、「生きていく」と再認識するような淵だった。
那智さんは、恐らく「(死を選んでしまいそうな)りん子を生かそう」と思ったはず。
私は、那智さんに委ねると思った。
まあ、本当に殺人なんてことはないでしょうから、これも大げさなお話なのですが、私が那智さんに委ねてしまっていると、那智さんは律していてくれるの。
これは、ずるいことかもしれない。
でも、あなた次第と言えるほうが私には幸せなこと。
こう書いていて、私は那智さんの心の底を一緒に覗いているのだろうかと、心配になってしまった。
あなたは私の道標、私はあなたのもの、所有されている(と思っている)ものが、所有している者の心の底を見るものではないのかもしれない。
けれど、手を繋いで一緒に覗いてくれる人がいるってことは、とても幸せなことで、その行為は人生を豊かにできると思っているから、那智さんはそれを味わえているのかしらと、心配になった。
私ばかり享受しているみたい。
恐らく、心の底を見せられる第一候補者は私なんじゃないかなとも思うから、私ばっかりで良いのかしらと思う。
きっと、那智さんはそれで良いのかもしれない。
手を握って覗かせて「わあ」とか言いながらあなたにしがみつく、それをさせることが那智さんの心の底なのかもしれないから。
でも、一緒に覗くなら、私はいつでもお供いたしましょう。
ちょっと怖いけど…。
それでも、首絞められていても濡れていたな〜私^^;
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