リードを付けて2
非日常的な日常
明日デートを控え、那智さんとちょっと打ち合わせをする。
あ、そんな大げさなものじゃなくて『どこ行きます〜』みたいな楽しいものです^^
「明日はわんこにさせるつもりだから、四つん這いになっても良い格好で来るんだよ」
これはスカートの丈のことを言ってるの。
長くて引きずってしまうことはもちろんなんだけど、短くてパンツが見えてしまうことも気にして言ってくれているんだ。
面白いなと思う、四つん這いにしてわんこにはさせるけど、下着は見せないようにって。
少しでも危険を排除してくれているんだろうなと思うと、ちょっと嬉しい。
でも、でも、人通りのある一般道?百貨店の中?とにかくそんな場所で四つん這いになることは、ものすごく恥ずかしくて怖くて、勇気がいること。
わんこになってリードを引かれる。
針の穴くらいの憧れはあるけれど、大多数のわたしは『無理!!』と首を横に振っている。
「あのワンピースを着ていこうと思ってたんですけど。」
ミニのワンピという服装を持ち出して、延期作戦。
「パンツ見せながらでいいなら、どうぞ着ておいで。」
却下。
「○○公園でわんこになって浣腸して排泄とどっちがいい?」
「○○公園です。一般道は厳しいです…。」
どうしても普通の道路というのが、居たたまれなくて恐ろしい。
もう四の五の言ってごねる。
「じゃあ、駅前の交差点とショウウィンドウだったら?」
「ええ!?交差点なんて歩く人の邪魔になりますよ〜!!」
「隅を歩けば?でもな、交差点はみんな見てないと思うんだよね。」
確かに、足早に移動する人が多いから、周りの人だけしか気付かないかもしれない。
距離も短い。
ショウウィンドウよりも目立たないかもしれない。
「そ、そ、そうですね…、じゃあ、交差点?」
あり得ないよぉと思いながらも、選択する。
「そうかぁ、俺としては交差点とショウウィンドウでは楽しみ方が違うんだよな。」
交差点は、きっと急ぎ足になるだろう。
大勢の人の中でゲリラ的に楽しむ感じかな?
で、ショウウィンドウでは、ゆっくり散歩する。
堂々とりん子を連れて。
時々、頭撫でたりして。
俺としてはショウウィンドウの楽しみ方が好きなんだよね。
がーーーーーん。
わたしは、わたしの心の動きに驚愕する。
そして、必死に打ち消す。
それでも、一度芽生えてしまった羨望は何度振り払ってもわたしの心を湧かせてしまうのだ。
頭を撫でる。
頭を撫でる。
ああ、わんこになって那智さんにお散歩してもらって、途中で頭を撫でてもらう。
なんて幸福な瞬間だろう。
無理!!と何度も否定しながら、この頭を撫でるというひと言が、わたしの針の穴ほどの憧れを一気に広げるのだ。
そして、広げた先には、自分でも驚くほど大きな欲望が露呈する。
ほんとは、わかっていたのかもしれない。
それが、『頭を撫でる』で表に現れただけなのかもしれない。
その夜、電話を切って、覚悟を決めた。
もう那智さんの全部任せよう。
わたしは那智さんの足下だけ見ていればいい。
何かあったら那智さんがなんとかしてくれる。
だから、覚悟を決めよう。
わたしはわんこになりたいのだもの。
それでも、覚悟は決めたものの、朝になってやっぱり怖いことには変わりない。
考えた末、ミニワンピはやめて、白いふわっとしたスカートを着た。
昨日の電話では『やる』とはっきり言われたわけではないから、ミニワンピを着ていって『これじゃ下着が見えちゃうからNG』になる可能性に期待するという手もある。
だけど、それがかえって那智さんのやる気に火を着けてしまいかねない。
だから、四つん這いになっても大丈夫な短過ぎず長過ぎずの白いスカートを選んだ。
そして、勇気が出なかったときのために、濃い色の下着をバックにしのばせた。
なぜかというと『代替え案』(笑)
『那智さん、わんこのかわりにペチコート脱いで下着変えます。透け感を楽しんで!!』という^^;(「危機管理能力」のお話です)
覚悟を決めるとはいっても、なかなか思い切れないものだ。
それでも、結局は那智さんの気持ちひとつなのですけどね。
朝のおはよう電話で、待ち合わせについて再確認した。
どちらからもわんこの話題は出なかった。
あのきれいなリード。
人々の驚きと軽蔑の視線。
わたしを撫でる那智さんの手の感触。
驚かせてごめんなさいという気持ち。
那智さんの足下の幸福。
シーソーのように、行ったり来たり。
待ち合わせに向かう。
さて、ミニワンピをやめたことは、凶と出るか、吉と出るか。
待ち合わせ場所に先に着いている那智さんを見つけて小走りで近寄る。
那智さんはわたしの姿を一瞥して。
「いいね〜、その白いスカート。そんなの持ってたっけ?」
と気に入ってくれた様子。
…、でも、那智さん、このスカート何度も履いてます(T−T)
そんな、涙は、このあとのセリフでぶっ飛ぶ!!
