好きな席
独り言
カウンター席が好きだ。
特に『2人』で『お酒の席』なら、断然カウンター席が好き。
那智さんはもちろん。
女友達ででも好きなので、近くにいるということだけで好きなのではないと思う。
並ぶほうがいいみたいなんだ。
だから、丸テーブルに座るときなどは、正面じゃなくて隣を選ぶな。
大人数や『お酒』以外の場所なら、このこだわりは、ずーっと緩和されるけど。
はじめて『カウンターが好き』だと自覚したのは、20代のはじめの頃だったと思う。
いわゆる合コンというのをやった、男女4人ずつくらいだったかな〜。
その時わたしは大酔っぱらいして各駅下車の旅(毎駅トイレに降りた^^;)、それにずっと付き合ってくれた男の子がいた。
その子の腕時計をいつの間にか自分の腕にはめてしまっていて、そのまま帰ってしまったのだ。
ああ、わたし無意識の確信犯だったのかな〜^^;
酔っていたから『いつの間にか』だったんだけど、後日それで会う約束取り付けたからね(積極的なわたし^^;)
で、後日、腕時計を返すという名目でその子の地元まで届けに行った。
アパレル業界の子だったから合コンの時はおしゃれなスーツ着て、おしゃれなお店だったのに。
現れた男の子はスウェット姿で、連れて行かれたお店は、オヤジが集まるような大衆居酒屋だった。
ほぼ男性ばかりの店のカウンターに座り、枝豆や山芋の千切りなんかをつまみに生ビールを飲む。
なんだかね、各駅下車で介抱してくれていた空気は、こっちの彼だったんだな。
おしゃれなスーツよりも大衆居酒屋な感じ。
それがとてもリラックスできて、お酒も話しも尽きなかった。
ああ、恋に堕ちそう。
そうそう、恋をするというより、堕ちそうなことを楽しんでいた感じだった。
最初はお互い正面を向いて、しばらくすると肩が触れ合うようなり。
会話の熱と比例するように体が斜めになっていき、最後には完全に向き合っていた。
男の子の足の間にわたしの膝が入り込むほど、密に向き合っていた。
あのときから、カウンターが好きだなと自覚するようになったと思う。
カウンター席の、距離と空気の密度が好きなんだ。
テーブル席だとと、否応なく向かい合わないといけないでしょ?
カウンターは、どこを向くか自分で決めることができる。
正面を向きながら考えをまとめたり、相手の横顔を伺ったりできる。
それでいて、とても近い。
とても近くにいて、尚かつ空気の密度を濃くも薄くもできる、そういうところが好きなんだな。
だから、あれ以来、わたしはカウンター席好きを自認している。
そんなもんだから、那智さんとなんて、もう絶対カウンター。
正面を向いていた体が徐々に那智さんに向かっていき、いつの間にか那智さんの間に収まっているのは、そのプロセスも含めて幸せなこと。
だから、テーブル席に案内されたときなどは、状況が許されれば隣に座る(両隣に人がいたりしたらやめますよ)
いい年した男女がテーブル席で並んで座るのはかなり恥を忍んでなんだけど、だって隣がいいのだもの、多少の開き直りと大いなる勇気で隣に座るのだ。
ある日のこと。
デートの締めくくりにビールを飲もうということになった。
生ビールのおいしいその店は昼間からオープンしている。
まだ、夕方になる手前の明るさのなか、アルコールを飲むのななんだかとても贅沢な気分。
そんな時間だから、店内は比較的すいていた。
那智さんは、わたしがカウンターが好きなのを知っているからカウンターを目指してくれるのだけど、どうもいい席が空いていなかった。(すぐ隣に人がいたりしてね)
まあ、しょうがないなとテーブル席へ。
「隣がいいんだろ?」
「でも、ちょっと恥ずかしいからいいですよ^^;」
夜じゃない時間帯のそれが、とても照れ臭い気持ちになったのでテーブル席に向かいながら、そう返事をする。
「奥どうぞ。」
促されて奥の席へ。
向かい側の椅子にコートと鞄を置いた那智さんが、わたしの隣に座ってくれたのだ。
あ、気にしてくれたんだ。
いつもは、那智さんが座る隣に「座ってもいいですか?」と強行してしまうのだけど、今日は那智さんが隣を選んでくれた。
嬉しいな。
奥のベンチシートに並んで腰掛ける。
(よくあるよね、隣とズラーッと繋がっているソファ席みたいなの)
メニーを選び、オーダーして。
並びながら、ちょっと肩が触れる。
少し那智さんよりになりたいなと、体を那智さん側に開く。
わずかな、クエスチョン。
「なんか、座りにくくない?」
偶然にも那智さんがクエスチョンに答えてくれた。
うん、ちょっと違和感ある?
