眠い
独り言
毎日が駆け足で過ぎていく。
フルタイムで働いているわけじゃないけど、仕事を二つ掛け持つのは思った以上に負担だ。
午前中パートで、帰宅して急いで支度して、打ち合わせとか、子供の学校の役員会のあとそのまま披露宴とか、何度もスケジュール帳を確認しないと忘れてしまいそうなくらい時間が流れるのが早い。
現実じゃないみたい。
次から次へと敵を倒してクリアしていくゲームを延々としているようだ。
視野が狭くて、非現実的。
この非現実的な感覚がちょっと怖くて、そういう時はすぐ那智さんにメールをしてしまう。
これが唯一の現実と繋がれる手段のようで、必死にメールをする。
中毒のようだ。
でも、これで現実と実感できる。
とても依存しているのはわかっているけど、これで地に足が着いた感じが蘇る。
これが唯一の方法だけど、もしかしたら、これは正解ではないかもしれない。
「那智さん、那智さん」ってどんどん那智さんの中に入り込んで、これこそ非現実的なことなのではないかとも、思っている。
逃げ込んでいる。
でも、繋がっていると安心するんだ。
だから、しかたがない。
こんな話を書いたら、無理矢理ひっぺがして「外に出ろ!!!」ってお尻を叩かれそうです。
ああ、だめ、これ書いていて眠くなってきてしまった。
今日は那智さんの子守唄は必要ないみたい。
毎日が駆け足で過ぎていく。
フルタイムで働いているわけじゃないけど、仕事を二つ掛け持つのは思った以上に負担だ。
午前中パートで、帰宅して急いで支度して、打ち合わせとか、子供の学校の役員会のあとそのまま披露宴とか、何度もスケジュール帳を確認しないと忘れてしまいそうなくらい時間が流れるのが早い。
現実じゃないみたい。
次から次へと敵を倒してクリアしていくゲームを延々としているようだ。
視野が狭くて、非現実的。
この非現実的な感覚がちょっと怖くて、そういう時はすぐ那智さんにメールをしてしまう。
これが唯一の現実と繋がれる手段のようで、必死にメールをする。
中毒のようだ。
でも、これで現実と実感できる。
とても依存しているのはわかっているけど、これで地に足が着いた感じが蘇る。
これが唯一の方法だけど、もしかしたら、これは正解ではないかもしれない。
「那智さん、那智さん」ってどんどん那智さんの中に入り込んで、これこそ非現実的なことなのではないかとも、思っている。
逃げ込んでいる。
でも、繋がっていると安心するんだ。
だから、しかたがない。
こんな話を書いたら、無理矢理ひっぺがして「外に出ろ!!!」ってお尻を叩かれそうです。
ああ、だめ、これ書いていて眠くなってきてしまった。
今日は那智さんの子守唄は必要ないみたい。
いじわる
非日常的な日常
このところ那智さんはよく「ロープ」を持ち歩いている。
「非日常的な日常」の「市中引き回しの刑」で初登場したオレンジ色のロープ。
これは、以前付き合っていた女性を縛ったことがあるロープで、私的にはあんまり好きじゃなかったのだけど、短く切られて「ざまあみろ〜」って感じで、許してあげてる♪
いつもデートの時に不意に取り出して私を硬直させるのだ。
那智さんは、私が驚いたり、固まったり、赤面したり、動揺を隠すようにわざと平静を装ったりさせるのが好き。
だから、割と予告なしが多いのだ。
どぎまぎする私を見るのも好きなのでしょうけど、結果的に一番効果的な「動揺」を与えることが楽しみのようで、本当は「おいしい」と思われる場面を見ずに、その先の最終的に訪れる大きな動揺を僅かな時間楽しむなんてことを選ぶほど、大きく心を上下させたがる。
例えばこんなこと、アダルトグッズの売っているお店に一緒に入る。
地下に続く階段は電飾で彩られ、それだけでも近づきにくい雰囲気だ。
狭い店内は、様々なグッズが所狭しと並んでいる。
エナメルの下着とか、バイブレーター、首輪に口輪に鼻フック。
直視するのをためらうようなものばかり。
先にいた男性のお客さんは、何かを買って出て行った。
小さなレジカウンターに女性の店員さんがいるだけで、店内は私たちだけになった。
どぎまぎしながらも、少し緊張が解けてきて、あれこれ一緒に物色するのは、恥ずかしいけど楽しい。
その中でも、私の興味を引くものとそうでないものとあって、我ながら「こういうのがしたいんだな〜」なんて、苦笑気味に眺めてみる。
そのうち那智さんが「全身網タイツ」を手に取って、私に買って来てとお金と一緒に渡す。
え〜、私がレジに持っていくのですか!!