「いいな、そのスカートでわんこにさせるの。」
「うう(やっぱり…)」
「いや、今日はなしにしようかと思って来たんだけど、そのスカート見たらわんこにさせたくなっちゃった。」
えええええええ!!!!
なに?それ!!
やめるつもりだったのですか?
今日は散々話題に出して『あわあわ』させて、それで満足パターンだったのですか!?
それが、このスカートを見て、やる気になってしまったと?
憧れや覚悟は嘘じゃない。
だけど、とんでもなく勇気がいること。
する直前でも、している最中でさえも、怖さと恥ずかしさと申し訳なさで震えるだろう。
清水の舞台から飛び降りようと体に力を入れたときに『やらなくていいよ』と言われ、ホッとして力を抜いた瞬間に『あ、やっぱりやって』と言われたようなものだ。
会話の一瞬だけど、わたしは『やらない』安堵を感じてしまった。
心が折れる。
白いスカートにしたことが仇になってしまった。
那智さんが、ずんずんと百貨店のほうに向かって歩いていく。
「そうそう、ちょっと条例とか調べてみたんだよね。それに近いもの見当たらなかったよ。」
そ、そりゃあ、条例を制定する人だって、わんこは想定してないでしょう^^;
そんな話を聞きながらわたしは「そちら側は日差しが強いから〜」とか「マ○○に寄りませんか〜」などなど無駄な抵抗を口にする。
なんとかマ○○に寄ることは叶ったけど、いま思い返しても歩いてるときもマ○○の中も何を会話したかほとんど覚えて言いないの^^;
簡単にお茶だけして、すぐマ○○を出た。
マ○○から百貨店までも記憶があまりない。
気が付けば百貨店の前だ。
もちろん開店時間には早いことはもうわかってる。
開店前で、2重のガラス扉の半分だけ開けて中に入って待っていられるスペース、ご年配の方が数人いる。
そこを指して。
「ここで四つん這いになる?笑」
ぶんぶんと首を振る。
角を曲がり、側面のショウウィンドウへ。
今日は、ディスプレイを変えている店員さんはいない。
でも、なんだか人がいっぱいいる(ような感じがする!!)。
ショウウィンドウの一番隅に立つ。
目が眩むような距離。
無理!!
絶対無理!!!
