鞭の抱擁
非日常的な日常
鞭はひさしぶりだと思う。
一時期鞭が恐くてしょうがなくなって、そのピークの恐さからは抜け出せたとは思うけど、それでもあの痛みは恐怖が付きまとう。
裸になって上半身をベッドに預けてお尻を差し出す。
最近わかったんだ^^、体をくの字にしてお尻の皮膚を張るようにしてしまうと、痛さが増すの。
逆に足を伸ばしてお肉でお尻に厚みを持たせると切れるような痛さが、ほんのちょっと和らぐんだ。
だから、なるべくくの字にならないようにして、待つ。
ああ、でも、恐い。
今日はどんな感じで打ってくるのだろう。
はじめは馴らすようにして徐々に高めていくのか、それとも最初から怯えさせるのか。
そして、それがどのくらいの時間続くのか。
すべては那智さん次第。
枕を抱え怯えながら身を任せる。
「バシッ」
痛い、でも、耐えられる。
中位の力かな。
でも、やっぱり先のわからないことは、恐怖だ。
強弱を付けながら徐々に力を増していく。
お尻に当たるのはなんとか耐える。
でも、それが背中に当たった。
お肉の少ないところは、痛い!!
「痛いです!!」
体をよじって那智さんを見上げる。
鞭を構えた那智さんは、なんのためらいもなくそのまま振り下ろす。
体の側面に当たる鞭は、お尻なんかよりずっと痛くてずっと恐い。
「痛い!!」
「痛過ぎます?」
セーフティワードを確認する。
無言で首を振り、また元の体勢になる。
何回か繰り返し、その都度確認して、元に戻る。
それがきっかけのように、徐々に力が強くなっているみたいだ。
「ドスン!!」
バラ鞭の厚みのあるゴムが一本の太い塊になっているように、お尻に衝撃を与える。
「ぎゃあ」
もう我慢できない!!
跳ね退いてベッドに上がる。
その間も、鞭が私を追いかける。
那智さん、感情のない機械みたいだ。
容赦なく、不適切な場所に鞭が当たる。
内股、二の腕、足首。
「痛い、那智さん、痛いです!!」
そう言いながら見上げる。
無表情に見える那智さんの瞳は、冷たく光る炎のようだ。
静かに楽しんでいるのがわかる。
すてき、吸い込まれそう。
でも、なぜだかその光の中に、暖かさも感じるんだ。
冷たくて暖かい炎。
「痛過ぎます?」
首を振る。
痛いと言えば痛い。
でも、まだ耐えられるはず。
痛過ぎると言えばおしまいにしてくれるだろう。
でも、言わないのは、終わってほしくないから。
冷たくて暖かい炎の魅力に翻弄されていたい。
また不適切な体勢のまま打たれだした。
必死にお尻を向けようとするけど、身を縮めた体勢のまま動けない。
動けば、お尻を向ける前に、もっと痛いところを打たれるかもしれない。
ああ、でも、わかってる。
さっきから、たくさんたくさん濡れてる。
身を捩る私の足を喜んでる証拠が濡らす。
那智さんに甘えたくなってくる。
冷たく暖かい那智さんに甘えたい。
「那智さん…。」
両手を伸ばして抱擁を求める。
「まだ。」
拒否されてしまった。
その無防備な体勢に、また、鞭。
腕だか胸だかわからない。
でも、とてもとても痛かった。
「那智さん!!痛い!!」
「痛過ぎます?」
「……。」
「痛過ぎます?」
「……。」
「い、た、す、ぎ、ま、す?」
いいえ、いいえ、痛過ぎません、恐くて痛くてしかたないけど、痛すぎないんです。
私の意志でおしまいにしてほしくないんです。
那智さんに打っていてほしいんです。
「痛過ぎません、痛過ぎないです。那智さん、私が痛過ぎるって言わないのわかってるくせに!!!!」
痛い、でも、やめてほしくない、それなのにもっと痛くする容赦ない那智さん。
セーフティワードを確認して、続ける責任を私に取らせようとしてる(ように感じる)那智さん。
なんだか、意地悪をされているようで、私の気持ちをわかってくれていないようで、悲しくて腹立たしくて。
わぁっと涙が溢れ出す。
「那智さん、私が言わないのわかってるくせに!!!!」
何を言っても、何も変わらない。
那智さんはいまにも鞭を振り下ろさんばかりに構えている。
しくしくと泣きながら、体勢を整える。
この観念する瞬間は甘美だ。
泣けて嬉しい。
泣くというのは、脳みその回路を変えてくれるみたい。
大人しくして、お尻を集中して打たれたことも良かったのだろう。
意識が遠くなっていく。
ああ、やっとこれになれた。
お尻に当たる衝撃が心地よさに変わる。
痛いことは痛い。
でも、それが気持ちいい。
体も脳みそも気持ち良くなってる。
衝撃で体が揺れてるから、打たれているのだろう。
でも、自分のことじゃないみたい。
ふわふわとしてきて、恍惚とする。
なんだか眠くなってきちゃった。
「ドスン、ドスン」と体を揺らす衝撃が揺りかごのよう。
呻き声さえ上げなくなった私は心地よく揺られながら、うとうととする。
那智さんに抱かれて眠るようだった。
鞭はひさしぶりだと思う。
一時期鞭が恐くてしょうがなくなって、そのピークの恐さからは抜け出せたとは思うけど、それでもあの痛みは恐怖が付きまとう。
裸になって上半身をベッドに預けてお尻を差し出す。
最近わかったんだ^^、体をくの字にしてお尻の皮膚を張るようにしてしまうと、痛さが増すの。
逆に足を伸ばしてお肉でお尻に厚みを持たせると切れるような痛さが、ほんのちょっと和らぐんだ。
だから、なるべくくの字にならないようにして、待つ。
ああ、でも、恐い。
今日はどんな感じで打ってくるのだろう。
はじめは馴らすようにして徐々に高めていくのか、それとも最初から怯えさせるのか。
そして、それがどのくらいの時間続くのか。
すべては那智さん次第。
枕を抱え怯えながら身を任せる。
「バシッ」
痛い、でも、耐えられる。
中位の力かな。
でも、やっぱり先のわからないことは、恐怖だ。
強弱を付けながら徐々に力を増していく。
お尻に当たるのはなんとか耐える。
でも、それが背中に当たった。
お肉の少ないところは、痛い!!