それは、恥ずかしい、でも、男性の店員さんじゃないのが唯一の救い。
こういうときはなるべく堂々と淡々と行動する方が恥ずかしくないんだ。
一生懸命平静を装ってカウンターに向かうけど、もう心臓はどきどき挙動はギクシャク。
支払いをしながら、頭の片隅で「こんな私を見て、那智さんは楽しんでいるのだろうな。それはそれで嬉しい」なんてことも考えたりしている。
無事に支払いを済ませて、那智さんがいた出入り口の方に足を踏み出す。
あれ?那智さんがいない。
周りを伺う余裕がなかったから、ちゃんと確認していなかったけど、ずっとこの辺りにいると思っていた。
それなのに、いない。
こんな緊張するお店でしかも購入なんてしてしまったのだから、一刻も早くこの場から立ち去りたいけど、那智さんがいないから、困ってもう一度店内を振り返り探す。
でも、いない。
どこにいるの?
お店から逃げ出すように慌てて扉を出るけど、そこにもいない。
階段を駆け上がる。
でも、駆け上がりながら、大人のおもちゃ屋さんから私一人で出てくる姿を想像してしまった。
それはそれで、困る。
一人で出るか、お店に引き返すか、どちらも困る。
さすがに戻るわけにはいかず、猛ダッシュで階段を上がる。
私の計画は、「誰にも会わないように急いで上がって、地上付近で何食わぬ顔してさらりとずっと道路を歩いていました風を装う」だ。
どこにいるの那智さん〜。
私の恥ずかしがる購入シーンはご覧にならなくて良かったの〜?
と、それほど長くない階段の僅かな時間にこんなことをぐるぐると考えていた。
さらりと地上に出るつもりだったが、やはりそんなに上手くはいかずダッシュの勢いのまま慌てて出ると、地上の出口の横に楽しそうに那智さんが立っていた。
「もう〜どうしていなくなっちゃうんですか〜!!」
ほっとして、さらにどきどきも倍増。
「那智さんのばかなか〜」みたいな雰囲気だ(笑)。
なぜいなくなったのか、それはそのほうがりん子が動揺するから、だそうだ。
店内に誰もいないし、誰か入っていけばわかるから危険ではないだろうと判断したら、大きく動揺するほうを選んだのだ。
恥ずかしがりながら、購入する私を楽しむよりも、それを見なくても「動揺させている」という事実が楽しいのだ。
結果的に、最後階段を上がってきた私の取り乱しを一瞬見るだけで、満足なんだ。
ああ、もう意地悪な人だ。
那智さんのこの方法に付き合う私はいつもヒヤヒヤしている。
これは、憶測だけど、加えて「那智さんのばかばか〜」なんて感じも好きなのでしょう。
お互い、いい年してと思わなくないが、やってるほうも気持ち良いからいいかと、自分で自分を許している。
だって、30数年間そういうキャラじゃなかったんだもん、いまさらでもできて気持ち良いんだもん♪
えっと、「市中引き回しロープ」で、人間じゃない何かになってしまった出来事を書こうと思っていましたが、話が逸れてしまいました。
急に、デザイン変えちゃうし、結構気分で動いています♪
このところ那智さんはよく「ロープ」を持ち歩いている。
「非日常的な日常」の「市中引き回しの刑」で初登場したオレンジ色のロープ。
