わんこの次は蚕
非日常的な日常
わんこの尻尾を那智さんが引く、きゅっきゅっと。
「出ないようにしてごらん。」
お尻の穴に力を入れて、出ていかないようにしてみるけれど、なんだか上手くいかない。
「ダメだよ、出ちゃう。」
そう言ってまた元に戻して、きゅっきゅと引く。
引く力を弱めてくれたからか、私の力の入れ方が上手くなったのか、さっきよりも留まってくれているみたい。
「そう、できるね。」
那智さんも満足そう。
那智さんが満足そうな声を聞くと私も嬉しい。
一生懸命お尻に力を入れてよかったと、私も満足。
でも、最後には尻尾は抜かれてわんこの時間はおしまい。
取り上げられたおしっこの入ったお皿を持ち、私の口に近づける。
口を開きお皿をくわえ、那智さんが傾けるスピードで残りのおしっこをゴクゴクと飲み干した。
空になったお皿を置き、今度は麻縄を用意する。
「立って。」
静かな指示に従い、立ち上がる。
真ん中で輪にして首に掛け、床まで伸ばして足首に回す。
そこから二本の縄を交差させながら上げていく。
両足が固定され、後ろ手に組んだ腕も背中に張り付けられ、また首に戻す。
私は動けない一本の棒になてしまった。
抱えるようにしてベッドにうつ伏せにされる。
枕に顎と頬を押し当てて、呼吸ができる角度にする。
きっと、私が話した妄想に近いことをしているんだ。
試しているのかもしれない、那智さんが楽しめるか、私の反応はどうか。
本当は嬉しいはずなのに、お願いしてしまったことだからやっぱり居心地が悪い。
無我夢中になって翻弄されたいと思っているのに、お願いしたことの実現は「予定調和」になってしまうようで、少し残念。
そう思っていると、その先が用意されていて、私は「予定調和」から抜け出すことができて、那智さんに揺さぶられる幸せな快感を迎えることができた。
わんこのお遊びに使うゴムでできた骨の形をしたおもちゃ。
それをうつ伏せになって枕に顔を埋めないようにしている私の口にくわえさせる。
その上から、綿ロープでぐるぐると巻き固定して、猿ぐつわにする。
四肢が不自由な上に、声も出せない。
今度は、包帯で私の目を覆う。
こちらもぐるぐると顔の周りを何周かさせて、目も不自由になってしまった。
もう私は那智さんの委ね、頼るしかない。
これから、何が起こるのか見当もつかない状態に、不安になる。
唯一の頼りは那智さんだ。
機能している耳をすませて様子を伺っていると、那智さんが私に掛け布団を掛けてくれた。
「息は苦しくない?痛いところはない?」
それだけ聞くと、煙草とライターを持つ気配をさせて、そのまま部屋を出ていってしまったのだ。
どうしよう、一人になっちゃった。
不安が募る。
どれくらい一人にされるのだろう。
不安と、でも、自分の置かれている状況や姿を想像して、少しうっとりしている。
一瞬頭をクリアにして、状態をチェック。
腕はきつく締められていないから、痺れて麻痺してしまうことはなさそうだ。
呼吸も苦しくない。
きちんと口を開けなかったからか、猿ぐつわと歯の間に唇が挟まっている箇所がある、これはそのうちに痛くなりそう、もしかしたら切れてしまうかもしれないから、唇を動かして調整する。
ただ一定の角度で長時間首を傾けているのは、辛くなるかもしれない。
そのうち唾液が溜まってきたら、どうなってしまうのだろう。
枕に垂れるのかしら、むせたりしないといいのだけれど。
相変わらず不安ではあるけれど、ある程度(どれくらいか、皆目見当つかないけれど)時間は大丈夫だろう。
そう覚悟をしたら、もうあとはこの状態に身を任せる。
縄で拘束されて気持ちがいい。
口を大きく開いて、閉じることができないことが嬉しい。
唾液が溜まってきている。
包帯で巻かれた目は何も見ることができない。
猿ぐつわと包帯をしている私の姿を想像していると、ふわふわと気持ちいい。
そのふわふわに包まれて、自由なはずの耳さえも麻痺してきている。
繭玉の中にいる蚕だ。
温かい。
那智さんがいない不安はいつの間にかどこかへ消え、私は繭玉の中で雲の上にいるみたいな気分になる。
ふと我に返り、自分がうつらうつらしていたことに気づく。
やだ、私、この状態で寝そうになっていたの?
