夢のお話
独特な幸福感
こんな夢を見ました。
ふと目を覚ますと、隣にいるはずの夫も子供をおらず、那智さんが静かに座っている。
見渡すと今住んでいる家の寝室ではなく、それは実家の私の部屋だ。
月明かりに青白く照らされた部屋の中で私は、横に座る那智さんを見上げる。
それがあってはならない非常事態のようにも、至極当たり前の事のようにも感じられ少し戸惑う。
「眠れないのですか?」
と聞くと、那智さんは頷きながらラジオのスイッチを入れる。
(あっ、懐かしい。高校生の時に使っていたステレオだ・・・)
低いボリュームで音楽が流れる中、この不可思議な幸福な出来事に身を置くことに決める。
「ちょっと、待っててくださいね。」
階下に那智さんに読んでもらいたかった短編集があるのを思い付き、眠れぬ夜に本の話でも聞いてもらおうと、音を立てないように階段へと向かう。
静かな夜。
私の足音ですべてが覚めてしまわぬように、ゆっくりと足を運ぶ。
ついでに両親の存在と睡眠を確認して、どうか深く眠っていてくれますようにと、罪深い気持ちで祈る。
那智さんの元へ戻る。
那智さんはお布団に入り、静かに私を待っている。
私は、このいとしい居心地の良い腕の中へもぐり込み、本の話をはじめる。
那智さんは「またレズの話かよ~。」と呆れた様子でパラパラとページをめくっている。
「今回はそれだけじゃないんですよ!男女の話もあるし・・。」
と言いながら(でも、一番読んでほしい話は女同士ですけど)と、心の中で舌を出す。
「この話は私の憧れです。でも、私はこの女性のように強くは生きられません。」などと、嬉々として話しているうちに、那智さんは目を閉じ眠りの海を漂いはじめる。
「眠らないで、こんな宝物のような貴重な夜を眠ってしまわないで。」
私は心の中でお願いする。
でも、同時に、よかったとも思う。
寝息をたてる横顔を見つめながら、眠れてよかったですね、と思う。
青白い月明かりが、美しく儚い部屋の中。
静寂に包まれながら、世界中に私たち二人だけしか存在しないのではないかと思うほどの、幸福な孤独感を感じながら、温かく思う。
子供の寝返りで、目を覚まし、夢はここでおしまいです。
まるで、子供が何もかもわかっているようで、取り繕うように頭を撫でてしまいました。
那智さんの不在を感じ、那智さんの存在の大きさを感じた深夜のことでした。
こんな夢を見ました。
ふと目を覚ますと、隣にいるはずの夫も子供をおらず、那智さんが静かに座っている。
見渡すと今住んでいる家の寝室ではなく、それは実家の私の部屋だ。
月明かりに青白く照らされた部屋の中で私は、横に座る那智さんを見上げる。
それがあってはならない非常事態のようにも、至極当たり前の事のようにも感じられ少し戸惑う。
「眠れないのですか?」
と聞くと、那智さんは頷きながらラジオのスイッチを入れる。
(あっ、懐かしい。高校生の時に使っていたステレオだ・・・)
低いボリュームで音楽が流れる中、この不可思議な幸福な出来事に身を置くことに決める。
「ちょっと、待っててくださいね。」
階下に那智さんに読んでもらいたかった短編集があるのを思い付き、眠れぬ夜に本の話でも聞いてもらおうと、音を立てないように階段へと向かう。
静かな夜。
私の足音ですべてが覚めてしまわぬように、ゆっくりと足を運ぶ。
ついでに両親の存在と睡眠を確認して、どうか深く眠っていてくれますようにと、罪深い気持ちで祈る。
那智さんの元へ戻る。
那智さんはお布団に入り、静かに私を待っている。
私は、このいとしい居心地の良い腕の中へもぐり込み、本の話をはじめる。
那智さんは「またレズの話かよ~。」と呆れた様子でパラパラとページをめくっている。
「今回はそれだけじゃないんですよ!男女の話もあるし・・。」
と言いながら(でも、一番読んでほしい話は女同士ですけど)と、心の中で舌を出す。
「この話は私の憧れです。でも、私はこの女性のように強くは生きられません。」などと、嬉々として話しているうちに、那智さんは目を閉じ眠りの海を漂いはじめる。
「眠らないで、こんな宝物のような貴重な夜を眠ってしまわないで。」
私は心の中でお願いする。
でも、同時に、よかったとも思う。
寝息をたてる横顔を見つめながら、眠れてよかったですね、と思う。
青白い月明かりが、美しく儚い部屋の中。
静寂に包まれながら、世界中に私たち二人だけしか存在しないのではないかと思うほどの、幸福な孤独感を感じながら、温かく思う。
子供の寝返りで、目を覚まし、夢はここでおしまいです。
まるで、子供が何もかもわかっているようで、取り繕うように頭を撫でてしまいました。
那智さんの不在を感じ、那智さんの存在の大きさを感じた深夜のことでした。
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