これは、以前付き合っていた女性を縛ったことがあるロープで、私的にはあんまり好きじゃなかったのだけど、短く切られて「ざまあみろ〜」って感じで、許してあげてる♪
いつもデートの時に不意に取り出して私を硬直させるのだ。
那智さんは、私が驚いたり、固まったり、赤面したり、動揺を隠すようにわざと平静を装ったりさせるのが好き。
だから、割と予告なしが多いのだ。
どぎまぎする私を見るのも好きなのでしょうけど、結果的に一番効果的な「動揺」を与えることが楽しみのようで、本当は「おいしい」と思われる場面を見ずに、その先の最終的に訪れる大きな動揺を僅かな時間楽しむなんてことを選ぶほど、大きく心を上下させたがる。
例えばこんなこと、アダルトグッズの売っているお店に一緒に入る。
地下に続く階段は電飾で彩られ、それだけでも近づきにくい雰囲気だ。
狭い店内は、様々なグッズが所狭しと並んでいる。
エナメルの下着とか、バイブレーター、首輪に口輪に鼻フック。
直視するのをためらうようなものばかり。
先にいた男性のお客さんは、何かを買って出て行った。
小さなレジカウンターに女性の店員さんがいるだけで、店内は私たちだけになった。
どぎまぎしながらも、少し緊張が解けてきて、あれこれ一緒に物色するのは、恥ずかしいけど楽しい。
その中でも、私の興味を引くものとそうでないものとあって、我ながら「こういうのがしたいんだな〜」なんて、苦笑気味に眺めてみる。
そのうち那智さんが「全身網タイツ」を手に取って、私に買って来てとお金と一緒に渡す。
え〜、私がレジに持っていくのですか!!
それは、恥ずかしい、でも、男性の店員さんじゃないのが唯一の救い。
こういうときはなるべく堂々と淡々と行動する方が恥ずかしくないんだ。
一生懸命平静を装ってカウンターに向かうけど、もう心臓はどきどき挙動はギクシャク。
支払いをしながら、頭の片隅で「こんな私を見て、那智さんは楽しんでいるのだろうな。それはそれで嬉しい」なんてことも考えたりしている。
無事に支払いを済ませて、那智さんがいた出入り口の方に足を踏み出す。
あれ?那智さんがいない。
周りを伺う余裕がなかったから、ちゃんと確認していなかったけど、ずっとこの辺りにいると思っていた。
それなのに、いない。
こんな緊張するお店でしかも購入なんてしてしまったのだから、一刻も早くこの場から立ち去りたいけど、那智さんがいないから、困ってもう一度店内を振り返り探す。
でも、いない。
どこにいるの?
お店から逃げ出すように慌てて扉を出るけど、そこにもいない。
階段を駆け上がる。
でも、駆け上がりながら、大人のおもちゃ屋さんから私一人で出てくる姿を想像してしまった。
それはそれで、困る。
一人で出るか、お店に引き返すか、どちらも困る。
さすがに戻るわけにはいかず、猛ダッシュで階段を上がる。
私の計画は、「誰にも会わないように急いで上がって、地上付近で何食わぬ顔してさらりとずっと道路を歩いていました風を装う」だ。
どこにいるの那智さん〜。
私の恥ずかしがる購入シーンはご覧にならなくて良かったの〜?
