コートの下
非日常的な日常
ラッシュが終わった後の電車。
これくらいの混み具合は乗車率何%っていうんだろう。
つり革はほぼ埋まり、ドア付近は辛うじて人と人が触れ合わずに済んでいる。
並んでつり革につかまる。
那智さんは右、わたしは左。
この日のわたしはニットのワンピースとニーハイにショートブーツ、黒のロングコート。
下着はつけていない。
このロングコートがとても具合がよかった。
わたしたちが立っている前の座席、1列はひとりを覗きみんなうつむいて寝ていた。
那智さんの正面の若い女性だけ起きて携帯をチェックしたり鏡を覗いたりしていた。
寝ていてほしいなと思う。
振り返り、背後のつり革にもほとんど人がつかまっていて座席の人の姿もほとんど見えない。
一ヶ所だけ、わたしの斜め後ろだけぽっかり空いていて、腰掛ける中年男性の姿を確認することができた。
うつむいている。
何か読んでいるようだ。
そのまま顔を上げないでと願う。
このロングコート、前のボタンがおヘソの下辺りが最後で後ろのスリットがお尻の頂点くらいまで伸びている。
那智さんの手がスリットに伸びた。
コートをめくり上げることなく、するりと中に差し込める。
後ろが気になる。
チラッと振り返ると男性は下を向いたままだ。
指が静かにお尻を撫でる。
すっと動き、ワンピースの裾をたくし上げた。
コートに隠されたむき出しの肌を那智さんの指が這う、なだらかな曲線を覆うように。
スリットの中は素肌。
たくし上げられたワンピースがだらしなく腰でたわんでいる。
全裸とは違う、この中途半端なだらしなさに欲情する。
完全に隠れておらず、かといって完全に露出しているわけでもない。
密やかに大胆に肌を露にする。
ワンピースの裾はそのままで、手は前に移動した。
前もボタンの位置が絶妙でほとんどコートの形を歪めることなく手を入れることができるのだ。
前の女性は相変わらず携帯に夢中。
那智さんの指が裾から忍び込む。
あああ、とてもとても濡れている。
濡れた指がクリトリスを撫でる。
たまらなく気持ちがいい。
静かな愛撫。
声を上げずに、静かに答える。
本当は声を出して腰を振ってしまいたい。
女性を見る。
どうか気がつきませんように。
誰にも見られたくないけれど、誰かに見てほしくてたまらなくなる。
わたしの前は男性だ。
うつむいて熟睡しているみたい。
その男性に視線を向ける。
こんなところで気持ちよくなっているはしたない女。
景色が流れているのが見える。
平面の画像を見ているみたい。
いつ駅に着いて、いつ発車しているのか、自分の意識からなくしてしまっている。
ただ、那智さんの指の熱とコートの隙間から露出している肌の空気だけに神経が集中していた。
静かに一度、イク。
那智さんが濡れた指をわたしの太ももで拭って、後ろのワンピースも整えてくれた。
こういうの好きだね、ふたりとも。
俺はすごく満足した。
人がいる中で、でも完全に見せるわけでも逆に絶対見えないという保証もない、もしかしたらわかる人がいるかもしれない。
スリットの隙間から
たくし上げた裾から
那智さんの手の角度によって
もしかしたら見せてしまっているかもしれない。
あのコートの中で半分たくし上げられ露出した心許ないお尻を那智さんの手がスッと撫でる、誰も気づかないで、誰か見てと相反する感情に逃げ出したくなるような快感。
そしてこの快感を作る大きな要因は電車という空間だと思う。
あれだけの人数が密集して留まっている。
その人たちが思い思いの方向を向いて、思い思いの時間を過ごしている。
人の数と反比例するように個々で意識を遮断している空間。
その交錯する視線や思考の中でふたりだけの世界を作る。
たぶん、こういうことでわたしたちは満たされる。
あの息を潜めるような快感を作ったものは、電車という空間とコートの作り。
そして、実はふたりの身長も一役買ってくれていたのだ^^
