ゲストを招く(一場面)
非日常的な日常
「じゃあ、最初は○さんの好きなようにしてください。」
待ち合わせのコーヒー屋さんで初めて○さんに会ってホテルに向かう。
コーヒー屋さんで尻尾を付けていたから、落ち着いて歩けない。
尻尾に気付いている○さんが、後ろにいるから気が気じゃない。
あまり慌てては目立ってしまうけど、「後ろから人が来てるよ」なんて言葉にビクビクしてしまう。
「じゃあ、最初は○さんの好きなようにしてください。」
ホテルに入って少し雑談をして、那智さんがこう切り出した。
私は、今日何が起こるのかまったく知らされていない。
那智さんと○さんは、何度かやり取りをして、ある程度意志の疎通はできているはずだから、私はそれに従うだけ。
私も○さんとはメールをさせてもらっていて好意的な印象があるから、それは安心材料のひとつになっている。
私が「貸し出された」瞬間だ。
多少遠慮気味に○さんの手が伸びて、私を後ろ向きにさせソファに手を付けお尻を突き出す体勢にさせた。
そのソファには那智さんが腰掛けている。
ワンピースの裾をたくし上げ、下着と尻尾を晒す。
「下着取りましょうか?」
その申し出に、まず那智さんが反応する。
「下着付けていたんだ。」
「はい。」
待ち合わせのコーヒー屋で尻尾を入れるように言われたけど、下着については言及されなかったので、脱がずに尻尾を横から出すようにしていたの。
その方が少しでも短くなるかなって、希望的観測で。
尻尾を引っ掛けないように慎重に下着を下ろして、またさっきと同じ体勢に戻る。
「ああ、これが尻尾ですね。」
尻尾の全体像を見て、珍しそうに触る。
同時にもう片方の手で、敏感な所を触り始めた。
那智さん以外の男性が私のここを触るのは、どれくらいぶりだろう。
あっ、でも、この人の触り方は上手かもしれない。
感じている自分に驚く。
感じていることを我慢するつもりもないから、吐息混じりの声を洩らす。
那智さんは、その私の姿をカメラに収めている。
そのうち○さんが、尻尾を抜きはじめた。
ポロポロとお尻から、パールが押し出される感じがして、恥ずかしい。
そして、絶対にパールに汚い物が付いているはずだから、もっと恥ずかしい。
「ごめんなさい、汚いはずだから見ないで。」
抜き取られたパールは予想通りに汚れていた。
那智さんが、それだけを写している。
そして、そこに付着している量を見て「今日、出てないの?」と聞いてくる。
出たけど、まだあるはず、と正直に答える。
「じゃあ、○さん、浣腸します?」
「そうですね。」
「イチジクと○○(用具の名前言ってたけど、知らない)とどっちかいいですか?」
「それなら、イチジクで。」
しゃがむ私の頭の上で交わされるこんな会話を、不思議な気持ちで聞いている。
「汚れるといけないから、脱ぎましょうか。」
○さんに促されて、私は今日初めて会った○さんの前で全裸になる。
誰にも指示されていないのに体が勝手に動いて、浣腸を受ける姿勢に戻す。
「何個入れます?」
「空気を入れるといいんですよね。」
背後で聞こえる言葉は、私の皮膚の上を滑っていって、他人事のよう。
でも、お腹に冷たいものが流れ込むことで、自分自身の身に起こっているということを実感する。
ふたつ(だったと思う)と空気を入れ、終わったことを気配で察した私は、そのまま膝を抱えるように床に座り込む。
お腹が冷えて痛くなりそう。
「大丈夫?痛くなってきた?」
「まだ、大丈夫です。」
○さんが優しい声で聞いてくれる。
那智さんが汚れたパールを洗っているのが、洗面所から聞こえる音でわかる。
恥ずかしい予感がしている。
私は(他の人は知らないけれど)、浣腸して排泄を我慢していると、それだけで体が反応していってしまうの。
我慢する苦痛から、脳みそが勝手に解放してくれるみたい、頭が感じるのではなく、クリトリスが反応してしまうの。
お腹が痛くなってきていると平行して下半身がふわふわと気持ち良くなってきているのがわかって、困惑してしまう。
那智さん以外の誰が触ってもいかないと豪語しているくせに、浣腸でいくなんて、恥ずかしくて困惑だ。
「大丈夫?」
もう一度、○さんが聞いてくる。
そして、聞きながらお腹をさすってくる。
そのまま、手が下に伸び、クリトリスを触りはじめる。
抱えていた膝を解き、足を投げ出してそれを受け入れる姿勢になる。
だめ、気持ちいい、那智さん、私、いってしまう。
溢れそうな危険を孕みながら、快感は一気に私の理性の一部をさらってしまう。
いつの間にか洗い終わって戻っている那智さんに「浣腸したから…」と言い訳をしている私。
でも、言い訳なんてしているけれど、爆弾はまだ私のお腹の中、どんどん膨らんでいる。
「お願いします、トイレに行かせてください。」
那智さん、○さん、どちらに向かってお願いしているともつかない言い方で、空を見る。
「じゃあ、これとこれ、どっちにする?」
このお返事が、那智さんか○さんか、覚えていない。
示されたのは、おまると診察台の形をした排泄台(?)。
迷わずおまるを指す。
足を固定されて仰向けに寝て排泄するような台なんか乗りたくない。
おまるにしゃがんで、ちょっと安心する。
恥ずかしいことは恥ずかしいけど、これでどこかに漏らしてしまう危険はないもの。
「あっ、ちょっと待ってください。」
○さんが、バッグから何か取り出した。
スーツの上着だ。
それを、おまるの上に広げて、「ここにどうぞ」と言い出す。
そこに跨がれと!?
