形勢逆転
独特な幸福感
久々にランチデート。
最近はちょこちょこと会えているから、ランチデートは久しぶりだ。
その前のデートのとき、別れ際にちょっと誤解めいたことが生じてしまって、別れてからメールや電話を使ってその日のうちになんとかお互い誤解を解いたのだけど、なんだか「ぎゅっ」として心を収めたかったので間を空けずにランチデートをした。
でも、女心は複雑で、カラオケで「ぎゅーーーー」っとしてほしいような気もするけど、心を収める「ぎゅう」はそんなに大げさにしないほうが良いような感じがして、カラオケじゃなくて普通にランチにしてもらった。
中途半端な濃さの「ぎゅー」をしてもらうと、もっと〜と歯止めをかけるのが切なくなりそうで。
だから、一緒にご飯を食べて、顔を見て安心するという方法で「心をぎゅっ」としてもらうのだ。
オフィス街のお食事処は12時になると一斉に込み出すので、わたしが一足さきに入って席を確保する。
11時55分。
このお店は入り口で注文してから店内に入る。
その入り口ですでにオーダーが通ってしまうから、1人で先にお店に入ると席は確保できるものの食事の出来上がりに時間差ができてしまう。
まあ、でも、わたし猫舌だし、ここは那智さんのお仕事場から比較的近いから、待ってもちょっとだけだろうと思って「あとから来るから、その時に一緒にオーダーさせて」とは言わずにいた。(こういう申し出苦手だし^^;)
ピーク前だからか、席に着いた途端にご飯が運ばれてきた。
わあ、ちょっと早いなあ。
時計を見ると、11時58分。
12時過ぎれば那智さんから連絡が入って、もう歩いてるからとかなんとか言ってきてくれるはず。
時計気にするけど、携帯は鳴らない。
「ごめん〜。迷子になった!!」
やっと連絡が来たと思ったら、迷子〜!?
このお店久しぶりだし、ちょっとわかりづらい、ああ、あらかじめ「○○の角を曲がる」と再確認をしていればよかったわ。
わあ、那智さんだ^^到着して、12時8分。
顔を見て、なんだかやっと心が落ち着いた。
いっぱいの抱擁じゃない方法でも、心穏やかになれるものね。
目の前にわたしのご飯。
だんだん混み合ってきたけど、きっとさっきと変わらない早さで運ばれてくるよね?
那智さんは食べるの早いから、いつも待たしてしまう。
ただ待たすだけでも申し訳ないのに、那智さん、待ってる間わたしをからかうんだ。
そうじゃなくても、面と向かってご飯食べてる姿を見せるの恥ずかしいと思ってるから、からかうまでしなくても「見られる」だけでダメ。
だから、フライングさせてもらえば、先に食べ終わって眺められることは避けられると思って、先にいただくことにした。(あ!!いま気付いたけど、先食べて も恥ずかしいよね!!なんでそれに気付かなかったんだろう!?ああ、気付いちゃったから、これから先に食べるのも恥ずかしい^^;)
「ごめん、ちょっと早く戻らないといけなくなった。」
お昼休みぎりぎりまで一緒にいられないそうだ。
ということは正味30分ちょっとのデート(笑)
残念だけど、不思議と悲しく思わないのはなんででしょう、きっと顔を見て心を収めることで満足できたのだろうな。
残念、悲しい、と悲劇のヒロインモードになるのは簡単だけど、ちょっと意識を上向きに。
それだけで、無理矢理前向きに捉える努力をしないでも、悲しくならずにすんだ。
それにしても、那智さんのご飯がなかなか来ない。
ちょっとフライングどころか、わたしのご飯は半分以上なくなってる。
「遅いですね、わたしだけ食べ終わっちゃう。」
「○○分になっても来なかったら言おう。」
時計を見て、時間を逆算してる。
やっと那智さんのが来たころ、ちょうどわたしは食べ終わってしまった。
すみません、ごちそうさまでした。
「10分だと厳しいけど、15分あるからいいや。」
そう言いながら食べはじめる。
「めずらしいな。りん子のほうが先に食べ終わるなんてね。」
がつがつと食事が進んでる。
この後のお仕事のことが頭にあるのか、時間に追われているからか、ほんのちょっと表情が硬い。
那智さん、お箸の持ち方、クセがあるんだ。
そんな姿をじっと眺める。
ああ、好きな人がご飯をがつがつと食べる様子はなんて魅力的なんだろう!!
