はじめての旅1
惹かれ合う理由
はじめは、メッセージを聞いているだけでよかった。
世の中には、S男性が本当にいるんだと、それを聞いているだけでよかった。
「こんなことをしたい」「こんな経験がある」。
電話の向こうの自称S男性は、自慢している。
それを聞いているだけで、十分だった。
しかし、人間の欲望はエスカレートしていく、わかりきった心の動きだ。
今度は、自分がメッセージを入れてみたくなった。
どんな返事が返ってくるのか、とても知りたくなってしまった。
その先、自分がどうなりたいかなんて考えもせず、私は、電話の向こうの不特定多数の男性に語りかけていた。
「はじめまして、27歳です。昔からSMに興味がありました。自分はMだと思うのですが、経験はありません。
何を話したら良いかわかりませんが、勇気を出して伝言してみました。」
驚くほど、たくさんの数の返事が録音されていた。
全部を聞き終わるのに、1時間以上かかってしまうほどだ。
みんないろんなことを言っている。でも、右耳から左耳に流れては消えていく。
そのうち、最後の方に感じの良い男性からのメッセージが届いた。
なぜ、その人だけに返事をしたのかはっきりとした理由は思い出せない。
私より20歳近くも年の離れたその男性は、私が伝言を吹き込んでから少し時間が経過してしまっていることを、とても心配していて少し慌てていた。
その慌てた感じに好感を持ったのかもしれない。
横道に逸れてしいますが、もう少し私の性癖(願望)をお話しさせてください。
「縛られたい」「困らせてほしい」「支配されたい」
自分に「SM」的な願望があることは自覚しきて、この世界とは何なのだろうと、いくつかの本を読んだ。(読みあさるほど、エッチな本以外で豊富じゃないから)
「O嬢の物語」「昼顔」「家畜人ヤプー」家田荘子さんのルポ「アブノーマルラバーズ(だったかな?)」などなど。
専門誌もあったのでしょうけれど、勇気がなくて買えない。
ちょうど、27歳頃。
パートナーというものを見つければ、夢が叶うかもしれないと知った頃。
叶うかもしれない世界を、もっと知りたくなったのだ。
そこで傾向があることに気づいた。
「奴隷」や「家畜」というような言葉に興奮しながら、違和感を感じていたのだ。
「人間以下の扱い」に憧れは抱くものの、一方で可愛がられたいと思っていた。
可愛がる方法として、「人間以下」の扱いをしてほしいと思っていた。
根底に愛情のようなものを求めていることに気付いたのだ。
どちらかというと「ペット願望」に近いだろう。
さらに、父の影響だろうか、ずっと男の人が怒鳴ったり乱暴な言葉を使ったりするのを極端に恐れていた私は、威圧的暴力的な命令では、萎縮してしまうだろうということも、感じていた。
だから、怖い感じのSMは苦手だと、わかっていた。
普通の恋愛においては、甘えさせることが上手な私は、甘え上手な男性を自然と選んでいた。
「母性本能をくすぐられるタイプが好み♪」なんて、言っていたくらいだ。
現に、年下の男性や、顔つきの可愛らしい人を選んで付き合っていた。
それなのに「SM」のときだけ可愛がられたいなんて、矛盾しているなと当時は思っていた。
いま思えば、簡単なこと、相手を甘えさせることで、自分の甘えたい願望を満たそうとしていたのだろう。
「性的な願望」というフィルターを通すことで、素直に甘えられる状況を作りたかったのかもしれない。
だから無意識に20歳も年の離れた男性を選んだのではないだろうか。
包容力を期待して。
父性という、存在さえ知らない毛布を、無意識に探していたのかもしれない。
しかし、この人との出来事は「上手に出会えない」私の旅の始まりたった。
そして、数年先に那智さんへ繋がる、第一歩でもあったのだ。
はじめは、メッセージを聞いているだけでよかった。
世の中には、S男性が本当にいるんだと、それを聞いているだけでよかった。
「こんなことをしたい」「こんな経験がある」。
電話の向こうの自称S男性は、自慢している。
それを聞いているだけで、十分だった。
しかし、人間の欲望はエスカレートしていく、わかりきった心の動きだ。
今度は、自分がメッセージを入れてみたくなった。
どんな返事が返ってくるのか、とても知りたくなってしまった。
その先、自分がどうなりたいかなんて考えもせず、私は、電話の向こうの不特定多数の男性に語りかけていた。
「はじめまして、27歳です。昔からSMに興味がありました。自分はMだと思うのですが、経験はありません。
何を話したら良いかわかりませんが、勇気を出して伝言してみました。」
驚くほど、たくさんの数の返事が録音されていた。
全部を聞き終わるのに、1時間以上かかってしまうほどだ。
みんないろんなことを言っている。でも、右耳から左耳に流れては消えていく。
そのうち、最後の方に感じの良い男性からのメッセージが届いた。
なぜ、その人だけに返事をしたのかはっきりとした理由は思い出せない。
私より20歳近くも年の離れたその男性は、私が伝言を吹き込んでから少し時間が経過してしまっていることを、とても心配していて少し慌てていた。
その慌てた感じに好感を持ったのかもしれない。
横道に逸れてしいますが、もう少し私の性癖(願望)をお話しさせてください。
「縛られたい」「困らせてほしい」「支配されたい」
自分に「SM」的な願望があることは自覚しきて、この世界とは何なのだろうと、いくつかの本を読んだ。(読みあさるほど、エッチな本以外で豊富じゃないから)
「O嬢の物語」「昼顔」「家畜人ヤプー」家田荘子さんのルポ「アブノーマルラバーズ(だったかな?)」などなど。
専門誌もあったのでしょうけれど、勇気がなくて買えない。
ちょうど、27歳頃。
パートナーというものを見つければ、夢が叶うかもしれないと知った頃。
叶うかもしれない世界を、もっと知りたくなったのだ。
そこで傾向があることに気づいた。
「奴隷」や「家畜」というような言葉に興奮しながら、違和感を感じていたのだ。
「人間以下の扱い」に憧れは抱くものの、一方で可愛がられたいと思っていた。
可愛がる方法として、「人間以下」の扱いをしてほしいと思っていた。
根底に愛情のようなものを求めていることに気付いたのだ。
どちらかというと「ペット願望」に近いだろう。
さらに、父の影響だろうか、ずっと男の人が怒鳴ったり乱暴な言葉を使ったりするのを極端に恐れていた私は、威圧的暴力的な命令では、萎縮してしまうだろうということも、感じていた。
だから、怖い感じのSMは苦手だと、わかっていた。
普通の恋愛においては、甘えさせることが上手な私は、甘え上手な男性を自然と選んでいた。
「母性本能をくすぐられるタイプが好み♪」なんて、言っていたくらいだ。
現に、年下の男性や、顔つきの可愛らしい人を選んで付き合っていた。
それなのに「SM」のときだけ可愛がられたいなんて、矛盾しているなと当時は思っていた。
いま思えば、簡単なこと、相手を甘えさせることで、自分の甘えたい願望を満たそうとしていたのだろう。
「性的な願望」というフィルターを通すことで、素直に甘えられる状況を作りたかったのかもしれない。
だから無意識に20歳も年の離れた男性を選んだのではないだろうか。
包容力を期待して。
父性という、存在さえ知らない毛布を、無意識に探していたのかもしれない。
しかし、この人との出来事は「上手に出会えない」私の旅の始まりたった。
そして、数年先に那智さんへ繋がる、第一歩でもあったのだ。