市中引き回しの刑の前のお話
非日常的な日常
人に見られるかもしれない、でも、見られないかもしれないという状況で、とんでもなく凄いことをすることと、人がたくさんいるところで凄いことではないけれど、普通じゃないことをすること。
どちらかを選べと言われたら、どちらを選ぶでしょうか?
ええっと、私は両方したんですけどね。
まずは、ひとつめの「凄いことを人目のなさそうなところでする」
その公園はとても広い。
いくつもある池には大きな鯉がたくさんいて、芝生はきれいに整備されている。
木の生い茂ったところは、ひんやりと涼しい。
さっきまで雨が降っていたから、人の出足も遅く、人気は少ない。
今日の私のお洋服は、旅行の時に買った、前が全部ボタンのワンピース。
黒いロングブーツを履いている。
ワンピースの下は、すぐに下着ではなくて、もう一枚纏っているのだ。
全身網タイツ。
つま先から私の足を包んだそのタイツは、ウエストよりもっと上に伸び、私の胸や肩、腕まで覆い手首で切れている。
私の首から上と手首から先以外は全部網タイツ。
もうひとつだけ肌が露出しているところがある。
排泄ができるようにか、いつでも遊べるようにか、わからないが下腹部が丸くくり抜いてある。
その下にブラ、パンツはタイツの上、だって、トイレに行って下着を下ろすのに全身脱がないといけなくなってしまうもの。
そんな、とても恥ずかしい姿でお散歩をする。
ポツリポツリと人に出会うけど、場所によっては、視界に誰もいない空間がけっこうある。
那智さんが、トイレに立ち寄って、様子を伺っている。
辺りに人気はまったくない。
車椅子用のトイレのドアをスライドさせながら、手招きをして私を呼ぶ。
恐いけど、呼ばれるという事実だけでも嬉しくて、私は一緒にトイレに入る。
いいえ、それだけじゃない、那智さんがかまってくれることが想像できて嬉しいのだ。
トイレの中で、ワンピースのボタンを外される。
広げられて全身網タイツと黒い下着を着けた姿を露わにする。
この全身網タイツは、とてもとても恥ずかしい、異質な感じが居心地を悪くさせる。
下着だけとどちらが恥ずかしくないだろう。
きっと、下着だけだと、恥ずかしいのはもちろんだけど、肌を晒す心許ない不安感をもっと感じるのではないだろうか。
居心地悪いのと不安、どちらも困るけど、どちらも遠回りして快感になるはずだ。
那智さんが、トイレのドアを開けて先に出て、また手招き。
ワンピースの前を手で押さえながら、付いて出る。
更に、那智さんは道路に出て、私を呼ぶ。
よちよち歩きの赤ちゃんにおいでおいでをして、少しずつ歩く練習をしているようだ。
手招きは嬉しい、でも、さすがに表に出るのは恐い。
足がすくんで立ち止まり、いやいやと首を振る。
それでも、手招きはやめてくれない。
ためらいながらも前に進むけど、その時の私は恐怖だけじゃないこともほんの少しわかっていた。
恐いけど恐いけど、私はこれを心のどこかで望んでいたんだ。
「SM」を知ったとき、はじめて沸き上がった願望は「縛られたい」と「人目に晒されたい」だったのだ。
そして、「非日常的な日常」の「取るに足らないこと」で工場で味わった露出の気持ちよさ。
私の心の中に100人の私がいたとしたら、98人は「恐い」とか「ダメ」とか反対意見を唱えているけど、残りの2人くらいが、強烈に賛成しているような状態だ。
その強烈な2人と那智さんの手招きで、私は野外に出る。
不安で見渡すとまわりに人気はない。
ただ、遠くから見えるかもしれない、それはわからない。
「前を開けて」
98人が「無理」と言って、押しとどめる。
「やらないと、もっと酷いことするよ。」
もっと酷いことが恐くてしたのか、私の中の2人が押し切ったのか、わからない。
私は、震える手で、ワンピースの前を開く。
もっと大きくと言われるままに、大きく広げる。
私はお外で、全身網タイツの下着姿を晒している。
恐くて、何が何だかわからない。
那智さんと向かい合って立っている。
那智さんはカメラを構えている。
那智さん越しにトイレがあるから、私の広げた中身は人には見えない可能性が高い。
私の背後が広い敷地だ。
木が生い茂っているから一見何をしているのかわからないだろう。
それでも、よくみるとワンピースを広げていて不自然だ、どうか誰も気付かないでください。
外のひんやりした空気が私の肌を撫でて気持ち良い。
でも、いつも那智さんのしてくれることは快感に変わるけど、この「恐さ」は「何もかも捨て去ってしまうほどの快感」にはならなかった。
ただ、98%恐がっている中で、感じる2%の快感は強烈だった。
そこで全裸になったら、凄いと思うけど、この程度は「ちょっと凄いくらい」なんだそうです。
ああ、恐い。
「人に見られるかもしれない、でも、見られないかもしれないという状況で、とんでもなく凄いことをすること」
これって、とんでもなく凄いことだと思うのですが、いかがでしょう。
すみません、二回に分けさせてね。
次回は、続きの「人がたくさんいるところで凄いことではないけれど、普通じゃないことする」です。
人に見られるかもしれない、でも、見られないかもしれないという状況で、とんでもなく凄いことをすることと、人がたくさんいるところで凄いことではないけれど、普通じゃないことをすること。
どちらかを選べと言われたら、どちらを選ぶでしょうか?