眉間にうすい皺を寄せもくもくと口に運ぶ姿、急いでいる感じがなんだか胸をきゅっとさせる。
セクシーでさえある。(すみません、りん子フィルターです!!!)
那智さんを見つめるわたしの目、多分ハート型だ(笑)
嬉しくて幸せで、ニタニタしてしまう。
「那智さん。」
「ん?(モグモグ)」
「那智さん、40過ぎて、女性からハート型の瞳で見つめられるなんて思ってなかったでしょう!?わたし、いまきっとハート型の目してる。」
自分でもわかるくらいキラキラした目で見つめる。
「ああ。」
一瞬チラッと隣りの席の会社員に視線を向け、そう答えた那智さん。
見る見るうちに表情が変わった。
「こういうの恥ずかしいな。」
そう言って、眉間の皺は消えて、普段あまり見ない「照れてる」顔になった。
柔らない表情にもいたずら少年の瞳にも似てるけど、ちょっと違う「はにかんでる」!!
わたしが先に食べ終わって、いつもの仕返しに「からかう」ようなことをしたら、那智さんはちっとも恥ずかしいなんて感情湧かなかっただろう。
持ち前の「負けず嫌い」さんで、わたしが何を言おうがしれっとしていたはずだ。
だけど、「からかう」なんて策略とは無縁のストレートなわたしのラブラブ攻撃は那智さんの不意打ちを狙って、図らずも動揺させることに成功したのです。
わああ、食べてる姿もセクシーだけど、普段動揺を表に出さない男性のわずかに照れた表情もとっても色っぽい。(だから、りん子フィルターです^^;)
もう、たまらない。
もっと見せて。
わたしの目は更にハート度を増して、もう一瞬たりとも見逃すまいと、凝視する。(わたし、おかしい…)
「うん、もう平気。」
なんで平気になったのか、那智さんが心を切り替えてしまったようで、そんなこと言う。
もう平気になっちゃたの。
とっても魅力的な表情だったし、何より「恥ずかしがらせる」なんてこと滅多にないから楽しかったのに!!
つまらないな〜。
そう思って、再度追い打ちをかけてみる。
「わたし、いままでの人生で、こんなに長い時間1人の人を見つめたことないと思います。」
そう言って頬杖を付きキラキラとした目でもう一度見つめてみる。
さっきの表情もう一回見たい。
柔らかい雰囲気は変わらないけど、もうはにかむ部分は抜け落ちてしまってる、残念。
食べ終わってタバコに火を着けた。
ふっと、那智さんの口角が上がった感じがした。
テーブルの下、わたしの足を挟むようにして那智さんのほうに引き寄せられた。
「形勢逆転。」
うつむきながら、思わずそうつぶやく。
ただ引き寄せられただけで、もううつむくしかできなくなってしまう。
嬉しくて、これからはじまる何かを期待して、期待してしまう自分が恥ずかしくて。
那智さんのそばにあるわたしの足に、ドカンと足が載せられた。
そんままぎゅーっと踏まれる。
皮のブーツを履いてるから最初は衝撃が少なかったのだけど、皮の縫い目の分厚い部分が徐々に足の甲に食い込んできて、痛い。
耐えられない痛みではないけれど、周りにたくさんの人がお食事をしているなかで平静を装うのは難しい。
だって、わたし、喜んでるんだもの。
かまってもらえて嬉しい、痛くしてもらって嬉しい。
そして、そのふっと上がった口角のように、いつものわたしを可愛がるいじわるな目もたまらなく魅力的、それを感じられた、やっぱり嬉しい。
結局いつものポジションに収まって、残念なような、安心なような。
ほんの3、40分のデートだったけど、この日はなんだか感情がめまぐるしかった。
そして、それはとても楽しかった。
ランチの時間が短くなったことでいじけなくてよかった。
もちろん無理して我慢してるのではないけど、「この時間を心地良くしよう」という思考は那智さんとわたしの似てるところかもしれない。
自然にその思考が作用して、短いけど、満足のランチデートになった。
追伸。
このノロケに対して「強烈な正統派薬指の刺青」というコメントまでくれた那智さん、ご自身はとっても恥ずかしがってました。
メールだったので、表情が見られなくて残念です。
なんででしょうね、最後は必ずノロケで終わっちゃう^^;
それにしても、もしこれを那智さんを知ってる人が読んだら「ぷぷーーーーっ」ってなるんだろうな〜。
