女という性4
独特な幸福感
午後お休みが取れていつもよりは短い時間だけど一緒に過ごせるときがきた。
こんなふうに絡まって蓋をして『女の子』がどこかへ行ってしまったようなときは、とにかく抱き合いたい。
ぎこちないものを抱えながら、会いたいような会うのが怖いような複雑な気持ちで待ち合わせに向かった。
いたって普通通りの那智さん、ホテルに入ってからもしばらく落ち着かないわたしは上着をかけるハンガーを手渡したり当たり障りない話題提供をしたり、ぎこちなく『大人』でいる。
ソファに座りポツポツとお話しする。
わたしの気持ち、那智さんの考え。
すこし気持ちがほぐれてきたら涙がボロボロ溢れてきた。
那智さんたら、そんなわたしを放っておいてお風呂を入れにった。
サクサクと服を脱ぎ、泣いているわたしの服も脱がせてくれたけど、こういうお父さん的なひと手間がぎゅっと握った心から力を抜いてくれるものだ。
那智さんに対して素直でいられないことが一番辛いと大きな声で泣いた。
全身の力が抜けて床にぺたんと座り込んで手放しで泣けることは醒めた心に体温を与えてくれる。
さっさとお風呂に行ってわたしを呼ぶ(基本、わたしが泣いてもほとんど変化ない^^;)から、ちょっぴりぎこちなくついて行く。
洋服を脱がせてくれた様子から今日は娘扱いだなと想像する。
さんざん『女の子』を愛してと訴えたから叶えてくれるんだ。
うれしいけれど、あれだけ訴えると逆にばつが悪い気持ちにもなる。
そんなわたしの小さな違和感なんて気にもしない那智さん、湯船から上がりお風呂の椅子に座って
ほら、おいで、ここ。
足の間を指した。
髪を洗ってくれるんだ。
わたしは黙ってうつむき耳をふさいで下を向く、お父さんに髪を洗ってもらうように足の間に収まって。
本当の娘になれるわけない、だけどこの時間は思う存分娘でいようと思った。
次は体。
泡立てたスポンジで全身をガシガシと洗ってくれる。
乱暴で丁寧に。
顔も。
シャワーをばーっとかけて遊んでくれる。
テレながらきゃあきゃあ。
おまんこの毛とうなじの産毛を剃ってもらったら、おしまい。
那智さんが自分を流す間何も手伝わず、じっとお湯に浸かっていた。
お父さんが終るのを待つように。
大きなバスタオルで拭きホテルの部屋着を着させてくれて、髪を丁寧に乾かしてくれる。
ドライヤーを当ててくれているとき、すこし手伝おうとわたしも自分の髪に手をかけようとしたら『ダメ』と言われてしまった。
1から10まで那智さんがするんだ。
わたしは何もせず、すべて身を任せていた。
今日は娘。
本当の娘になれるわけはない、那智さんがわたしを見つめる視線は娘を見るそれと同じだとも思わないけど、きっと限りなく娘を扱う気持ちで接してくれていたのだと思う。
とても淡々としていた。
会話はあったはずだけど憶えていない。
ただ絡まった糸を解くような丁寧な時間が流れていた。
ずっとかまって欲しがっていた『女の子』は安心して眠りに就くような静かな気持ちになっていた。
だけど。
ひんやりしたものが足元をすり抜けるような微かな軋みが拭い去れずにいる。
その軋みが洞窟の中で息を潜めているようだった。
いくつかお仕事の電話をしてキスもマッサージも何もせずベッドへ。
灯りを消す様子からお昼寝になることはわかった。
『女の子』を満足させたらいつも通り抱かれると漠然と予測していたので、すこし戸惑う。
夕食の予約時間があるからアラームの確認する。
まだ2時間はあった。
アラームの時間を確認することで戸惑いを払拭しようとしてみるけれど指定した時間はホテルを出るギリギリの時間だった。
そんなに長くお昼寝をするとは思えないんだけど、でもその指定は今日の那智さんの意思表示のように感じられた。
もしかしたら那智さんは『女の子』を愛することに徹して今日はこれ以上なにもないかもしれない。
飽きるほど『女の子』を可愛がることで満足させようとしているのだろうか。
それともわたしが欲情して助けを求めるのを待っているのだろうか。
だけどここまで触れ合っても、わたしに欲情は生まれない。
本当に娘になったようないい気分で、那智さんがこのままだというならそれでもかまわないかなと、ほんのちょっと意地を張るような気持ちでうとうとしながら思っていた。
冷ややかに沈殿する軋みをそっとしておくようだった。
30分くらい経っただろうか、軽い寝息を立てていた那智さんの手が乳房を包み乳首に触れた。
ぐわーーーーーーーっ。
いとも簡単に封は破られ軋みは悪魔のような泥水となって溢れる。
あああ、わたしにはこれがあるんだ。
どうしようもない『女という性』が。
洞窟の中のそれが目を覚ました。
しばらく乳首を愛撫され、あっさりと欲情する。
那智さんがお膳立てしてくれたんだ、ここで不必要な意地を張るのはよそうと思う。
