モカ7
モカ
ほろ酔いで別れた翌日から最初の一週間。
那智さんとわたしはモカとの関係を『父・姉妹』と設定したのは良いけれど、まだそれを進めるには早すぎることも認識していた。
まず、二本の柱を立てる。
ひとつは『父・姉妹』の関係を形にして、それぞれが満たされるようになるための様々な決まり事や注意点を話し合い二人の共通の認識を作る。
ただこれはまだ想定の段階なので、後々何度も思考回路の那智正が必要になるのだけど。
会う頻度は?
『父・姉妹』と『那智とりん子』の切り替えは?
みんなの満足はなにか?
モカに何をしてあげられて、なにを望むか?
姉の役割は?
那智さんのお仕事の合間の短い時間に次々に湧く疑問や問題点を出しては答えをもらい、意見をいい、また答えを那智正する。
それともうひとつは。
モカにいま一度『父・姉妹』のスタンスを話し、理解してもらい、彼女自身の望みをすり合せをする。
なし崩し的に『そう言われたから』ということでスタートさせるのは彼女にとってもよくないもの。
ちゃんと自分の心に触れて、何がほしいのかわかった上でスタートさせたかった。
それにはまずモカに、これは現実だと認識してもらう必要がある。
モカはわたしのブログをとても好きでいてくれた、ちょっとうぬぼれた言い方をさせてもらうけど那智とりん子は憧れの人で、その人たちの仲間に入ることは夢物語に近いものがあったのだと思う。
那智さんのビジョンは『父・姉妹』というものすごく倒錯した世界ではなるけれど、これを夢物語で終わりにしてしまうことは避けたかった。
それではわたしたちの欲しいものは手に入らないし、モカ自身も過ぎてしまえば何も残らないものになるだろう。
倒錯した世界であったとしても、それぞれが大事な出来事として自分自身に実らせるには、まず『薬指の刺青』の那智とりん子という位置から、ただの那智とりん子に下ろしてもらうことが必要だった。
那智さんは、その上で『父・姉妹』という関係を望んでもらわないといけないと思っていた。
最初の一週間はこの『ふたりの共通認識』と『モカの望みを聞いてそこからスタートを切る』このふたつの柱を立てた。
わたしたちの共通認識は、まあそれほど問題ない。
その都度問題を見つけ解決していくのは、この数年間繰り返してきたことだから、手間はかかったとしても道筋はできている。
力を入れないといけなかったのはもうひとつのほう。
なぜかというと。
モカは『薬指の刺青』を読んでいるから、かなりわたしたちのことを知っている。
人はこちらがたくさん知っていると、あちらも知ってくれているというような錯覚を起こしがちだ。
夢物語ならそれでもいいだろう。
でも、これが現実、モカの足で立ちモカの手で選んだ実感が湧いてはじめて彼女の実になるし、わたしたちも満たされる。
だから、実はわたしたちはモカさんをほとんど知らないよ、と再認識してもらって、リアルのモカを披露してもらうことで、わたしたにもリアルな那智とりん子になれるということ。
リアルな人同士になれて、はじめて信頼関係は築けるよね?とモカに提案したのだ。
それには、どうしたらよいか。
那智さんはモカにモカ自身の心を話すことを要求した。
できれば『悪いモカや闇の部分』。
それを聞きたいのではなく、そこを見せたことが互いを信頼し合うスタートになると思ったのだ。
そこから『父・姉妹』を理解し望んでもらうことにしたかったのだ。
しかし、ここで思いもよらぬ大きな壁が!!(笑)
あのイタリア料理屋で感じた噛み合なさが、あの日のモカの緊張だけではなかったと思い知らされるのだ!!(モカちゃん、もう一度いう、ごめん^^)
こちらが投げかけた質問や要求に『答え』が返ってこないのだ。
いや、もちろん返信はくれるし、そこに質問の答えらしきものはある。
だけど、それはわたしたちのほしい『答え』ではないのだ。
『観たい映画は?』と聞いて『一番好きなのはスターウォーズシリーズです』と答えるようなと例えたが、まさにそんな感じ。
いま彼女のことをもう少し理解できているから、そのことも含めて推測させてもらうけど。
恐らくモカは、それほど人と深い議論をしたことがないのだろう。
まあ、昔のわたしのようだよね。
相手のことを考え過ぎて、結局自分の言いたいことがぼやけてしまうような。(わたしは『脳内一人旅』と呼んでいる^^)
