娘デート2
独特な幸福感
「那智さん、私のこと子供扱いしましたよね〜」
海の駅に着いてもまだやめない。
はっきりしたお返事ももらえないし、そろそろやめようかな〜。(どうやらはぐらかすことで反芻を楽しませてくれていたみたいです)
「那智さん、私、子供扱い好きみたいです^^」
と、最後に告白してひとまず終了する。(って、告白でもなんでもないけど)
ここは観光地になっていて、展望台があったり神社があったりしているらしい。
らしいって、私全部見たことないんだ、入り口をちょこっと散策したていど。
ひと山越えれば岩場があって、洞窟も見学できるらしい。
那智さんは、過去に何度か女の子とデートしたことがあるのだ。
若干、張り合う気持ち。
私もそこまで行く〜。
おみやげ屋を眺めながら山の向こうを目指す。
徐々に坂がきつくなり、途中には急な石段まで。
ひゃー、日頃の運動不足が祟ってしまって、あっという間に息があがる^^;
「きついなら、この辺で引き返す?」
あまりにぜいぜい言う私を気遣って、そんな提案をしてくれたけど。
「いいえ、行きます。」と鼻息まで荒くする。
「もしかして、張り合ってんの?」
「はい!!!!」
我ながらアホくさいのわかってるけど、那智さんの見たことのある景色をできれば私も見たい。
他の女性が一緒に見たことがあるなら尚更だ。
石段を上り、途中踊り場のように広くなっている段まで来た。
ふいに右手の視界が広がって岸壁の間から海が見えた。
わあ、海だ〜。
切り立つ岸壁。
見下ろすとその先に大海原。
この日は雲っていたのだけど、それでも海が見えると急に明るく感じる。
清々しい開放感と岸壁の高さにちょっと怯えるような不思議な気持ちになった。
手すりにつかまって海を眺めていると、後ろからどんっと背中を押される。
どき〜〜〜ん!!
「うわぁぁ!!!!」
周りが振り向くような大声を出してしまった。
ああ、驚いた。
ああ、恥ずかしい。
もう、那智さんの意地悪!!
この辺りから那智さん『小学3年生』状態。
下りの石段でも背中を『どん』。
意外と平気でいると。
また『どん』。
「わあぁ!!」
今度はビクッとしてしまう。
「あんまりやると可哀想だから一回目はタイミングずらしてあげたけど、面白くないからもう一回やった」
ですって。
わかります?
両足が石段に着いている状態で一回目。
あまり動揺しないまらって、今度は片足を上げたタイミングを見計らって『どん』。
体勢が不安定だから、驚いてしまうのだ。
そこまでする?普通。
「もう、那智さん、やめてください〜」
神社にお参りする時のお清めの水はかけられては『きゃあああ』。
岸壁の頂上でガシッと肩を掴まれて『ぅわぁ!!!』。
「もー、落ちて死んだらどうするんですか〜^^」
もうおっかなびっくり。
にこにこひやひや楽しんでいた。
上り下りを繰り返して、また目の前に海が広がり、あとは下りだけになった。
山を越え反対側に出たんだ。
高く低く、ゴツゴツとした岩場に波が打ち寄せている。
少し高い位置が歩道になっているから見下ろしながら眺める波に吸い込まれそうだ。
しばらくすると入り組んだ岩山を繋ぐ展望橋。
これを渡って洞窟のほうに行かれるらしい。
数十mある橋。
左手には岸壁がそそり立ち、右手は海。
どちらからともなく手すりにつかまり、海からの風を受ける。
風が気持ちいい。
遠く水平線を見る。
「あ、蟹だ!!」
真下を覗いた那智さんが言った。
え♪蟹!?
わあ、どこどこ♪
「どこですか!?」
大きく体を乗り出して那智さんの指すほうを見る。
「ほら、そこ。」
「え?どこですか?」
「ほら、いっぱいいるよ」
んん?見えないよ〜。
那智さんの見てるもの一緒にみたいよ〜。
「那智さん、どこですか?どの辺!?何色の蟹?」
「いっぱい」と言っていたからなんとなく漠然と黒くて小さい蟹がうじゃうじゃしている様子を思い描いて、目を凝らして岩場を見る。
必死に真下を覗き込む。
「…ウソぴょ〜んって、言えなくなっちゃった…」
「へ?」
「いや、あんまり真剣でさ、冗談だって言えなくなっちゃったよ^^;」
「ウソなのですか!?蟹いないの?」
「…ごめん(笑)」
ええええ、ウソだったのですか〜!?