私は驚いて○さんを見上げる。
「ちょ、ちょっと待ってください、汚れちゃいますよ!!」
「いいです、今日の記念に。」
信じられない、記念って言ったって、それ着て帰れないじゃないですか!?
「だめ、だめ、絶対にだめ。」
そう言っておまるから遠ざかる私の体にそっと両手を添えるようにして、おまるに座らせる○さん。
なんとなくそれに従い、跨いでみる。
もしかしたら、その姿勢だけ見せれば良いのかもしれない。
跨いでみると、さすがに浣腸して他人の上着に跨がるという自分の行動の非常識さが恐くなって、またおまるから飛ぶように逃げる。
助けを求めるように那智さんを見るけど、カメラを構えているだけで、指示を読み取ることができない。
無理よ、姿勢だけ示したとしても、万が一間に合わなくてちょっとでも汚してしまったら大変。
「ほんとにお願い、上着をどかして!」
○さんは那智さんじゃないから、きっと抵抗すれば言うことを聞いてくれるはず。
高をくくった私は抵抗を続ける。
「大丈夫ですよ、我慢すればいいでしょ、はい、座って。」
○さんも全然引かない。
もう一度那智さんを見る。
「じゃあ、30分、我慢しようか。そうしたらどかそう。」
と言って、時計を見ている。
30分なんて無理!!
もう、お腹が痛み出してきている。
鳥肌が全身を覆う。
「そうですね、30分待ちましょう。」
そう言って、また私をおまるに導く。
「ほんとに無理です!!30分なんて、無理。」
「それなら、ここに乗せましょうか。抵抗できないように。」
多分那智さんの提案だと思う(記憶曖昧)、私はノロノロと診察台に乗る。
両足を開いて固定する。
お尻の下だけ台がえぐれていて、その下にステンレスの容器が備え付けてある。
排泄した物がそこに溜まるのだ。
目の前には大きな鏡があって、自分の霰もない姿を映す。
なぜ従うか…、ここまですれば許してくれるのではないかという、淡い期待だ。
大人しく従えば、ギリギリのところで許してくれるのではないか。
那智さんだって、まさか○さんの上着を汚すことを善しとはしないだろう。
しかし、鏡に映る○さんの行動を見て、私は愕然とする。
ステンレスの四角い容器に上着を押し入れているではないか!
どこまで本気なの!?
私は、少し○さんが恐くなった。
「那智さん、どうにかして!!ダメですよね!!」
「○さんに聞いてみな。」
さっきから、那智さんはそれしか言ってくれない。
私は、那智さんにも見せたことがないかもしれないくらいの、精一杯の哀願を込めた瞳で「お願いします、上着をどかしてください。」と○さんに媚を売る。(某CMのチワワの瞳を想像して 笑)
そして、更に「○さん、汚しちゃいますよ…。」と訴える。
「じゃあ、我慢してください。」
○さん、そんなことおっしゃらないで、上着をどかして。
抵抗しても、大人しく従っても、媚を売っても、埒があかない。
私は、段々那智さんに対して怒りを覚えてきた。
全部あなたに任せているのに、いくら○さんがいいって言っていても、それを許すの?
この○さんの執着に対して、恐怖を感じた私を助けてくれないの!?
