dive
モカ
頭の上で聞こえていた会話が途切れた。
一瞬の静寂ののち、唇を貪る気配だけが伝わる。
くわえた顎を舌を少し休め気配を見上げる。
ふたりのキス。
モカがもっとと唇を動かし、お父さんが舌を差し込んでそれに答える。
わくわくする。
だって、『来る』よ。
ざっくり。
胸を抉られる。
うわぁ、痛いよぉ。
ほらね、来た。
焦がれる。
心臓を掻きむしられるようだ。
爪痕からだらだら流れているのは、血だろうか、愛液だろうか。
うふふ、ほら、こんなにざっくりしちゃった。
わくわく、する。
流れる液体を痛い痛いと眺める。
もう一度見上げる。
また来るよ。
痛くて痛くてしょうがない、気持ちのいい刃物が。
キスをしている那智さんに欲情する。
キスをしているモカと同化する。
どちらにもなれないわたしはただ血や愛液をだらだらと垂れ流し、もどかしく切なく、でも快楽に真っ逆さまに落ちるように、もう一度くわえて、この舌が那智さんのおちんちんを抉れないか、切実に舌を絡めた。
精液を半分こ。
ふたりがわたしの髪を撫でる。
お父さんのお腹に顔を埋めて、モカの腰に手を回す。
ほら、わたしこんなに垂れ流しているよ。
血と愛液だらけでわくわくしている。
この快感。
この性癖。
同性のモカも、わたしのことをわたし以上に知っていてくれる那智さんでさえ、理解不能だろう。
そして、恐らく、いりん子の3人の中で一番気持ちいいのは、わたしだ。
命綱に命を預けた真剣なダイブ。
血と愛液でずぶ濡れのわたしをふたりが許容してくれているようだった。
頭の上で聞こえていた会話が途切れた。
一瞬の静寂ののち、唇を貪る気配だけが伝わる。
くわえた顎を舌を少し休め気配を見上げる。
ふたりのキス。
モカがもっとと唇を動かし、お父さんが舌を差し込んでそれに答える。
わくわくする。
だって、『来る』よ。
ざっくり。
胸を抉られる。
うわぁ、痛いよぉ。
ほらね、来た。
焦がれる。
心臓を掻きむしられるようだ。
爪痕からだらだら流れているのは、血だろうか、愛液だろうか。
うふふ、ほら、こんなにざっくりしちゃった。
わくわく、する。
流れる液体を痛い痛いと眺める。
もう一度見上げる。
また来るよ。
痛くて痛くてしょうがない、気持ちのいい刃物が。
キスをしている那智さんに欲情する。
キスをしているモカと同化する。
どちらにもなれないわたしはただ血や愛液をだらだらと垂れ流し、もどかしく切なく、でも快楽に真っ逆さまに落ちるように、もう一度くわえて、この舌が那智さんのおちんちんを抉れないか、切実に舌を絡めた。
精液を半分こ。
ふたりがわたしの髪を撫でる。
お父さんのお腹に顔を埋めて、モカの腰に手を回す。
ほら、わたしこんなに垂れ流しているよ。
血と愛液だらけでわくわくしている。
この快感。
この性癖。
同性のモカも、わたしのことをわたし以上に知っていてくれる那智さんでさえ、理解不能だろう。
そして、恐らく、いりん子の3人の中で一番気持ちいいのは、わたしだ。
命綱に命を預けた真剣なダイブ。
血と愛液でずぶ濡れのわたしをふたりが許容してくれているようだった。