濃い2
非日常的な日常
わたしの電車内のひとり攻防。
そんなことまるでなかったことのように普通に歩きはじめる。
このところコートの下のことが続いたから、今日は何も起こりそうにない。
マ○○もスルーして、いつものホテル街に直行。
わたしが、トイレに行ったからかな、那智さんはいまおむつで遊ぶテンションではないみたい。
わたしのスカートの中の異常さとは裏腹に、穏やかな空気でホテルにチェックイン。
部屋に入ってからも、その穏やかな空気は変わらず、那智さんはお茶を煎れる準備をしたり、座ってタバコを吸ったりしてる。
落ち着いた様子で座ってる那智さんを見ると、甘えたくなってしまう。
あぐらをかいてる那智さんのそばに近寄り「那智さん、くっつきたいです。」という。
「どうぞ」と静かに答えてくれる。
そっと、胸に頬を近づける。
ふと那智さんの手が伸び、わたしの頬というか首筋というか耳というか、そのあたりを大きく包み、そして、胸の一歩手前で「くっ」と力が入るのがわかる。
あとわずかで那智さんの胸の中。
でも、微量の力でそれをストップされてしまった。
そこから動けず、そこで頬とか首とか髪を撫でられる。
もっとくっつきたい。
でも、一歩手前でわずかな力で止められる、そのことさえも切なく、もどかしく、余計にわたしの胸を焦がす。
涙がはらはらと零れ落ちた。
ああ、心が解ける。
焦がれながら、解けていくこの感じ。
那智さんと知り合って、もう数年過ぎるのに、まだこの手の「安堵」の涙は流れる。
わたしは、父性を埋めてもらったと思っているけど、これは埋まればおしまいというものではないらしい。
決定的な「父性」の欠損は埋めてもらえても、わたしは日々「那智さんの父性」をほしいと思う気持ちはずっと続くようだ。
まるで、基本的な人間の欲求のよう。
これがないと、とても困るな〜、今日ももらえて安心する、そう涙を流しながらその涙が心を湿らせるのを感じる。
優しく、優しく、掌に包まれ穏やかな時。
これが永遠に続いてほしいと思う。
しかし、それは永遠には続かなかった。
ぐいっと髪を引かれ、後ろに思い切り倒された。
驚く。
穏やかな時間はそこで終わり、また次のわたしを焦がす時間が始まるのを悟る。
畳の上に無防備に横たわるわたしを那智さんが、蹴る。
背中、太腿、お尻。
とても加減してくれてるのだ、だから、衝撃はあるけど「とても痛い」ということでもない。
それでも、時折急所にヒットするから、そうなると身をよじったり咳き込んでしまったり。
そのわたしの顔を今度は踏むのだ。
鼻は曲がり、頬は歪む。
ああ、いや、那智さん、不細工なわたし、見せたくない。
でも、このぐちゃぐちゃにされることが、嬉しくて気持ちよくて、ずっとこうしていてほしいと思ってしまう。
快感と嬉しさと、ほんの少し感じる恥ずかしさで、もがき、じりじりとベッドの側に移動していた。
髪を引っ張られ、体を起こされる。
汗だかなんだかで、髪が顔に張り付いてる。
ビンタ。
両頬を張られ、さらにぐちゃぐちゃ。
そのままベッドに体を投げ出されて、今度はスパンキングだ。
スカートをたくし上げ、あらわになった紙おむつのお尻に衝撃。
ごつごつと来るそれは、「グー」だった。
げんこつでお尻を叩かれてる。
でも、おむつがクッションになって、その衝撃は心地良い。
それを那智さんも感じたのか、すぐ紙おむつも下げられてしまった。
生肌に振り下ろされるげんこつ。
やはり上手に加減してるのだろう、急所以外は耐えられる。
でも、たまにヒットする痛みに体を反らせ、枕を叩く。
髪はさらに乱れて、汗と涙と涎でドロドロになる。
追い詰められ、那智さんにぐちゃぐちゃにされ続けると、あの鞭のときになる「痴人」のような感覚に、最近はなりやすい。
それは、鞭による痛さや打ち方だけでそうなるものではないようで、一度肩を脱臼すると癖になるように、一度知った感覚は、知らないときよりもなりやすくなるみたい。
「痴人癖」?(笑)
那智さんは気づいてるか知らないけど、先日は乳首を握り潰されるだけで、そうなった。
同じことをすれば必ずではないと思うのだけど、なりやすくなったのは、自分でもわかる。
それは、体と心の記憶と、そうなる自分を「ほんの少し許したい」と思う気持ちがそうさせてるように思う。
このときも、ものすごく痛いことではないのだけど、ドロドロぐちゃぐちゃの果てに、あの「気の狂れる(ふれるってこう書くのね)」ような惚けたわたしになった。