びっくり。
一点の曇りもなく100%信じて、私は心から真剣に蟹の姿を追ってしまっていた^^
清々しいほど、信じていたのだ。
さすがに、ここまで信じられると申し訳なくなってしまったらしい。
小学3年生とはいえちゃんとした大人、謝ってもらっちゃった^^
「あはは、那智さんのいうこと何でも信じる女でよかったですね〜^^」
我ながら、あまりの単純さにちょっと苦笑ではあるけれど。
那智さんが、繰り出すこと施すこと、言動や行動、それらを疑うことなく受け取り、素直に反応することができた事実が嬉しくて、なんだかホクホクした気分。
なんか『やりきった感』さえ感じる^^
まさしく上下の下の私の役割『疑うことなく身を任せ、素直に反応する』。
ふたりの間で『素直でいる』ことがすべてを凌駕した瞬間だった(笑)
いや、もともと単細胞で割となんでも信じちゃうんだけど^^;
これは『素直でいる』ことが上手い具合にいった一例^^
次回『娘デート3』は、同じ『素直でいる』ことのちょっと面倒な一例と、そこからただいま訓練中のお話です〜。
だいぶお馴染み^^
『疑うことなく身を任せ、素直に反応するということ』
『対等で上下』
「那智さん、私のこと子供扱いしましたよね〜」
海の駅に着いてもまだやめない。
はっきりしたお返事ももらえないし、そろそろやめようかな〜。(どうやらはぐらかすことで反芻を楽しませてくれていたみたいです)
「那智さん、私、子供扱い好きみたいです^^」
と、最後に告白してひとまず終了する。(って、告白でもなんでもないけど)
ここは観光地になっていて、展望台があったり神社があったりしているらしい。
らしいって、私全部見たことないんだ、入り口をちょこっと散策したていど。
ひと山越えれば岩場があって、洞窟も見学できるらしい。
那智さんは、過去に何度か女の子とデートしたことがあるのだ。
若干、張り合う気持ち。
私もそこまで行く〜。
おみやげ屋を眺めながら山の向こうを目指す。
徐々に坂がきつくなり、途中には急な石段まで。
ひゃー、日頃の運動不足が祟ってしまって、あっという間に息があがる^^;
「きついなら、この辺で引き返す?」
あまりにぜいぜい言う私を気遣って、そんな提案をしてくれたけど。
「いいえ、行きます。」と鼻息まで荒くする。
「もしかして、張り合ってんの?」
「はい!!!!」
我ながらアホくさいのわかってるけど、那智さんの見たことのある景色をできれば私も見たい。
他の女性が一緒に見たことがあるなら尚更だ。
石段を上り、途中踊り場のように広くなっている段まで来た。
ふいに右手の視界が広がって岸壁の間から海が見えた。
わあ、海だ〜。
切り立つ岸壁。
見下ろすとその先に大海原。
この日は雲っていたのだけど、それでも海が見えると急に明るく感じる。
清々しい開放感と岸壁の高さにちょっと怯えるような不思議な気持ちになった。
手すりにつかまって海を眺めていると、後ろからどんっと背中を押される。
どき〜〜〜ん!!
「うわぁぁ!!!!」
周りが振り向くような大声を出してしまった。
ああ、驚いた。
ああ、恥ずかしい。
もう、那智さんの意地悪!!
この辺りから那智さん『小学3年生』状態。
下りの石段でも背中を『どん』。
意外と平気でいると。
また『どん』。
「わあぁ!!」
今度はビクッとしてしまう。
「あんまりやると可哀想だから一回目はタイミングずらしてあげたけど、面白くないからもう一回やった」
ですって。
わかります?
両足が石段に着いている状態で一回目。
あまり動揺しないまらって、今度は片足を上げたタイミングを見計らって『どん』。
体勢が不安定だから、驚いてしまうのだ。
そこまでする?普通。
「もう、那智さん、やめてください〜」
神社にお参りする時のお清めの水はかけられては『きゃあああ』。
岸壁の頂上でガシッと肩を掴まれて『ぅわぁ!!!』。
「もー、落ちて死んだらどうするんですか〜^^」
もうおっかなびっくり。
にこにこひやひや楽しんでいた。
上り下りを繰り返して、また目の前に海が広がり、あとは下りだけになった。
山を越え反対側に出たんだ。
高く低く、ゴツゴツとした岩場に波が打ち寄せている。
少し高い位置が歩道になっているから見下ろしながら眺める波に吸い込まれそうだ。
しばらくすると入り組んだ岩山を繋ぐ展望橋。
これを渡って洞窟のほうに行かれるらしい。
数十mある橋。
左手には岸壁がそそり立ち、右手は海。
どちらからともなく手すりにつかまり、海からの風を受ける。
風が気持ちいい。
遠く水平線を見る。
「あ、蟹だ!!」
真下を覗いた那智さんが言った。
え♪蟹!?
わあ、どこどこ♪
「どこですか!?」
大きく体を乗り出して那智さんの指すほうを見る。
「ほら、そこ。」
「え?どこですか?」
「ほら、いっぱいいるよ」
んん?見えないよ〜。
那智さんの見てるもの一緒にみたいよ〜。
「那智さん、どこですか?どの辺!?何色の蟹?」
「いっぱい」と言っていたからなんとなく漠然と黒くて小さい蟹がうじゃうじゃしている様子を思い描いて、目を凝らして岩場を見る。
必死に真下を覗き込む。
「…ウソぴょ〜んって、言えなくなっちゃった…」
「へ?」
「いや、あんまり真剣でさ、冗談だって言えなくなっちゃったよ^^;」
「ウソなのですか!?蟹いないの?」
「…ごめん(笑)」
ええええ、ウソだったのですか〜!?
びっくり。
一点の曇りもなく100%信じて、私は心から真剣に蟹の姿を追ってしまっていた^^
清々しいほど、信じていたのだ。
さすがに、ここまで信じられると申し訳なくなってしまったらしい。
小学3年生とはいえちゃんとした大人、謝ってもらっちゃった^^
「あはは、那智さんのいうこと何でも信じる女でよかったですね〜^^」
我ながら、あまりの単純さにちょっと苦笑ではあるけれど。
那智さんが、繰り出すこと施すこと、言動や行動、それらを疑うことなく受け取り、素直に反応することができた事実が嬉しくて、なんだかホクホクした気分。
なんか『やりきった感』さえ感じる^^
まさしく上下の下の私の役割『疑うことなく身を任せ、素直に反応する』。
ふたりの間で『素直でいる』ことがすべてを凌駕した瞬間だった(笑)
いや、もともと単細胞で割となんでも信じちゃうんだけど^^;
これは『素直でいる』ことが上手い具合にいった一例^^
次回『娘デート3』は、同じ『素直でいる』ことのちょっと面倒な一例と、そこからただいま訓練中のお話です〜。
だいぶお馴染み^^
『疑うことなく身を任せ、素直に反応するということ』
『対等で上下』
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