優しい命令
独特な幸福感
雨降りの駅前は人でごった返していた。
駅の灯りが夜の濡れたアスファルトに反射する。
待ち合わせで立ち止まる人。
手前とその奥のふたつの改札に流れ込む人たち。
傘をさしながらまっすぐ進むこともままならない。
それでもさようならを目前にして片時も那智さんから離れたくないとついて行く。
那智さんの改札のほうが手前。
そこでお別れだ。
一歩大きく改札へ向かう那智さんに小さく会釈する。
振り返るなよ
わたしはたいがい振り返る。
時間が許されて見通しが良ければ、見えなくなるまで背中を追う。
那智さんは一度振り返り、手をあげて応えて、それからはずっと背中を見せてくれる。
急いでいたり人が多かったりするときは、チラッと振り返る。
タイミングが合えば互いに合図を送るし、合わなければ心の中で背中に合図する。
タイミングが合わないとき那智さんは振り返っているのか、わからない。
でも、後で『俺は振り返ったのに、りん子はスタスタ歩いてた(笑)』といって、わたしをからかう。
ふたりにとって『振り返る』にもたくさんのストーリーがある。
振り返るなよ
ほんの少しわたしの体調がよくなかった。
傘をさした人の流れをせき止めるのは迷惑だ。
人が多いから、振り返って見失っている淋しさを感じさせないように。
もしかしたら『振り返る』ことを習慣とか義務にしたくないのかもしれない。
那智さんの指示。
どんな意図があるのだろう。
どれかかもしれないし、全部かもしれない。
ただわかるのはそれは優しさからの言葉だということだ。
『はい』と唇で答えて、もう一度会釈する。
言われたことには従う。
だから2、3歩後ずさり。
傘をさす人の波に逆らいながら、迷惑にならないだけの、ほんの2、3歩。
一度後ろを向いたら振り返るになってしまうから、背中を見つめたまま後ずさりして見送った。
優しい気持ちに従っていられることが、うれしい。
優しい気持ちは温かくしてくれる。
だけど、ちょっぴり切ない。
雨のせいかな。
それとも幸せな時間の余韻かな。
雨と優しさの組み合わせは、人をすこし切なくさせるのかもしれない。
今朝の「等式」感想です。振り返ることに関連する私のりん子に対する揶揄やずっと見送られる恥ずかしさ、大変だろうと思う気遣い、こんな感情が「振り返るなよ」の正体かな。たまに見送るときは、完全に見送りたいと思うのに。
雨降りの駅前は人でごった返していた。
駅の灯りが夜の濡れたアスファルトに反射する。
待ち合わせで立ち止まる人。
手前とその奥のふたつの改札に流れ込む人たち。
傘をさしながらまっすぐ進むこともままならない。
それでもさようならを目前にして片時も那智さんから離れたくないとついて行く。
那智さんの改札のほうが手前。
そこでお別れだ。
一歩大きく改札へ向かう那智さんに小さく会釈する。
振り返るなよ
わたしはたいがい振り返る。
時間が許されて見通しが良ければ、見えなくなるまで背中を追う。
那智さんは一度振り返り、手をあげて応えて、それからはずっと背中を見せてくれる。
急いでいたり人が多かったりするときは、チラッと振り返る。
タイミングが合えば互いに合図を送るし、合わなければ心の中で背中に合図する。
タイミングが合わないとき那智さんは振り返っているのか、わからない。
でも、後で『俺は振り返ったのに、りん子はスタスタ歩いてた(笑)』といって、わたしをからかう。
ふたりにとって『振り返る』にもたくさんのストーリーがある。
振り返るなよ
ほんの少しわたしの体調がよくなかった。
傘をさした人の流れをせき止めるのは迷惑だ。
人が多いから、振り返って見失っている淋しさを感じさせないように。
もしかしたら『振り返る』ことを習慣とか義務にしたくないのかもしれない。
那智さんの指示。
どんな意図があるのだろう。
どれかかもしれないし、全部かもしれない。
ただわかるのはそれは優しさからの言葉だということだ。
