お店でわんこ1
非日常的な日常
那智さんは毎朝メールをくれる。
それが「繋がっていいよ」の合図になっている。
ほとんどがタイトルに「おはよう」だけなんだけど、時々一言添えてくれたりする。
「今日から夏のスーツ」とか、「体調は?」(これは会った翌日に多い^^;体調を気遣うようなことしてるからね)とか。
「欲情しなさい」
久しぶりに会える日の朝、「おはよう」の爽やかな言葉にはそぐわない言葉が続いた。
「欲情しなさい」
私の針がブンっと振れる。
鞭が恐いとか、わんこになりたいとか、散々訴えて自分でもなんだか「ぐちゃぐちゃ欲情の渦」状態だったのは自覚していたから、それにとどめを刺す那智さんの言葉に、欲情の針が恥ずかしいくらい一気に振れてしまう。
気を付けないと、支度をする手を止めてこの欲情に浸ってしまいそう。
気持ちを現実にとどめるように努力する。
でも、本当はこの欲情してフワフワな状態もとても気持ち良くて、現実に戻ってしまうことが惜しい気もするから、微妙に欲情を残してみたり。
もう早く那智さんに会いたい。
こんな気持ちの微調整なんてしていたくない。
感情も欲情も、すべてを垂れ流して受け止めてもらえる那智さんに会いたい。
早く早くいやらしくはしたない那智さんのわんこになってしまいたい。
電話が鳴る、那智さんからだ。
声を聞いたら、もうダメ。
いますぐにでも変な私になっちゃう。
受話器越しに興奮していることが伝わるのか「随分欲情してるね〜」と那智さんが言う。
はい、その通りです、早くわんこにしてください。
あと一時間で会えるとわかっていても、そんなことより早く支度して出かけた方がいいのもわかっていても、揺れる腰が止められず、こんなお願いをしてしまう。
「触ってもいいですか?」
「ダメ」
もう、この否定も気持ちいい。
「今日はわんこになろうか、また四つん這いで歩く?それともわんこにしないで四つん這いになろうか?」
ああ、わんこ、嬉しい。
でも、わんこにならないで、わんこのようなことをしたことないから、それは恐い。
わんこはひとつの逃げ道だ。
逃避できる早道だ。
わんこになるのは、尻尾や首輪やリードを付けること。
おまじないのような儀式のような。
やってることは同じでも、それをするのとしないのでは、私の飛び越えないといけないハードルに差ができると思うの。
那智さんは、そのハードルを上げようとしているのかしら。
わんこがいいなと、欲情した心の片隅で思う。
そのまま電話を切り、支度を済ませて電車に乗る。
なんだかずっとフワフワしたまま。
こういう時は女性専用車両に乗ろう。
私、きっといやらしい空気を発していそうな気がするもの。
待ち合わせ場所に着いて、携帯片手に那智さんを待つ。
早く来てくれないかな。
今日は年甲斐もなく白いワンピースなんて着ているから、ちょっと恥ずかしい。
いつも驚かされるから、キョロキョロしているけど、まだ来ていないみたい。
しばらく待ってみるけど、なかなか来ないからメールを打とうと携帯を打ち始めたら、知らない男性が近付いて来て何やら話しかけている。
「○○(聞き取れない)の人?」
「は?」
変な人だ、無視しよう。
再び、携帯に視線を移すけど、その男性はまだ私から離れてくれない。
「2万円で○○(聞き取れない)」
ああ、商売しているように見えたのね。
時々、こういう人に出会う(ヌード写真を30万円で撮らせてとかね、バイトしないとかね)。
今日は「いやらしい空気」を発散しているかもと思ったけど、ハズレてなかったみたい。
どうしようかと困った瞬間、那智さんが来てくれた。
よかった、ホッとしてその場から離れる。
どうやらしばらく眺めていたらしい。
最初は面白いから見ていたけど、しつこい男性だったから、つまんないけど助けに来てくれたのだ。
今日はどうするんだろう。
腕を組んで歩きながら、私は気が気じゃない。
朝から欲情していて、それが伝わっているから恥ずかしい。
さすがにこの間と同じことはしないでしょうから、ホテルの前を四つん這いはないと思う。
じゃあ、どこかでわんこ?
