コルセット2
独特な幸福感
届いた下着は、可愛らしいピンク色の柔らかい紙で包まれている。
取り出して、説明通りに着けてみると、「どこからこんなに!?」というほどの谷間ができる。
Eカップでは溢れてしまうから、Fカップに交換をお願いする。(まあ、メーカーによってカップの大きさも様々でしょうから、Fカップだからどれくらいと言いがたいですけどね)
そして、目的のコルセットを体の真ん中に着けてみる。
強く締め付けて、少し苦しい、ホックを留めるのに少し苦労する。
たくさんあるホックを下から順番に留めて、徐々に私を締め付けていくたびに、なんだか自分にとって不本意なことをしている気持ちが増して暗い気分。
「りん子がいい」と言ってもらえていないようで、悲しくなってくる。
こんな時は、すぐに那智さんに連絡をして、「寂しい」と訴え、「それでいい」とお墨付きをもらって安心したい。
私には、私がない。
那智さんに「いい」と言ってもらえないと不安なのだ。
だけど、この日は数日間まともに連絡ができない日の最中だったので、安心をもらえないのだ。
すべてホックを留めて鏡を見ると、ある意味異様なスタイルの女が映っている。
コルセットで締め付けてブラジャーとの隙間にできたお肉を、更にブラに中に入れると、もっと胸は競り上がる。
そして、私の身長や肩幅にはそぐわない細いウエスト。
それも自然な曲線ではなく、そこだけ不自然に細い。
でも、この細さは那智さんが喜んでくれるかもしれないと想像したら、心の一部が喜んでいる。
それなのに自分の主義に反する「余計なもの」を身につけていることへの抵抗感が、那智さんが喜ぶなら何でもいいのかと責め立てて、やっぱり喜べない。
こんなことも、自分でなんともできなくて、情けない。
鏡に映った自分の姿を見ながら、涙が出てきてしかたがない。
寂しくて、不安で、情けなくて、なんだか悔しくて、涙が溢れている。
週が明けて、やっと那智さんと会えた。
待ち合わせてホテルに向かう間も、全然元気がない。
那智さんは、洋服の上からでもわかるスタイルの違いに喜んでくれている。
喜んでくれているのは嬉しいのだけど、素直になれず可愛くない私。
ホテルに入って、洋服を脱ぐように言われて、暗い面持ちで脱ぐ。
那智さんはベッドに腰掛けて、様子を見ながら「横〜、後ろ〜、また前〜」と私を一周させるけど、みじめな気持ちになってしまってうつむいたままだ。
「こっちにおいで。」私をそばに引き寄せて、今度はブラを外してコルセットだけになるように言う。
私は、うつむいて黙って首を横に振る。
それが合図のようにはらはらと涙が零れてくる。
コルセットで締め付けたウエストに持ち上げていた胸が乗っかる姿は、きっとみっともない。
出産して授乳した女の胸は、決して張りのある美しい胸とは言えないからだ。
不本意なことをして、それを喜んでもらえて嬉しくなる私が、私は好きできらいだ。
自分がなくて情けない。
そんなみじめな気持ちだけじゃなく、姿までみっともなくさせるは嫌だ。
静かにはらはらと涙が零れる。
「胸が乗っかるのが嫌なんだよね。」
那智さんは、腰掛けた足の間に私を立たせ、優しく腰を撫でてくれる。
私はその場に跪き、那智さんの胸に顔を埋める。
今度は髪を撫でてくれる。
もう、大丈夫、素直になれる。
素直に泣いて、訴えて甘えられる。
「那智さんに『それがいい』って言ってもらえないと、不安なんです。私のしたくないことをするのに、那智さんのお墨付きがないと不安なんです。私は自分がない んです、全然ないの、那智さんに肯定してもらえると、納得できるのです。だけど、連絡できなかったから、ずっと悲しかったの。」
子供みたいにわんわん泣いて、恥ずかしいくらいに甘えて、「いいこ、いいこ」ってしてもらえて、それでやっと落ち着くのだ。
那智さんは、私にいろいろ要求する。
指示もするし、意見も言う。
なんとか自分の思い通りにしようとする。
私は、頑張って自分の心と向き合いように努めるが、だいたいは従う。
だけど、それには、このうっとうしい舞台裏も引き受けてもらえないと、従えないのだ。
「これがないと生きていかれない、不安だ」
そんなものを、極力増やさずに生活していていたい私だが。
最大の「必要不可欠」の那智さんだけで、本当は十分増加してしまっているようで、困ってしまう。
届いた下着は、可愛らしいピンク色の柔らかい紙で包まれている。