と、それほど長くない階段の僅かな時間にこんなことをぐるぐると考えていた。
さらりと地上に出るつもりだったが、やはりそんなに上手くはいかずダッシュの勢いのまま慌てて出ると、地上の出口の横に楽しそうに那智さんが立っていた。
「もう〜どうしていなくなっちゃうんですか〜!!」
ほっとして、さらにどきどきも倍増。
「那智さんのばかなか〜」みたいな雰囲気だ(笑)。
なぜいなくなったのか、それはそのほうがりん子が動揺するから、だそうだ。
店内に誰もいないし、誰か入っていけばわかるから危険ではないだろうと判断したら、大きく動揺するほうを選んだのだ。
恥ずかしがりながら、購入する私を楽しむよりも、それを見なくても「動揺させている」という事実が楽しいのだ。
結果的に、最後階段を上がってきた私の取り乱しを一瞬見るだけで、満足なんだ。
ああ、もう意地悪な人だ。
那智さんのこの方法に付き合う私はいつもヒヤヒヤしている。
これは、憶測だけど、加えて「那智さんのばかばか〜」なんて感じも好きなのでしょう。
お互い、いい年してと思わなくないが、やってるほうも気持ち良いからいいかと、自分で自分を許している。
だって、30数年間そういうキャラじゃなかったんだもん、いまさらでもできて気持ち良いんだもん♪
えっと、「市中引き回しロープ」で、人間じゃない何かになってしまった出来事を書こうと思っていましたが、話が逸れてしまいました。
急に、デザイン変えちゃうし、結構気分で動いています♪
従属感
非日常的な日常
はじめは片方の手首だった。
遊園地デートで朝からうきうきとはしゃぐ私の前に、那智さんが見せたオレンジ色のロープは私の左の手首に結ばれた。
目の前に差し出されたロープを見て、動揺とともに深いため息を付く。
これは、「ああ、どうしよう、人前で恥ずかしいことをするんだ」という困惑と、それをしてもらうことの喜びだ。
そして、困らせられることで、こんなにも喜んでしまう私自身へのためらいだ。
なぜ、困るようなことが嬉しいのだろう。
なぜ、ちょっと普通じゃない自分になりたいのだろう。
那智さんにしてもらうことで得られる従属感と、そんなことで満たされる性癖。
ロープの先端を輪にして目の前に出されて、多少のためらいはあるにしても、当然のようにその輪に手を通す。
ぎゅっと締められ私は那智さんに繋がれてしまった。
変な目で見られたくないから、腕を組んで手首のロープの存在を隠すけど、輪から延びている数十センチのロープを那智さんが手に持ってゆらゆらさせるから、すれ違うカップルに「チラッ」と見られてしまう。
繁華街で「市中引き回し」をしたときよりも、人の視線を感じてしまうのは、那智さんも気づいている。
なぜだろう、繁華街ではみんな自分のことで精一杯で人は気にしていない空気があるのかもしれない。
デートスポットでは、他のカップルが気になるのだろうか、たくさんの人に見られている。
それでも、露出をしているわけではないし、一瞬見ただけでは性的なこととさえも気づかないかもしれない。
ただ、すれ違い様に何か変な感じがして「え?」って感じの視線なのだ。
あまり目立ちたくないなと思う。
那智さんのものだと誇示したい気持ちもあるのだけど、それはできればハプニングバーのようなコンセンサスの得られる場所でしたい。
あまり人に引かれるのは、ためらう。
しばらくして、今度はもう一方の先端も輪にして右手首に通す。
手錠のようだ。
輪と輪を繋ぐロープがだらりと垂れてしまって困る。
目立たないように丸めて両手で包み込みそのまま那智さんの肘をつまんで隠す。
両手で肘をつまむ年増のラブラブカップルの出来上がり♪
もう遊園地を楽しむ余裕はない。
とにかく周りに気づかれないように必死。
そこからは、拘束のバリエーション遊び。
両手首から片手首と首。
骨折して首から腕を吊るしているようだ。
しばらくして、手首は外され首だけに紐を通して那智さんが引く。
こうなったら下を向いてるしかない。
タバコを吸いに喫煙所に行く那智さんに付いていって、上着で必死に隠す。
一見普通にデートしているけれど、水面下では沈んでしまわないように足をジタバタさせて必死に持ちこたえているみたいだ。
