選ばせてあげる4
非日常的な日常
『選ばせてあげる2 3』の続きです。
『驚いた』
この言葉が、なぜ私をつらくさせたのでしょう。
私にはモンスターがいると書いています。
はっきりとした輪郭があるわけじゃないのだけど、とても淫乱ではしたなくて情けなくて、人としてとか女としてとか、そういうところから外れていて、私自身が目を背けたくなるような欲望。
人はいやらしい想像をするものだからこのモンスターが特別だとは思っていないのだけど、抱える私の力不足かとても大きなお荷物だったのだ。
だから、モンスター。
蓋をして見ないようにしていた。
那智さんと7年の付き合いで、やっと『よかったね』と思えるようになれて。(『<よかったね』)
モンスターもモンスターを押さえ込んでいた理性も、すこしずつ安心して嫌悪感という蓋を恐る恐る開けていかれるようになってきた。
それには那智さんの『そのりん子「が」好き』『もっとモンスターを見たい』という肯定や欲望を見せてくれないといけないの。
それをたくさんたくさん感じさせてもらって、はじめてチラッと顔を覗かせるのだ。
だから、『驚いた』らいけなかったの。
もし、驚いたとしても、それを私に伝えたり感じさせたらいけないの。
モンスターを押さえ込む嫌悪感はとても敏感。
例え、あり得ない想像での話だったとしても、一瞬でもたじろがれたら途端に蓋を閉める。
ずっとずっと手前のことでさえできなくなるくらい私の嫌悪感は臆病なのだ。
どんな私でも、ビクともせずに肯定し望み続けていてくれないといけないのだ。
家からパンツを透けさせてくれば?という提案に、一瞬モンスターの尻尾が振れた。
それを那智さんは敏感に察知して『したいの?』と聞いてきた。
そして、もしそうなら『驚いた』と。
『驚いた』で一気に蓋を閉めたその中で、モンスターが出たいよ〜と悲しく泣いているようだった。
翌朝、このままの気持ちでは『赤い下着を透けさせて歩く恥ずかしい私』も『そのままおもらしをするはしたない私』も大嫌いなままだ。
大嫌いなくせに、モンスターが疼くから余計情けない。
それで濡れるであろう自分も嫌いだ。
私の変態な被虐願望は、その自分が好きでいられないと悲しくなってしまう。
駅に向かいながら那智さんに話してみる。
そんなに時間はないけれど『驚いていない、大丈夫』と言ってほしい。
そんな、すこしの甘えもこめて。
自分の気持ちに嘘はつきたくない。
私は、素直にしていなければいけないんだもの。(『疑うことなく身を任せ、素直に表現する』)
とにかくこの気持ちをなんとかしないとと、ちょっと必死だった。
「那智さん、昨日『驚いた』って言いました。あれは悲しかったです。」
「どうして?俺の想像とは違う反応だったから驚いたんだよ、それは悪いこと?」
「だって、驚かれたら、私ブレーキ踏んでしまいます。」
「今日することとは、違うことで驚いたんだよ?」
「それでも、ずっと手前で踏みます。」
俺は、その仮定の話のことで驚いているんじゃなくて、俺の予想していなかった反応だったことで驚いたんだよ。
驚いたのは驚いたんだ、嘘はつきたくない。
「でも、悲しいです。このままじゃ喜べないです。」
「今日することとは違うだろ?それに俺は驚いたとしても、そのりん子が好きだよ。」
いま、思えば『家から透けさせたいということで驚いた』のではなく、『いつもだいたい那智さんの予想の反応が返ってくるのに、違ったことに驚いた』のだと思えるけど、このときはそこまで冷静でいられなかったんだな。
(ちなみに、那智さんは『予想通りの反応』が好きな人なのだ^^)
しかもなんだかつっかかってしまう。
ほんとは『なんでもいいから、大丈夫淫乱なりん子が好き』と言い切って言い続けてほしいと、素直にお願いすればいいのに、普段ならできるのに。