敗北感のような安堵のような不思議な気持ちを抑えながら『抱いてください』とお願いする。
しかしこれは拒否された。
敗北と安堵のお願いを一度拒否されて、この後もう一度そんな情けないお願いはできない。
わたしはどうしていいかわからず、諦めるような気持ちでどうすることもできずにいた。
それでも那智さんは乳首を可愛がり続ける。
もう我慢できない。
揺れる腰を膝に擦り付けたい。
入れて、入れて、おまんこがしくしくと泣く。
いやらしいわたしが暴れて溢れて全身を引きずり回す。
いつの間にか灯りがついていた。
那智さんが小さくキスをする。
暗闇の中で暴れていたモンスターがとうとう溢れ出て悪魔に取り憑かれたようにわたしの髪から爪先から、埋め尽くした。
那智さんの唇に吸い付き。
舌を差し込み絡める。
自分でも信じられないくらいの能動的なキス。
いやらしく半開きの唇は、かつて男にホテルに誘えと全身から醸し出していた『女』のそれと同じだ。
あああ、わたしは『女』だ。
女という性を持っている『女』。
こいつはわたしを苦しめわたしを傷つける。
その『女』がおまんこに入れろと暴れる。
那智さん、わたし、女だ。
泥水の飲み込まれる。
那智さんに助けて。
泥水のような涙が溢れる。
泣きながら『入れてください、入れてください』と懇願していた。
嗚咽が止まらない、これは諦めと安堵。
『女という性』を持っていることを目の前にした諦めと、それを認め鎮めてもらう安堵。
『女』が苦しそうに、でも嬉しそうに小さく唸り声を上げてから鎮静して快楽と入れ替わる。
大げさだけど、悪魔払いをしてもらっているようだった。
目を開けて那智さんを見上げる。
わたしを抱くその目は圧倒的な優しさと強さ、そして欲情の小さな炎。
この目をなんて表現したらいいのだろう。
コントロールする側の目だ。
わたしをコントロールし結果的に支配下に置いているものの強い慈悲と満足の目だった。
かなわないと思う。
かなわない人に愛される歓びにまた涙が溢れる。
那智さん、わたしは那智さんのもの
簡単に支配や所有なんて言いたくない。
だけど、ずっとわたし自身を傷つけてきた『女という性』を手懐け情緒を安定させてくれる人に『あなたのもの』と言いたい気持ちがおさえられない。
滅多に言わないその言葉をほんの少し畏怖の念を込めて、なんて気持ちいいんだろうと思いながら伝えた。
まとめのもう一話、続きますよ〜^^
午後お休みが取れていつもよりは短い時間だけど一緒に過ごせるときがきた。
こんなふうに絡まって蓋をして『女の子』がどこかへ行ってしまったようなときは、とにかく抱き合いたい。
ぎこちないものを抱えながら、会いたいような会うのが怖いような複雑な気持ちで待ち合わせに向かった。
いたって普通通りの那智さん、ホテルに入ってからもしばらく落ち着かないわたしは上着をかけるハンガーを手渡したり当たり障りない話題提供をしたり、ぎこちなく『大人』でいる。
ソファに座りポツポツとお話しする。
わたしの気持ち、那智さんの考え。
すこし気持ちがほぐれてきたら涙がボロボロ溢れてきた。
那智さんたら、そんなわたしを放っておいてお風呂を入れにった。
サクサクと服を脱ぎ、泣いているわたしの服も脱がせてくれたけど、こういうお父さん的なひと手間がぎゅっと握った心から力を抜いてくれるものだ。
那智さんに対して素直でいられないことが一番辛いと大きな声で泣いた。
全身の力が抜けて床にぺたんと座り込んで手放しで泣けることは醒めた心に体温を与えてくれる。
さっさとお風呂に行ってわたしを呼ぶ(基本、わたしが泣いてもほとんど変化ない^^;)から、ちょっぴりぎこちなくついて行く。
洋服を脱がせてくれた様子から今日は娘扱いだなと想像する。
さんざん『女の子』を愛してと訴えたから叶えてくれるんだ。
うれしいけれど、あれだけ訴えると逆にばつが悪い気持ちにもなる。
そんなわたしの小さな違和感なんて気にもしない那智さん、湯船から上がりお風呂の椅子に座って
ほら、おいで、ここ。
足の間を指した。
髪を洗ってくれるんだ。
わたしは黙ってうつむき耳をふさいで下を向く、お父さんに髪を洗ってもらうように足の間に収まって。
本当の娘になれるわけない、だけどこの時間は思う存分娘でいようと思った。
次は体。
泡立てたスポンジで全身をガシガシと洗ってくれる。
乱暴で丁寧に。
顔も。
シャワーをばーっとかけて遊んでくれる。
テレながらきゃあきゃあ。
おまんこの毛とうなじの産毛を剃ってもらったら、おしまい。
那智さんが自分を流す間何も手伝わず、じっとお湯に浸かっていた。
お父さんが終るのを待つように。
大きなバスタオルで拭きホテルの部屋着を着させてくれて、髪を丁寧に乾かしてくれる。
ドライヤーを当ててくれているとき、すこし手伝おうとわたしも自分の髪に手をかけようとしたら『ダメ』と言われてしまった。
