桜の記憶
独特な幸福感
はじめてのお花見は、満開をすぎた四月最初の週末。
私は満開のころよりも、それを過ぎ散る桜が好きだ。
はじめて行くそのお花見スポットは、テラスを開け放ったレストランがあり、そこで桜を見ながらお食事ができる。
二階のテラスは、桜を見上げるのではなく目線と同じ高さでみることができて、新鮮だ。
贅沢な気分になって、一緒に楽しくランチを食べる。
そのあと、庭園に降りてお散歩。
牡丹雪のように、絶え間なく落ちる桜の美しさにため息がもれる。
最後の力を振り絞るように、舞い散る桜。
終焉を迎える物悲しさを上回る圧倒的な迫力は、目眩を起こしそうなほど美しい。
腕を組んで歩く。
桜に見惚れて、一瞬立ち止まる私は、組んだ腕を解いてしまう。
ふと、なつかしいような、不安なような、心許ない気持ちに襲われる。
那智さんは、先を歩いている。
この心許なさは、迷子の私の記憶だ。
決して孤独な人生だったわけではない、でも、私はずっと迷子だった。
いつもかすかな不安を抱えた迷子だった。
そのころを思い出し急に不安になって、暗闇を覗くように立ち止まったまま、動けない。
顔を上げると、視界に那智さんの背中が映る。
動かない私を不思議に思って、立ち止まり振り返る那智さん。
大丈夫。
私には那智さんがいる。
駆け寄って手を繋ぐ。
もう私は迷子じゃない。
「那智さんにくっついていれば、大丈夫だよ。」
迷子だった私にそっと語りかけ、繋いだ手にそっと力を込める。
安心して見る桜は美しい。
桜は同じはずなのに、彩り豊かに目に映る。
はじめてのお花見は、満開をすぎた四月最初の週末。
私は満開のころよりも、それを過ぎ散る桜が好きだ。
はじめて行くそのお花見スポットは、テラスを開け放ったレストランがあり、そこで桜を見ながらお食事ができる。
二階のテラスは、桜を見上げるのではなく目線と同じ高さでみることができて、新鮮だ。
贅沢な気分になって、一緒に楽しくランチを食べる。
そのあと、庭園に降りてお散歩。
牡丹雪のように、絶え間なく落ちる桜の美しさにため息がもれる。
最後の力を振り絞るように、舞い散る桜。
終焉を迎える物悲しさを上回る圧倒的な迫力は、目眩を起こしそうなほど美しい。
腕を組んで歩く。
桜に見惚れて、一瞬立ち止まる私は、組んだ腕を解いてしまう。
ふと、なつかしいような、不安なような、心許ない気持ちに襲われる。
那智さんは、先を歩いている。
この心許なさは、迷子の私の記憶だ。
決して孤独な人生だったわけではない、でも、私はずっと迷子だった。
いつもかすかな不安を抱えた迷子だった。
そのころを思い出し急に不安になって、暗闇を覗くように立ち止まったまま、動けない。
顔を上げると、視界に那智さんの背中が映る。
動かない私を不思議に思って、立ち止まり振り返る那智さん。
大丈夫。
私には那智さんがいる。
駆け寄って手を繋ぐ。
もう私は迷子じゃない。
「那智さんにくっついていれば、大丈夫だよ。」
迷子だった私にそっと語りかけ、繋いだ手にそっと力を込める。
安心して見る桜は美しい。
桜は同じはずなのに、彩り豊かに目に映る。
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