飼い主の目、犬の目
独特な幸福感
時々テレビで『ダメ犬しつけ大会』のような番組やコーナーを見るときがあります。
そこに登場するしつけのプロと言われる方々、ブリーダーともいうのかしら。
吠えまくったり暴走する犬を、あれよあれよというまに手名付けてしまう。
わたしは犬を飼ったことがないからわからないのだけど、犬ってあんなふうに人によって変わるものなのね〜と感心して見ております。
すぐ暴走する犬に『ぐいっ』とリードを引き、暴走を止め、できたら褒める。
それを2、3回繰り返すうちに、犬の様子ががらりと変わり、途端にいい子になってしまうのだ。
それをしたしつけのプロさんはこんなようなことを言っていた。
犬は服従する存在ができると落ち着くのだ。
その存在の命令を待ち、褒められることで喜びを感じる。
犬が喜ぶ撫で場所があるようで、そこを撫でることでより効果があるそうなので、犬は心(があるとして)と体と両方で喜ぶのだそう。
リードを『ぐいっ』と引かれて驚くような瞳。
それを繰り返した後の、少し怯えるような期待するように見上げる。
あの犬のような気持ち。
那智さんが出張から戻るのを空港までお迎えに行く日があった。
そこから那智さんのお仕事場までの移動時間と、ちょっとだけ長く取ってくれたランチタイムのデート。
それでも、普段のランチデートよりも長く一緒にいられるし、空港までお迎えなんて普段とは違う状況で、わくわく気分で空港へ向かった。
到着ゲートを横に見るように並んだベンチの二列目に座って待つ。
体をちょっと斜めに向けて、到着ゲートが見えやすいように。
ゲートの反対側には飲食店。
ただ、お昼前だし、ほとんど人が入っていない。
わたしの前のベンチに親子連れが、後ろにはスーツ姿の男性。
こんな昼間に国内線のお迎えに来るような人はそんなにいないのね。
時々、その先にある従業員用通路のドアから人の出入りがあるくらいだった。
到着した人の波が落ち着けば、それ以外は人影まばらだ。
まぁだっかな♪
文字通り首を長くして待つ。
いくつかの便をやり過ごし、ようやく遠くに那智さんの姿を発見。
わい、わい!!
見えない尻尾がブンブン振れているみたい。
こちらに向かって来てくれるとばかり思っていたら、ひょいっと曲がってトイレに入っちゃった。
次々と到着ゲートから出てくるビジネスマンたちを見送りながら、しかたなくベンチに腰掛けている。
人の流れのピークが少し落ち着いたころ、那智さんがゲートから出てきた。
立ち上がり、近寄る。
今日は黒いパンツに黒い9cmヒールのパンプス、でかいわたしは駆け寄ると変に目立ってしまいそうで、そそと近寄る。(背が高いことの、利点とコンプレックスは表裏一体です)
いつもと違うシチュエーションに、ちょっと照れ笑いで。
「お疲れさまでした^^」
「うん、いいこだね。」
きっと、笑顔で迎えたことを『いいこ』と言ってくれたのだろう。
うふふ、と思う。
数歩歩いて、そうだなベンチ4個分くらい、親子連れから離れ、スーツ姿の男性を通り過ぎた辺りで。
「四つん這い。」
へ!?
きょとんとするわたしに、もう一度。
「四つん這いになって。」
わたしがベンチ寄り、那智さんは通路に背を向けた状態。
那智さんの肩越しに、ゲートから出て来たビジネスマンたちが通り過ぎるのが見える。
いま?
ここで?
首を横に振る。
でも、わかってるの。
那智さんの目が『やらせる目』だったから。(ああ、那智さん、トップブリーダーの目!?)
これは、やることだっていうことを。
『どうする!?』というお遊びの目じゃなくて、このときは最初からやらせる目だった。
怖い目じゃなくて、とてもとても強く真剣な目。
口調だって全然怖くない、普通に話しかけているみたいだ。
「ここで…?無理です。」
あり得ない!!!とそうお返事しながら、一方でわたしはやるんだなと、もう決まっている感覚だ。
でも、すんなりと従えるものではないから、無駄な抵抗をしているようだ。
「四つん這いになりな。」
相変わらず普通の口調。
でも、わたしの首筋に伸びた手に一瞬入った力だけが、有無を言わせぬ迫力でわたしを押す。
怖いからとりあえず、ベンチに腰を下ろす。
いきなりしゃがむより目立たないかなと、必死の作戦。
もう一度、首筋に置かれた手に力。
観念して、ベンチから腰をずらし、硬い床に降りる。
まず膝をつき。
次に両手をつく。
最後にお尻を上げて、那智さんのいう四つん這い完成。
もううううう、恥ずかしい!!!