彼女のブログから読めるような、少し青いながらも自己主張ができているのは相手が特定されていないからだったんだよね。
まあ、最初の一週間は、そこまではっきり理解できているものではないから。
これには、那智さんもわたしも手こずった^^;
なぜだ!?なぜ『答え』が返ってこない!?(笑)
那智さんとわたしは、那智さんのタバコタイムの短い時間に『二人の共通認識作り』と『モカちゃん攻略』の両方を話し合うという作業を繰り返した。
最初の一週間は基本那智さんがモカとやり取りをしていた。
それをわたしに教えてくれるのだ。
「モカは、これに対して、こんなことを書いてきている」
「う〜ん、それはこちらの質問とはズレてますね〜」
「じゃあ、次はこちらの方向から質問してみたらいかがでしょう?わたしからのメールでもそれとなく説明しておきますから」
タバコの間だから、その間2分とか^^
そんなふうにして、両方からモカちゃん攻略。
(モカはこのときのことを『自分の相手もしてくれながら、いつ連絡取り合ってるんだか不思議なほどの連携』と絶賛してくれた。この辺の理解力とか表現力は見事なのにね、自分のこととなると脳内一人旅しちゃうんだよねぇ、モカちゃん^^)
あの手この手で進めるも。
なんだかモカからの現実が返ってこない。
まあ、モカにしてみたらどこまで踏み込んでいいものやら、とても戸惑うところも大きかったよね。
彼女なりの一生懸命は伝わってはくるものの、どうも噛み合ないなぁと手応えいまいちな一週間を過ぎ、二度目の週末。
この週中あたりから、メールはどれも基本的に一斉送信にしようと決まり事を作った。
これはわたしがお願いしたのだ。
ふたりのやり取りが気になるのも健全ではないし、那智さんから『モカはこういってるけどどうだろう?』と質問される度に内緒でメールを読んでいるような罪悪感を感じていたからだ。
二度目の週末。
モカから一通のメールが届いた。
そこには『カッコ悪い妹の姿』と題して普段着のモカの画像が添付されていた。
スッピンのジャージ姿の、しかも目をつぶった顔の^^
モカなりに、どうやったら垣根を越えられるか考えたのだろう。
言葉がダメなら、画像!?
まだ知り合って数日のわたしたちに見せることは勇気がいっただろう。
でも変なプライド捨ててカッコ悪い姿を見せてしまうことで、モカの素直を表してくれたのだ。
このモカの気持ちはわたしたちにダイレクトに届いた。
特に那智さんはそういう垣根の越え方をしてくる人が大好きなので大喜びだった。
メールを何度も読み返し、そのカッコ悪いモカの姿をとても素敵だとほめていた、おりこうさんでしたとほめていた。
その週末は、わたしが所用のためあまり参加できなかったけど、モカの努力もあって、モカとわたしたち(特に那智さん)との距離がぐんっと縮まる良い時間だった。
モカちゃん攻略はまだまだカンペキとは言えないけれど、なんとなく道は見えたかな〜という感じだった。
そして、それと同じくらいのタイミングでわたしの心が『ざらり』としていることに気づく。
紙ヤスリで心を撫でられたような感じ。
三週目はこの『ざらり』とした感じではじまるのだった。
全然エロ要素なしで、しかも心の問題を予想させるような終わり方^^;
だけど、しっかり性的なこともわたし自身はありまして。
実は、那智さんとモカちゃん攻略の話し合いをしているとき、わたしは冷静に話し合いを進めながら同時にものすごく欲情していたのだ。
那智さんが送ったメールの言葉に『焦がれ』(全然性的な内容じゃないのよ)、一緒に話し合うことで同化し、でも同化できずに『焦がれ』。
毎日オナニーしてしまうほど欲情していた^^;
どうやら『ざらり』の種類や強さで欲情や『焦がれ』や悲しいに変化するようだ。
次回はこの『ざらり』を上手に欲情や『焦がれ』にするための三週目のお話。
これで一応『モカ』の骨組みはおしまいの予定です。
ほろ酔いで別れた翌日から最初の一週間。
那智さんとわたしはモカとの関係を『父・姉妹』と設定したのは良いけれど、まだそれを進めるには早すぎることも認識していた。
まず、二本の柱を立てる。
ひとつは『父・姉妹』の関係を形にして、それぞれが満たされるようになるための様々な決まり事や注意点を話し合い二人の共通の認識を作る。
ただこれはまだ想定の段階なので、後々何度も思考回路の那智正が必要になるのだけど。
会う頻度は?
