ライバルはクラリス
独特な幸福感
いままで何回か、自宅にいる那智さんと電話でお話ししたことがある。
この晩もそういうときだった。
「シャワー浴びてくるから、そしたらかけ直すね。」
そんな言葉を聞いて、家にいる那智さんを想像してホクホクしてしまう。
再びかかってきて、他愛もない会話をしていると。
「それでね、那智さん…」
「うん、…クラリス、クラリス…」
ん?クラリス?
『カリオストロの城』でも見ているの?
それにしても、見ながら呼ぶ?
「クラリス、ほら…」
「なんですか?クラリスって」
「うん、文鳥」
ぐわぁぁぁん!!!!
感情の目盛りが一気に跳ね上がる。
わたしは、その跳ね上がりが理解できず、不可解な心の動きに一瞬黙る。
「………」
「ほら、クラリス♪」
ぶ、ぶ、文鳥!?
で、……くぅ〜らぁ〜りぃ〜すぅぅぅぅ!?
クラリスだとぉぉぉ!?
うわあ、わたしやきもち妬いてる…。
文鳥に、文鳥に、嫉妬してる。
理性ではばかみたいな感情とわかっていても、跳ね上がる目盛りを抑えることができない。
今度は情けなさと嫉妬で、黙り続ける。
「なに黙ってるの、りん子?(笑)ほら、おいでクラリス。」
がーーーーーーーーーん。
おおおおおおおおお、おいでぇぇぇぇぇぇ!?
呼んでるの?クラリスのこと、呼んでるの!?
また目盛りが跳ねる。
もう、止められない。
笑っているということは、那智さんわたしにやきもち妬かせようとして、わざと『クラリス可愛がり』しているんだ。
なんだか悔しい。
黙ってしまった時点で嫉妬剥き出しなんだけど、悔しいから装えない冷静を無理矢理装い。
「へぇ、文鳥、クラリスっていうんですね。」なんて言ってみる。
「うん、なんか文鳥でクラリスってよくない?」
クラリスがいいですって〜〜〜?
那智さんが自宅で文鳥を飼っているのは知っていた。
『ちゃんと手に乗るんだよ』なんていうのを聞きながら、わずかに湧くやきもちを見て見ぬふりをしていた。
だって、文鳥よ?子供や犬や猫じゃなくて、文鳥にやきもち妬くのもねぇ(かつて明太子に嫉妬したことがあるわたしですが)。
その文鳥が『クラリス』。
(ちなみに『クラリス』は仮名です。いちおう個人情報なので変えていますけど、まあ、似たような雰囲気のアニメ女の子キャラだと思ってください。念のために言っておきますが、那智さんはロリコンではありませんし、アキバ系でもありません^^)
面白いもので、名前が存在すると途端にはっきりと嫉妬の対象としての人格が生まれるものだ(鳥格か!?)。
しかも『おいで」なんて呼んでもらってる。
わたしは、いま『おいで』と言われても行かれないし、そもそも呼んでもらえていない。
クラリスの自慢げな表情が見えるようだ。
憎くきクラリス。
「クラリスなんて那智さんロリコーン!!」
悔し紛れに憎まれ口。
「なに、りん子嫉妬してんの?」
「…はい」
「わはははは、文鳥だよ?」
「だって、那智さんのそばにいる。」
「そりゃあ、飼っているんだもん」
「わたしはそばにいない。」
「当たり前じゃん 笑」
こういうときは、すなおーに嫉妬剥き出しにしたほうが楽だ、だからシフトチェンジ。
「クラリス、羨ましいです。」
「ははは、おかしいの、ほらクラリス〜」(ちゅん、ちゅん)
「聞いた?呼ぶと返事するんだよ。可愛いでしょ?クラリス、クラリス」(ちゅん、ちゅん)
もう、那智さんの意地悪!!!
でも、ほんとに返事している。
どうやら生後間もなく飼いだしたそうで、最初の2ヶ月くらいは4時間おきに餌をやらないといけなくて、それをした人には懐くらしいのだ。
プチ子育て…。
だーーーーーーっ!!