「那智さん、無理です!!」
昨夜、ここで那智さんに任せると覚悟を決め、一瞬でもうっとりできたのに。
いまはもう怖くて足がすくんでしまっている。
「はい。付けて。」
首輪を渡された。
無理、無理…心の中で呪文を唱えるように繰り返す。
鞄からきれいな色のリードを取り出す。
「無理です、那智さん、出さないで!!」
無言で、カチャリと首輪に付けた。
それで、わざと手を離しリードをだらーんとさせる。
きゃーーー!!慌ててかき寄せ、胸の前で丸めて隠す。
ああ、どうしよう、いま那智さんがわたしの手からリードを取って、くいと引っ張ったら。
わたしは、するのだ。
でも、でも、どうしても、一度折れた心が怖がってしまって、ダメ。
「那智さん、ごめんなさい!!那智さんがしないつもりだったって言ったから、くじけてしまって、今日はもう怖くてしかたありません!!!ここではできないです!!」
心からのお願い(笑)
「ん?もう一度確認するよ?今日、ここではできない?」
こくりとうなずく。
「わかった、じゃあ、今日じゃなきゃするね。」
…もう一度こくりとうなずく。
「うん、じゃ、今日はやめよう。」
よかった。
首の皮一枚。
いつかするだろう。
今日だって、『しなさい』と言われれば、する。
だけど、怖さが先に立ってしまって、幸福に変換するのに、時間がかかるか手間がかかるか、しそうだもの。
できれば、わんこになる幸福に早く早く浸りたい。
だから、くじけてしまった今日じゃなくて、よかった。
わんこ回避になって、わんこになるはずだったショウウィンドウを歩く。
やっぱり距離が長い、そして、思った以上に人が通る。
あらためて、怖いと感じてしまう。
回避にはなったけど、それはショウウィンドウでのことであって、那智さんとしては、このまま終わってはちょっとつまらないな〜といった様子で、しばらく百貨店周りを散策する。
もう、くじけまくりのわたしはどこを提案されても首を横に振るばかり。
那智さんも、まあ、その感じを楽しんでいるようにも見えるから、こちらも冗談半分という感じ。
そして、いつものコンビニに近付いてきた。
何もしないのは、ちょっとつまらないな〜と思っている那智さん。
ホテル街の数十mはもう2回やっているから、違う面白さを味わいたいはずだ。
そうなると、あとはこのコンビニで何かするしか残っていない。
コンビニ前に誰かがいれば何もない。
誰かいて。
祈るように歩く。
誰かいてほしい。
でも、那智さんの足下の幸せ、撫でる手、それをヒリヒリするほど望んでいることも、自覚している。
誰かいてほしいの?
誰もいないでほしいの?
混乱しながら、コンビニの角を曲がった。
うう、まだ終わらないです!!!!
明日デートを控え、那智さんとちょっと打ち合わせをする。
あ、そんな大げさなものじゃなくて『どこ行きます〜』みたいな楽しいものです^^
「明日はわんこにさせるつもりだから、四つん這いになっても良い格好で来るんだよ」
これはスカートの丈のことを言ってるの。
長くて引きずってしまうことはもちろんなんだけど、短くてパンツが見えてしまうことも気にして言ってくれているんだ。
面白いなと思う、四つん這いにしてわんこにはさせるけど、下着は見せないようにって。
少しでも危険を排除してくれているんだろうなと思うと、ちょっと嬉しい。
でも、でも、人通りのある一般道?百貨店の中?とにかくそんな場所で四つん這いになることは、ものすごく恥ずかしくて怖くて、勇気がいること。
わんこになってリードを引かれる。
針の穴くらいの憧れはあるけれど、大多数のわたしは『無理!!』と首を横に振っている。
「あのワンピースを着ていこうと思ってたんですけど。」
ミニのワンピという服装を持ち出して、延期作戦。
「パンツ見せながらでいいなら、どうぞ着ておいで。」
却下。
「○○公園でわんこになって浣腸して排泄とどっちがいい?」
「○○公園です。一般道は厳しいです…。」
どうしても普通の道路というのが、居たたまれなくて恐ろしい。
もう四の五の言ってごねる。
「じゃあ、駅前の交差点とショウウィンドウだったら?」
「ええ!?交差点なんて歩く人の邪魔になりますよ〜!!」
「隅を歩けば?でもな、交差点はみんな見てないと思うんだよね。」
確かに、足早に移動する人が多いから、周りの人だけしか気付かないかもしれない。
距離も短い。
ショウウィンドウよりも目立たないかもしれない。
「そ、そ、そうですね…、じゃあ、交差点?」
あり得ないよぉと思いながらも、選択する。
「そうかぁ、俺としては交差点とショウウィンドウでは楽しみ方が違うんだよな。」
交差点は、きっと急ぎ足になるだろう。
大勢の人の中でゲリラ的に楽しむ感じかな?