やっぱり微笑み出すわたし。
泣きながら悶えながら、微笑む。
ああ、これ、好きなんだ。
このわたし、許したい。
なにかが崩れ落ち、ボロ雑巾のようにぐったりと倒れている。
「脱ぎな。」
そう那智さんは言いながら、自分のスーツをハンガーに掛けてる。
ああ、ここでまともな人間らしい動きするの大変だし、したくないなぁ、惚けたままでいたい。
そう思いながら、のろのろとブラウスのボタンを外し、スカートを脱ぐ。
洋服を畳むことまで気を回すことができない、できないっていうか、わかってて放棄してる感じ。
それを那智さんが端からハンガーに掛けてくれてる。
それをまだ「痴人」状態でぼんやり眺めてる。
「おいで。」
那智さんが促した。
これはいつもベッドに入るときにいう言葉。
だから、ベッドに入ってということだ。
でも、このとき那智さんは「おいで。」といいながら、歩いてベッドの先にある空調パネルに向かった。
ということは「先にベッドに行っていな」という意味。
だけど、わたしはベッドに行けなかった。
立ち上がり「おいで」と言い一歩歩き出した那智さんの足、反射的に四つん這いのまま、それについていった。
それだけに、ついていってしまった。
「おいで」=ベッドと、理解している。
でも、崩れてしまったわたしは、条件反射か、那智さんの気配につられてしまった。
惚けているから、かなり少しだけど正気なわたしは「ベッドに行ってろ」ってこととわかってるのに、体が「痴人」のわたしが、四つん這いで那智さんのあとをとぼとぼと自然に動く。
空調を調整してる那智さんの足下に犬のようにうずくまる。
とてもぼんやりして視界が狭い、那智さんの足、いや気配だけしか感じられないかもしれない。
気配に引っ張られてる感じだった。
脳みそと体というか感覚の乖離、幸福だ。
「なに、ついて来てんの!?(笑)ベッド行ってな。」
そう言われて、ああ、そうよね、ベッドよねと、脳みそと感覚の回路が繋がった感じだった。
先にベッドに入り、天井をぼんやりした頭で見てる。
反射的についていけてしまった自分が、なんだか照れ臭く、ちょっと誇らしかった。
わたしの電車内のひとり攻防。
そんなことまるでなかったことのように普通に歩きはじめる。
このところコートの下のことが続いたから、今日は何も起こりそうにない。
マ○○もスルーして、いつものホテル街に直行。
わたしが、トイレに行ったからかな、那智さんはいまおむつで遊ぶテンションではないみたい。
わたしのスカートの中の異常さとは裏腹に、穏やかな空気でホテルにチェックイン。
部屋に入ってからも、その穏やかな空気は変わらず、那智さんはお茶を煎れる準備をしたり、座ってタバコを吸ったりしてる。
落ち着いた様子で座ってる那智さんを見ると、甘えたくなってしまう。
あぐらをかいてる那智さんのそばに近寄り「那智さん、くっつきたいです。」という。
「どうぞ」と静かに答えてくれる。
そっと、胸に頬を近づける。
ふと那智さんの手が伸び、わたしの頬というか首筋というか耳というか、そのあたりを大きく包み、そして、胸の一歩手前で「くっ」と力が入るのがわかる。
あとわずかで那智さんの胸の中。
でも、微量の力でそれをストップされてしまった。
そこから動けず、そこで頬とか首とか髪を撫でられる。
もっとくっつきたい。
でも、一歩手前でわずかな力で止められる、そのことさえも切なく、もどかしく、余計にわたしの胸を焦がす。
涙がはらはらと零れ落ちた。
ああ、心が解ける。
焦がれながら、解けていくこの感じ。
那智さんと知り合って、もう数年過ぎるのに、まだこの手の「安堵」の涙は流れる。
わたしは、父性を埋めてもらったと思っているけど、これは埋まればおしまいというものではないらしい。
決定的な「父性」の欠損は埋めてもらえても、わたしは日々「那智さんの父性」をほしいと思う気持ちはずっと続くようだ。
まるで、基本的な人間の欲求のよう。
これがないと、とても困るな〜、今日ももらえて安心する、そう涙を流しながらその涙が心を湿らせるのを感じる。
優しく、優しく、掌に包まれ穏やかな時。
これが永遠に続いてほしいと思う。
しかし、それは永遠には続かなかった。
ぐいっと髪を引かれ、後ろに思い切り倒された。
驚く。
穏やかな時間はそこで終わり、また次のわたしを焦がす時間が始まるのを悟る。