それとも、お外で遊ばずにホテルに行くのかしら。
私は、なんとなく今日はお外では何もないような気がしてきた。
期待(!)と不安で胸を膨らましていて、それに肩すかしをくらわすのも、那智さんの楽しみのひとつだしょうから、今日はそんなような気がしてきたのだ。
だから、マ○○○○ドに入ろうということになった瞬間も、まだ「コーヒーが飲みたいのね。」と呑気に思っていたのだった。
私の想像の少し上をいく那智さんが、ただコーヒーのために立ち寄るはずはないといまなら思える。
でも、その時の私はそんなこと想像もしていなかった。
つづく
うふふ、また引っ張ります〜^^
那智さんは毎朝メールをくれる。
それが「繋がっていいよ」の合図になっている。
ほとんどがタイトルに「おはよう」だけなんだけど、時々一言添えてくれたりする。
「今日から夏のスーツ」とか、「体調は?」(これは会った翌日に多い^^;体調を気遣うようなことしてるからね)とか。
「欲情しなさい」
久しぶりに会える日の朝、「おはよう」の爽やかな言葉にはそぐわない言葉が続いた。
「欲情しなさい」
私の針がブンっと振れる。
鞭が恐いとか、わんこになりたいとか、散々訴えて自分でもなんだか「ぐちゃぐちゃ欲情の渦」状態だったのは自覚していたから、それにとどめを刺す那智さんの言葉に、欲情の針が恥ずかしいくらい一気に振れてしまう。
気を付けないと、支度をする手を止めてこの欲情に浸ってしまいそう。
気持ちを現実にとどめるように努力する。
でも、本当はこの欲情してフワフワな状態もとても気持ち良くて、現実に戻ってしまうことが惜しい気もするから、微妙に欲情を残してみたり。
もう早く那智さんに会いたい。
こんな気持ちの微調整なんてしていたくない。
感情も欲情も、すべてを垂れ流して受け止めてもらえる那智さんに会いたい。
早く早くいやらしくはしたない那智さんのわんこになってしまいたい。
電話が鳴る、那智さんからだ。
声を聞いたら、もうダメ。
いますぐにでも変な私になっちゃう。
受話器越しに興奮していることが伝わるのか「随分欲情してるね〜」と那智さんが言う。
はい、その通りです、早くわんこにしてください。
あと一時間で会えるとわかっていても、そんなことより早く支度して出かけた方がいいのもわかっていても、揺れる腰が止められず、こんなお願いをしてしまう。
「触ってもいいですか?」
「ダメ」
もう、この否定も気持ちいい。
「今日はわんこになろうか、また四つん這いで歩く?それともわんこにしないで四つん這いになろうか?」
ああ、わんこ、嬉しい。
でも、わんこにならないで、わんこのようなことをしたことないから、それは恐い。
わんこはひとつの逃げ道だ。
逃避できる早道だ。
わんこになるのは、尻尾や首輪やリードを付けること。
おまじないのような儀式のような。
やってることは同じでも、それをするのとしないのでは、私の飛び越えないといけないハードルに差ができると思うの。
那智さんは、そのハードルを上げようとしているのかしら。
わんこがいいなと、欲情した心の片隅で思う。
そのまま電話を切り、支度を済ませて電車に乗る。
なんだかずっとフワフワしたまま。
こういう時は女性専用車両に乗ろう。
私、きっといやらしい空気を発していそうな気がするもの。
待ち合わせ場所に着いて、携帯片手に那智さんを待つ。
早く来てくれないかな。
今日は年甲斐もなく白いワンピースなんて着ているから、ちょっと恥ずかしい。
いつも驚かされるから、キョロキョロしているけど、まだ来ていないみたい。
しばらく待ってみるけど、なかなか来ないからメールを打とうと携帯を打ち始めたら、知らない男性が近付いて来て何やら話しかけている。
「○○(聞き取れない)の人?」
「は?」
変な人だ、無視しよう。
再び、携帯に視線を移すけど、その男性はまだ私から離れてくれない。
「2万円で○○(聞き取れない)」
ああ、商売しているように見えたのね。
時々、こういう人に出会う(ヌード写真を30万円で撮らせてとかね、バイトしないとかね)。
今日は「いやらしい空気」を発散しているかもと思ったけど、ハズレてなかったみたい。
どうしようかと困った瞬間、那智さんが来てくれた。
よかった、ホッとしてその場から離れる。
どうやらしばらく眺めていたらしい。
最初は面白いから見ていたけど、しつこい男性だったから、つまんないけど助けに来てくれたのだ。
今日はどうするんだろう。
腕を組んで歩きながら、私は気が気じゃない。
朝から欲情していて、それが伝わっているから恥ずかしい。
さすがにこの間と同じことはしないでしょうから、ホテルの前を四つん這いはないと思う。
じゃあ、どこかでわんこ?
それとも、お外で遊ばずにホテルに行くのかしら。
私は、なんとなく今日はお外では何もないような気がしてきた。
期待(!)と不安で胸を膨らましていて、それに肩すかしをくらわすのも、那智さんの楽しみのひとつだしょうから、今日はそんなような気がしてきたのだ。
だから、マ○○○○ドに入ろうということになった瞬間も、まだ「コーヒーが飲みたいのね。」と呑気に思っていたのだった。
私の想像の少し上をいく那智さんが、ただコーヒーのために立ち寄るはずはないといまなら思える。
でも、その時の私はそんなこと想像もしていなかった。
つづく
うふふ、また引っ張ります〜^^
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