薄める2
独特な幸福感
夢を見てから一週間とちょっと、先週は那智さんお休みじゃなかったからすこし時間が空いた。
待ち遠しい反面、『怖かった』と認めただけでもすこし薄まったのだろうか、思いのほか落ち着いていた。
前日に『おまんこしたい』と嬉しい宣言をいただいていたので、ちょっと気が紛れていたのかもしれない(笑)
先にチェックインを済ませてくれた部屋に入る。
照り焼きチキンハンバーガーを持参して(美味しかった 笑)
シャワーを浴びて。
次は?
いい子いい子→マッサージ→おまんこ
ということだった。
まず最初に聞いてくれるんだ。
部屋着を着た那智さんの腕枕でお布団に入る。
トントンと頭を撫でてくれる。
これから父のことを聞いてもらうにあたり、わたしはいつくかお願いをする。
父を非難しないでほしい。
逆に父を擁護することもしないでほしい。
那智さんの性格上、非難することはあまりなさそうだけど、他者が父を非難するとわたしは父を守ろうとしてしまって怖さを認められなくなる。
また『男として』の共感や、わたしにとって父を悪者にしないためにあえて『父をプラスに思えるようにする』ための擁護をされてしまうと、わたしの『怖かった』感情の正当化ができないから。
じゃあ、俺がお父さんの気持ちもわかるとかいうのは?
えっと、『男としてわかる』のはやめてほしいです、『那智さんは』ならいいかな…
ああ、それもやめてください
わたしが求めているのは、父に対する評価ではなく、父は関係ないんです
父に対してじゃなくて、わたしの話を聞いてもらって、慰めてほしいんです
わかった
父を非難も擁護もせず、わたしの話を聞き慰めてほしい。
今日のわたしのゴールは『怖い』を表に出して薄めること。
だから、これがお願いだった。
那智さんの脇に頬をうずめて、独り言のように話し始める。
父が酒乱だったこと。
脈絡のないきっかけで暴力がはじまること。
みるみる変わっていく、その口調や座った目が怖かったこと。
じわじわと涙がにじむ。
那智さん、わたし、父が怖かったです
大きく息を吐き、言葉にする。
そうだね
怖かったです
怖かったね
いつ豹変するか
『なに?』っていうときの目とか
怖かった
とんとんと髪を撫でてくれる。
わたし、そのお父さんが怖かった
たしかめるように、繰り返す。
那智さんの腕の中は安心だ。
濡れていく瞼をなんの遠慮もなく那智さんの部屋着に押し当てる。
号泣するかと想像していたけど、違っていた。
ああ、いま自分は『怖かった』記憶を薄めているなと感じながら、不思議なほど静かな涙がため息と一緒に流れているだけだった。
一番目を背けていた感情を表に出し、薄める。
これはおそらく、タイミングによってものすごい効果を表すのではないかと思う。
なぜなら、『怖かった』話の後の、父に困らされた恥ずかしく苦しい経験の話をするときには、すっかり涙は収まっていた。
もう、その話はさほど重要ではなくなっていたのだ。
そして、話し終わったあとのフッと軽くなったような感覚は心地よいものだった。
わたしの目を背けていたツラい感情を思い出し薄めて行った。
いま、父のあの豹変したときの表情を思い出してみると、前回思い出したときよりドキドキしなくなっている。
きっと、こうやって薄めていくのだ。
もしまた怖い夢を見たとしても大丈夫。
また那智さんの腕の中で思い出して『怖かった』を薄めていこう。
そして、いつかきっと怖い夢を見る夜は来なくなるだろう。
おまけのエントリーをあとひとつ、です。
夢を見てから一週間とちょっと、先週は那智さんお休みじゃなかったからすこし時間が空いた。
待ち遠しい反面、『怖かった』と認めただけでもすこし薄まったのだろうか、思いのほか落ち着いていた。
前日に『おまんこしたい』と嬉しい宣言をいただいていたので、ちょっと気が紛れていたのかもしれない(笑)
先にチェックインを済ませてくれた部屋に入る。
照り焼きチキンハンバーガーを持参して(美味しかった 笑)
シャワーを浴びて。
次は?
いい子いい子→マッサージ→おまんこ
ということだった。
まず最初に聞いてくれるんだ。
部屋着を着た那智さんの腕枕でお布団に入る。
トントンと頭を撫でてくれる。
これから父のことを聞いてもらうにあたり、わたしはいつくかお願いをする。
父を非難しないでほしい。
逆に父を擁護することもしないでほしい。
那智さんの性格上、非難することはあまりなさそうだけど、他者が父を非難するとわたしは父を守ろうとしてしまって怖さを認められなくなる。
また『男として』の共感や、わたしにとって父を悪者にしないためにあえて『父をプラスに思えるようにする』ための擁護をされてしまうと、わたしの『怖かった』感情の正当化ができないから。
じゃあ、俺がお父さんの気持ちもわかるとかいうのは?
えっと、『男としてわかる』のはやめてほしいです、『那智さんは』ならいいかな…
ああ、それもやめてください
わたしが求めているのは、父に対する評価ではなく、父は関係ないんです
父に対してじゃなくて、わたしの話を聞いてもらって、慰めてほしいんです
わかった
父を非難も擁護もせず、わたしの話を聞き慰めてほしい。
今日のわたしのゴールは『怖い』を表に出して薄めること。
だから、これがお願いだった。
那智さんの脇に頬をうずめて、独り言のように話し始める。
父が酒乱だったこと。
脈絡のないきっかけで暴力がはじまること。
みるみる変わっていく、その口調や座った目が怖かったこと。
じわじわと涙がにじむ。
那智さん、わたし、父が怖かったです
大きく息を吐き、言葉にする。
そうだね
怖かったです
怖かったね
いつ豹変するか
『なに?』っていうときの目とか
怖かった
とんとんと髪を撫でてくれる。
わたし、そのお父さんが怖かった
たしかめるように、繰り返す。
那智さんの腕の中は安心だ。
濡れていく瞼をなんの遠慮もなく那智さんの部屋着に押し当てる。
号泣するかと想像していたけど、違っていた。
ああ、いま自分は『怖かった』記憶を薄めているなと感じながら、不思議なほど静かな涙がため息と一緒に流れているだけだった。
一番目を背けていた感情を表に出し、薄める。
これはおそらく、タイミングによってものすごい効果を表すのではないかと思う。
なぜなら、『怖かった』話の後の、父に困らされた恥ずかしく苦しい経験の話をするときには、すっかり涙は収まっていた。
もう、その話はさほど重要ではなくなっていたのだ。
そして、話し終わったあとのフッと軽くなったような感覚は心地よいものだった。
わたしの目を背けていたツラい感情を思い出し薄めて行った。
いま、父のあの豹変したときの表情を思い出してみると、前回思い出したときよりドキドキしなくなっている。
きっと、こうやって薄めていくのだ。
もしまた怖い夢を見たとしても大丈夫。
また那智さんの腕の中で思い出して『怖かった』を薄めていこう。
そして、いつかきっと怖い夢を見る夜は来なくなるだろう。
おまけのエントリーをあとひとつ、です。