時々、こうやって望みを言わずに、那智さんの答えを誘導してしまうようなことをしてしまう。
(人って、割と無意識に誘導してしまうものだけど、極力那智さんにはしないようにしてるんだけどね)
とにかく、モンスター死活問題、この後のとんでもなく恥ずかしくとんでもなく感じる時間を手に入れるために。
ぐるぐるしてしまっていた。
悲しいを払拭したい。
そうしないと、喜べない。
私は、私の気持ちのカードを全部並べて見てもらう。
それを見て、那智さんが決めるのだ。
もしかして、『悲しい』というカードを見せても『やる』ことを選ぶかもしれない。
そしたら私はそれに従うのだ、そこで悲しくなれば那智さんが責任を取ってくれるはず。(『ゴールを決めない理由』)
私に大事なことは『カードを全部並べる』こと。
いま必死にそれをしているの。
もうすぐ駅。
那智さんのほうもホームの気配。
それぞれ電車が来たら電話はおしまい。
この悲しいまま、下着を透けさせないといけないのか。
那智さんにひと言『大丈夫、モンスター大歓迎』と言ってほしい。
でも、電車の到着のアナウンスが携帯から聞こえてきた。
那智さんの口から発せられた言葉は期待や予想から外れた、意外なものだった。
「じゃあ、今日はやめるか」
この言葉は、脅しでも制裁でもないことがご理解いただけるかしら。
『りん子が感じられないと意味がなく、いりん子の短時間で解決させることはできそうにない』と思ったのでしょう。
そして、強行して従わせてもつまらない、那智さんは『下着を透けさせておもらしを喜ぶりん子』がいいのだ。
だから、「やめるか」と判断したのだろう。
どうすれば、お互いに幸福かを考えてくれた那智さんの『やめるか』だ。
なだめすかしもしないし。
有無も言わさずでもない。
こういう方法を取ってくれる那智さんは、とてもステキだし、より一層従いたいと思わせてくれる。
これもいまだから、そういう方法を選んでくれたと思えるけど。
嘘ついてなだめすかしもいやだし、有無を言わさずももっといや。
だけど、『やめるか』の言葉は、モンスターをまた悲しく鳴かせる。
そして、否応なく、それが『とてもとてもしたい』と突きつけられたようだ。
そう、私はとてもとてもしたいの。
『驚いた』の次は『やめるか』^^
ふう。
『やめるか』で、かえって『してほしい』ということが私の中ではっきり浮き彫りになってしまった。
こちらも電車に乗り。
逡巡。
メールを打とうと携帯を手にした。
まず、昨日の電話と今朝の『おはようメール』で悲しいことを伝えられなかったことをごめんなさいして、気持ちをフラットにして続きを打つ。
『濡れているのに。那智さんが平気と言ってくださらないと悲しくなってしまいます。』
『甘えているだけなのもわかっています。どんな私でも平気と言ってほしいだけなのです。』
『那智さんにその気がなくなってしまったのなら、またその気になったらしてください。私は叶えていただきたいです。だけど、悲しい気持ちを消すのを手伝っていただかないと、悲しいままでは喜べない気持ちがします。』
込み合う電車に揺られながら、ぽつぽつと気持ちを伝える。
できるだけ素直に。
濡れていることも悲しいことも助けてほしいことも、甘えていると自覚していることも。
そして、叶えてほしいことも。
カードを全部並べた。
電車が待ち合わせの駅に近づいている。
途中、那智さんからは『どんなりん子でも平気だし、大好き、当たり前だろ』と一通だけ届いた。
最後に一通。
『いつもの場所に行きますか?』
那智さんは私の危険を考えて改札口まで来てくれる約束をしていたの。
だから、『いつもの待ち合わせ場所』にイクということは『やめる』ことを意味している。
判断を仰ぐメールを送って、携帯を閉じた。
その返事をもらえないまま電車はホームに滑り込む。
もう、なかなかモンスターが鳴きやんでくれないよぉ^^;
続く〜!!