だんだんと、正常な何かが崩れていく。
もう何時間も半分は普通のデート、半分はそうじゃない何か。
最終的に落ち着いた(?)のはひとつの輪で両手首をまとめる拘束方法だ。
「お縄頂戴」状態。
紐の先は那智さんが握っていたり、私がまとめて持っていたり、とにかく両手首で那智さんの肘を掴んだ年増のラブラブは続く。
それでまた喫煙所になんて行くから、私はしがみついているしかないのだ。
喫煙所の灰皿の側で不自然なほど離れないカップル。
ああ、みんな不審なものを見るような視線。
正常を保ちつつも、正常の一部を崩していく。
私は数時間ずっと紐で拘束されている。
ずっと那智さんのおもちゃだ。
レストランの外の席で、コーラとポップコーンで一休み。
両手首をひとまとめにされたままだ。
おいしそうなポップコーン。
辺りを伺い、親子連れがいないことを確認して両方の手を一緒に動かして、ポップコーンを取り、口に運んでみる。
堂々と口の位置まで拘束された手を持ち上げるのは気が引けるから、少し体を屈めて頭を下げて食べるしかない。
これが思いのほかみっともない動きで、それから先はもうポップコーンに手を伸ばせなくなっていた。
「はい」
那智さんが掌にポップコーンを乗せて私の目の前に差し出す。
これを食べるのは、やっぱり普通の人間じゃない。
それでも、それをさせる那智さんが嬉しくて、それをしてしまう私が幸せで、ためらいつつも掌に顔を近づけて口だけで食べる。
気持ちいい。
普通じゃないことを那智さんがしてくれて、普通じゃない私になることは気持ちいい。
自覚するほど濡れている。
「はーい」
ポップコーンを乗せた掌が、今度はテーブルの位置に下がっていった。
次は「わんこ」のようだ。
少し周りを気にしてみるけど、カップルと男性一人。
変な物見せてごめんなさい、でも、もう止められない。
私は体を折り曲げて、テーブルの位置まで顔を下げて、口と舌を使ってポップコーンを頬張るのだ。
みっともない私。
うつむいてモグモグと咀嚼して飲み込む。
2、3回繰り返す。
どうしよう、次を待っている。
最後は那智さんが咀嚼して掌に出したそれを食べる。
もう私は、那智さんの何か従属物になっている。
那智さんしか見えていない。
ポップコーンと一緒に、幸福や快感をくれる那智さんだけに向いている従属物。
この「那智さんのもの」と思えることが、幸せ。
だけど、このデートは思いのほか疲労を残した。
鞭で酷く打たれたわけでもないし、浣腸して無理矢理排泄に追い込まれるような大変さもないけど、一見普通で実は異常な低空飛行の「人間じゃない」状態が長く続くのは、とても疲れることのようだ。
はじめは片方の手首だった。
遊園地デートで朝からうきうきとはしゃぐ私の前に、那智さんが見せたオレンジ色のロープは私の左の手首に結ばれた。
目の前に差し出されたロープを見て、動揺とともに深いため息を付く。
これは、「ああ、どうしよう、人前で恥ずかしいことをするんだ」という困惑と、それをしてもらうことの喜びだ。
そして、困らせられることで、こんなにも喜んでしまう私自身へのためらいだ。
なぜ、困るようなことが嬉しいのだろう。
なぜ、ちょっと普通じゃない自分になりたいのだろう。
那智さんにしてもらうことで得られる従属感と、そんなことで満たされる性癖。
ロープの先端を輪にして目の前に出されて、多少のためらいはあるにしても、当然のようにその輪に手を通す。
ぎゅっと締められ私は那智さんに繋がれてしまった。
変な目で見られたくないから、腕を組んで手首のロープの存在を隠すけど、輪から延びている数十センチのロープを那智さんが手に持ってゆらゆらさせるから、すれ違うカップルに「チラッ」と見られてしまう。
繁華街で「市中引き回し」をしたときよりも、人の視線を感じてしまうのは、那智さんも気づいている。
なぜだろう、繁華街ではみんな自分のことで精一杯で人は気にしていない空気があるのかもしれない。
デートスポットでは、他のカップルが気になるのだろうか、たくさんの人に見られている。
それでも、露出をしているわけではないし、一瞬見ただけでは性的なこととさえも気づかないかもしれない。