『はい』と唇で答えて、もう一度会釈する。
言われたことには従う。
だから2、3歩後ずさり。
傘をさす人の波に逆らいながら、迷惑にならないだけの、ほんの2、3歩。
一度後ろを向いたら振り返るになってしまうから、背中を見つめたまま後ずさりして見送った。
優しい気持ちに従っていられることが、うれしい。
優しい気持ちは温かくしてくれる。
だけど、ちょっぴり切ない。
雨のせいかな。
それとも幸せな時間の余韻かな。
雨と優しさの組み合わせは、人をすこし切なくさせるのかもしれない。
今朝の「等式」感想です。振り返ることに関連する私のりん子に対する揶揄やずっと見送られる恥ずかしさ、大変だろうと思う気遣い、こんな感情が「振り返るなよ」の正体かな。たまに見送るときは、完全に見送りたいと思うのに。
COMMENT
わたしも別れ際はいろんな想いで切なくなる。
それを甘いままにしておきたくて、見送られる時は振り返りません。
だから、見送る方がいい。
いつまでも袖を引っ張っている気持ちでいられるから…
りん子さんと別れる時はいつも甘えさせてもらってるね(照)
えへ♪いつもありがとう。
それを甘いままにしておきたくて、見送られる時は振り返りません。
だから、見送る方がいい。
いつまでも袖を引っ張っている気持ちでいられるから…
りん子さんと別れる時はいつも甘えさせてもらってるね(照)
えへ♪いつもありがとう。
mineさん
別れ際には、それぞれ思いや考えがあるのですよね^^
それが違うものだったとしても、自分なりのそれを持っているというのがいいんだな。
感性の相性として、そういうことをいちいち考える人カテゴリーがわたしは合うのかもしれないです^^
また、その自分の思いを適用(?)したい人との別れ際をたくさん作りたいものですね。
あはは、では、また見送ってくださいな♪
別れ際には、それぞれ思いや考えがあるのですよね^^
それが違うものだったとしても、自分なりのそれを持っているというのがいいんだな。
感性の相性として、そういうことをいちいち考える人カテゴリーがわたしは合うのかもしれないです^^
また、その自分の思いを適用(?)したい人との別れ際をたくさん作りたいものですね。
あはは、では、また見送ってくださいな♪
見送るほうが好きです。
なぜなら、見送られているときに限ってホームを間違えるとか、転ぶとか見られちゃうからです。
見送るほうが、余韻を勝手に味わえるので好きなんです。
小さくなっていく背中、人ごみに紛れて見えなくなっても見えてるつもりの自分。
はううって、ちょっと切なく立ち去る自分。
自分酔いが激しいので、それを生かし切れるシーンが好きだなぁ(*'-'*)
なぜなら、見送られているときに限ってホームを間違えるとか、転ぶとか見られちゃうからです。
見送るほうが、余韻を勝手に味わえるので好きなんです。
小さくなっていく背中、人ごみに紛れて見えなくなっても見えてるつもりの自分。
はううって、ちょっと切なく立ち去る自分。
自分酔いが激しいので、それを生かし切れるシーンが好きだなぁ(*'-'*)
モカちゃん
ああ、違うホーム行ってたねぇ(笑)
見送った後、すっと一歩を踏み出す感じはいろいろな感情になるね。
余韻に浸っていたり、それをクルッと切り替える爽快感、もしくは、ぜんぜん違う気分になっていたりして^^
そういえば、モカちゃんもよくわたしを見送ってくれるね。
でも、向かいのホームから密かにわたしが見送っている(見張っている?)のは、知らないだろ〜(笑)
ああ、違うホーム行ってたねぇ(笑)
見送った後、すっと一歩を踏み出す感じはいろいろな感情になるね。
余韻に浸っていたり、それをクルッと切り替える爽快感、もしくは、ぜんぜん違う気分になっていたりして^^
そういえば、モカちゃんもよくわたしを見送ってくれるね。
でも、向かいのホームから密かにわたしが見送っている(見張っている?)のは、知らないだろ〜(笑)