畳の上に無防備に横たわるわたしを那智さんが、蹴る。
背中、太腿、お尻。
とても加減してくれてるのだ、だから、衝撃はあるけど「とても痛い」ということでもない。
それでも、時折急所にヒットするから、そうなると身をよじったり咳き込んでしまったり。
そのわたしの顔を今度は踏むのだ。
鼻は曲がり、頬は歪む。
ああ、いや、那智さん、不細工なわたし、見せたくない。
でも、このぐちゃぐちゃにされることが、嬉しくて気持ちよくて、ずっとこうしていてほしいと思ってしまう。
快感と嬉しさと、ほんの少し感じる恥ずかしさで、もがき、じりじりとベッドの側に移動していた。
髪を引っ張られ、体を起こされる。
汗だかなんだかで、髪が顔に張り付いてる。
ビンタ。
両頬を張られ、さらにぐちゃぐちゃ。
そのままベッドに体を投げ出されて、今度はスパンキングだ。
スカートをたくし上げ、あらわになった紙おむつのお尻に衝撃。
ごつごつと来るそれは、「グー」だった。
げんこつでお尻を叩かれてる。
でも、おむつがクッションになって、その衝撃は心地良い。
それを那智さんも感じたのか、すぐ紙おむつも下げられてしまった。
生肌に振り下ろされるげんこつ。
やはり上手に加減してるのだろう、急所以外は耐えられる。
でも、たまにヒットする痛みに体を反らせ、枕を叩く。
髪はさらに乱れて、汗と涙と涎でドロドロになる。
追い詰められ、那智さんにぐちゃぐちゃにされ続けると、あの鞭のときになる「痴人」のような感覚に、最近はなりやすい。
それは、鞭による痛さや打ち方だけでそうなるものではないようで、一度肩を脱臼すると癖になるように、一度知った感覚は、知らないときよりもなりやすくなるみたい。
「痴人癖」?(笑)
那智さんは気づいてるか知らないけど、先日は乳首を握り潰されるだけで、そうなった。
同じことをすれば必ずではないと思うのだけど、なりやすくなったのは、自分でもわかる。
それは、体と心の記憶と、そうなる自分を「ほんの少し許したい」と思う気持ちがそうさせてるように思う。
このときも、ものすごく痛いことではないのだけど、ドロドロぐちゃぐちゃの果てに、あの「気の狂れる(ふれるってこう書くのね)」ような惚けたわたしになった。
やっぱり微笑み出すわたし。
泣きながら悶えながら、微笑む。
ああ、これ、好きなんだ。
このわたし、許したい。
なにかが崩れ落ち、ボロ雑巾のようにぐったりと倒れている。
「脱ぎな。」
そう那智さんは言いながら、自分のスーツをハンガーに掛けてる。
ああ、ここでまともな人間らしい動きするの大変だし、したくないなぁ、惚けたままでいたい。
そう思いながら、のろのろとブラウスのボタンを外し、スカートを脱ぐ。
洋服を畳むことまで気を回すことができない、できないっていうか、わかってて放棄してる感じ。
それを那智さんが端からハンガーに掛けてくれてる。
それをまだ「痴人」状態でぼんやり眺めてる。
「おいで。」
那智さんが促した。
これはいつもベッドに入るときにいう言葉。
だから、ベッドに入ってということだ。
でも、このとき那智さんは「おいで。」といいながら、歩いてベッドの先にある空調パネルに向かった。
ということは「先にベッドに行っていな」という意味。
だけど、わたしはベッドに行けなかった。
立ち上がり「おいで」と言い一歩歩き出した那智さんの足、反射的に四つん這いのまま、それについていった。
それだけに、ついていってしまった。
「おいで」=ベッドと、理解している。
でも、崩れてしまったわたしは、条件反射か、那智さんの気配につられてしまった。
惚けているから、かなり少しだけど正気なわたしは「ベッドに行ってろ」ってこととわかってるのに、体が「痴人」のわたしが、四つん這いで那智さんのあとをとぼとぼと自然に動く。
空調を調整してる那智さんの足下に犬のようにうずくまる。
とてもぼんやりして視界が狭い、那智さんの足、いや気配だけしか感じられないかもしれない。
気配に引っ張られてる感じだった。
脳みそと体というか感覚の乖離、幸福だ。
「なに、ついて来てんの!?(笑)ベッド行ってな。」
そう言われて、ああ、そうよね、ベッドよねと、脳みそと感覚の回路が繋がった感じだった。
先にベッドに入り、天井をぼんやりした頭で見てる。
反射的についていけてしまった自分が、なんだか照れ臭く、ちょっと誇らしかった。