わたし、いま空港で四つん這いになってる!!
うつむいているけれど、視界に通り過ぎるビジネスマン達の足が見える、その足が速度を緩めたり、振り返ったりしているように見える。
辺りがざわつくように感じる。
恥ずかしくて、申し訳なくて、ぎゅっと目を瞑る。
その間、ずっと那智さんはわたしの首筋を撫でてくれている。
これがたまらなく気持ちが良い。
お尻を上げることで、わずかに頭が那智さんの足の近付くの。
そこに抱え込むように首筋を撫でていてくれるのだ。
首筋に性感帯が集中しているみたい。
衆人環視の中で大事に大事に護られているよう。
こんなに気持ち良いことない!!
緊張して硬く握った拳の力がほんの少し抜けたみたいになる。
「はい、いいよ、いいこだったね。」
時間にしたら20秒くらいかな、促されて腰を上げるけど、恥ずかしくてすぐに立ち上がることができず、そのままスライドしてベンチに座る。
歩き出そうとする那智さんのスーツのジャケットを握り、ちょ、ちょっと待ってと阻止。
だって、いまそれを見た人と同じペースで歩くなんて恥ずかしくてできないです。
非現実な感覚を、ちょっと現実に戻すよう。
でも、お菓子を取り上げられてしまったような、名残惜しい気持ちもわずかに残る。
少し落ち着きを取り戻して、歩き出す。
歩きながらあの気持ち良さを思い出して、なんとも言えない恍惚感を反芻してしまう。
この『どこでもわんこ』を那智さんは気に入ったようです。
短い時間なので、それほど気合いを入れなくてもできるし、りん子1人にさせることもない。
『四つん這い』といって、どこでも従うわたしを見るのも楽しいでしょう。
移動の最中も、その話題に触れては『やる?』とあわあわさせて遊んでいた。
でも、そのときの目は違うんだな、わかるの。
だから、わたしもヒヤヒヤしながらも、一緒に遊んでいる感じ。
1回だけ駅のホームでやらせる目になりかけたから、心臓が飛び出そうなほどビクビクしたけれど。
そのとき恐怖に怯えながらも、あの那智さんの意志がわたしの意志になってそこから生まれる快感をまた味わわせてもらえるかも、と取り下げられて、ほんの少し、わずかに、微量に、寂しく思ってしまった。
だから、移動中、ずっと、ちょっと怯えながら様子を伺い、快感をくれるのかわずかに期待しながら、一緒に歩いていた。
これも『慣れ』のひとつ?
怖いよぉ、わたし、慣れちゃうよぉと、怯えながら、期待して待ってしまうのだ。
やらせる目。
それを何度か経験して、心と体に気持ち良さを植え付けて。
次はいつ来るのか、怯えながら期待して待ってしまう。
テレビで見た犬のよう。
犬が怯えて見えるのは、本当に怯えているからなのかな。
だとしたら、何に怯えているのだろう。
少なくともわたしは那智さんには怯えていない。
那智さんは『脅して』従わせているんじゃないの。
『諦めない』でも書いたけど、那智さんはやらないことと愛情を秤に掛けたことは一度もないから。
わたしは、人の視線と、あり得ないことをしてしまう自分に怯えているのだと思う。
そこは犬とは違うと思うけど。
どこかあの犬に気持ちに似ているようで、テレビで見た怯えと期待の目を思い出すのだ。
時々テレビで『ダメ犬しつけ大会』のような番組やコーナーを見るときがあります。
そこに登場するしつけのプロと言われる方々、ブリーダーともいうのかしら。
吠えまくったり暴走する犬を、あれよあれよというまに手名付けてしまう。
わたしは犬を飼ったことがないからわからないのだけど、犬ってあんなふうに人によって変わるものなのね〜と感心して見ております。
すぐ暴走する犬に『ぐいっ』とリードを引き、暴走を止め、できたら褒める。
それを2、3回繰り返すうちに、犬の様子ががらりと変わり、途端にいい子になってしまうのだ。
それをしたしつけのプロさんはこんなようなことを言っていた。
犬は服従する存在ができると落ち着くのだ。
その存在の命令を待ち、褒められることで喜びを感じる。
犬が喜ぶ撫で場所があるようで、そこを撫でることでより効果があるそうなので、犬は心(があるとして)と体と両方で喜ぶのだそう。
リードを『ぐいっ』と引かれて驚くような瞳。
それを繰り返した後の、少し怯えるような期待するように見上げる。
あの犬のような気持ち。
那智さんが出張から戻るのを空港までお迎えに行く日があった。
そこから那智さんのお仕事場までの移動時間と、ちょっとだけ長く取ってくれたランチタイムのデート。
それでも、普段のランチデートよりも長く一緒にいられるし、空港までお迎えなんて普段とは違う状況で、わくわく気分で空港へ向かった。
到着ゲートを横に見るように並んだベンチの二列目に座って待つ。
体をちょっと斜めに向けて、到着ゲートが見えやすいように。
ゲートの反対側には飲食店。
ただ、お昼前だし、ほとんど人が入っていない。
わたしの前のベンチに親子連れが、後ろにはスーツ姿の男性。
こんな昼間に国内線のお迎えに来るような人はそんなにいないのね。
時々、その先にある従業員用通路のドアから人の出入りがあるくらいだった。
到着した人の波が落ち着けば、それ以外は人影まばらだ。
まぁだっかな♪
文字通り首を長くして待つ。
いくつかの便をやり過ごし、ようやく遠くに那智さんの姿を発見。
わい、わい!!