ただ、すれ違い様に何か変な感じがして「え?」って感じの視線なのだ。
あまり目立ちたくないなと思う。
那智さんのものだと誇示したい気持ちもあるのだけど、それはできればハプニングバーのようなコンセンサスの得られる場所でしたい。
あまり人に引かれるのは、ためらう。
しばらくして、今度はもう一方の先端も輪にして右手首に通す。
手錠のようだ。
輪と輪を繋ぐロープがだらりと垂れてしまって困る。
目立たないように丸めて両手で包み込みそのまま那智さんの肘をつまんで隠す。
両手で肘をつまむ年増のラブラブカップルの出来上がり♪
もう遊園地を楽しむ余裕はない。
とにかく周りに気づかれないように必死。
そこからは、拘束のバリエーション遊び。
両手首から片手首と首。
骨折して首から腕を吊るしているようだ。
しばらくして、手首は外され首だけに紐を通して那智さんが引く。
こうなったら下を向いてるしかない。
タバコを吸いに喫煙所に行く那智さんに付いていって、上着で必死に隠す。
一見普通にデートしているけれど、水面下では沈んでしまわないように足をジタバタさせて必死に持ちこたえているみたいだ。
だんだんと、正常な何かが崩れていく。
もう何時間も半分は普通のデート、半分はそうじゃない何か。
最終的に落ち着いた(?)のはひとつの輪で両手首をまとめる拘束方法だ。
「お縄頂戴」状態。
紐の先は那智さんが握っていたり、私がまとめて持っていたり、とにかく両手首で那智さんの肘を掴んだ年増のラブラブは続く。
それでまた喫煙所になんて行くから、私はしがみついているしかないのだ。
喫煙所の灰皿の側で不自然なほど離れないカップル。
ああ、みんな不審なものを見るような視線。
正常を保ちつつも、正常の一部を崩していく。
私は数時間ずっと紐で拘束されている。
ずっと那智さんのおもちゃだ。
レストランの外の席で、コーラとポップコーンで一休み。
両手首をひとまとめにされたままだ。
おいしそうなポップコーン。
辺りを伺い、親子連れがいないことを確認して両方の手を一緒に動かして、ポップコーンを取り、口に運んでみる。
堂々と口の位置まで拘束された手を持ち上げるのは気が引けるから、少し体を屈めて頭を下げて食べるしかない。
これが思いのほかみっともない動きで、それから先はもうポップコーンに手を伸ばせなくなっていた。
「はい」
那智さんが掌にポップコーンを乗せて私の目の前に差し出す。
これを食べるのは、やっぱり普通の人間じゃない。
それでも、それをさせる那智さんが嬉しくて、それをしてしまう私が幸せで、ためらいつつも掌に顔を近づけて口だけで食べる。
気持ちいい。
普通じゃないことを那智さんがしてくれて、普通じゃない私になることは気持ちいい。
自覚するほど濡れている。
「はーい」
ポップコーンを乗せた掌が、今度はテーブルの位置に下がっていった。
次は「わんこ」のようだ。
少し周りを気にしてみるけど、カップルと男性一人。
変な物見せてごめんなさい、でも、もう止められない。
私は体を折り曲げて、テーブルの位置まで顔を下げて、口と舌を使ってポップコーンを頬張るのだ。
みっともない私。
うつむいてモグモグと咀嚼して飲み込む。
2、3回繰り返す。
どうしよう、次を待っている。
最後は那智さんが咀嚼して掌に出したそれを食べる。
もう私は、那智さんの何か従属物になっている。
那智さんしか見えていない。
ポップコーンと一緒に、幸福や快感をくれる那智さんだけに向いている従属物。
この「那智さんのもの」と思えることが、幸せ。
だけど、このデートは思いのほか疲労を残した。
鞭で酷く打たれたわけでもないし、浣腸して無理矢理排泄に追い込まれるような大変さもないけど、一見普通で実は異常な低空飛行の「人間じゃない」状態が長く続くのは、とても疲れることのようだ。
露出後のお話
非日常的な日常
この日、私はとんでもない露出をした。(これは後日♪)
だから、もともと下半身は下着だけだったから、部屋に入って脱がすのは簡単だ。
上着のセーターは残して、下半身だけ何も着けていない私の腕を引き、畳にうつ伏せに倒す。
黒いセーターもたくし上げられ、背中もあらわになる。
思い切りお尻をスパンキングされる。