長いですね〜^^;
まだ那智さんに会えてない(笑)
『選ばせてあげる2 3』の続きです。
『驚いた』
この言葉が、なぜ私をつらくさせたのでしょう。
私にはモンスターがいると書いています。
はっきりとした輪郭があるわけじゃないのだけど、とても淫乱ではしたなくて情けなくて、人としてとか女としてとか、そういうところから外れていて、私自身が目を背けたくなるような欲望。
人はいやらしい想像をするものだからこのモンスターが特別だとは思っていないのだけど、抱える私の力不足かとても大きなお荷物だったのだ。
だから、モンスター。
蓋をして見ないようにしていた。
那智さんと7年の付き合いで、やっと『よかったね』と思えるようになれて。(『<よかったね』)
モンスターもモンスターを押さえ込んでいた理性も、すこしずつ安心して嫌悪感という蓋を恐る恐る開けていかれるようになってきた。
それには那智さんの『そのりん子「が」好き』『もっとモンスターを見たい』という肯定や欲望を見せてくれないといけないの。
それをたくさんたくさん感じさせてもらって、はじめてチラッと顔を覗かせるのだ。
だから、『驚いた』らいけなかったの。
もし、驚いたとしても、それを私に伝えたり感じさせたらいけないの。
モンスターを押さえ込む嫌悪感はとても敏感。
例え、あり得ない想像での話だったとしても、一瞬でもたじろがれたら途端に蓋を閉める。
ずっとずっと手前のことでさえできなくなるくらい私の嫌悪感は臆病なのだ。
どんな私でも、ビクともせずに肯定し望み続けていてくれないといけないのだ。
家からパンツを透けさせてくれば?という提案に、一瞬モンスターの尻尾が振れた。
それを那智さんは敏感に察知して『したいの?』と聞いてきた。
そして、もしそうなら『驚いた』と。
『驚いた』で一気に蓋を閉めたその中で、モンスターが出たいよ〜と悲しく泣いているようだった。
翌朝、このままの気持ちでは『赤い下着を透けさせて歩く恥ずかしい私』も『そのままおもらしをするはしたない私』も大嫌いなままだ。
大嫌いなくせに、モンスターが疼くから余計情けない。
それで濡れるであろう自分も嫌いだ。
私の変態な被虐願望は、その自分が好きでいられないと悲しくなってしまう。
駅に向かいながら那智さんに話してみる。
そんなに時間はないけれど『驚いていない、大丈夫』と言ってほしい。
そんな、すこしの甘えもこめて。
自分の気持ちに嘘はつきたくない。
私は、素直にしていなければいけないんだもの。(『疑うことなく身を任せ、素直に表現する』)
とにかくこの気持ちをなんとかしないとと、ちょっと必死だった。
「那智さん、昨日『驚いた』って言いました。あれは悲しかったです。」
「どうして?俺の想像とは違う反応だったから驚いたんだよ、それは悪いこと?」
「だって、驚かれたら、私ブレーキ踏んでしまいます。」
「今日することとは、違うことで驚いたんだよ?」
「それでも、ずっと手前で踏みます。」
俺は、その仮定の話のことで驚いているんじゃなくて、俺の予想していなかった反応だったことで驚いたんだよ。
驚いたのは驚いたんだ、嘘はつきたくない。
「でも、悲しいです。このままじゃ喜べないです。」
「今日することとは違うだろ?それに俺は驚いたとしても、そのりん子が好きだよ。」
いま、思えば『家から透けさせたいということで驚いた』のではなく、『いつもだいたい那智さんの予想の反応が返ってくるのに、違ったことに驚いた』のだと思えるけど、このときはそこまで冷静でいられなかったんだな。
(ちなみに、那智さんは『予想通りの反応』が好きな人なのだ^^)
しかもなんだかつっかかってしまう。
ほんとは『なんでもいいから、大丈夫淫乱なりん子が好き』と言い切って言い続けてほしいと、素直にお願いすればいいのに、普段ならできるのに。
時々、こうやって望みを言わずに、那智さんの答えを誘導してしまうようなことをしてしまう。
