「すべての責任は俺にある。ただし、りん子には道義的責任がある」4
モカ
『「すべての責任は俺にある。ただし、りん子には道義的責任がある」1』に書かれている認識のもとお読みください。
『金の斧銀の斧』からはじまった那智さんの好きが減ってしまうような流れ、那智さんはどう考えていたのだろう。
りん子を焦がれさせるには単発の性的な場面だけではダメだと思った。
ある程度自分が対象の女性に気持ちが向くくらいじゃないと、りん子の望む焦がれにならないだろう。
それには、こちら側にも覚悟がいる。
りん子は傷つくはずだ。
いや、傷つくくらいじゃないと『焦がれ』にならないだろう。
もしかしたらりん子の『那智さん好き』が減るかもしれない。
でも、この傷は那智復できる自信があった。
発端はりん子だということと、これは必要悪、元の状態に戻り俺が変わっていないことが理解できれば傷は上塗りできる。
ただ、気をつけなければいけないことは、その傷や『好きが減る』がふたりの根幹を揺るがすものになってはいけないことだ。
この根幹というのは『この先も付き合いを続けたいと思う』というレベル。
この根幹さえほころばなければ、傷ついても好きが減っても、大丈夫。
実際、あるとき、どうしても辛くて訴えたことがあった。
こんな会話だ。
「3人は、無理です」
「無理?」
「辛いです」
「辛いと無理は違うよ、どっち?」
「辛い…です」
(追記:ここで辛いを選んだのは『那智さんの意に沿いたい』という思いからだった。のですよ、那智さん^^)
「わかった」
那智さんは、この会話で『根幹』への影響を計っていたのだろうといまなら思える。
(でも、そんなのわかんないよ〜;;もうちょっと説明してよ〜;;)
傷つくことは必要悪、根幹さえ傷つかなければ那智復できる。
そんなふうに思っていたらしい。
だから、わたしが訴える『苦しい』や『悲しい』は、それは予想の範疇、焦がれたいのだから当然だろ?ということだ。
それでも『苦しい』『悲しい』を訴えるわけだから、じゃあ、そこは那智正しようということになる。
だから、わたしが感じた『一滴垂らしたら、その一滴分だけ助けてくれる』という状態が作り出されたのだと推測できる。
一滴分だけ那智正してくれたわけだ。
なぜ、いままでのように『一滴垂らしたら、全部助ける』ようにならなかったかというと、やはり他者を交えているということと、それはこちらが誘ったという責任と、ふたりともモカを大切にしたいという気持ちがあったからだろう。
そこまで理解できていないわたし。
いや、これに近い話は渦中でもかなりしたはずだ。
でも、そこに至るまでの不安定になった足元では、何を聞いても感情はついていってくれなかった。
どうして、金の斧を受け取ってしまうの、そんなふうに『素直』でいることを諦めなければならないと感じだしたころ、かつての恋愛で感じた『すーっと泉に消えていく』感覚に怯えるようになってしまった。
このままでは那智さんへの気持ちがどんどん離れていく。
もう、すでにいろいろなことを諦めていて、わたしの一部に血が通わなくなっている。
片腕が壊死して、ボロっと落ちるのは時間の問題のように感じてしまっていた。
那智さんは『傷つくことは必要悪。根幹さえ傷つかなければ那智復できる』と思っている。
わたしは気持ちが醒めていく恐怖に怯える。
仕掛けた側とついていく側の感覚の違いは、かなり言葉を尽くして話してもまだここまで埋まらないものだった。
那智さんへの好きが減る。
嫉妬で苦しいなんてどころじゃない。
これは、わたしをパニックにした。
もうとことん話し尽くした。
できる思考回路は全部試した。
それでも、一度崩れてしまった足元は小手先の那智正ではどうすることもできなかった。
「全部話そう」
この状況をモカに全部話して今後を話し合おう。
それまで、一度一ヶ月ほど前に形の那智正をしてもらっていた。
ある程度のことおは話してはいたけど、モカはこの状況をほとんど知らない。
できる限り知らせずに解決していきたかった。
それは、那智さんの思い描いた絵にモカを幸福な気持ちでいてほしかったからだ。
ふたりの間の負の感情を少しでもモカが知れば、彼女はぜーったい遠慮する。
だから、できるだけモカには自由でいてほしかった。
それでも、もう手の施しようがないと判断して、モカにお話しする機会を作った。
それなのに、わたしのパニックは治まらなかった。
自分でもわかるほどのパニック。
誰も、あたしの心に触るな!!
