領土争い2
独特な幸福感
『ずっと3人』の幻想に怯え、わたしがしていた『領土争い』とはどういうことだったのか。
わたしたちはいまでもモカちゃんと付き合いが続いている。
モカちゃんとふたりでランチをしたり3人で会えばあのときの空気に似たものを感じることができるし、わたしたちとモカちゃん、さらに他の人を交えての交流も同じように楽しい。
だけど、それと平行してわたしは怖くなってしまうのだ。
モカちゃんに対してというより、那智さんに対して領土を奪われる恐怖を感じていた。
那智さんがまたモカに領地を与えたいと思ってほしくない。
というか、きっと那智さんの心の中にはまだモカの領地がある、だって、『ずっと3人』の選択肢があるのだもの。
それはモカちゃんを心配するとか気にかけるという形で浸食すると思っていた。
那智さんの頭の中がモカのことでいっぱいになる恐怖、さんにんの頃、モカ教育でいつもいつもモカの話しをしていた頃に感じていた焦りだ。
わたしは見えない架空の恐怖と戦っているようだったし、実際ひとりで戦っていた。
戦い方はふたつだった。
ひとつは本当にイヤな思考回路。
モカちゃんを悪い人にして那智さんから×を引き出して領土から那智さんの意思で追い出すようにすること。
ときどきくれるメールの内容で、ホントに些細な出来事をさも『モカちゃんったらまったく!!』みたいな感じで那智さんに報告したり、報告という体を装った告げ口をしてみるのだ。
そんなこと那智さんはお見通しでわたしの冗談まじりの告げ口に乗るわけもなく、むしろ冷静に判断してモカをフォローするような形になって、結局わたしの領土争いはむしろ逆効果。
何より、まったくモカちゃんは悪くないのにいけない子に仕立てようとする思考回路は、本当に本当に本当に自己嫌悪に陥るイヤなものだ。
領土を奪われる恐怖や焦りと自ら首を絞めるような思考回路、そういうわたしが誰よりもモカちゃんを可愛いと思っている乖離はとても辛いものだった。
そして、それと平行するようにしていたもうひとつの戦い方は、モカちゃんに幸せになってもらうことだった。
モカちゃんに相思相愛の彼ができて心も性的にも満たされること。
そうなれば、那智さんも果たすことができなかったモカの卒業を果たしたと思うことができて自然と領土からそっと出すようになるはずだ。
相談されて乗るのはもちろん頼まれもしないのにアドバイスしたり、どこか『那智さんが思い描く幸福』でモカちゃんに幸せになってもらおうと必死だった。
だって、那智さんが納得いってくれないと那智さんが領土から出してくれないはずだもの。
どれも好きな人の幸福を願う自然な気持ちだったけど、それ以外にも、そんなよこしまな意識が働いていたこともウソじゃない。
邪念があることは苦しいことだけど、それでも悪者にしようとするより幸せを願う行為のほうがずっと気持ちはラクだった。
だから、ずいぶんお節介姉さんになっていたと思う。
とにかく、もう終わったことのはずなのにいつまで経っても幻想に向かって領土を浸食される恐怖を感じながらひとり戦っていたのだった。
その間もずっと那智さんのスタンスは変わっていなかった。
いまはりん子とふたり。
終わったこと。
モカちゃんは、俺たちにとって大切な友人(だって、りん子のほうが可愛がってるよね 笑)
生理の周期やセックスの間隔、それだけじゃないけど心のバランスによって領土争いの恐怖が蘇ったり、再発したりする。
甘やかしてくれない那智さんは問題解決には向き合ってくれるけど、この件に関しては猫可愛がりはしてくれない(わたしが望んだから、だ)
ちゃんと自覚して求められればいいのだけど、ときには無意識に『甘い言葉』をもらうと誘導するようなことをして失敗してしまうこともあり、余計に傷口を広げてしまったりもしていた。
大げさだけど死ぬほど話し合い、どうしたら悲しくならないかヘトヘトになるほど自分の気持ちを試行錯誤して、それでも、どうしても領土争いの恐怖は消えてくれなかった。
ある日、領土争いの恐怖を諦めるという形で解決することを選ばせる自分で自分にトドメを刺すような出来事が起きた。
<関連エントリー>
『モカ1 2 3 4 5 6 7 8』
『すべての責任は俺にある、ただし、りん子には道義的責任がある1 2 3 4』