で、ショウウィンドウでは、ゆっくり散歩する。
堂々とりん子を連れて。
時々、頭撫でたりして。
俺としてはショウウィンドウの楽しみ方が好きなんだよね。
がーーーーーん。
わたしは、わたしの心の動きに驚愕する。
そして、必死に打ち消す。
それでも、一度芽生えてしまった羨望は何度振り払ってもわたしの心を湧かせてしまうのだ。
頭を撫でる。
頭を撫でる。
ああ、わんこになって那智さんにお散歩してもらって、途中で頭を撫でてもらう。
なんて幸福な瞬間だろう。
無理!!と何度も否定しながら、この頭を撫でるというひと言が、わたしの針の穴ほどの憧れを一気に広げるのだ。
そして、広げた先には、自分でも驚くほど大きな欲望が露呈する。
ほんとは、わかっていたのかもしれない。
それが、『頭を撫でる』で表に現れただけなのかもしれない。
その夜、電話を切って、覚悟を決めた。
もう那智さんの全部任せよう。
わたしは那智さんの足下だけ見ていればいい。
何かあったら那智さんがなんとかしてくれる。
だから、覚悟を決めよう。
わたしはわんこになりたいのだもの。
それでも、覚悟は決めたものの、朝になってやっぱり怖いことには変わりない。
考えた末、ミニワンピはやめて、白いふわっとしたスカートを着た。
昨日の電話では『やる』とはっきり言われたわけではないから、ミニワンピを着ていって『これじゃ下着が見えちゃうからNG』になる可能性に期待するという手もある。
だけど、それがかえって那智さんのやる気に火を着けてしまいかねない。
だから、四つん這いになっても大丈夫な短過ぎず長過ぎずの白いスカートを選んだ。
そして、勇気が出なかったときのために、濃い色の下着をバックにしのばせた。
なぜかというと『代替え案』(笑)
『那智さん、わんこのかわりにペチコート脱いで下着変えます。透け感を楽しんで!!』という^^;(「危機管理能力」のお話です)
覚悟を決めるとはいっても、なかなか思い切れないものだ。
それでも、結局は那智さんの気持ちひとつなのですけどね。
朝のおはよう電話で、待ち合わせについて再確認した。
どちらからもわんこの話題は出なかった。
あのきれいなリード。
人々の驚きと軽蔑の視線。
わたしを撫でる那智さんの手の感触。
驚かせてごめんなさいという気持ち。
那智さんの足下の幸福。
シーソーのように、行ったり来たり。
待ち合わせに向かう。
さて、ミニワンピをやめたことは、凶と出るか、吉と出るか。
待ち合わせ場所に先に着いている那智さんを見つけて小走りで近寄る。
那智さんはわたしの姿を一瞥して。
「いいね〜、その白いスカート。そんなの持ってたっけ?」
と気に入ってくれた様子。
…、でも、那智さん、このスカート何度も履いてます(T−T)
そんな、涙は、このあとのセリフでぶっ飛ぶ!!
「いいな、そのスカートでわんこにさせるの。」
「うう(やっぱり…)」
「いや、今日はなしにしようかと思って来たんだけど、そのスカート見たらわんこにさせたくなっちゃった。」
えええええええ!!!!
なに?それ!!
やめるつもりだったのですか?
今日は散々話題に出して『あわあわ』させて、それで満足パターンだったのですか!?
それが、このスカートを見て、やる気になってしまったと?