ええっと、私は両方したんですけどね。
まずは、ひとつめの「凄いことを人目のなさそうなところでする」
その公園はとても広い。
いくつもある池には大きな鯉がたくさんいて、芝生はきれいに整備されている。
木の生い茂ったところは、ひんやりと涼しい。
さっきまで雨が降っていたから、人の出足も遅く、人気は少ない。
今日の私のお洋服は、旅行の時に買った、前が全部ボタンのワンピース。
黒いロングブーツを履いている。
ワンピースの下は、すぐに下着ではなくて、もう一枚纏っているのだ。
全身網タイツ。
つま先から私の足を包んだそのタイツは、ウエストよりもっと上に伸び、私の胸や肩、腕まで覆い手首で切れている。
私の首から上と手首から先以外は全部網タイツ。
もうひとつだけ肌が露出しているところがある。
排泄ができるようにか、いつでも遊べるようにか、わからないが下腹部が丸くくり抜いてある。
その下にブラ、パンツはタイツの上、だって、トイレに行って下着を下ろすのに全身脱がないといけなくなってしまうもの。
そんな、とても恥ずかしい姿でお散歩をする。
ポツリポツリと人に出会うけど、場所によっては、視界に誰もいない空間がけっこうある。
那智さんが、トイレに立ち寄って、様子を伺っている。
辺りに人気はまったくない。
車椅子用のトイレのドアをスライドさせながら、手招きをして私を呼ぶ。
恐いけど、呼ばれるという事実だけでも嬉しくて、私は一緒にトイレに入る。
いいえ、それだけじゃない、那智さんがかまってくれることが想像できて嬉しいのだ。
トイレの中で、ワンピースのボタンを外される。
広げられて全身網タイツと黒い下着を着けた姿を露わにする。
この全身網タイツは、とてもとても恥ずかしい、異質な感じが居心地を悪くさせる。
下着だけとどちらが恥ずかしくないだろう。
きっと、下着だけだと、恥ずかしいのはもちろんだけど、肌を晒す心許ない不安感をもっと感じるのではないだろうか。
居心地悪いのと不安、どちらも困るけど、どちらも遠回りして快感になるはずだ。
那智さんが、トイレのドアを開けて先に出て、また手招き。
ワンピースの前を手で押さえながら、付いて出る。
更に、那智さんは道路に出て、私を呼ぶ。
よちよち歩きの赤ちゃんにおいでおいでをして、少しずつ歩く練習をしているようだ。
手招きは嬉しい、でも、さすがに表に出るのは恐い。
足がすくんで立ち止まり、いやいやと首を振る。
それでも、手招きはやめてくれない。
ためらいながらも前に進むけど、その時の私は恐怖だけじゃないこともほんの少しわかっていた。
恐いけど恐いけど、私はこれを心のどこかで望んでいたんだ。
「SM」を知ったとき、はじめて沸き上がった願望は「縛られたい」と「人目に晒されたい」だったのだ。
そして、「非日常的な日常」の「取るに足らないこと」で工場で味わった露出の気持ちよさ。
私の心の中に100人の私がいたとしたら、98人は「恐い」とか「ダメ」とか反対意見を唱えているけど、残りの2人くらいが、強烈に賛成しているような状態だ。
その強烈な2人と那智さんの手招きで、私は野外に出る。
不安で見渡すとまわりに人気はない。
ただ、遠くから見えるかもしれない、それはわからない。
「前を開けて」
98人が「無理」と言って、押しとどめる。
「やらないと、もっと酷いことするよ。」
もっと酷いことが恐くてしたのか、私の中の2人が押し切ったのか、わからない。
私は、震える手で、ワンピースの前を開く。
もっと大きくと言われるままに、大きく広げる。
私はお外で、全身網タイツの下着姿を晒している。
恐くて、何が何だかわからない。
那智さんと向かい合って立っている。
那智さんはカメラを構えている。
那智さん越しにトイレがあるから、私の広げた中身は人には見えない可能性が高い。
私の背後が広い敷地だ。
木が生い茂っているから一見何をしているのかわからないだろう。
それでも、よくみるとワンピースを広げていて不自然だ、どうか誰も気付かないでください。
外のひんやりした空気が私の肌を撫でて気持ち良い。
でも、いつも那智さんのしてくれることは快感に変わるけど、この「恐さ」は「何もかも捨て去ってしまうほどの快感」にはならなかった。
ただ、98%恐がっている中で、感じる2%の快感は強烈だった。
そこで全裸になったら、凄いと思うけど、この程度は「ちょっと凄いくらい」なんだそうです。
ああ、恐い。
「人に見られるかもしれない、でも、見られないかもしれないという状況で、とんでもなく凄いことをすること」
これって、とんでもなく凄いことだと思うのですが、いかがでしょう。
すみません、二回に分けさせてね。
次回は、続きの「人がたくさんいるところで凄いことではないけれど、普通じゃないことする」です。
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