お外で四つん這い2
非日常的な日常
よそ様のブログでMの理性崩壊に至る必要条件として、「Sの嗜好と情熱」を挙げていらした。(M側は「体質」なんだけど、それは「苦痛」のお話だったからちょっとおいとかせてくださいね)
「調教」のようなものはあまり好きじゃない那智さんだけど、スカトロに関しては慎重に積み重ねるようにして、ゆっくりと固く閉じている扉を開けていくような作業をして、ここまできた(どこまで!?)。
これこそ「嗜好と情熱」。
そうそういつもタイミング良く排泄できるわけじゃないから、そういう意味でもゆっくり進まざるを得ない部分もあるけど。
もうひとつ、露出もそうなのではないかな〜と、「お外で四つん這い」を思い出し書きしながら思ったの。
もちろんSMなんだから、鞭でもなんでも徐々にっていうことでは同じなんだけど、もともとマイナスだったものが「気がついたらこんなところまで来てしまった」みたいな、越えた一線を振り返ってはじめて確認するような積み重ねが、私たち(私?)の間では、露出もそうなのかと。
それが、那智さんの「嗜好と情熱」なんだなと、しみじみ思ってしまった。
はじめて会ったとき、すぐ駅の男子トイレに連れて行かれた。
大騒ぎする私のスカートに一瞬手を入れて、「騒ぐと目立つのに」と言ったことが始まりで、デパートの階段やビルの非常階段、はじめは私が怖がることを楽しんでいた部分が大きかったように思える。
おとなしく従うようになり、少しずつ「誇示」する楽しさを増やしていったのではないかしら。
ハプニングバーなどよりも、鋭い刺激の露出が「誇示」する満足度が高いのだろう。
駅のホームやスクランブル交差点、少しづつ手なずけられていった感じだ。
ラブホテル街とはいえ、一般道路と繋がっている道を四つん這いで歩くなんて、いま冷静に思い返せばとんでもないことだ。
それなのに、私はあの日、観念して、待ち望むという複雑な気持ちで坂に向かって歩いていたのだ。
これは、「気がつけば、こんなところまで来てしまった」という状態だろう。
那智さんの、情熱の結果だ(本人はそう自覚しているかわからないけど)
わあ、ちょっと引っ張ってしまった^^;
二回で終わらせよようと思っていたけど、長引いたらごめんなさいね〜。
では、お外で四つん這いの続きです。
少しずつ狂気時間が迫ってきているけれど、なんだかまだ実感が湧かない気がする。
人事のようだ。
よく利用するホテル街は、駅からの道を右に曲がると緩やかな坂道なって広がっている。
ここはパンツでダッシュした所だ(『非日常的な日常』の『みっともない私1、2』に出てます)
その角を曲がる手前にコンビニがある。
更にそれより手前に自動販売機がいくつも並んでいる空間がある。
そこでお茶を買うのが、なんとなくいつもの習慣になっているのだ。
コートの裾から尻尾を出しながら歩いて、まずそこに到着。
鞄から取り出した首輪を受け取って、那智さんがお茶を買っている間に、首に付ける。
「カチャン」
リードを首輪に繋げる。
ぐいっと引いて歩き始める那智さんから離れないように私も歩く。
腕を組んでなんとかリードを隠してみるけど、わざと引くからどうしても前屈みな姿勢になってしまって不自然だ。
ああ、とても恥ずかしい。
誰も不自然なことに気が付きませんように。
気付いて不快な思いをさせてしまったら、ごめんなさい。
何度か書いていますが、露出のためらうところは、恥ずかしいという気持ちだけじゃなくて、すみませんという気持ちが大きい。
世の中にはそれで「おお♪」と思う人ばかりではないでしょう。
明らかな露出はもちろんだけど、不自然な状態だけでも、人の心は波立つはずで、その波が不快感によるものだってあるはずだもの。
だから、いつもごめんなさいと思っている。
不快にさせたら、ごめんなさいって。
うつむいてコンビニまで来たら、那智さんが煙草を買うと言い出した。
買ってくるから待っててと言う。
いや、一人にしないで、いつもは一緒にコンビニにも入るじゃありませんか!?
静かに慌てる私を無視して、コンビニの駐車場にある柵にリードを結びはじめた。
結わくの!?
ここに結わいておくの!?
一人でおとなしく待ってますから、結わかなくてもどこにも行きませんから!!!