憧れや覚悟は嘘じゃない。
だけど、とんでもなく勇気がいること。
する直前でも、している最中でさえも、怖さと恥ずかしさと申し訳なさで震えるだろう。
清水の舞台から飛び降りようと体に力を入れたときに『やらなくていいよ』と言われ、ホッとして力を抜いた瞬間に『あ、やっぱりやって』と言われたようなものだ。
会話の一瞬だけど、わたしは『やらない』安堵を感じてしまった。
心が折れる。
白いスカートにしたことが仇になってしまった。
那智さんが、ずんずんと百貨店のほうに向かって歩いていく。
「そうそう、ちょっと条例とか調べてみたんだよね。それに近いもの見当たらなかったよ。」
そ、そりゃあ、条例を制定する人だって、わんこは想定してないでしょう^^;
そんな話を聞きながらわたしは「そちら側は日差しが強いから〜」とか「マ○○に寄りませんか〜」などなど無駄な抵抗を口にする。
なんとかマ○○に寄ることは叶ったけど、いま思い返しても歩いてるときもマ○○の中も何を会話したかほとんど覚えて言いないの^^;
簡単にお茶だけして、すぐマ○○を出た。
マ○○から百貨店までも記憶があまりない。
気が付けば百貨店の前だ。
もちろん開店時間には早いことはもうわかってる。
開店前で、2重のガラス扉の半分だけ開けて中に入って待っていられるスペース、ご年配の方が数人いる。
そこを指して。
「ここで四つん這いになる?笑」
ぶんぶんと首を振る。
角を曲がり、側面のショウウィンドウへ。
今日は、ディスプレイを変えている店員さんはいない。
でも、なんだか人がいっぱいいる(ような感じがする!!)。
ショウウィンドウの一番隅に立つ。
目が眩むような距離。
無理!!
絶対無理!!!
「那智さん、無理です!!」
昨夜、ここで那智さんに任せると覚悟を決め、一瞬でもうっとりできたのに。
いまはもう怖くて足がすくんでしまっている。
「はい。付けて。」
首輪を渡された。
無理、無理…心の中で呪文を唱えるように繰り返す。
鞄からきれいな色のリードを取り出す。
「無理です、那智さん、出さないで!!」
無言で、カチャリと首輪に付けた。
それで、わざと手を離しリードをだらーんとさせる。
きゃーーー!!慌ててかき寄せ、胸の前で丸めて隠す。
ああ、どうしよう、いま那智さんがわたしの手からリードを取って、くいと引っ張ったら。
わたしは、するのだ。
でも、でも、どうしても、一度折れた心が怖がってしまって、ダメ。
「那智さん、ごめんなさい!!那智さんがしないつもりだったって言ったから、くじけてしまって、今日はもう怖くてしかたありません!!!ここではできないです!!」
心からのお願い(笑)
「ん?もう一度確認するよ?今日、ここではできない?」
こくりとうなずく。
「わかった、じゃあ、今日じゃなきゃするね。」
…もう一度こくりとうなずく。
「うん、じゃ、今日はやめよう。」
よかった。
首の皮一枚。
いつかするだろう。
今日だって、『しなさい』と言われれば、する。
だけど、怖さが先に立ってしまって、幸福に変換するのに、時間がかかるか手間がかかるか、しそうだもの。
できれば、わんこになる幸福に早く早く浸りたい。
だから、くじけてしまった今日じゃなくて、よかった。
わんこ回避になって、わんこになるはずだったショウウィンドウを歩く。
やっぱり距離が長い、そして、思った以上に人が通る。
あらためて、怖いと感じてしまう。
回避にはなったけど、それはショウウィンドウでのことであって、那智さんとしては、このまま終わってはちょっとつまらないな〜といった様子で、しばらく百貨店周りを散策する。
もう、くじけまくりのわたしはどこを提案されても首を横に振るばかり。
那智さんも、まあ、その感じを楽しんでいるようにも見えるから、こちらも冗談半分という感じ。
そして、いつものコンビニに近付いてきた。
何もしないのは、ちょっとつまらないな〜と思っている那智さん。
ホテル街の数十mはもう2回やっているから、違う面白さを味わいたいはずだ。
そうなると、あとはこのコンビニで何かするしか残っていない。
コンビニ前に誰かがいれば何もない。
誰かいて。
祈るように歩く。
誰かいてほしい。
でも、那智さんの足下の幸せ、撫でる手、それをヒリヒリするほど望んでいることも、自覚している。
誰かいてほしいの?
誰もいないでほしいの?
混乱しながら、コンビニの角を曲がった。
うう、まだ終わらないです!!!!
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