ラッシュが終わった後の電車。
これくらいの混み具合は乗車率何%っていうんだろう。
つり革はほぼ埋まり、ドア付近は辛うじて人と人が触れ合わずに済んでいる。
並んでつり革につかまる。
那智さんは右、わたしは左。
この日のわたしはニットのワンピースとニーハイにショートブーツ、黒のロングコート。
下着はつけていない。
このロングコートがとても具合がよかった。
わたしたちが立っている前の座席、1列はひとりを覗きみんなうつむいて寝ていた。
那智さんの正面の若い女性だけ起きて携帯をチェックしたり鏡を覗いたりしていた。
寝ていてほしいなと思う。
振り返り、背後のつり革にもほとんど人がつかまっていて座席の人の姿もほとんど見えない。
一ヶ所だけ、わたしの斜め後ろだけぽっかり空いていて、腰掛ける中年男性の姿を確認することができた。
うつむいている。
何か読んでいるようだ。
そのまま顔を上げないでと願う。
このロングコート、前のボタンがおヘソの下辺りが最後で後ろのスリットがお尻の頂点くらいまで伸びている。
那智さんの手がスリットに伸びた。
コートをめくり上げることなく、するりと中に差し込める。
後ろが気になる。
チラッと振り返ると男性は下を向いたままだ。
指が静かにお尻を撫でる。
すっと動き、ワンピースの裾をたくし上げた。
コートに隠されたむき出しの肌を那智さんの指が這う、なだらかな曲線を覆うように。
スリットの中は素肌。
たくし上げられたワンピースがだらしなく腰でたわんでいる。
全裸とは違う、この中途半端なだらしなさに欲情する。
完全に隠れておらず、かといって完全に露出しているわけでもない。
密やかに大胆に肌を露にする。
ワンピースの裾はそのままで、手は前に移動した。
前もボタンの位置が絶妙でほとんどコートの形を歪めることなく手を入れることができるのだ。
前の女性は相変わらず携帯に夢中。
那智さんの指が裾から忍び込む。
あああ、とてもとても濡れている。
濡れた指がクリトリスを撫でる。
たまらなく気持ちがいい。
静かな愛撫。
声を上げずに、静かに答える。
本当は声を出して腰を振ってしまいたい。
女性を見る。
どうか気がつきませんように。
誰にも見られたくないけれど、誰かに見てほしくてたまらなくなる。
わたしの前は男性だ。
うつむいて熟睡しているみたい。
その男性に視線を向ける。
こんなところで気持ちよくなっているはしたない女。
景色が流れているのが見える。
平面の画像を見ているみたい。
いつ駅に着いて、いつ発車しているのか、自分の意識からなくしてしまっている。
ただ、那智さんの指の熱とコートの隙間から露出している肌の空気だけに神経が集中していた。
静かに一度、イク。
那智さんが濡れた指をわたしの太ももで拭って、後ろのワンピースも整えてくれた。
こういうの好きだね、ふたりとも。
俺はすごく満足した。
人がいる中で、でも完全に見せるわけでも逆に絶対見えないという保証もない、もしかしたらわかる人がいるかもしれない。
スリットの隙間から
たくし上げた裾から
那智さんの手の角度によって
もしかしたら見せてしまっているかもしれない。
あのコートの中で半分たくし上げられ露出した心許ないお尻を那智さんの手がスッと撫でる、誰も気づかないで、誰か見てと相反する感情に逃げ出したくなるような快感。
そしてこの快感を作る大きな要因は電車という空間だと思う。
あれだけの人数が密集して留まっている。
その人たちが思い思いの方向を向いて、思い思いの時間を過ごしている。
人の数と反比例するように個々で意識を遮断している空間。
その交錯する視線や思考の中でふたりだけの世界を作る。
たぶん、こういうことでわたしたちは満たされる。
あの息を潜めるような快感を作ったものは、電車という空間とコートの作り。
そして、実はふたりの身長も一役買ってくれていたのだ^^