旅行2
独特な幸福感
ホテルに到着して夕飯までの数時間。
お茶を煎れたり景色を眺めたりしてのんびり過ごす・・・そんな時間はほとんどない(笑)
一休みしてすぐに鞭で打たれる(「非日常的な日常」の「知らないこと」に書いてあります)
痛みに耐えて、ぐったりしている私。
「誰も来ないうちにお風呂に入った方がいいじゃない?」という那智さんの提案で我に返る。
そうそう、私の体は行きの縄と鞭の痕で、悲惨なことになっているんだった。
一緒にチェックインした年配女性の団体に裸で会いたくはない。
急いでお風呂に向かう。
ロビーのラウンジで待ち合わせることにして別れる。
幸い先客はいないようだ。
体を流して湯船につかる。
全面ガラス張りで、目の前に絶景が広がる。
ちょうど陽が沈みかけているころで、雲も山肌もすべてがオレンジ色に包まれている。
こんなにも種類があるのかと思えるくらいに、オレンジ色がいろんなオレンジ色に刻々と変化していく様子はため息が出るほど美しい。
湯船につかる時に、鞭の傷で皮膚がしみたことさえ忘れてしまいそうだ。
がやがやと人の気配がしてきた。
先程の女性の団体が入ってきたのだ。
もう、全部洗ってある私は長い時間背中をさらさずにすむことに安堵して、さあどのタイミングで上がろうかと思案する。
どちらにしても、一瞬は肌を見せないといけないのだ。
様子を伺っている間に、こそこそしていることがバカらしくなってきてしまった。
そんなに人の体に注目はしないだろう。
もし、見られたとしてもかまうもんか、これは愛されている証拠なのだ。
「不快な思いをさせたら、ごめんなさい」と思いつつ私は普通にお風呂を出る。
思いの外、早く上がることになってしまった。
ホテルのサービスでシャンパンを一杯ご馳走してくれるそうなので、いただいてラウンジで那智さんを待つ。
窓際の木でできたカウンターに腰掛けて、那智さんを待つ。
外はずいぶんと暮れてきて、オレンジ色は濃紺へ変わってしまった。
かすかに残る明るさが山の輪郭を縁取るだけだ。
窓ガラスには、濡れた髪をアップにした浴衣姿の幸せそうな私がいる。
幸せな時間は、はじまると終わりに向けて進む悲しい時間にもなる。
一瞬感傷に浸りそうになるけど、お風呂上がりのシャンパンの美味しさが、それを甘い痛みにとどめてくれる。
楽しい時間はこれからも続く。
シャンパンの泡のように、ひとつが消えてもまた生まれる。
那智さんは私のなくならないシャンパンだ。
ずっとずっと幸せの供給をしてくれる。
どんどん暗くなっていく景色を見ていても不安じゃない、那智さんがもうすぐ来てくれる。
(って、随分長風呂で、かなり待たされました 笑)
一旦戻って、夕食に向かうのだけど、ここでもただではすましてくれない。
股縄をして夕飯だ。
10mもある麻縄を下腹部だけに巻き付けるから、至るところがぐるぐる巻きで厚ぼったくなっている。
特に後ろ。
Tバックといおうか、ふんどしといおうか、お尻に一本通った縄ははじめに立てに2、3本その後それを包むように螺旋状にぐるぐると。
多少浴衣のお尻が不自然に膨らんではいるが、なんとか人目には耐えられる。
困ったのは座るときだ。
座るといろんなところが痛くなってしまう。
お尻のぐるぐる巻きが尾てい骨に当たるし、その他も引きつれるし。
唯一、ある角度に座ると痛さが軽減されることがわかって、私はずっとその角度でお食事。
創作懐石のようなお食事は、若い板前さん1人で用意して、給仕まで努めている。
独創的な料理が並び、日本酒と共に舌鼓を打つ。
複雑な味に「これは何が入っている」なんて当てながら食べるのはとても楽しい。
そんな中、私は箸を落としてしまったのだ。
さすがに拾って使うわけにはいかない。
見回すと、その板前さんは離れた席に配膳している最中だ。
頃合いを見計らって声を掛けるけど、残念ながら気付いてもらえなかった。
しばらく様子をみていると、ふと那智さんが立ち上がって板前さんのところにお箸をもらいにいってくれた。
なぜかしら、こんなことさえ嬉しい。
ずっと私は男性に対して、こういう役目を引き受けてきた。
動いてもらうことに申し訳なさを感じてしまうからだ。
だから、こんなことが嬉しい。
そして、感謝の気持ちだけで、「申し訳ない」と必要以上に卑下することのない気分が、更に嬉しい。
こんなことで、涙が出てきてしまう。
お酒のせいかな。
それとも、股縄が思った以上に苦痛だったからかしら。
涙が出ることが不思議で、泣けることが幸福で、涙の訳を探るのはやめにして、泣き笑いしながらお箸を受け取る。
ホテルに到着して夕飯までの数時間。