見えない尻尾がブンブン振れているみたい。
こちらに向かって来てくれるとばかり思っていたら、ひょいっと曲がってトイレに入っちゃった。
次々と到着ゲートから出てくるビジネスマンたちを見送りながら、しかたなくベンチに腰掛けている。
人の流れのピークが少し落ち着いたころ、那智さんがゲートから出てきた。
立ち上がり、近寄る。
今日は黒いパンツに黒い9cmヒールのパンプス、でかいわたしは駆け寄ると変に目立ってしまいそうで、そそと近寄る。(背が高いことの、利点とコンプレックスは表裏一体です)
いつもと違うシチュエーションに、ちょっと照れ笑いで。
「お疲れさまでした^^」
「うん、いいこだね。」
きっと、笑顔で迎えたことを『いいこ』と言ってくれたのだろう。
うふふ、と思う。
数歩歩いて、そうだなベンチ4個分くらい、親子連れから離れ、スーツ姿の男性を通り過ぎた辺りで。
「四つん這い。」
へ!?
きょとんとするわたしに、もう一度。
「四つん這いになって。」
わたしがベンチ寄り、那智さんは通路に背を向けた状態。
那智さんの肩越しに、ゲートから出て来たビジネスマンたちが通り過ぎるのが見える。
いま?
ここで?
首を横に振る。
でも、わかってるの。
那智さんの目が『やらせる目』だったから。(ああ、那智さん、トップブリーダーの目!?)
これは、やることだっていうことを。
『どうする!?』というお遊びの目じゃなくて、このときは最初からやらせる目だった。
怖い目じゃなくて、とてもとても強く真剣な目。
口調だって全然怖くない、普通に話しかけているみたいだ。
「ここで…?無理です。」
あり得ない!!!とそうお返事しながら、一方でわたしはやるんだなと、もう決まっている感覚だ。
でも、すんなりと従えるものではないから、無駄な抵抗をしているようだ。
「四つん這いになりな。」
相変わらず普通の口調。
でも、わたしの首筋に伸びた手に一瞬入った力だけが、有無を言わせぬ迫力でわたしを押す。
怖いからとりあえず、ベンチに腰を下ろす。
いきなりしゃがむより目立たないかなと、必死の作戦。
もう一度、首筋に置かれた手に力。
観念して、ベンチから腰をずらし、硬い床に降りる。
まず膝をつき。
次に両手をつく。
最後にお尻を上げて、那智さんのいう四つん這い完成。
もううううう、恥ずかしい!!!
わたし、いま空港で四つん這いになってる!!
うつむいているけれど、視界に通り過ぎるビジネスマン達の足が見える、その足が速度を緩めたり、振り返ったりしているように見える。
辺りがざわつくように感じる。
恥ずかしくて、申し訳なくて、ぎゅっと目を瞑る。
その間、ずっと那智さんはわたしの首筋を撫でてくれている。
これがたまらなく気持ちが良い。
お尻を上げることで、わずかに頭が那智さんの足の近付くの。
そこに抱え込むように首筋を撫でていてくれるのだ。
首筋に性感帯が集中しているみたい。
衆人環視の中で大事に大事に護られているよう。
こんなに気持ち良いことない!!