子供を産んだばかりの母猫のように、全身の毛を逆立て『那智さんを好きでいたい』という気持ちだけを守ろうとしていた。
もう那智さんの言葉さえも受け入れ難いものになってしまっていた。
那智さんが、ほんの少しでもモカをかばうような言葉を口にするだけで、無重力の宇宙に放り出されたようにどんどん気持ちが離れていく恐怖にパニックになっていた。
全部お話ししようとモカと約束した日、その数日も危うかった。
この気持ちを話したら、那智さんがわたしを『イヤな人』だと思うかもしれない。
モカも悲しませるはずだ。
わたしの本意でもない。
だけど、わたしは、那智さんに好かれることよりも他者を思いやるよりも、本意ではないものだけを基準に判断することにした。
それは『那智さんを好きでいる』という一点。
その気持ちを那智さんにぶつけた。
根幹が危ない。
那智さんが判断した。
そして、モカとのことをおしまいにする判断を下した。
おおまかな理由を説明して『おしまいにしてください』とメールで伝えるというとても一方的な方法をモカに強いた。
那智さんらしい、最初に『一番ショックなことを伝えておいたほうがいい』というやり方だったとはいえ、酷い方法だ。(モカちゃんはこの雰囲気わかってくれる、と思ってます^^)
でも那智さんもわたしも、ちょっとだけ自信があった。
この方法はまったく酷い、だけど会ってお話しをすればきっと伝わるって。
だって、そういう言葉と心の交流をモカとしてきたつもりだったから。
お父さんはモカに『お父さんのことを怒ることに蓋をしないで、それをパワーにして』とメールで言っていた。
最後の日。
お父さんの言った通りモカは怒ってくれた。
それも、この結果にではなく『相談をしてくれなかったこと』というとても正しい理由で。
「もう、ふたりのペースに巻き込まれちゃうよ〜」と泣き笑いしながら怒ってくれた。
駅までの道。
モカがわたしの手を握った。
しばらく手を繋いで歩き、そのうちもう片方の手でお父さんとも繋いだ。
繁華街の人ごみの中。
3人で手を繋いだ。
「アルコールなしでこれはちょっと照れるな」とい苦笑する那智さん。
「いつもシラフのだから恥ずかしくないよ〜」と真ん中のモカは両手を上げる。
「うわあああ、恥ずかしいよ〜、やめて、モカ〜」と慌てるわたし。
今回書いた『苦しい』は焦がれることでできたものだ。
それ以外にも、とてもわたしを苦しめたものがふたつある。
ひとつは『那智さんの意に沿えない』という苦しさ。
これは、いつか別の機会で書くかもしれないけど、これはわたしにはかなりのダメージだった。
そして、もうひとつは、モカが愛しいということだった。
この関係に苦しむ自分と、この愛しいという感情の乖離。
モカを悲しませたくないという気持ち。
モカとの交流の愛しさ。
そのクセに、それを苦しいと思ってしまう辛さ。
これも、とても大きな苦しさだった。
いま、わたしはモカと連絡を取らないという状態を取っている。
それほどまでに、追いつめられてしまっていた。
だけど、いまでも、すぐにモカを呼んで一緒に手を繋ぎたいという衝動に駆られる。
居酒屋に並んで座って、アルコールの苦手なモカに甘いカクテルを選んで飲ませたいとうずうずしてしまう。(那智さんとあっちがいい、こっちがいいって言い合いになるんだ^^)
それくらい、モカとの時間は、わたしの中で温かく刺激的で愛しいものでもあった。
負の感情に捕われることをおしまいにしたい。
そしていつかこの愛しい感情だけになり、小さな傷と一緒に笑える日を引き寄せるのだ。
皆さんには、わたしの負の感情にお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
あと一回、『いま』を書こうかなって思っています。
もうちょっとお付き合いくださいね。
『「すべての責任は俺にある。ただし、りん子には道義的責任がある」1』に書かれている認識のもとお読みください。
『金の斧銀の斧』からはじまった那智さんの好きが減ってしまうような流れ、那智さんはどう考えていたのだろう。