取り出して、説明通りに着けてみると、「どこからこんなに!?」というほどの谷間ができる。
Eカップでは溢れてしまうから、Fカップに交換をお願いする。(まあ、メーカーによってカップの大きさも様々でしょうから、Fカップだからどれくらいと言いがたいですけどね)
そして、目的のコルセットを体の真ん中に着けてみる。
強く締め付けて、少し苦しい、ホックを留めるのに少し苦労する。
たくさんあるホックを下から順番に留めて、徐々に私を締め付けていくたびに、なんだか自分にとって不本意なことをしている気持ちが増して暗い気分。
「りん子がいい」と言ってもらえていないようで、悲しくなってくる。
こんな時は、すぐに那智さんに連絡をして、「寂しい」と訴え、「それでいい」とお墨付きをもらって安心したい。
私には、私がない。
那智さんに「いい」と言ってもらえないと不安なのだ。
だけど、この日は数日間まともに連絡ができない日の最中だったので、安心をもらえないのだ。
すべてホックを留めて鏡を見ると、ある意味異様なスタイルの女が映っている。
コルセットで締め付けてブラジャーとの隙間にできたお肉を、更にブラに中に入れると、もっと胸は競り上がる。
そして、私の身長や肩幅にはそぐわない細いウエスト。
それも自然な曲線ではなく、そこだけ不自然に細い。
でも、この細さは那智さんが喜んでくれるかもしれないと想像したら、心の一部が喜んでいる。
それなのに自分の主義に反する「余計なもの」を身につけていることへの抵抗感が、那智さんが喜ぶなら何でもいいのかと責め立てて、やっぱり喜べない。
こんなことも、自分でなんともできなくて、情けない。
鏡に映った自分の姿を見ながら、涙が出てきてしかたがない。
寂しくて、不安で、情けなくて、なんだか悔しくて、涙が溢れている。
週が明けて、やっと那智さんと会えた。
待ち合わせてホテルに向かう間も、全然元気がない。
那智さんは、洋服の上からでもわかるスタイルの違いに喜んでくれている。
喜んでくれているのは嬉しいのだけど、素直になれず可愛くない私。
ホテルに入って、洋服を脱ぐように言われて、暗い面持ちで脱ぐ。
那智さんはベッドに腰掛けて、様子を見ながら「横〜、後ろ〜、また前〜」と私を一周させるけど、みじめな気持ちになってしまってうつむいたままだ。
「こっちにおいで。」私をそばに引き寄せて、今度はブラを外してコルセットだけになるように言う。
私は、うつむいて黙って首を横に振る。
それが合図のようにはらはらと涙が零れてくる。
コルセットで締め付けたウエストに持ち上げていた胸が乗っかる姿は、きっとみっともない。
出産して授乳した女の胸は、決して張りのある美しい胸とは言えないからだ。
不本意なことをして、それを喜んでもらえて嬉しくなる私が、私は好きできらいだ。
自分がなくて情けない。
そんなみじめな気持ちだけじゃなく、姿までみっともなくさせるは嫌だ。
静かにはらはらと涙が零れる。
「胸が乗っかるのが嫌なんだよね。」
那智さんは、腰掛けた足の間に私を立たせ、優しく腰を撫でてくれる。
私はその場に跪き、那智さんの胸に顔を埋める。
今度は髪を撫でてくれる。
もう、大丈夫、素直になれる。
素直に泣いて、訴えて甘えられる。
「那智さんに『それがいい』って言ってもらえないと、不安なんです。私のしたくないことをするのに、那智さんのお墨付きがないと不安なんです。私は自分がない んです、全然ないの、那智さんに肯定してもらえると、納得できるのです。だけど、連絡できなかったから、ずっと悲しかったの。」
子供みたいにわんわん泣いて、恥ずかしいくらいに甘えて、「いいこ、いいこ」ってしてもらえて、それでやっと落ち着くのだ。
那智さんは、私にいろいろ要求する。
指示もするし、意見も言う。
なんとか自分の思い通りにしようとする。
私は、頑張って自分の心と向き合いように努めるが、だいたいは従う。
だけど、それには、このうっとうしい舞台裏も引き受けてもらえないと、従えないのだ。
「これがないと生きていかれない、不安だ」
そんなものを、極力増やさずに生活していていたい私だが。
最大の「必要不可欠」の那智さんだけで、本当は十分増加してしまっているようで、困ってしまう。
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