那智さんの女の子になりたいわたしは、全面的に世話を焼いてもらうことに憧れているんだ。
その幸福を享受しているクラリス、く、悔しい。
このやきもちはわたしをどんどん馬鹿に変えていく^^;
「那智さん『りん子』って呼んでください。」
「??りん子」
「はい!!」
「?なんで?」
「ほーら、わたしだって呼べばお返事しますよー。」
「はは、面白い、なに張り合ってんの(苦笑)」
そのあともクラリスは那智さんに催促をして洗面所に行き、お水を張ってもらって水浴びをしていた。
「那智さん、わたしも水浴びさせて!!」
「わたしもお水張ってもらう!!」
もうヘンなテンション。
「いま、肩に乗ってるよ〜笑」
ヘンなテンションのやきもちを面白がって、煽る那智さん。
「か、肩〜!?わたしも!!…乗れない(泣)」
ああ、悔しい。
ライバルはクラリス。
首輪とリードでお散歩はできる。
犬のお皿でご飯だって食べられる。
電信柱に片足上げておしっこだって、やってやらぁ!!(これは勢いです、那智さん)
だけど、だけど。
那智さんの肩には乗れない…。
肩車ならなんとかできても(笑)
それじゃ、クラリスじゃない。
片方の肩に…、乗れない。
那智さんよろける…。
いや、よろける以前に、乗れない…。
わたしのしてもらえないことをいとも容易くしてもらえてる。
だから、わたしのライバルは、クラリス。
はあ、悔しい。
水浴びも終え。
「じゃあ、おやすみ、クラリス」と鳥かご戻って布を被せてもらって、おとなしくなるクラリス。
那智さんの意志で眠りに就かされるクラリス。
はあ、なんだかそんなことも羨ましい。
ちょっとしゅんとしているわたしに。
「でも、クラリス、オスなんだよね。」と那智さん。
「あ…、そ、そうなんですか…!?」
しゅ〜ん。
あらら、やきもちの目盛りが…。
オスと聞いたら、一気に目盛りが半分くらいに。
なんでしょう、わたしの嫉妬心って。
我ながら、この心の動きが面白い。
文鳥にやきもちを妬くわたしも、オスだからって鎮火するわたしも、ヘンだってことは認めます。
でも、言わせて。
那智さん、紛らわしい名前付けるなーーーーー。
はあ、肩に乗れる日…来ないよねぇ。
いままで何回か、自宅にいる那智さんと電話でお話ししたことがある。
この晩もそういうときだった。
「シャワー浴びてくるから、そしたらかけ直すね。」
そんな言葉を聞いて、家にいる那智さんを想像してホクホクしてしまう。
再びかかってきて、他愛もない会話をしていると。
「それでね、那智さん…」
「うん、…クラリス、クラリス…」
ん?クラリス?
『カリオストロの城』でも見ているの?
それにしても、見ながら呼ぶ?
「クラリス、ほら…」
「なんですか?クラリスって」
「うん、文鳥」
ぐわぁぁぁん!!!!
感情の目盛りが一気に跳ね上がる。
わたしは、その跳ね上がりが理解できず、不可解な心の動きに一瞬黙る。
「………」
「ほら、クラリス♪」
ぶ、ぶ、文鳥!?
で、……くぅ〜らぁ〜りぃ〜すぅぅぅぅ!?
クラリスだとぉぉぉ!?
うわあ、わたしやきもち妬いてる…。
文鳥に、文鳥に、嫉妬してる。
理性ではばかみたいな感情とわかっていても、跳ね上がる目盛りを抑えることができない。
今度は情けなさと嫉妬で、黙り続ける。
「なに黙ってるの、りん子?(笑)ほら、おいでクラリス。」
がーーーーーーーーーん。
おおおおおおおおお、おいでぇぇぇぇぇぇ!?
呼んでるの?クラリスのこと、呼んでるの!?
また目盛りが跳ねる。
もう、止められない。
笑っているということは、那智さんわたしにやきもち妬かせようとして、わざと『クラリス可愛がり』しているんだ。
なんだか悔しい。
黙ってしまった時点で嫉妬剥き出しなんだけど、悔しいから装えない冷静を無理矢理装い。
「へぇ、文鳥、クラリスっていうんですね。」なんて言ってみる。
「うん、なんか文鳥でクラリスってよくない?」
クラリスがいいですって〜〜〜?