言葉は出ない、言葉にしても無意味なことはわかっている。
本当に犬だ。
飼い主が買い物している間に、繋がれて待っている犬だ。
那智さん行かないで、一人にしないで。
リードが短いみたいで、私は普通に立っていられないのだ。
膝を曲げるか、お辞儀をするように体を前屈させるかしないと、立っていられないのだ。
すぐそこは歩道だ。
人が歩いている。
けっこうたくさん歩いているはずだ。
もう、どうしよう恥ずかしい、怖い。
うつむいてリードを結ぶところまでは見ていた。
結び終わってすぐ、うつむいたまま私は両手で顔を覆い、膝を曲げた状態で、ただひたすら待つ。
頭の中はパニックだ。
一秒が永遠にも感じられる。
早く戻ってきて那智さん。
いつもいつも、那智さん那智さんなんだけど、この時ばかりは切望した。
早く、早く、一人にしないで。
身を固くして、顔を隠して、嵐が過ぎるのをじっと待つようだ。
耳だけが冴えてしまっている。
遠くから聞こえてくる話し声が、私の側でピタリと止む、しんとして通り過ぎる気配だけ感じる。
その女性たちの姿が手に取るようにわかって、私は気が狂いそうになる。
ごめんなさい、ごめんなさい、不思議な格好でごめんなさい。
たかが煙草を買いにいくだけの時間だったから、それほど長くはなかっただろう。
でも、何もかもがスローモーションのようで、時間の感覚がない。
パニックで脳みそが酸欠みたいだ。
リードが揺れて、外された。
那智さんが戻って来たんだ。
嬉しい、これで怖くない。
覆っていた手を顔から離す。
でも、まだうつむいたままだ、恥ずかしいもの。
「犬が立っていたらおかしいよね。」
え?何を言っているの??
チラッと顔を上げる。
那智さん越しに、いつの間にか男性2人が何か食べている姿が見えた。
すぐそばに人がいるのですよ、那智さん、何を言っているの!?
「立っていたらおかしいよね。犬は四つん這いだよね?ほら。」
チラッと上げた顔をすぐに下げて、しばらくの逡巡の後、私はその場にしゃがみ込む。
犬なの?犬なんだ。
「犬は四つ足だよね。」
ノロノロと指先をアスファルトに付ける。
沈黙…それでもまだ許してくれないんだ。
膝も付ける。
「それで犬?」
ずっとうつむいたままだから、那智さんの表情がわからない。
どうしたら満足なのか目を見て確認したい。
でも、顔を上げる勇気はない。
私は指先だけ付けていた両手を広げて、掌全部をアスファルトに付けた。
「手を全部付けました、那智さん、見て」
うつむいて小声で訴える。
聞こえないくらいの小さな声。
この非常識な状態から、逃れたいと思って必死になっているはずなのに、なんとも言えない感覚だ。
段々、何も考えられなくなっている。
まわりの雑踏はまったく聞こえない、那智さんの声だけが私の耳に入ってくる、不思議な感覚だ。
晴れた日の午前10時30分、朝の空気が微かに残る人がせわしなく行き交う街中。
アスファルトの灰色と自分の掌と、那智さんの黒い靴。
この瞬間、那智さんの足下だけが私の世界になっていた。
まだ、続きます。
よそ様のブログでMの理性崩壊に至る必要条件として、「Sの嗜好と情熱」を挙げていらした。(M側は「体質」なんだけど、それは「苦痛」のお話だったからちょっとおいとかせてくださいね)
「調教」のようなものはあまり好きじゃない那智さんだけど、スカトロに関しては慎重に積み重ねるようにして、ゆっくりと固く閉じている扉を開けていくような作業をして、ここまできた(どこまで!?)。
これこそ「嗜好と情熱」。
そうそういつもタイミング良く排泄できるわけじゃないから、そういう意味でもゆっくり進まざるを得ない部分もあるけど。
もうひとつ、露出もそうなのではないかな〜と、「お外で四つん這い」を思い出し書きしながら思ったの。
もちろんSMなんだから、鞭でもなんでも徐々にっていうことでは同じなんだけど、もともとマイナスだったものが「気がついたらこんなところまで来てしまった」みたいな、越えた一線を振り返ってはじめて確認するような積み重ねが、私たち(私?)の間では、露出もそうなのかと。
それが、那智さんの「嗜好と情熱」なんだなと、しみじみ思ってしまった。
はじめて会ったとき、すぐ駅の男子トイレに連れて行かれた。
大騒ぎする私のスカートに一瞬手を入れて、「騒ぐと目立つのに」と言ったことが始まりで、デパートの階段やビルの非常階段、はじめは私が怖がることを楽しんでいた部分が大きかったように思える。
おとなしく従うようになり、少しずつ「誇示」する楽しさを増やしていったのではないかしら。
ハプニングバーなどよりも、鋭い刺激の露出が「誇示」する満足度が高いのだろう。
駅のホームやスクランブル交差点、少しづつ手なずけられていった感じだ。
ラブホテル街とはいえ、一般道路と繋がっている道を四つん這いで歩くなんて、いま冷静に思い返せばとんでもないことだ。
それなのに、私はあの日、観念して、待ち望むという複雑な気持ちで坂に向かって歩いていたのだ。
これは、「気がつけば、こんなところまで来てしまった」という状態だろう。
那智さんの、情熱の結果だ(本人はそう自覚しているかわからないけど)
わあ、ちょっと引っ張ってしまった^^;