「もう!!那智さん、なんとかして!!どうしてわかってくれないの!!!」
半狂乱で怒る。
カメラを構えた那智さんは、まったく動じることなく「○さんに聞いてみたら。」と同じ答えだ。
もう、ほんとにダメ、出ちゃう、我慢できない。
「○さん、本当に出ちゃう、ほんとにほんとに出ちゃいますけど、いいんですか!?」
「いいですよ。」
もう、知らない、良いっていってるんだもの、知らない。
知らないと手放した途端に箍が外れて(たがってこんな字書くのね)、我慢していたものが一気に溢れ出す。
「ごめんなさい、ごめんなさい。」
謝って排泄しながら、それでも、まだ私は一縷の望みを捨てていなかった。
もしかしたら、鏡越しだからわからないけど、上着は上手によけてあって、排泄物が垂れる所には掛からなくなっているのではないだろうか。
おしっこもしたくなった。
この仰向けの体勢でおしっこをしたら飛び散ってしまう。
「おしっこしたいけど、飛び散りそうです。」
そういうと○さんが、「じゃあ、こうしてあげるね」と優しい声で言い、上着の端をひょいと持ち上げ、飛び散らないように壁を作ってくれている。
えええ!?やっぱり汚していいの。
ここではじめて、私はしたことの重大さに気付いて、途方に暮れる。
○さんが、丁寧に私の汚れた所を拭いてくれている。
もう私は途方に暮れたまま、放心状態だ。
診察台から解放されても、脱力したまま固いタイルの床にペタンと座ったまま。
那智さんがバッグから、ゴミ用のビニール袋を取り出して、当然のように2人で後片付けをはじめている。
「!?」
私は思いついて、クローゼットの中を確認しにいく。
○さんの上着、あるじゃないですか!!
これは、2人の仕込みだったの。
「いらない上着があれば持ってきてもらうように言ったんだ。一着くらい必ずあるだろうからね。抵抗してお願いして、怒り出すまでは計画通り。その後我慢できずに出してしまうまでさせたかったんだけどね。○さん、優しいから良いって言っちゃうから。笑」
「あはは、すみません 笑」
2人で楽しそうに笑ってる。
私は、頭の中がぐるぐるになって、もっと脱力して、床にへたれ込む。
「じゃあ、最初は○さんの好きなようにしてください。」
待ち合わせのコーヒー屋さんで初めて○さんに会ってホテルに向かう。
コーヒー屋さんで尻尾を付けていたから、落ち着いて歩けない。
尻尾に気付いている○さんが、後ろにいるから気が気じゃない。
あまり慌てては目立ってしまうけど、「後ろから人が来てるよ」なんて言葉にビクビクしてしまう。
「じゃあ、最初は○さんの好きなようにしてください。」
ホテルに入って少し雑談をして、那智さんがこう切り出した。
私は、今日何が起こるのかまったく知らされていない。
那智さんと○さんは、何度かやり取りをして、ある程度意志の疎通はできているはずだから、私はそれに従うだけ。
私も○さんとはメールをさせてもらっていて好意的な印象があるから、それは安心材料のひとつになっている。
私が「貸し出された」瞬間だ。
多少遠慮気味に○さんの手が伸びて、私を後ろ向きにさせソファに手を付けお尻を突き出す体勢にさせた。
そのソファには那智さんが腰掛けている。
ワンピースの裾をたくし上げ、下着と尻尾を晒す。
「下着取りましょうか?」
その申し出に、まず那智さんが反応する。
「下着付けていたんだ。」
「はい。」
待ち合わせのコーヒー屋で尻尾を入れるように言われたけど、下着については言及されなかったので、脱がずに尻尾を横から出すようにしていたの。
その方が少しでも短くなるかなって、希望的観測で。
尻尾を引っ掛けないように慎重に下着を下ろして、またさっきと同じ体勢に戻る。
「ああ、これが尻尾ですね。」
尻尾の全体像を見て、珍しそうに触る。
同時にもう片方の手で、敏感な所を触り始めた。
那智さん以外の男性が私のここを触るのは、どれくらいぶりだろう。
あっ、でも、この人の触り方は上手かもしれない。
感じている自分に驚く。
感じていることを我慢するつもりもないから、吐息混じりの声を洩らす。
那智さんは、その私の姿をカメラに収めている。
そのうち○さんが、尻尾を抜きはじめた。
ポロポロとお尻から、パールが押し出される感じがして、恥ずかしい。
そして、絶対にパールに汚い物が付いているはずだから、もっと恥ずかしい。
「ごめんなさい、汚いはずだから見ないで。」
抜き取られたパールは予想通りに汚れていた。