『父・姉妹』と『那智とりん子』の切り替えは?
みんなの満足はなにか?
モカに何をしてあげられて、なにを望むか?
姉の役割は?
那智さんのお仕事の合間の短い時間に次々に湧く疑問や問題点を出しては答えをもらい、意見をいい、また答えを那智正する。
それともうひとつは。
モカにいま一度『父・姉妹』のスタンスを話し、理解してもらい、彼女自身の望みをすり合せをする。
なし崩し的に『そう言われたから』ということでスタートさせるのは彼女にとってもよくないもの。
ちゃんと自分の心に触れて、何がほしいのかわかった上でスタートさせたかった。
それにはまずモカに、これは現実だと認識してもらう必要がある。
モカはわたしのブログをとても好きでいてくれた、ちょっとうぬぼれた言い方をさせてもらうけど那智とりん子は憧れの人で、その人たちの仲間に入ることは夢物語に近いものがあったのだと思う。
那智さんのビジョンは『父・姉妹』というものすごく倒錯した世界ではなるけれど、これを夢物語で終わりにしてしまうことは避けたかった。
それではわたしたちの欲しいものは手に入らないし、モカ自身も過ぎてしまえば何も残らないものになるだろう。
倒錯した世界であったとしても、それぞれが大事な出来事として自分自身に実らせるには、まず『薬指の刺青』の那智とりん子という位置から、ただの那智とりん子に下ろしてもらうことが必要だった。
那智さんは、その上で『父・姉妹』という関係を望んでもらわないといけないと思っていた。
最初の一週間はこの『ふたりの共通認識』と『モカの望みを聞いてそこからスタートを切る』このふたつの柱を立てた。
わたしたちの共通認識は、まあそれほど問題ない。
その都度問題を見つけ解決していくのは、この数年間繰り返してきたことだから、手間はかかったとしても道筋はできている。
力を入れないといけなかったのはもうひとつのほう。
なぜかというと。
モカは『薬指の刺青』を読んでいるから、かなりわたしたちのことを知っている。
人はこちらがたくさん知っていると、あちらも知ってくれているというような錯覚を起こしがちだ。
夢物語ならそれでもいいだろう。
でも、これが現実、モカの足で立ちモカの手で選んだ実感が湧いてはじめて彼女の実になるし、わたしたちも満たされる。
だから、実はわたしたちはモカさんをほとんど知らないよ、と再認識してもらって、リアルのモカを披露してもらうことで、わたしたにもリアルな那智とりん子になれるということ。
リアルな人同士になれて、はじめて信頼関係は築けるよね?とモカに提案したのだ。
それには、どうしたらよいか。
那智さんはモカにモカ自身の心を話すことを要求した。
できれば『悪いモカや闇の部分』。
それを聞きたいのではなく、そこを見せたことが互いを信頼し合うスタートになると思ったのだ。
そこから『父・姉妹』を理解し望んでもらうことにしたかったのだ。
しかし、ここで思いもよらぬ大きな壁が!!(笑)
あのイタリア料理屋で感じた噛み合なさが、あの日のモカの緊張だけではなかったと思い知らされるのだ!!(モカちゃん、もう一度いう、ごめん^^)
こちらが投げかけた質問や要求に『答え』が返ってこないのだ。
いや、もちろん返信はくれるし、そこに質問の答えらしきものはある。
だけど、それはわたしたちのほしい『答え』ではないのだ。
『観たい映画は?』と聞いて『一番好きなのはスターウォーズシリーズです』と答えるようなと例えたが、まさにそんな感じ。
いま彼女のことをもう少し理解できているから、そのことも含めて推測させてもらうけど。
恐らくモカは、それほど人と深い議論をしたことがないのだろう。
まあ、昔のわたしのようだよね。
相手のことを考え過ぎて、結局自分の言いたいことがぼやけてしまうような。(わたしは『脳内一人旅』と呼んでいる^^)