二回で終わらせよようと思っていたけど、長引いたらごめんなさいね〜。
では、お外で四つん這いの続きです。
少しずつ狂気時間が迫ってきているけれど、なんだかまだ実感が湧かない気がする。
人事のようだ。
よく利用するホテル街は、駅からの道を右に曲がると緩やかな坂道なって広がっている。
ここはパンツでダッシュした所だ(『非日常的な日常』の『みっともない私1、2』に出てます)
その角を曲がる手前にコンビニがある。
更にそれより手前に自動販売機がいくつも並んでいる空間がある。
そこでお茶を買うのが、なんとなくいつもの習慣になっているのだ。
コートの裾から尻尾を出しながら歩いて、まずそこに到着。
鞄から取り出した首輪を受け取って、那智さんがお茶を買っている間に、首に付ける。
「カチャン」
リードを首輪に繋げる。
ぐいっと引いて歩き始める那智さんから離れないように私も歩く。
腕を組んでなんとかリードを隠してみるけど、わざと引くからどうしても前屈みな姿勢になってしまって不自然だ。
ああ、とても恥ずかしい。
誰も不自然なことに気が付きませんように。
気付いて不快な思いをさせてしまったら、ごめんなさい。
何度か書いていますが、露出のためらうところは、恥ずかしいという気持ちだけじゃなくて、すみませんという気持ちが大きい。
世の中にはそれで「おお♪」と思う人ばかりではないでしょう。
明らかな露出はもちろんだけど、不自然な状態だけでも、人の心は波立つはずで、その波が不快感によるものだってあるはずだもの。
だから、いつもごめんなさいと思っている。
不快にさせたら、ごめんなさいって。
うつむいてコンビニまで来たら、那智さんが煙草を買うと言い出した。
買ってくるから待っててと言う。
いや、一人にしないで、いつもは一緒にコンビニにも入るじゃありませんか!?
静かに慌てる私を無視して、コンビニの駐車場にある柵にリードを結びはじめた。
結わくの!?
ここに結わいておくの!?
一人でおとなしく待ってますから、結わかなくてもどこにも行きませんから!!!
言葉は出ない、言葉にしても無意味なことはわかっている。
本当に犬だ。
飼い主が買い物している間に、繋がれて待っている犬だ。
那智さん行かないで、一人にしないで。
リードが短いみたいで、私は普通に立っていられないのだ。
膝を曲げるか、お辞儀をするように体を前屈させるかしないと、立っていられないのだ。
すぐそこは歩道だ。
人が歩いている。
けっこうたくさん歩いているはずだ。
もう、どうしよう恥ずかしい、怖い。
うつむいてリードを結ぶところまでは見ていた。
結び終わってすぐ、うつむいたまま私は両手で顔を覆い、膝を曲げた状態で、ただひたすら待つ。
頭の中はパニックだ。
一秒が永遠にも感じられる。
早く戻ってきて那智さん。
いつもいつも、那智さん那智さんなんだけど、この時ばかりは切望した。
早く、早く、一人にしないで。
身を固くして、顔を隠して、嵐が過ぎるのをじっと待つようだ。
耳だけが冴えてしまっている。
遠くから聞こえてくる話し声が、私の側でピタリと止む、しんとして通り過ぎる気配だけ感じる。
その女性たちの姿が手に取るようにわかって、私は気が狂いそうになる。
ごめんなさい、ごめんなさい、不思議な格好でごめんなさい。
たかが煙草を買いにいくだけの時間だったから、それほど長くはなかっただろう。
でも、何もかもがスローモーションのようで、時間の感覚がない。
パニックで脳みそが酸欠みたいだ。
リードが揺れて、外された。
那智さんが戻って来たんだ。
嬉しい、これで怖くない。
覆っていた手を顔から離す。
でも、まだうつむいたままだ、恥ずかしいもの。
「犬が立っていたらおかしいよね。」
え?何を言っているの??
チラッと顔を上げる。
那智さん越しに、いつの間にか男性2人が何か食べている姿が見えた。
すぐそばに人がいるのですよ、那智さん、何を言っているの!?
「立っていたらおかしいよね。犬は四つん這いだよね?ほら。」
チラッと上げた顔をすぐに下げて、しばらくの逡巡の後、私はその場にしゃがみ込む。
犬なの?犬なんだ。
「犬は四つ足だよね。」
ノロノロと指先をアスファルトに付ける。
沈黙…それでもまだ許してくれないんだ。
膝も付ける。
「それで犬?」
ずっとうつむいたままだから、那智さんの表情がわからない。
どうしたら満足なのか目を見て確認したい。
でも、顔を上げる勇気はない。
私は指先だけ付けていた両手を広げて、掌全部をアスファルトに付けた。
「手を全部付けました、那智さん、見て」
うつむいて小声で訴える。
聞こえないくらいの小さな声。
この非常識な状態から、逃れたいと思って必死になっているはずなのに、なんとも言えない感覚だ。
段々、何も考えられなくなっている。
まわりの雑踏はまったく聞こえない、那智さんの声だけが私の耳に入ってくる、不思議な感覚だ。
晴れた日の午前10時30分、朝の空気が微かに残る人がせわしなく行き交う街中。
アスファルトの灰色と自分の掌と、那智さんの黒い靴。
この瞬間、那智さんの足下だけが私の世界になっていた。
まだ、続きます。
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