素早く、重く。
お尻だけではなく、太腿の外側と内側、腰、背中の脂肪の少ない部分は鋭い痛みだ。
叩く場所が変わるたびに、新しい痛さに呻く。
そして、またお尻。
左右と打ち、また背中。
一度打った痛い場所に上塗りするように、もう一度叩いて痛さを加える。
そうかと思うと、不慣れな新しい場所にも、一撃。
上塗りも不慣れも、どちらも痛い。
そのうち、右のお尻を集中して叩きはじめる。
痛さの上塗りに声を上げるけど、だんだんと体の力が抜けてくるのがわかる。
それと同時に那智さんの打つ力が増してくるのもわかる。
「パシ」とか「ピシ」とかではない、もっと重い「ドスン」という音。
私のお尻に「ドスン」という衝撃を与えているんだ。
もうその衝撃で揺れる以外に私自身は動けない。
脱力して放心している。
痛いのだ。
きっと痛いのだ。
でも、もうどうでもよくなっている。
私は、私の感情を手放してしまった。
この先、これを続けるのも、止めるのも、酷くするのも、那智さん次第。
痛みを堪えるために抱え込んでいた枕も、いつしか感情と一緒に手放している。
しばらく私を放心させていた那智さんの手が今度は左のお尻に移った。
やはり新しい場所は、刺激が強く感じる。
また、一瞬感情が蘇って、体を固くして声を上げる。
「那智さん、キスをしてください。」
早く恍惚の世界に連れて行ってほしくて、こんなお願いを口にする。
一瞬衝撃を止め、キスをしてくれるけど、またすぐに同じように、重い重い衝撃。
次は、すぐに感情を手放していた。
痛いはずだ。
でも、心地よい体の揺れだけにすべてをまかせて、ただただ無心になっていた。
鞭の痕は10日経っても消えない。
皮膚が裂けて血が滲んだ部分も、まだ消えていない、もしかしたら消えないかもしれない。
スパンキングで上書きされた。
恍惚として、うつ伏せのまま畳に寝ている横で、那智さんがコーヒーを煎れているみたいだ。
気配で感じる。
言葉はなく、静かに動く音だけが聞こえる。
早く那智さんにくっつきたい。
座椅子(和室だからね)に腰掛ける那智さんにすり寄って、太腿に頭を乗せるとコーヒーを煎れながら右手の二の腕辺りを私の頭に乗せてくれる。
ちょうど、那智さんの脇腹と二の腕に頭を挟まれたような格好だ。
幸せな拘束。
うっとりとしている私の太腿に熱い痛みが走る。
熱湯だ、まだ、終わりじゃないんだ。
熱さで身を捩ってしまうから、那智さんの枕から落ちてしまう。
そばにあった枕を抱え、熱さに耐える。
背中、お尻、腰掛けたままだから、低い位置から垂らしている。
刺すように熱い。
お尻の割れ目、内股の付け根、火傷するのではないかというくらい、熱い。
ティースプーンで垂らしていた、締めくくりはアルミのポットから直接垂らす。
徐々に冷めてきているとはいえ、大量のお湯は辛い。
怖さと熱さで、ポットを傾ける瞬間までしか見ていられなかった。
ぐったりしながらも、もっと近寄って今度は那智さんの腰に手を回して顔を胸に押し当てる。
コーヒーを飲んで、タバコを吸いながら、ゆっくりと髪を撫でてくれるから、嬉しくてしょうがない。
なんて心地よい場所。
別な意味で放心していたら、スーツ越しに那智さんの心臓の音が聞こえてきた。
那智さんはさっきから、一言も発していない。
なんだか、鼓動が那智さんの声のようだ。
静かに一定のリズムで刻む鼓動は、那智さんがくれる安心のようで、なんて心地よいのだろう。
それにしても、あんな露出を(後日ね♪)させて、スパンキングをして、熱湯を浴びせて、それで、このゆっくりとした心拍。
度胸があるのか、体力があるのか、この冷静さも信頼のひとつ。
この日、私はとんでもない露出をした。(これは後日♪)
だから、もともと下半身は下着だけだったから、部屋に入って脱がすのは簡単だ。
上着のセーターは残して、下半身だけ何も着けていない私の腕を引き、畳にうつ伏せに倒す。
黒いセーターもたくし上げられ、背中もあらわになる。
思い切りお尻をスパンキングされる。
素早く、重く。
お尻だけではなく、太腿の外側と内側、腰、背中の脂肪の少ない部分は鋭い痛みだ。
叩く場所が変わるたびに、新しい痛さに呻く。