那智さんが、それだけを写している。
そして、そこに付着している量を見て「今日、出てないの?」と聞いてくる。
出たけど、まだあるはず、と正直に答える。
「じゃあ、○さん、浣腸します?」
「そうですね。」
「イチジクと○○(用具の名前言ってたけど、知らない)とどっちかいいですか?」
「それなら、イチジクで。」
しゃがむ私の頭の上で交わされるこんな会話を、不思議な気持ちで聞いている。
「汚れるといけないから、脱ぎましょうか。」
○さんに促されて、私は今日初めて会った○さんの前で全裸になる。
誰にも指示されていないのに体が勝手に動いて、浣腸を受ける姿勢に戻す。
「何個入れます?」
「空気を入れるといいんですよね。」
背後で聞こえる言葉は、私の皮膚の上を滑っていって、他人事のよう。
でも、お腹に冷たいものが流れ込むことで、自分自身の身に起こっているということを実感する。
ふたつ(だったと思う)と空気を入れ、終わったことを気配で察した私は、そのまま膝を抱えるように床に座り込む。
お腹が冷えて痛くなりそう。
「大丈夫?痛くなってきた?」
「まだ、大丈夫です。」
○さんが優しい声で聞いてくれる。
那智さんが汚れたパールを洗っているのが、洗面所から聞こえる音でわかる。
恥ずかしい予感がしている。
私は(他の人は知らないけれど)、浣腸して排泄を我慢していると、それだけで体が反応していってしまうの。
我慢する苦痛から、脳みそが勝手に解放してくれるみたい、頭が感じるのではなく、クリトリスが反応してしまうの。
お腹が痛くなってきていると平行して下半身がふわふわと気持ち良くなってきているのがわかって、困惑してしまう。
那智さん以外の誰が触ってもいかないと豪語しているくせに、浣腸でいくなんて、恥ずかしくて困惑だ。
「大丈夫?」
もう一度、○さんが聞いてくる。
そして、聞きながらお腹をさすってくる。
そのまま、手が下に伸び、クリトリスを触りはじめる。
抱えていた膝を解き、足を投げ出してそれを受け入れる姿勢になる。
だめ、気持ちいい、那智さん、私、いってしまう。
溢れそうな危険を孕みながら、快感は一気に私の理性の一部をさらってしまう。
いつの間にか洗い終わって戻っている那智さんに「浣腸したから…」と言い訳をしている私。
でも、言い訳なんてしているけれど、爆弾はまだ私のお腹の中、どんどん膨らんでいる。
「お願いします、トイレに行かせてください。」
那智さん、○さん、どちらに向かってお願いしているともつかない言い方で、空を見る。
「じゃあ、これとこれ、どっちにする?」
このお返事が、那智さんか○さんか、覚えていない。
示されたのは、おまると診察台の形をした排泄台(?)。
迷わずおまるを指す。
足を固定されて仰向けに寝て排泄するような台なんか乗りたくない。
おまるにしゃがんで、ちょっと安心する。
恥ずかしいことは恥ずかしいけど、これでどこかに漏らしてしまう危険はないもの。
「あっ、ちょっと待ってください。」
○さんが、バッグから何か取り出した。
スーツの上着だ。
それを、おまるの上に広げて、「ここにどうぞ」と言い出す。
そこに跨がれと!?
私は驚いて○さんを見上げる。
「ちょ、ちょっと待ってください、汚れちゃいますよ!!」
「いいです、今日の記念に。」
信じられない、記念って言ったって、それ着て帰れないじゃないですか!?
「だめ、だめ、絶対にだめ。」
そう言っておまるから遠ざかる私の体にそっと両手を添えるようにして、おまるに座らせる○さん。
なんとなくそれに従い、跨いでみる。
もしかしたら、その姿勢だけ見せれば良いのかもしれない。
跨いでみると、さすがに浣腸して他人の上着に跨がるという自分の行動の非常識さが恐くなって、またおまるから飛ぶように逃げる。
助けを求めるように那智さんを見るけど、カメラを構えているだけで、指示を読み取ることができない。
無理よ、姿勢だけ示したとしても、万が一間に合わなくてちょっとでも汚してしまったら大変。
「ほんとにお願い、上着をどかして!」
○さんは那智さんじゃないから、きっと抵抗すれば言うことを聞いてくれるはず。
高をくくった私は抵抗を続ける。
「大丈夫ですよ、我慢すればいいでしょ、はい、座って。」
○さんも全然引かない。
もう一度那智さんを見る。
「じゃあ、30分、我慢しようか。そうしたらどかそう。」
と言って、時計を見ている。
30分なんて無理!!