「痛いです!!」
体をよじって那智さんを見上げる。
鞭を構えた那智さんは、なんのためらいもなくそのまま振り下ろす。
体の側面に当たる鞭は、お尻なんかよりずっと痛くてずっと恐い。
「痛い!!」
「痛過ぎます?」
セーフティワードを確認する。
無言で首を振り、また元の体勢になる。
何回か繰り返し、その都度確認して、元に戻る。
それがきっかけのように、徐々に力が強くなっているみたいだ。
「ドスン!!」
バラ鞭の厚みのあるゴムが一本の太い塊になっているように、お尻に衝撃を与える。
「ぎゃあ」
もう我慢できない!!
跳ね退いてベッドに上がる。
その間も、鞭が私を追いかける。
那智さん、感情のない機械みたいだ。
容赦なく、不適切な場所に鞭が当たる。
内股、二の腕、足首。
「痛い、那智さん、痛いです!!」
そう言いながら見上げる。
無表情に見える那智さんの瞳は、冷たく光る炎のようだ。
静かに楽しんでいるのがわかる。
すてき、吸い込まれそう。
でも、なぜだかその光の中に、暖かさも感じるんだ。
冷たくて暖かい炎。
「痛過ぎます?」
首を振る。
痛いと言えば痛い。
でも、まだ耐えられるはず。
痛過ぎると言えばおしまいにしてくれるだろう。
でも、言わないのは、終わってほしくないから。
冷たくて暖かい炎の魅力に翻弄されていたい。
また不適切な体勢のまま打たれだした。
必死にお尻を向けようとするけど、身を縮めた体勢のまま動けない。
動けば、お尻を向ける前に、もっと痛いところを打たれるかもしれない。
ああ、でも、わかってる。
さっきから、たくさんたくさん濡れてる。
身を捩る私の足を喜んでる証拠が濡らす。
那智さんに甘えたくなってくる。
冷たく暖かい那智さんに甘えたい。
「那智さん…。」
両手を伸ばして抱擁を求める。
「まだ。」
拒否されてしまった。
その無防備な体勢に、また、鞭。
腕だか胸だかわからない。
でも、とてもとても痛かった。
「那智さん!!痛い!!」
「痛過ぎます?」
「……。」
「痛過ぎます?」
「……。」
「い、た、す、ぎ、ま、す?」
いいえ、いいえ、痛過ぎません、恐くて痛くてしかたないけど、痛すぎないんです。
私の意志でおしまいにしてほしくないんです。
那智さんに打っていてほしいんです。
「痛過ぎません、痛過ぎないです。那智さん、私が痛過ぎるって言わないのわかってるくせに!!!!」
痛い、でも、やめてほしくない、それなのにもっと痛くする容赦ない那智さん。
セーフティワードを確認して、続ける責任を私に取らせようとしてる(ように感じる)那智さん。
なんだか、意地悪をされているようで、私の気持ちをわかってくれていないようで、悲しくて腹立たしくて。
わぁっと涙が溢れ出す。
「那智さん、私が言わないのわかってるくせに!!!!」
何を言っても、何も変わらない。
那智さんはいまにも鞭を振り下ろさんばかりに構えている。
しくしくと泣きながら、体勢を整える。
この観念する瞬間は甘美だ。
泣けて嬉しい。
泣くというのは、脳みその回路を変えてくれるみたい。
大人しくして、お尻を集中して打たれたことも良かったのだろう。
意識が遠くなっていく。
ああ、やっとこれになれた。
お尻に当たる衝撃が心地よさに変わる。
痛いことは痛い。
でも、それが気持ちいい。
体も脳みそも気持ち良くなってる。
衝撃で体が揺れてるから、打たれているのだろう。
でも、自分のことじゃないみたい。
ふわふわとしてきて、恍惚とする。
なんだか眠くなってきちゃった。
「ドスン、ドスン」と体を揺らす衝撃が揺りかごのよう。
呻き声さえ上げなくなった私は心地よく揺られながら、うとうととする。
那智さんに抱かれて眠るようだった。