でも、でも、恋する乙女は隣がいいのだ。
まして、那智さんが選んでくれたのだもの。
恋心はわずかなクエスチョンを打ち消す。
「ううん、このままがいいです。」
「そぉ?」
納得いかないけど納得するかという雰囲気で、そのまま隣に座っていてくれた。
今日一日の幸せな時間が生ビールのキメの細かい泡に凝縮されているみたい。
極楽、極楽。
2杯目を頼み、いい感じでアルコールが体に回ってきた。
それに合わせるように、体をまた那智さんに向ける。
…、やっぱり、違和感。
なんでだろ?
とにかく、いつもカウンターで感じるしっくりする感じがない。
なんか、いやだ。
口にする提案を、口にする手前で、もう吹き出しそうだ。
自分の提案が、とても自分勝手で^^;
ごめんなさい、那智さん、でも、言う。
「那智さん、隣、やっぱり嫌でした。この席座りにくいです。」
「そうだろ!?」
「はい、ごめんなさい、那智さん向こうに座って。」
「てめ〜、ふざけるな(笑)」
きゃーー、ごめんなさい!!
でも、なんだか居心地悪かったのだもの〜。
手が伸びできて、わたしのオデコに。
ぴし、ぴし、ぴし。
でこピン、3発。
「お仕置き〜(笑)」
そう言って那智さんは荷物をどかして向かいの席へ。
2人で大笑い。
一見すると、『女性の隣に座るという作戦に出た男性が、結局向かい側に移動させられた図』という情けない男性像になってしまった代償はでこピン3発ということらしい。
でこピンはけっこう痛かった。
でも、端から見たら那智さんの行動のほうが、痛い?とも思うので、このお仕置きは甘んじてお受けしました。
どうやら、ベンチシートで並ぶのは、距離と空気の濃度を楽しむには不適切だったらしい。
並ぶことの良さはのキーポイントは『椅子』らしい。
ごめんなさい、那智さん。
これからは、ただ並ぶんじゃなくて、ツールにもこだわります^^
そんなことを気にせず堂々と隣を楽しめる、やっぱりわたしはカウンターが好き。
カウンター席が好きだ。
特に『2人』で『お酒の席』なら、断然カウンター席が好き。
那智さんはもちろん。
女友達ででも好きなので、近くにいるということだけで好きなのではないと思う。
並ぶほうがいいみたいなんだ。
だから、丸テーブルに座るときなどは、正面じゃなくて隣を選ぶな。
大人数や『お酒』以外の場所なら、このこだわりは、ずーっと緩和されるけど。
はじめて『カウンターが好き』だと自覚したのは、20代のはじめの頃だったと思う。
いわゆる合コンというのをやった、男女4人ずつくらいだったかな〜。
その時わたしは大酔っぱらいして各駅下車の旅(毎駅トイレに降りた^^;)、それにずっと付き合ってくれた男の子がいた。
その子の腕時計をいつの間にか自分の腕にはめてしまっていて、そのまま帰ってしまったのだ。
ああ、わたし無意識の確信犯だったのかな〜^^;
酔っていたから『いつの間にか』だったんだけど、後日それで会う約束取り付けたからね(積極的なわたし^^;)
で、後日、腕時計を返すという名目でその子の地元まで届けに行った。
アパレル業界の子だったから合コンの時はおしゃれなスーツ着て、おしゃれなお店だったのに。
現れた男の子はスウェット姿で、連れて行かれたお店は、オヤジが集まるような大衆居酒屋だった。
ほぼ男性ばかりの店のカウンターに座り、枝豆や山芋の千切りなんかをつまみに生ビールを飲む。
なんだかね、各駅下車で介抱してくれていた空気は、こっちの彼だったんだな。
おしゃれなスーツよりも大衆居酒屋な感じ。
それがとてもリラックスできて、お酒も話しも尽きなかった。
ああ、恋に堕ちそう。
そうそう、恋をするというより、堕ちそうなことを楽しんでいた感じだった。
最初はお互い正面を向いて、しばらくすると肩が触れ合うようなり。
会話の熱と比例するように体が斜めになっていき、最後には完全に向き合っていた。
男の子の足の間にわたしの膝が入り込むほど、密に向き合っていた。
あのときから、カウンターが好きだなと自覚するようになったと思う。
カウンター席の、距離と空気の密度が好きなんだ。
テーブル席だとと、否応なく向かい合わないといけないでしょ?