もう、お腹が痛み出してきている。
鳥肌が全身を覆う。
「そうですね、30分待ちましょう。」
そう言って、また私をおまるに導く。
「ほんとに無理です!!30分なんて、無理。」
「それなら、ここに乗せましょうか。抵抗できないように。」
多分那智さんの提案だと思う(記憶曖昧)、私はノロノロと診察台に乗る。
両足を開いて固定する。
お尻の下だけ台がえぐれていて、その下にステンレスの容器が備え付けてある。
排泄した物がそこに溜まるのだ。
目の前には大きな鏡があって、自分の霰もない姿を映す。
なぜ従うか…、ここまですれば許してくれるのではないかという、淡い期待だ。
大人しく従えば、ギリギリのところで許してくれるのではないか。
那智さんだって、まさか○さんの上着を汚すことを善しとはしないだろう。
しかし、鏡に映る○さんの行動を見て、私は愕然とする。
ステンレスの四角い容器に上着を押し入れているではないか!
どこまで本気なの!?
私は、少し○さんが恐くなった。
「那智さん、どうにかして!!ダメですよね!!」
「○さんに聞いてみな。」
さっきから、那智さんはそれしか言ってくれない。
私は、那智さんにも見せたことがないかもしれないくらいの、精一杯の哀願を込めた瞳で「お願いします、上着をどかしてください。」と○さんに媚を売る。(某CMのチワワの瞳を想像して 笑)
そして、更に「○さん、汚しちゃいますよ…。」と訴える。
「じゃあ、我慢してください。」
○さん、そんなことおっしゃらないで、上着をどかして。
抵抗しても、大人しく従っても、媚を売っても、埒があかない。
私は、段々那智さんに対して怒りを覚えてきた。
全部あなたに任せているのに、いくら○さんがいいって言っていても、それを許すの?
この○さんの執着に対して、恐怖を感じた私を助けてくれないの!?
「もう!!那智さん、なんとかして!!どうしてわかってくれないの!!!」
半狂乱で怒る。
カメラを構えた那智さんは、まったく動じることなく「○さんに聞いてみたら。」と同じ答えだ。
もう、ほんとにダメ、出ちゃう、我慢できない。
「○さん、本当に出ちゃう、ほんとにほんとに出ちゃいますけど、いいんですか!?」
「いいですよ。」
もう、知らない、良いっていってるんだもの、知らない。
知らないと手放した途端に箍が外れて(たがってこんな字書くのね)、我慢していたものが一気に溢れ出す。
「ごめんなさい、ごめんなさい。」
謝って排泄しながら、それでも、まだ私は一縷の望みを捨てていなかった。
もしかしたら、鏡越しだからわからないけど、上着は上手によけてあって、排泄物が垂れる所には掛からなくなっているのではないだろうか。
おしっこもしたくなった。
この仰向けの体勢でおしっこをしたら飛び散ってしまう。
「おしっこしたいけど、飛び散りそうです。」
そういうと○さんが、「じゃあ、こうしてあげるね」と優しい声で言い、上着の端をひょいと持ち上げ、飛び散らないように壁を作ってくれている。
えええ!?やっぱり汚していいの。
ここではじめて、私はしたことの重大さに気付いて、途方に暮れる。
○さんが、丁寧に私の汚れた所を拭いてくれている。
もう私は途方に暮れたまま、放心状態だ。
診察台から解放されても、脱力したまま固いタイルの床にペタンと座ったまま。
那智さんがバッグから、ゴミ用のビニール袋を取り出して、当然のように2人で後片付けをはじめている。
「!?」
私は思いついて、クローゼットの中を確認しにいく。
○さんの上着、あるじゃないですか!!
これは、2人の仕込みだったの。
「いらない上着があれば持ってきてもらうように言ったんだ。一着くらい必ずあるだろうからね。抵抗してお願いして、怒り出すまでは計画通り。その後我慢できずに出してしまうまでさせたかったんだけどね。○さん、優しいから良いって言っちゃうから。笑」
「あはは、すみません 笑」
2人で楽しそうに笑ってる。
私は、頭の中がぐるぐるになって、もっと脱力して、床にへたれ込む。