ある意味那智さんへの羞恥プレイは、すべてりん子フィルターのせいです。
久々にランチデート。
最近はちょこちょこと会えているから、ランチデートは久しぶりだ。
その前のデートのとき、別れ際にちょっと誤解めいたことが生じてしまって、別れてからメールや電話を使ってその日のうちになんとかお互い誤解を解いたのだけど、なんだか「ぎゅっ」として心を収めたかったので間を空けずにランチデートをした。
でも、女心は複雑で、カラオケで「ぎゅーーーー」っとしてほしいような気もするけど、心を収める「ぎゅう」はそんなに大げさにしないほうが良いような感じがして、カラオケじゃなくて普通にランチにしてもらった。
中途半端な濃さの「ぎゅー」をしてもらうと、もっと〜と歯止めをかけるのが切なくなりそうで。
だから、一緒にご飯を食べて、顔を見て安心するという方法で「心をぎゅっ」としてもらうのだ。
オフィス街のお食事処は12時になると一斉に込み出すので、わたしが一足さきに入って席を確保する。
11時55分。
このお店は入り口で注文してから店内に入る。
その入り口ですでにオーダーが通ってしまうから、1人で先にお店に入ると席は確保できるものの食事の出来上がりに時間差ができてしまう。
まあ、でも、わたし猫舌だし、ここは那智さんのお仕事場から比較的近いから、待ってもちょっとだけだろうと思って「あとから来るから、その時に一緒にオーダーさせて」とは言わずにいた。(こういう申し出苦手だし^^;)
ピーク前だからか、席に着いた途端にご飯が運ばれてきた。
わあ、ちょっと早いなあ。
時計を見ると、11時58分。
12時過ぎれば那智さんから連絡が入って、もう歩いてるからとかなんとか言ってきてくれるはず。
時計気にするけど、携帯は鳴らない。
「ごめん〜。迷子になった!!」
やっと連絡が来たと思ったら、迷子〜!?
このお店久しぶりだし、ちょっとわかりづらい、ああ、あらかじめ「○○の角を曲がる」と再確認をしていればよかったわ。
わあ、那智さんだ^^到着して、12時8分。
顔を見て、なんだかやっと心が落ち着いた。
いっぱいの抱擁じゃない方法でも、心穏やかになれるものね。
目の前にわたしのご飯。
だんだん混み合ってきたけど、きっとさっきと変わらない早さで運ばれてくるよね?
那智さんは食べるの早いから、いつも待たしてしまう。
ただ待たすだけでも申し訳ないのに、那智さん、待ってる間わたしをからかうんだ。
そうじゃなくても、面と向かってご飯食べてる姿を見せるの恥ずかしいと思ってるから、からかうまでしなくても「見られる」だけでダメ。
だから、フライングさせてもらえば、先に食べ終わって眺められることは避けられると思って、先にいただくことにした。(あ!!いま気付いたけど、先食べて も恥ずかしいよね!!なんでそれに気付かなかったんだろう!?ああ、気付いちゃったから、これから先に食べるのも恥ずかしい^^;)
「ごめん、ちょっと早く戻らないといけなくなった。」
お昼休みぎりぎりまで一緒にいられないそうだ。
ということは正味30分ちょっとのデート(笑)
残念だけど、不思議と悲しく思わないのはなんででしょう、きっと顔を見て心を収めることで満足できたのだろうな。
残念、悲しい、と悲劇のヒロインモードになるのは簡単だけど、ちょっと意識を上向きに。
それだけで、無理矢理前向きに捉える努力をしないでも、悲しくならずにすんだ。
それにしても、那智さんのご飯がなかなか来ない。
ちょっとフライングどころか、わたしのご飯は半分以上なくなってる。
「遅いですね、わたしだけ食べ終わっちゃう。」
「○○分になっても来なかったら言おう。」
時計を見て、時間を逆算してる。
やっと那智さんのが来たころ、ちょうどわたしは食べ終わってしまった。
すみません、ごちそうさまでした。
「10分だと厳しいけど、15分あるからいいや。」
そう言いながら食べはじめる。
「めずらしいな。りん子のほうが先に食べ終わるなんてね。」
がつがつと食事が進んでる。
この後のお仕事のことが頭にあるのか、時間に追われているからか、ほんのちょっと表情が硬い。
那智さん、お箸の持ち方、クセがあるんだ。
そんな姿をじっと眺める。
ああ、好きな人がご飯をがつがつと食べる様子はなんて魅力的なんだろう!!