緊張して硬く握った拳の力がほんの少し抜けたみたいになる。
「はい、いいよ、いいこだったね。」
時間にしたら20秒くらいかな、促されて腰を上げるけど、恥ずかしくてすぐに立ち上がることができず、そのままスライドしてベンチに座る。
歩き出そうとする那智さんのスーツのジャケットを握り、ちょ、ちょっと待ってと阻止。
だって、いまそれを見た人と同じペースで歩くなんて恥ずかしくてできないです。
非現実な感覚を、ちょっと現実に戻すよう。
でも、お菓子を取り上げられてしまったような、名残惜しい気持ちもわずかに残る。
少し落ち着きを取り戻して、歩き出す。
歩きながらあの気持ち良さを思い出して、なんとも言えない恍惚感を反芻してしまう。
この『どこでもわんこ』を那智さんは気に入ったようです。
短い時間なので、それほど気合いを入れなくてもできるし、りん子1人にさせることもない。
『四つん這い』といって、どこでも従うわたしを見るのも楽しいでしょう。
移動の最中も、その話題に触れては『やる?』とあわあわさせて遊んでいた。
でも、そのときの目は違うんだな、わかるの。
だから、わたしもヒヤヒヤしながらも、一緒に遊んでいる感じ。
1回だけ駅のホームでやらせる目になりかけたから、心臓が飛び出そうなほどビクビクしたけれど。
そのとき恐怖に怯えながらも、あの那智さんの意志がわたしの意志になってそこから生まれる快感をまた味わわせてもらえるかも、と取り下げられて、ほんの少し、わずかに、微量に、寂しく思ってしまった。
だから、移動中、ずっと、ちょっと怯えながら様子を伺い、快感をくれるのかわずかに期待しながら、一緒に歩いていた。
これも『慣れ』のひとつ?
怖いよぉ、わたし、慣れちゃうよぉと、怯えながら、期待して待ってしまうのだ。
やらせる目。
それを何度か経験して、心と体に気持ち良さを植え付けて。
次はいつ来るのか、怯えながら期待して待ってしまう。
テレビで見た犬のよう。
犬が怯えて見えるのは、本当に怯えているからなのかな。
だとしたら、何に怯えているのだろう。
少なくともわたしは那智さんには怯えていない。
那智さんは『脅して』従わせているんじゃないの。
『諦めない』でも書いたけど、那智さんはやらないことと愛情を秤に掛けたことは一度もないから。
わたしは、人の視線と、あり得ないことをしてしまう自分に怯えているのだと思う。
そこは犬とは違うと思うけど。
どこかあの犬に気持ちに似ているようで、テレビで見た怯えと期待の目を思い出すのだ。
COMMENT
あぁ、いいなぁ。りん子さん可愛いなぁ。 と、思ってしまいました。ふふ*
やらせる目、って、解ります。
射抜かれるような問答無用の、決定事項の目、ですよね。(笑)
わたしも、あれは、怖かったり嬉しかったりします。
でも怖いのはご主人様ではなくて、それをしてどうにかなってしまいそうなじぶんの方なのです。
余談ですが、わたしも背が高いです…^^*
ヒールを履いたら172cmは必ずオーバーする、かしら?
りん子さんはおいくつなのでしょう。
颯爽と歩くすらっとした女性から、四つん這いになってしまうギャップが素敵です♪(って、オヤジみたい……?!><;)
やらせる目、って、解ります。
射抜かれるような問答無用の、決定事項の目、ですよね。(笑)
わたしも、あれは、怖かったり嬉しかったりします。
でも怖いのはご主人様ではなくて、それをしてどうにかなってしまいそうなじぶんの方なのです。
余談ですが、わたしも背が高いです…^^*
ヒールを履いたら172cmは必ずオーバーする、かしら?
りん子さんはおいくつなのでしょう。
颯爽と歩くすらっとした女性から、四つん這いになってしまうギャップが素敵です♪(って、オヤジみたい……?!><;)
そうそう、決定事項の目!!
けして、声色を変えたり口調が変わったりしているわけでもないのです。
でも、意思が空気になって発せられているという感じ。
あの目はなんなのでしょうね〜。
それはもう決定事項なのです^^;
わたしは喜びと諦めのため息がでます。
で、やっぱり、それをしてどうにかなりそうな自分が怖いのは一緒、この性癖を抱えているとこの感情にぶち当たることがありますよね。
あ、きっと同じくらいなんじゃないかしら。
わたし、9㎝ヒールを履いたら175㎝に届いちゃうんじゃないかな〜。
だから、大型犬です(笑)
けして、声色を変えたり口調が変わったりしているわけでもないのです。
でも、意思が空気になって発せられているという感じ。
あの目はなんなのでしょうね〜。
それはもう決定事項なのです^^;
わたしは喜びと諦めのため息がでます。
で、やっぱり、それをしてどうにかなりそうな自分が怖いのは一緒、この性癖を抱えているとこの感情にぶち当たることがありますよね。
あ、きっと同じくらいなんじゃないかしら。
わたし、9㎝ヒールを履いたら175㎝に届いちゃうんじゃないかな〜。
だから、大型犬です(笑)