カウンターは、どこを向くか自分で決めることができる。
正面を向きながら考えをまとめたり、相手の横顔を伺ったりできる。
それでいて、とても近い。
とても近くにいて、尚かつ空気の密度を濃くも薄くもできる、そういうところが好きなんだな。
だから、あれ以来、わたしはカウンター席好きを自認している。
そんなもんだから、那智さんとなんて、もう絶対カウンター。
正面を向いていた体が徐々に那智さんに向かっていき、いつの間にか那智さんの間に収まっているのは、そのプロセスも含めて幸せなこと。
だから、テーブル席に案内されたときなどは、状況が許されれば隣に座る(両隣に人がいたりしたらやめますよ)
いい年した男女がテーブル席で並んで座るのはかなり恥を忍んでなんだけど、だって隣がいいのだもの、多少の開き直りと大いなる勇気で隣に座るのだ。
ある日のこと。
デートの締めくくりにビールを飲もうということになった。
生ビールのおいしいその店は昼間からオープンしている。
まだ、夕方になる手前の明るさのなか、アルコールを飲むのななんだかとても贅沢な気分。
そんな時間だから、店内は比較的すいていた。
那智さんは、わたしがカウンターが好きなのを知っているからカウンターを目指してくれるのだけど、どうもいい席が空いていなかった。(すぐ隣に人がいたりしてね)
まあ、しょうがないなとテーブル席へ。
「隣がいいんだろ?」
「でも、ちょっと恥ずかしいからいいですよ^^;」
夜じゃない時間帯のそれが、とても照れ臭い気持ちになったのでテーブル席に向かいながら、そう返事をする。
「奥どうぞ。」
促されて奥の席へ。
向かい側の椅子にコートと鞄を置いた那智さんが、わたしの隣に座ってくれたのだ。
あ、気にしてくれたんだ。
いつもは、那智さんが座る隣に「座ってもいいですか?」と強行してしまうのだけど、今日は那智さんが隣を選んでくれた。
嬉しいな。
奥のベンチシートに並んで腰掛ける。
(よくあるよね、隣とズラーッと繋がっているソファ席みたいなの)
メニーを選び、オーダーして。
並びながら、ちょっと肩が触れる。
少し那智さんよりになりたいなと、体を那智さん側に開く。
わずかな、クエスチョン。
「なんか、座りにくくない?」
偶然にも那智さんがクエスチョンに答えてくれた。
うん、ちょっと違和感ある?
でも、でも、恋する乙女は隣がいいのだ。
まして、那智さんが選んでくれたのだもの。
恋心はわずかなクエスチョンを打ち消す。
「ううん、このままがいいです。」
「そぉ?」
納得いかないけど納得するかという雰囲気で、そのまま隣に座っていてくれた。
今日一日の幸せな時間が生ビールのキメの細かい泡に凝縮されているみたい。
極楽、極楽。
2杯目を頼み、いい感じでアルコールが体に回ってきた。
それに合わせるように、体をまた那智さんに向ける。
…、やっぱり、違和感。
なんでだろ?
とにかく、いつもカウンターで感じるしっくりする感じがない。
なんか、いやだ。
口にする提案を、口にする手前で、もう吹き出しそうだ。
自分の提案が、とても自分勝手で^^;
ごめんなさい、那智さん、でも、言う。
「那智さん、隣、やっぱり嫌でした。この席座りにくいです。」
「そうだろ!?」
「はい、ごめんなさい、那智さん向こうに座って。」
「てめ〜、ふざけるな(笑)」
きゃーー、ごめんなさい!!
でも、なんだか居心地悪かったのだもの〜。
手が伸びできて、わたしのオデコに。
ぴし、ぴし、ぴし。
でこピン、3発。
「お仕置き〜(笑)」
そう言って那智さんは荷物をどかして向かいの席へ。
2人で大笑い。
一見すると、『女性の隣に座るという作戦に出た男性が、結局向かい側に移動させられた図』という情けない男性像になってしまった代償はでこピン3発ということらしい。
でこピンはけっこう痛かった。
でも、端から見たら那智さんの行動のほうが、痛い?とも思うので、このお仕置きは甘んじてお受けしました。
どうやら、ベンチシートで並ぶのは、距離と空気の濃度を楽しむには不適切だったらしい。
並ぶことの良さはのキーポイントは『椅子』らしい。
ごめんなさい、那智さん。
これからは、ただ並ぶんじゃなくて、ツールにもこだわります^^
そんなことを気にせず堂々と隣を楽しめる、やっぱりわたしはカウンターが好き。
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