『ずっと3人』の幻想に怯え、わたしがしていた『領土争い』とはどういうことだったのか。
わたしたちはいまでもモカちゃんと付き合いが続いている。
モカちゃんとふたりでランチをしたり3人で会えばあのときの空気に似たものを感じることができるし、わたしたちとモカちゃん、さらに他の人を交えての交流も同じように楽しい。
だけど、それと平行してわたしは怖くなってしまうのだ。
モカちゃんに対してというより、那智さんに対して領土を奪われる恐怖を感じていた。
那智さんがまたモカに領地を与えたいと思ってほしくない。
というか、きっと那智さんの心の中にはまだモカの領地がある、だって、『ずっと3人』の選択肢があるのだもの。
それはモカちゃんを心配するとか気にかけるという形で浸食すると思っていた。
那智さんの頭の中がモカのことでいっぱいになる恐怖、さんにんの頃、モカ教育でいつもいつもモカの話しをしていた頃に感じていた焦りだ。
わたしは見えない架空の恐怖と戦っているようだったし、実際ひとりで戦っていた。
戦い方はふたつだった。
ひとつは本当にイヤな思考回路。
モカちゃんを悪い人にして那智さんから×を引き出して領土から那智さんの意思で追い出すようにすること。
ときどきくれるメールの内容で、ホントに些細な出来事をさも『モカちゃんったらまったく!!』みたいな感じで那智さんに報告したり、報告という体を装った告げ口をしてみるのだ。
そんなこと那智さんはお見通しでわたしの冗談まじりの告げ口に乗るわけもなく、むしろ冷静に判断してモカをフォローするような形になって、結局わたしの領土争いはむしろ逆効果。
何より、まったくモカちゃんは悪くないのにいけない子に仕立てようとする思考回路は、本当に本当に本当に自己嫌悪に陥るイヤなものだ。
領土を奪われる恐怖や焦りと自ら首を絞めるような思考回路、そういうわたしが誰よりもモカちゃんを可愛いと思っている乖離はとても辛いものだった。
そして、それと平行するようにしていたもうひとつの戦い方は、モカちゃんに幸せになってもらうことだった。
モカちゃんに相思相愛の彼ができて心も性的にも満たされること。
そうなれば、那智さんも果たすことができなかったモカの卒業を果たしたと思うことができて自然と領土からそっと出すようになるはずだ。
相談されて乗るのはもちろん頼まれもしないのにアドバイスしたり、どこか『那智さんが思い描く幸福』でモカちゃんに幸せになってもらおうと必死だった。
だって、那智さんが納得いってくれないと那智さんが領土から出してくれないはずだもの。
どれも好きな人の幸福を願う自然な気持ちだったけど、それ以外にも、そんなよこしまな意識が働いていたこともウソじゃない。
邪念があることは苦しいことだけど、それでも悪者にしようとするより幸せを願う行為のほうがずっと気持ちはラクだった。
だから、ずいぶんお節介姉さんになっていたと思う。
とにかく、もう終わったことのはずなのにいつまで経っても幻想に向かって領土を浸食される恐怖を感じながらひとり戦っていたのだった。
その間もずっと那智さんのスタンスは変わっていなかった。
いまはりん子とふたり。
終わったこと。
モカちゃんは、俺たちにとって大切な友人(だって、りん子のほうが可愛がってるよね 笑)
生理の周期やセックスの間隔、それだけじゃないけど心のバランスによって領土争いの恐怖が蘇ったり、再発したりする。
甘やかしてくれない那智さんは問題解決には向き合ってくれるけど、この件に関しては猫可愛がりはしてくれない(わたしが望んだから、だ)
ちゃんと自覚して求められればいいのだけど、ときには無意識に『甘い言葉』をもらうと誘導するようなことをして失敗してしまうこともあり、余計に傷口を広げてしまったりもしていた。
大げさだけど死ぬほど話し合い、どうしたら悲しくならないかヘトヘトになるほど自分の気持ちを試行錯誤して、それでも、どうしても領土争いの恐怖は消えてくれなかった。
ある日、領土争いの恐怖を諦めるという形で解決することを選ばせる自分で自分にトドメを刺すような出来事が起きた。
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『すべての責任は俺にある、ただし、りん子には道義的責任がある1 2 3 4』