りん子を焦がれさせるには単発の性的な場面だけではダメだと思った。
ある程度自分が対象の女性に気持ちが向くくらいじゃないと、りん子の望む焦がれにならないだろう。
それには、こちら側にも覚悟がいる。
りん子は傷つくはずだ。
いや、傷つくくらいじゃないと『焦がれ』にならないだろう。
もしかしたらりん子の『那智さん好き』が減るかもしれない。
でも、この傷は那智復できる自信があった。
発端はりん子だということと、これは必要悪、元の状態に戻り俺が変わっていないことが理解できれば傷は上塗りできる。
ただ、気をつけなければいけないことは、その傷や『好きが減る』がふたりの根幹を揺るがすものになってはいけないことだ。
この根幹というのは『この先も付き合いを続けたいと思う』というレベル。
この根幹さえほころばなければ、傷ついても好きが減っても、大丈夫。
実際、あるとき、どうしても辛くて訴えたことがあった。
こんな会話だ。
「3人は、無理です」
「無理?」
「辛いです」
「辛いと無理は違うよ、どっち?」
「辛い…です」
(追記:ここで辛いを選んだのは『那智さんの意に沿いたい』という思いからだった。のですよ、那智さん^^)
「わかった」
那智さんは、この会話で『根幹』への影響を計っていたのだろうといまなら思える。
(でも、そんなのわかんないよ〜;;もうちょっと説明してよ〜;;)
傷つくことは必要悪、根幹さえ傷つかなければ那智復できる。
そんなふうに思っていたらしい。
だから、わたしが訴える『苦しい』や『悲しい』は、それは予想の範疇、焦がれたいのだから当然だろ?ということだ。
それでも『苦しい』『悲しい』を訴えるわけだから、じゃあ、そこは那智正しようということになる。
だから、わたしが感じた『一滴垂らしたら、その一滴分だけ助けてくれる』という状態が作り出されたのだと推測できる。
一滴分だけ那智正してくれたわけだ。
なぜ、いままでのように『一滴垂らしたら、全部助ける』ようにならなかったかというと、やはり他者を交えているということと、それはこちらが誘ったという責任と、ふたりともモカを大切にしたいという気持ちがあったからだろう。
そこまで理解できていないわたし。
いや、これに近い話は渦中でもかなりしたはずだ。
でも、そこに至るまでの不安定になった足元では、何を聞いても感情はついていってくれなかった。
どうして、金の斧を受け取ってしまうの、そんなふうに『素直』でいることを諦めなければならないと感じだしたころ、かつての恋愛で感じた『すーっと泉に消えていく』感覚に怯えるようになってしまった。
このままでは那智さんへの気持ちがどんどん離れていく。
もう、すでにいろいろなことを諦めていて、わたしの一部に血が通わなくなっている。
片腕が壊死して、ボロっと落ちるのは時間の問題のように感じてしまっていた。
那智さんは『傷つくことは必要悪。根幹さえ傷つかなければ那智復できる』と思っている。
わたしは気持ちが醒めていく恐怖に怯える。
仕掛けた側とついていく側の感覚の違いは、かなり言葉を尽くして話してもまだここまで埋まらないものだった。
那智さんへの好きが減る。
嫉妬で苦しいなんてどころじゃない。
これは、わたしをパニックにした。
もうとことん話し尽くした。
できる思考回路は全部試した。
それでも、一度崩れてしまった足元は小手先の那智正ではどうすることもできなかった。
「全部話そう」
この状況をモカに全部話して今後を話し合おう。
それまで、一度一ヶ月ほど前に形の那智正をしてもらっていた。
ある程度のことおは話してはいたけど、モカはこの状況をほとんど知らない。
できる限り知らせずに解決していきたかった。
それは、那智さんの思い描いた絵にモカを幸福な気持ちでいてほしかったからだ。
ふたりの間の負の感情を少しでもモカが知れば、彼女はぜーったい遠慮する。
だから、できるだけモカには自由でいてほしかった。
それでも、もう手の施しようがないと判断して、モカにお話しする機会を作った。
それなのに、わたしのパニックは治まらなかった。
自分でもわかるほどのパニック。
誰も、あたしの心に触るな!!