那智さんが自宅で文鳥を飼っているのは知っていた。
『ちゃんと手に乗るんだよ』なんていうのを聞きながら、わずかに湧くやきもちを見て見ぬふりをしていた。
だって、文鳥よ?子供や犬や猫じゃなくて、文鳥にやきもち妬くのもねぇ(かつて明太子に嫉妬したことがあるわたしですが)。
その文鳥が『クラリス』。
(ちなみに『クラリス』は仮名です。いちおう個人情報なので変えていますけど、まあ、似たような雰囲気のアニメ女の子キャラだと思ってください。念のために言っておきますが、那智さんはロリコンではありませんし、アキバ系でもありません^^)
面白いもので、名前が存在すると途端にはっきりと嫉妬の対象としての人格が生まれるものだ(鳥格か!?)。
しかも『おいで」なんて呼んでもらってる。
わたしは、いま『おいで』と言われても行かれないし、そもそも呼んでもらえていない。
クラリスの自慢げな表情が見えるようだ。
憎くきクラリス。
「クラリスなんて那智さんロリコーン!!」
悔し紛れに憎まれ口。
「なに、りん子嫉妬してんの?」
「…はい」
「わはははは、文鳥だよ?」
「だって、那智さんのそばにいる。」
「そりゃあ、飼っているんだもん」
「わたしはそばにいない。」
「当たり前じゃん 笑」
こういうときは、すなおーに嫉妬剥き出しにしたほうが楽だ、だからシフトチェンジ。
「クラリス、羨ましいです。」
「ははは、おかしいの、ほらクラリス〜」(ちゅん、ちゅん)
「聞いた?呼ぶと返事するんだよ。可愛いでしょ?クラリス、クラリス」(ちゅん、ちゅん)
もう、那智さんの意地悪!!!
でも、ほんとに返事している。
どうやら生後間もなく飼いだしたそうで、最初の2ヶ月くらいは4時間おきに餌をやらないといけなくて、それをした人には懐くらしいのだ。
プチ子育て…。
だーーーーーーっ!!
那智さんの女の子になりたいわたしは、全面的に世話を焼いてもらうことに憧れているんだ。
その幸福を享受しているクラリス、く、悔しい。
このやきもちはわたしをどんどん馬鹿に変えていく^^;
「那智さん『りん子』って呼んでください。」
「??りん子」
「はい!!」
「?なんで?」
「ほーら、わたしだって呼べばお返事しますよー。」
「はは、面白い、なに張り合ってんの(苦笑)」
そのあともクラリスは那智さんに催促をして洗面所に行き、お水を張ってもらって水浴びをしていた。
「那智さん、わたしも水浴びさせて!!」
「わたしもお水張ってもらう!!」
もうヘンなテンション。
「いま、肩に乗ってるよ〜笑」
ヘンなテンションのやきもちを面白がって、煽る那智さん。
「か、肩〜!?わたしも!!…乗れない(泣)」
ああ、悔しい。
ライバルはクラリス。
首輪とリードでお散歩はできる。
犬のお皿でご飯だって食べられる。
電信柱に片足上げておしっこだって、やってやらぁ!!(これは勢いです、那智さん)
だけど、だけど。
那智さんの肩には乗れない…。
肩車ならなんとかできても(笑)
それじゃ、クラリスじゃない。
片方の肩に…、乗れない。
那智さんよろける…。
いや、よろける以前に、乗れない…。
わたしのしてもらえないことをいとも容易くしてもらえてる。
だから、わたしのライバルは、クラリス。
はあ、悔しい。
水浴びも終え。
「じゃあ、おやすみ、クラリス」と鳥かご戻って布を被せてもらって、おとなしくなるクラリス。
那智さんの意志で眠りに就かされるクラリス。
はあ、なんだかそんなことも羨ましい。
ちょっとしゅんとしているわたしに。
「でも、クラリス、オスなんだよね。」と那智さん。
「あ…、そ、そうなんですか…!?」
しゅ〜ん。
あらら、やきもちの目盛りが…。
オスと聞いたら、一気に目盛りが半分くらいに。
なんでしょう、わたしの嫉妬心って。
我ながら、この心の動きが面白い。
文鳥にやきもちを妬くわたしも、オスだからって鎮火するわたしも、ヘンだってことは認めます。
でも、言わせて。
那智さん、紛らわしい名前付けるなーーーーー。
はあ、肩に乗れる日…来ないよねぇ。