(人って、割と無意識に誘導してしまうものだけど、極力那智さんにはしないようにしてるんだけどね)
とにかく、モンスター死活問題、この後のとんでもなく恥ずかしくとんでもなく感じる時間を手に入れるために。
ぐるぐるしてしまっていた。
悲しいを払拭したい。
そうしないと、喜べない。
私は、私の気持ちのカードを全部並べて見てもらう。
それを見て、那智さんが決めるのだ。
もしかして、『悲しい』というカードを見せても『やる』ことを選ぶかもしれない。
そしたら私はそれに従うのだ、そこで悲しくなれば那智さんが責任を取ってくれるはず。(『ゴールを決めない理由』)
私に大事なことは『カードを全部並べる』こと。
いま必死にそれをしているの。
もうすぐ駅。
那智さんのほうもホームの気配。
それぞれ電車が来たら電話はおしまい。
この悲しいまま、下着を透けさせないといけないのか。
那智さんにひと言『大丈夫、モンスター大歓迎』と言ってほしい。
でも、電車の到着のアナウンスが携帯から聞こえてきた。
那智さんの口から発せられた言葉は期待や予想から外れた、意外なものだった。
「じゃあ、今日はやめるか」
この言葉は、脅しでも制裁でもないことがご理解いただけるかしら。
『りん子が感じられないと意味がなく、いりん子の短時間で解決させることはできそうにない』と思ったのでしょう。
そして、強行して従わせてもつまらない、那智さんは『下着を透けさせておもらしを喜ぶりん子』がいいのだ。
だから、「やめるか」と判断したのだろう。
どうすれば、お互いに幸福かを考えてくれた那智さんの『やめるか』だ。
なだめすかしもしないし。
有無も言わさずでもない。
こういう方法を取ってくれる那智さんは、とてもステキだし、より一層従いたいと思わせてくれる。
これもいまだから、そういう方法を選んでくれたと思えるけど。
嘘ついてなだめすかしもいやだし、有無を言わさずももっといや。
だけど、『やめるか』の言葉は、モンスターをまた悲しく鳴かせる。
そして、否応なく、それが『とてもとてもしたい』と突きつけられたようだ。
そう、私はとてもとてもしたいの。
『驚いた』の次は『やめるか』^^
ふう。
『やめるか』で、かえって『してほしい』ということが私の中ではっきり浮き彫りになってしまった。
こちらも電車に乗り。
逡巡。
メールを打とうと携帯を手にした。
まず、昨日の電話と今朝の『おはようメール』で悲しいことを伝えられなかったことをごめんなさいして、気持ちをフラットにして続きを打つ。
『濡れているのに。那智さんが平気と言ってくださらないと悲しくなってしまいます。』
『甘えているだけなのもわかっています。どんな私でも平気と言ってほしいだけなのです。』
『那智さんにその気がなくなってしまったのなら、またその気になったらしてください。私は叶えていただきたいです。だけど、悲しい気持ちを消すのを手伝っていただかないと、悲しいままでは喜べない気持ちがします。』
込み合う電車に揺られながら、ぽつぽつと気持ちを伝える。
できるだけ素直に。
濡れていることも悲しいことも助けてほしいことも、甘えていると自覚していることも。
そして、叶えてほしいことも。
カードを全部並べた。
電車が待ち合わせの駅に近づいている。
途中、那智さんからは『どんなりん子でも平気だし、大好き、当たり前だろ』と一通だけ届いた。
最後に一通。
『いつもの場所に行きますか?』
那智さんは私の危険を考えて改札口まで来てくれる約束をしていたの。
だから、『いつもの待ち合わせ場所』にイクということは『やめる』ことを意味している。
判断を仰ぐメールを送って、携帯を閉じた。
その返事をもらえないまま電車はホームに滑り込む。
もう、なかなかモンスターが鳴きやんでくれないよぉ^^;
続く〜!!
長いですね〜^^;
まだ那智さんに会えてない(笑)