眉間にうすい皺を寄せもくもくと口に運ぶ姿、急いでいる感じがなんだか胸をきゅっとさせる。
セクシーでさえある。(すみません、りん子フィルターです!!!)
那智さんを見つめるわたしの目、多分ハート型だ(笑)
嬉しくて幸せで、ニタニタしてしまう。
「那智さん。」
「ん?(モグモグ)」
「那智さん、40過ぎて、女性からハート型の瞳で見つめられるなんて思ってなかったでしょう!?わたし、いまきっとハート型の目してる。」
自分でもわかるくらいキラキラした目で見つめる。
「ああ。」
一瞬チラッと隣りの席の会社員に視線を向け、そう答えた那智さん。
見る見るうちに表情が変わった。
「こういうの恥ずかしいな。」
そう言って、眉間の皺は消えて、普段あまり見ない「照れてる」顔になった。
柔らない表情にもいたずら少年の瞳にも似てるけど、ちょっと違う「はにかんでる」!!
わたしが先に食べ終わって、いつもの仕返しに「からかう」ようなことをしたら、那智さんはちっとも恥ずかしいなんて感情湧かなかっただろう。
持ち前の「負けず嫌い」さんで、わたしが何を言おうがしれっとしていたはずだ。
だけど、「からかう」なんて策略とは無縁のストレートなわたしのラブラブ攻撃は那智さんの不意打ちを狙って、図らずも動揺させることに成功したのです。
わああ、食べてる姿もセクシーだけど、普段動揺を表に出さない男性のわずかに照れた表情もとっても色っぽい。(だから、りん子フィルターです^^;)
もう、たまらない。
もっと見せて。
わたしの目は更にハート度を増して、もう一瞬たりとも見逃すまいと、凝視する。(わたし、おかしい…)
「うん、もう平気。」
なんで平気になったのか、那智さんが心を切り替えてしまったようで、そんなこと言う。
もう平気になっちゃたの。
とっても魅力的な表情だったし、何より「恥ずかしがらせる」なんてこと滅多にないから楽しかったのに!!
つまらないな〜。
そう思って、再度追い打ちをかけてみる。
「わたし、いままでの人生で、こんなに長い時間1人の人を見つめたことないと思います。」
そう言って頬杖を付きキラキラとした目でもう一度見つめてみる。
さっきの表情もう一回見たい。
柔らかい雰囲気は変わらないけど、もうはにかむ部分は抜け落ちてしまってる、残念。
食べ終わってタバコに火を着けた。
ふっと、那智さんの口角が上がった感じがした。
テーブルの下、わたしの足を挟むようにして那智さんのほうに引き寄せられた。
「形勢逆転。」
うつむきながら、思わずそうつぶやく。
ただ引き寄せられただけで、もううつむくしかできなくなってしまう。
嬉しくて、これからはじまる何かを期待して、期待してしまう自分が恥ずかしくて。
那智さんのそばにあるわたしの足に、ドカンと足が載せられた。
そんままぎゅーっと踏まれる。
皮のブーツを履いてるから最初は衝撃が少なかったのだけど、皮の縫い目の分厚い部分が徐々に足の甲に食い込んできて、痛い。
耐えられない痛みではないけれど、周りにたくさんの人がお食事をしているなかで平静を装うのは難しい。
だって、わたし、喜んでるんだもの。
かまってもらえて嬉しい、痛くしてもらって嬉しい。
そして、そのふっと上がった口角のように、いつものわたしを可愛がるいじわるな目もたまらなく魅力的、それを感じられた、やっぱり嬉しい。
結局いつものポジションに収まって、残念なような、安心なような。
ほんの3、40分のデートだったけど、この日はなんだか感情がめまぐるしかった。
そして、それはとても楽しかった。
ランチの時間が短くなったことでいじけなくてよかった。
もちろん無理して我慢してるのではないけど、「この時間を心地良くしよう」という思考は那智さんとわたしの似てるところかもしれない。
自然にその思考が作用して、短いけど、満足のランチデートになった。
追伸。
このノロケに対して「強烈な正統派薬指の刺青」というコメントまでくれた那智さん、ご自身はとっても恥ずかしがってました。
メールだったので、表情が見られなくて残念です。
なんででしょうね、最後は必ずノロケで終わっちゃう^^;
それにしても、もしこれを那智さんを知ってる人が読んだら「ぷぷーーーーっ」ってなるんだろうな〜。
ある意味那智さんへの羞恥プレイは、すべてりん子フィルターのせいです。