不釣り合いな出来事に可笑しくなる。
それでも、まだ、うとうとの余韻は残り、もう一度温かい手に包まれているように心地よい眠りに落ちていった。
ドアを開ける音で目が覚め、自分がまた眠ってしまっていたことに気づいた。
いったいどれくらいの時間が過ぎているのだろう。
「もしかして、寝てた!?」
呆れているような笑い声で、那智さんが言う。
包帯と猿ぐつわを解かれ、麻縄からも解放された。
「寝てました、気持ち良かったです。」
でも、やっぱり不安だった。(寝たいたくせに、説得力なし!! 笑)
那智さんが帰ってきてくれて嬉しい。
くっつきたくて側に寄る、抱きしめられて更に心が解けていく。
抱きしめられて幸福に浸っていると、不意に床に倒された。
倒れた私の口に、那智さんが足を近づける。
嬉しい、足の指を口に含んで舐める。
抜かれて、その足で顔を踏まれる。
顔が歪む。
次は、醜い私のはじまり。
わんこの尻尾を那智さんが引く、きゅっきゅっと。
「出ないようにしてごらん。」
お尻の穴に力を入れて、出ていかないようにしてみるけれど、なんだか上手くいかない。
「ダメだよ、出ちゃう。」
そう言ってまた元に戻して、きゅっきゅと引く。
引く力を弱めてくれたからか、私の力の入れ方が上手くなったのか、さっきよりも留まってくれているみたい。
「そう、できるね。」
那智さんも満足そう。
那智さんが満足そうな声を聞くと私も嬉しい。
一生懸命お尻に力を入れてよかったと、私も満足。
でも、最後には尻尾は抜かれてわんこの時間はおしまい。
取り上げられたおしっこの入ったお皿を持ち、私の口に近づける。
口を開きお皿をくわえ、那智さんが傾けるスピードで残りのおしっこをゴクゴクと飲み干した。
空になったお皿を置き、今度は麻縄を用意する。
「立って。」
静かな指示に従い、立ち上がる。
真ん中で輪にして首に掛け、床まで伸ばして足首に回す。
そこから二本の縄を交差させながら上げていく。
両足が固定され、後ろ手に組んだ腕も背中に張り付けられ、また首に戻す。
私は動けない一本の棒になてしまった。
抱えるようにしてベッドにうつ伏せにされる。
枕に顎と頬を押し当てて、呼吸ができる角度にする。
きっと、私が話した妄想に近いことをしているんだ。
試しているのかもしれない、那智さんが楽しめるか、私の反応はどうか。
本当は嬉しいはずなのに、お願いしてしまったことだからやっぱり居心地が悪い。
無我夢中になって翻弄されたいと思っているのに、お願いしたことの実現は「予定調和」になってしまうようで、少し残念。
そう思っていると、その先が用意されていて、私は「予定調和」から抜け出すことができて、那智さんに揺さぶられる幸せな快感を迎えることができた。
わんこのお遊びに使うゴムでできた骨の形をしたおもちゃ。
それをうつ伏せになって枕に顔を埋めないようにしている私の口にくわえさせる。
その上から、綿ロープでぐるぐると巻き固定して、猿ぐつわにする。
四肢が不自由な上に、声も出せない。
今度は、包帯で私の目を覆う。
こちらもぐるぐると顔の周りを何周かさせて、目も不自由になってしまった。
もう私は那智さんの委ね、頼るしかない。
これから、何が起こるのか見当もつかない状態に、不安になる。
唯一の頼りは那智さんだ。
機能している耳をすませて様子を伺っていると、那智さんが私に掛け布団を掛けてくれた。
「息は苦しくない?痛いところはない?」
それだけ聞くと、煙草とライターを持つ気配をさせて、そのまま部屋を出ていってしまったのだ。
どうしよう、一人になっちゃった。
不安が募る。
どれくらい一人にされるのだろう。
不安と、でも、自分の置かれている状況や姿を想像して、少しうっとりしている。
一瞬頭をクリアにして、状態をチェック。
腕はきつく締められていないから、痺れて麻痺してしまうことはなさそうだ。
呼吸も苦しくない。
きちんと口を開けなかったからか、猿ぐつわと歯の間に唇が挟まっている箇所がある、これはそのうちに痛くなりそう、もしかしたら切れてしまうかもしれないから、唇を動かして調整する。
ただ一定の角度で長時間首を傾けているのは、辛くなるかもしれない。
そのうち唾液が溜まってきたら、どうなってしまうのだろう。
枕に垂れるのかしら、むせたりしないといいのだけれど。
相変わらず不安ではあるけれど、ある程度(どれくらいか、皆目見当つかないけれど)時間は大丈夫だろう。
そう覚悟をしたら、もうあとはこの状態に身を任せる。
縄で拘束されて気持ちがいい。
口を大きく開いて、閉じることができないことが嬉しい。
唾液が溜まってきている。
包帯で巻かれた目は何も見ることができない。
猿ぐつわと包帯をしている私の姿を想像していると、ふわふわと気持ちいい。
そのふわふわに包まれて、自由なはずの耳さえも麻痺してきている。
繭玉の中にいる蚕だ。
温かい。
那智さんがいない不安はいつの間にかどこかへ消え、私は繭玉の中で雲の上にいるみたいな気分になる。
ふと我に返り、自分がうつらうつらしていたことに気づく。
やだ、私、この状態で寝そうになっていたの?
不釣り合いな出来事に可笑しくなる。
それでも、まだ、うとうとの余韻は残り、もう一度温かい手に包まれているように心地よい眠りに落ちていった。
ドアを開ける音で目が覚め、自分がまた眠ってしまっていたことに気づいた。
いったいどれくらいの時間が過ぎているのだろう。
「もしかして、寝てた!?」
呆れているような笑い声で、那智さんが言う。
包帯と猿ぐつわを解かれ、麻縄からも解放された。
「寝てました、気持ち良かったです。」
でも、やっぱり不安だった。(寝たいたくせに、説得力なし!! 笑)
那智さんが帰ってきてくれて嬉しい。
くっつきたくて側に寄る、抱きしめられて更に心が解けていく。
抱きしめられて幸福に浸っていると、不意に床に倒された。
倒れた私の口に、那智さんが足を近づける。
嬉しい、足の指を口に含んで舐める。
抜かれて、その足で顔を踏まれる。
顔が歪む。
次は、醜い私のはじまり。