そして、またお尻。
左右と打ち、また背中。
一度打った痛い場所に上塗りするように、もう一度叩いて痛さを加える。
そうかと思うと、不慣れな新しい場所にも、一撃。
上塗りも不慣れも、どちらも痛い。
そのうち、右のお尻を集中して叩きはじめる。
痛さの上塗りに声を上げるけど、だんだんと体の力が抜けてくるのがわかる。
それと同時に那智さんの打つ力が増してくるのもわかる。
「パシ」とか「ピシ」とかではない、もっと重い「ドスン」という音。
私のお尻に「ドスン」という衝撃を与えているんだ。
もうその衝撃で揺れる以外に私自身は動けない。
脱力して放心している。
痛いのだ。
きっと痛いのだ。
でも、もうどうでもよくなっている。
私は、私の感情を手放してしまった。
この先、これを続けるのも、止めるのも、酷くするのも、那智さん次第。
痛みを堪えるために抱え込んでいた枕も、いつしか感情と一緒に手放している。
しばらく私を放心させていた那智さんの手が今度は左のお尻に移った。
やはり新しい場所は、刺激が強く感じる。
また、一瞬感情が蘇って、体を固くして声を上げる。
「那智さん、キスをしてください。」
早く恍惚の世界に連れて行ってほしくて、こんなお願いを口にする。
一瞬衝撃を止め、キスをしてくれるけど、またすぐに同じように、重い重い衝撃。
次は、すぐに感情を手放していた。
痛いはずだ。
でも、心地よい体の揺れだけにすべてをまかせて、ただただ無心になっていた。
鞭の痕は10日経っても消えない。
皮膚が裂けて血が滲んだ部分も、まだ消えていない、もしかしたら消えないかもしれない。
スパンキングで上書きされた。
恍惚として、うつ伏せのまま畳に寝ている横で、那智さんがコーヒーを煎れているみたいだ。
気配で感じる。
言葉はなく、静かに動く音だけが聞こえる。
早く那智さんにくっつきたい。
座椅子(和室だからね)に腰掛ける那智さんにすり寄って、太腿に頭を乗せるとコーヒーを煎れながら右手の二の腕辺りを私の頭に乗せてくれる。
ちょうど、那智さんの脇腹と二の腕に頭を挟まれたような格好だ。
幸せな拘束。
うっとりとしている私の太腿に熱い痛みが走る。
熱湯だ、まだ、終わりじゃないんだ。
熱さで身を捩ってしまうから、那智さんの枕から落ちてしまう。
そばにあった枕を抱え、熱さに耐える。
背中、お尻、腰掛けたままだから、低い位置から垂らしている。
刺すように熱い。
お尻の割れ目、内股の付け根、火傷するのではないかというくらい、熱い。
ティースプーンで垂らしていた、締めくくりはアルミのポットから直接垂らす。
徐々に冷めてきているとはいえ、大量のお湯は辛い。
怖さと熱さで、ポットを傾ける瞬間までしか見ていられなかった。
ぐったりしながらも、もっと近寄って今度は那智さんの腰に手を回して顔を胸に押し当てる。
コーヒーを飲んで、タバコを吸いながら、ゆっくりと髪を撫でてくれるから、嬉しくてしょうがない。
なんて心地よい場所。
別な意味で放心していたら、スーツ越しに那智さんの心臓の音が聞こえてきた。
那智さんはさっきから、一言も発していない。
なんだか、鼓動が那智さんの声のようだ。
静かに一定のリズムで刻む鼓動は、那智さんがくれる安心のようで、なんて心地よいのだろう。
それにしても、あんな露出を(後日ね♪)させて、スパンキングをして、熱湯を浴びせて、それで、このゆっくりとした心拍。
度胸があるのか、体力があるのか、この冷静さも信頼のひとつ。
合図
非日常的な日常
顎を掴むように、手を当てて「口を閉じて」がビンタの合図。
まだ、慣れていないから「口を閉じて」と言ってくれる。
そのうち慣れたら、手を当てただけで、それを待つことになるのだろう。
飼い主がリードを持ったら、お散歩を待つわんこのように。
違いは、わんこは嬉しいから待つ、私は怖くて嬉しいから待つ。
顎を掴むように、手を当てて「口を閉じて」がビンタの合図。
まだ、慣れていないから「口を閉じて」と言ってくれる。
そのうち慣れたら、手を当てただけで、それを待つことになるのだろう。
飼い主がリードを持ったら、お散歩を待つわんこのように。
違いは、わんこは嬉しいから待つ、私は怖くて嬉しいから待つ。