彼女のブログから読めるような、少し青いながらも自己主張ができているのは相手が特定されていないからだったんだよね。
まあ、最初の一週間は、そこまではっきり理解できているものではないから。
これには、那智さんもわたしも手こずった^^;
なぜだ!?なぜ『答え』が返ってこない!?(笑)
那智さんとわたしは、那智さんのタバコタイムの短い時間に『二人の共通認識作り』と『モカちゃん攻略』の両方を話し合うという作業を繰り返した。
最初の一週間は基本那智さんがモカとやり取りをしていた。
それをわたしに教えてくれるのだ。
「モカは、これに対して、こんなことを書いてきている」
「う〜ん、それはこちらの質問とはズレてますね〜」
「じゃあ、次はこちらの方向から質問してみたらいかがでしょう?わたしからのメールでもそれとなく説明しておきますから」
タバコの間だから、その間2分とか^^
そんなふうにして、両方からモカちゃん攻略。
(モカはこのときのことを『自分の相手もしてくれながら、いつ連絡取り合ってるんだか不思議なほどの連携』と絶賛してくれた。この辺の理解力とか表現力は見事なのにね、自分のこととなると脳内一人旅しちゃうんだよねぇ、モカちゃん^^)
あの手この手で進めるも。
なんだかモカからの現実が返ってこない。
まあ、モカにしてみたらどこまで踏み込んでいいものやら、とても戸惑うところも大きかったよね。
彼女なりの一生懸命は伝わってはくるものの、どうも噛み合ないなぁと手応えいまいちな一週間を過ぎ、二度目の週末。
この週中あたりから、メールはどれも基本的に一斉送信にしようと決まり事を作った。
これはわたしがお願いしたのだ。
ふたりのやり取りが気になるのも健全ではないし、那智さんから『モカはこういってるけどどうだろう?』と質問される度に内緒でメールを読んでいるような罪悪感を感じていたからだ。
二度目の週末。
モカから一通のメールが届いた。
そこには『カッコ悪い妹の姿』と題して普段着のモカの画像が添付されていた。
スッピンのジャージ姿の、しかも目をつぶった顔の^^
モカなりに、どうやったら垣根を越えられるか考えたのだろう。
言葉がダメなら、画像!?
まだ知り合って数日のわたしたちに見せることは勇気がいっただろう。
でも変なプライド捨ててカッコ悪い姿を見せてしまうことで、モカの素直を表してくれたのだ。
このモカの気持ちはわたしたちにダイレクトに届いた。
特に那智さんはそういう垣根の越え方をしてくる人が大好きなので大喜びだった。
メールを何度も読み返し、そのカッコ悪いモカの姿をとても素敵だとほめていた、おりこうさんでしたとほめていた。
その週末は、わたしが所用のためあまり参加できなかったけど、モカの努力もあって、モカとわたしたち(特に那智さん)との距離がぐんっと縮まる良い時間だった。
モカちゃん攻略はまだまだカンペキとは言えないけれど、なんとなく道は見えたかな〜という感じだった。
そして、それと同じくらいのタイミングでわたしの心が『ざらり』としていることに気づく。
紙ヤスリで心を撫でられたような感じ。
三週目はこの『ざらり』とした感じではじまるのだった。
全然エロ要素なしで、しかも心の問題を予想させるような終わり方^^;
だけど、しっかり性的なこともわたし自身はありまして。
実は、那智さんとモカちゃん攻略の話し合いをしているとき、わたしは冷静に話し合いを進めながら同時にものすごく欲情していたのだ。
那智さんが送ったメールの言葉に『焦がれ』(全然性的な内容じゃないのよ)、一緒に話し合うことで同化し、でも同化できずに『焦がれ』。
毎日オナニーしてしまうほど欲情していた^^;
どうやら『ざらり』の種類や強さで欲情や『焦がれ』や悲しいに変化するようだ。
次回はこの『ざらり』を上手に欲情や『焦がれ』にするための三週目のお話。
これで一応『モカ』の骨組みはおしまいの予定です。