お茶を煎れたり景色を眺めたりしてのんびり過ごす・・・そんな時間はほとんどない(笑)
一休みしてすぐに鞭で打たれる(「非日常的な日常」の「知らないこと」に書いてあります)
痛みに耐えて、ぐったりしている私。
「誰も来ないうちにお風呂に入った方がいいじゃない?」という那智さんの提案で我に返る。
そうそう、私の体は行きの縄と鞭の痕で、悲惨なことになっているんだった。
一緒にチェックインした年配女性の団体に裸で会いたくはない。
急いでお風呂に向かう。
ロビーのラウンジで待ち合わせることにして別れる。
幸い先客はいないようだ。
体を流して湯船につかる。
全面ガラス張りで、目の前に絶景が広がる。
ちょうど陽が沈みかけているころで、雲も山肌もすべてがオレンジ色に包まれている。
こんなにも種類があるのかと思えるくらいに、オレンジ色がいろんなオレンジ色に刻々と変化していく様子はため息が出るほど美しい。
湯船につかる時に、鞭の傷で皮膚がしみたことさえ忘れてしまいそうだ。
がやがやと人の気配がしてきた。
先程の女性の団体が入ってきたのだ。
もう、全部洗ってある私は長い時間背中をさらさずにすむことに安堵して、さあどのタイミングで上がろうかと思案する。
どちらにしても、一瞬は肌を見せないといけないのだ。
様子を伺っている間に、こそこそしていることがバカらしくなってきてしまった。
そんなに人の体に注目はしないだろう。
もし、見られたとしてもかまうもんか、これは愛されている証拠なのだ。
「不快な思いをさせたら、ごめんなさい」と思いつつ私は普通にお風呂を出る。
思いの外、早く上がることになってしまった。
ホテルのサービスでシャンパンを一杯ご馳走してくれるそうなので、いただいてラウンジで那智さんを待つ。
窓際の木でできたカウンターに腰掛けて、那智さんを待つ。
外はずいぶんと暮れてきて、オレンジ色は濃紺へ変わってしまった。
かすかに残る明るさが山の輪郭を縁取るだけだ。
窓ガラスには、濡れた髪をアップにした浴衣姿の幸せそうな私がいる。
幸せな時間は、はじまると終わりに向けて進む悲しい時間にもなる。
一瞬感傷に浸りそうになるけど、お風呂上がりのシャンパンの美味しさが、それを甘い痛みにとどめてくれる。
楽しい時間はこれからも続く。
シャンパンの泡のように、ひとつが消えてもまた生まれる。
那智さんは私のなくならないシャンパンだ。
ずっとずっと幸せの供給をしてくれる。
どんどん暗くなっていく景色を見ていても不安じゃない、那智さんがもうすぐ来てくれる。
(って、随分長風呂で、かなり待たされました 笑)
一旦戻って、夕食に向かうのだけど、ここでもただではすましてくれない。
股縄をして夕飯だ。
10mもある麻縄を下腹部だけに巻き付けるから、至るところがぐるぐる巻きで厚ぼったくなっている。
特に後ろ。
Tバックといおうか、ふんどしといおうか、お尻に一本通った縄ははじめに立てに2、3本その後それを包むように螺旋状にぐるぐると。
多少浴衣のお尻が不自然に膨らんではいるが、なんとか人目には耐えられる。
困ったのは座るときだ。
座るといろんなところが痛くなってしまう。
お尻のぐるぐる巻きが尾てい骨に当たるし、その他も引きつれるし。
唯一、ある角度に座ると痛さが軽減されることがわかって、私はずっとその角度でお食事。
創作懐石のようなお食事は、若い板前さん1人で用意して、給仕まで努めている。
独創的な料理が並び、日本酒と共に舌鼓を打つ。
複雑な味に「これは何が入っている」なんて当てながら食べるのはとても楽しい。
そんな中、私は箸を落としてしまったのだ。
さすがに拾って使うわけにはいかない。
見回すと、その板前さんは離れた席に配膳している最中だ。
頃合いを見計らって声を掛けるけど、残念ながら気付いてもらえなかった。
しばらく様子をみていると、ふと那智さんが立ち上がって板前さんのところにお箸をもらいにいってくれた。
なぜかしら、こんなことさえ嬉しい。
ずっと私は男性に対して、こういう役目を引き受けてきた。
動いてもらうことに申し訳なさを感じてしまうからだ。
だから、こんなことが嬉しい。
そして、感謝の気持ちだけで、「申し訳ない」と必要以上に卑下することのない気分が、更に嬉しい。
こんなことで、涙が出てきてしまう。
お酒のせいかな。
それとも、股縄が思った以上に苦痛だったからかしら。
涙が出ることが不思議で、泣けることが幸福で、涙の訳を探るのはやめにして、泣き笑いしながらお箸を受け取る。
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