子守唄
独特な幸福感
那智さんは、いまある女性とのやり取りを楽しんでいる。
相手のかたは、どう思っているかわからないが、真剣に楽しんでいる。
那智さんは、関わりたいとか気になるとか思ったら、ドアをノックする人だ。
もちろん適切かどうか検討して相手の人に配慮して、ノックするわけだが、そのやり取りをみていると、少しヒヤヒヤしてしまう。
私は、那智さんのように関わりたいと思っても、そんなに勇気を持ってノックできない。
まして、うわべだけの軽い会話が好きじゃない那智さんのように、深く関わるようなノックなんて、もっとできない。
もちろん深いノックは、反応だって深いはずだ。
人の心を揺らすことを極力避けたいと思っている弱虫な私は、そのスタンスに勝手にヒヤヒヤしている。
自分が、人の心を揺らすようなことをしたくないのは、逆をかえせば、私はそうされるのが苦手なのだ。
弱い私は、そうされるとすぐにへこむ。
だから、私はしないしできない。
先日、職場の女性の何気ない一言で、とても嫌な気分になってしまった。
言い返すことも真意を問うこともできず、ただ傷付いているだけの私。
そして、無神経なものの言い方をするその女性を、心の中で馬鹿にして、シャッターを下ろしてしまう。
もうその女性とは、いま以上に近くなることはないだろう。
そんな風にしているから、私の交友関係はとても狭い。
狭いのは、それでもいいのだけど、すぐに傷つく弱さは面倒くさい。
じゃあ、言い返せばとも思うのだけど、できないものはできない。
こんなときは、私の絆創膏の那智さんに、傷を包んでもらう(場合によっては、笑われておしまいなんてこともあるけど)。
しばらく忙しい日が続いて、しかも生理前、そんな時に他者のなんともない言葉で傷つき、へこんで那智さんに泣きつく。
駄々っ子のように甘えて泣く。
これはとても気持ち良いのだけど、那智さんに突っかかってしまったり、忙しいのに付き合わせたりで申し訳なくも思う。
だけど、この悲しさはどうにもならずに、甘えを自覚しながらも泣きながら訴えてしまう。
その女性の気持ちを推測したり、その後の対処方法を考えたり、一生懸命私に付き合ってくれる那智さん。
ひとしきり泣いて、那智さんのお話しを聞いていたら、なんだか眠くなってきてしまった。
そっとお布団に入って、まだ、那智さんのお話しを聞いている。
だんだん那智さんの声が子守唄のようになってしまって、もうあんまり聞けていない。
このまま眠りに落ちそうだ。
落ちてしまえば、こんなに心地よいことはない。
「眠くなってしまいました。」
こちらが付き合わせていたにも関わらず那智さんの話を遮って、なんともわがままなことを言い出してみる。
「いいよ、寝な」
ため息とも微笑みとも取れる吐息まじりに言う。
「○時になったら、起こしてくださいませんか?お客様に電話しなくちゃいけないから。」
もうわがまま放題。
「また、難しいことを」
「ごめんなさい。だって、携帯(アラーム)がそばにないから、取りに行ったら目が覚めてしまう。」
お布団も那智さんの声もわがままも気持ち良い。
電話を切って、すとんと眠りに落ちていった。
弱いより強いほうがいいだろう。
だけど、こんな心地よい眠りに着けるなら、弱いのも悪くない。
「りん子は弱いんじゃない、優しいだけだ。」
那智さんのこの慰めの言葉は、おまじないのように私のポケットに入れて、いつも私のそばに置いておく。
那智さんは、いまある女性とのやり取りを楽しんでいる。
相手のかたは、どう思っているかわからないが、真剣に楽しんでいる。
那智さんは、関わりたいとか気になるとか思ったら、ドアをノックする人だ。
もちろん適切かどうか検討して相手の人に配慮して、ノックするわけだが、そのやり取りをみていると、少しヒヤヒヤしてしまう。
私は、那智さんのように関わりたいと思っても、そんなに勇気を持ってノックできない。
まして、うわべだけの軽い会話が好きじゃない那智さんのように、深く関わるようなノックなんて、もっとできない。
もちろん深いノックは、反応だって深いはずだ。
人の心を揺らすことを極力避けたいと思っている弱虫な私は、そのスタンスに勝手にヒヤヒヤしている。
自分が、人の心を揺らすようなことをしたくないのは、逆をかえせば、私はそうされるのが苦手なのだ。
弱い私は、そうされるとすぐにへこむ。
だから、私はしないしできない。
先日、職場の女性の何気ない一言で、とても嫌な気分になってしまった。
言い返すことも真意を問うこともできず、ただ傷付いているだけの私。
そして、無神経なものの言い方をするその女性を、心の中で馬鹿にして、シャッターを下ろしてしまう。
もうその女性とは、いま以上に近くなることはないだろう。
そんな風にしているから、私の交友関係はとても狭い。
狭いのは、それでもいいのだけど、すぐに傷つく弱さは面倒くさい。
じゃあ、言い返せばとも思うのだけど、できないものはできない。
こんなときは、私の絆創膏の那智さんに、傷を包んでもらう(場合によっては、笑われておしまいなんてこともあるけど)。
しばらく忙しい日が続いて、しかも生理前、そんな時に他者のなんともない言葉で傷つき、へこんで那智さんに泣きつく。
駄々っ子のように甘えて泣く。
これはとても気持ち良いのだけど、那智さんに突っかかってしまったり、忙しいのに付き合わせたりで申し訳なくも思う。
だけど、この悲しさはどうにもならずに、甘えを自覚しながらも泣きながら訴えてしまう。
その女性の気持ちを推測したり、その後の対処方法を考えたり、一生懸命私に付き合ってくれる那智さん。
ひとしきり泣いて、那智さんのお話しを聞いていたら、なんだか眠くなってきてしまった。
そっとお布団に入って、まだ、那智さんのお話しを聞いている。
だんだん那智さんの声が子守唄のようになってしまって、もうあんまり聞けていない。
このまま眠りに落ちそうだ。
落ちてしまえば、こんなに心地よいことはない。
「眠くなってしまいました。」
こちらが付き合わせていたにも関わらず那智さんの話を遮って、なんともわがままなことを言い出してみる。
「いいよ、寝な」
ため息とも微笑みとも取れる吐息まじりに言う。
「○時になったら、起こしてくださいませんか?お客様に電話しなくちゃいけないから。」
もうわがまま放題。
「また、難しいことを」
「ごめんなさい。だって、携帯(アラーム)がそばにないから、取りに行ったら目が覚めてしまう。」
お布団も那智さんの声もわがままも気持ち良い。
電話を切って、すとんと眠りに落ちていった。
弱いより強いほうがいいだろう。
だけど、こんな心地よい眠りに着けるなら、弱いのも悪くない。
「りん子は弱いんじゃない、優しいだけだ。」
那智さんのこの慰めの言葉は、おまじないのように私のポケットに入れて、いつも私のそばに置いておく。
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