1から10まで那智さんがするんだ。
わたしは何もせず、すべて身を任せていた。
今日は娘。
本当の娘になれるわけはない、那智さんがわたしを見つめる視線は娘を見るそれと同じだとも思わないけど、きっと限りなく娘を扱う気持ちで接してくれていたのだと思う。
とても淡々としていた。
会話はあったはずだけど憶えていない。
ただ絡まった糸を解くような丁寧な時間が流れていた。
ずっとかまって欲しがっていた『女の子』は安心して眠りに就くような静かな気持ちになっていた。
だけど。
ひんやりしたものが足元をすり抜けるような微かな軋みが拭い去れずにいる。
その軋みが洞窟の中で息を潜めているようだった。
いくつかお仕事の電話をしてキスもマッサージも何もせずベッドへ。
灯りを消す様子からお昼寝になることはわかった。
『女の子』を満足させたらいつも通り抱かれると漠然と予測していたので、すこし戸惑う。
夕食の予約時間があるからアラームの確認する。
まだ2時間はあった。
アラームの時間を確認することで戸惑いを払拭しようとしてみるけれど指定した時間はホテルを出るギリギリの時間だった。
そんなに長くお昼寝をするとは思えないんだけど、でもその指定は今日の那智さんの意思表示のように感じられた。
もしかしたら那智さんは『女の子』を愛することに徹して今日はこれ以上なにもないかもしれない。
飽きるほど『女の子』を可愛がることで満足させようとしているのだろうか。
それともわたしが欲情して助けを求めるのを待っているのだろうか。
だけどここまで触れ合っても、わたしに欲情は生まれない。
本当に娘になったようないい気分で、那智さんがこのままだというならそれでもかまわないかなと、ほんのちょっと意地を張るような気持ちでうとうとしながら思っていた。
冷ややかに沈殿する軋みをそっとしておくようだった。
30分くらい経っただろうか、軽い寝息を立てていた那智さんの手が乳房を包み乳首に触れた。
ぐわーーーーーーーっ。
いとも簡単に封は破られ軋みは悪魔のような泥水となって溢れる。
あああ、わたしにはこれがあるんだ。
どうしようもない『女という性』が。
洞窟の中のそれが目を覚ました。
しばらく乳首を愛撫され、あっさりと欲情する。
那智さんがお膳立てしてくれたんだ、ここで不必要な意地を張るのはよそうと思う。
敗北感のような安堵のような不思議な気持ちを抑えながら『抱いてください』とお願いする。
しかしこれは拒否された。
敗北と安堵のお願いを一度拒否されて、この後もう一度そんな情けないお願いはできない。
わたしはどうしていいかわからず、諦めるような気持ちでどうすることもできずにいた。
それでも那智さんは乳首を可愛がり続ける。
もう我慢できない。
揺れる腰を膝に擦り付けたい。
入れて、入れて、おまんこがしくしくと泣く。
いやらしいわたしが暴れて溢れて全身を引きずり回す。
いつの間にか灯りがついていた。
那智さんが小さくキスをする。
暗闇の中で暴れていたモンスターがとうとう溢れ出て悪魔に取り憑かれたようにわたしの髪から爪先から、埋め尽くした。
那智さんの唇に吸い付き。
舌を差し込み絡める。
自分でも信じられないくらいの能動的なキス。
いやらしく半開きの唇は、かつて男にホテルに誘えと全身から醸し出していた『女』のそれと同じだ。
あああ、わたしは『女』だ。
女という性を持っている『女』。
こいつはわたしを苦しめわたしを傷つける。
その『女』がおまんこに入れろと暴れる。
那智さん、わたし、女だ。
泥水の飲み込まれる。
那智さんに助けて。
泥水のような涙が溢れる。
泣きながら『入れてください、入れてください』と懇願していた。
嗚咽が止まらない、これは諦めと安堵。
『女という性』を持っていることを目の前にした諦めと、それを認め鎮めてもらう安堵。
『女』が苦しそうに、でも嬉しそうに小さく唸り声を上げてから鎮静して快楽と入れ替わる。
大げさだけど、悪魔払いをしてもらっているようだった。
目を開けて那智さんを見上げる。
わたしを抱くその目は圧倒的な優しさと強さ、そして欲情の小さな炎。
この目をなんて表現したらいいのだろう。
コントロールする側の目だ。
わたしをコントロールし結果的に支配下に置いているものの強い慈悲と満足の目だった。
かなわないと思う。
かなわない人に愛される歓びにまた涙が溢れる。
那智さん、わたしは那智さんのもの
簡単に支配や所有なんて言いたくない。
だけど、ずっとわたし自身を傷つけてきた『女という性』を手懐け情緒を安定させてくれる人に『あなたのもの』と言いたい気持ちがおさえられない。
滅多に言わないその言葉をほんの少し畏怖の念を込めて、なんて気持ちいいんだろうと思いながら伝えた。
まとめのもう一話、続きますよ〜^^