子供を産んだばかりの母猫のように、全身の毛を逆立て『那智さんを好きでいたい』という気持ちだけを守ろうとしていた。
もう那智さんの言葉さえも受け入れ難いものになってしまっていた。
那智さんが、ほんの少しでもモカをかばうような言葉を口にするだけで、無重力の宇宙に放り出されたようにどんどん気持ちが離れていく恐怖にパニックになっていた。
全部お話ししようとモカと約束した日、その数日も危うかった。
この気持ちを話したら、那智さんがわたしを『イヤな人』だと思うかもしれない。
モカも悲しませるはずだ。
わたしの本意でもない。
だけど、わたしは、那智さんに好かれることよりも他者を思いやるよりも、本意ではないものだけを基準に判断することにした。
それは『那智さんを好きでいる』という一点。
その気持ちを那智さんにぶつけた。
根幹が危ない。
那智さんが判断した。
そして、モカとのことをおしまいにする判断を下した。
おおまかな理由を説明して『おしまいにしてください』とメールで伝えるというとても一方的な方法をモカに強いた。
那智さんらしい、最初に『一番ショックなことを伝えておいたほうがいい』というやり方だったとはいえ、酷い方法だ。(モカちゃんはこの雰囲気わかってくれる、と思ってます^^)
でも那智さんもわたしも、ちょっとだけ自信があった。
この方法はまったく酷い、だけど会ってお話しをすればきっと伝わるって。
だって、そういう言葉と心の交流をモカとしてきたつもりだったから。
お父さんはモカに『お父さんのことを怒ることに蓋をしないで、それをパワーにして』とメールで言っていた。
最後の日。
お父さんの言った通りモカは怒ってくれた。
それも、この結果にではなく『相談をしてくれなかったこと』というとても正しい理由で。
「もう、ふたりのペースに巻き込まれちゃうよ〜」と泣き笑いしながら怒ってくれた。
駅までの道。
モカがわたしの手を握った。
しばらく手を繋いで歩き、そのうちもう片方の手でお父さんとも繋いだ。
繁華街の人ごみの中。
3人で手を繋いだ。
「アルコールなしでこれはちょっと照れるな」とい苦笑する那智さん。
「いつもシラフのだから恥ずかしくないよ〜」と真ん中のモカは両手を上げる。
「うわあああ、恥ずかしいよ〜、やめて、モカ〜」と慌てるわたし。
今回書いた『苦しい』は焦がれることでできたものだ。
それ以外にも、とてもわたしを苦しめたものがふたつある。
ひとつは『那智さんの意に沿えない』という苦しさ。
これは、いつか別の機会で書くかもしれないけど、これはわたしにはかなりのダメージだった。
そして、もうひとつは、モカが愛しいということだった。
この関係に苦しむ自分と、この愛しいという感情の乖離。
モカを悲しませたくないという気持ち。
モカとの交流の愛しさ。
そのクセに、それを苦しいと思ってしまう辛さ。
これも、とても大きな苦しさだった。
いま、わたしはモカと連絡を取らないという状態を取っている。
それほどまでに、追いつめられてしまっていた。
だけど、いまでも、すぐにモカを呼んで一緒に手を繋ぎたいという衝動に駆られる。
居酒屋に並んで座って、アルコールの苦手なモカに甘いカクテルを選んで飲ませたいとうずうずしてしまう。(那智さんとあっちがいい、こっちがいいって言い合いになるんだ^^)
それくらい、モカとの時間は、わたしの中で温かく刺激的で愛しいものでもあった。
負の感情に捕われることをおしまいにしたい。
そしていつかこの愛しい感情だけになり、小さな傷と一緒に笑える日を引き寄せるのだ。
皆さんには、わたしの負の感情にお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
あと一回、『いま』を書こうかなって思っています。
もうちょっとお付き合いくださいね。
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