別なりん子2
独り言
そんな健全な夜遊びをしていたハロウィンパーティの翌週、私は一人の男の子と出会った。
注:いつものことですが、すごーく個人的で長いです。「だから、何?」ってなってもかまわないと思う方はどうかお付き合いくださいね。
ハロウィンパーティの翌週で、今週は人が少ないかもね、などなど言いながら飽きもせずまた出かけていた。
普段とそれほど変わらない店内。
一杯飲んで、フロアで音楽に身を任せていたとき、台の上にいる2人の男の子が視界に入った。
一人は背の高いなかなかのハンサム顔。
もう一人は、細くて背が小さくて、面長に切れ長の目が可愛らしい、もうほんとに「男の子」。
どう見ても、背の高いほうに視線が行くはずなのだけど、当時「母性本能をくすぐる」タイプが好みだった私はその子には目もくれず、スルー。
その隣の小さい子に「か、かわいい!!」となってしまったのだ。
まるでターミネーターが獲物に照準を合わせるように「キュイーン」とその子に私の視線は釘付け。
紺のブレザーにデニムにローファーのお上品な格好をした少年。
高校生!?と思うほど、幼く見える。
もう、かわいい、仲良くなりたい。
そのディスコでは、目的が「フォークダンスのランナーズハイ」だから、そういう感情ははじめて。
でも、少なからずその場所では「常連」のうちの一人という自負もあって、私はためらいなくその子に近づいて行った。(ここで、ターミネーターの音楽ね)
もうまったく図々しいにもほどがあるけど、おかまいなしでその子の台に乗っかる。
いまでいう「逆ナン」ってやつだ。(ああ、何やってんのあたしったら)
「はじめて会うよね?」
「ううん、僕は知ってたよ。」
大音響の中、それほど会話はできない。
とりあえずもう一人の男の子とも挨拶して、一段落するまでそのまま。
席を一緒にしてもらって、はじめてまともな会話をする。
「いくつ?」
「19才」
私よりちょっと年下。
「え〜、絶対仲良くなりたい。お友達になってくれる?」
「うん、いいよ。」
「じゃあ、名前付けていい?君は今日から『ゆうじくん』ね。」
なんとも横暴な私。
初対面の名前も知らない子に勝手な名前を付けてる。
なんだかね、その場所では、そういうキャラの私が許されてる気がしてたんだ。
もう一人の子も、とてもいい子で私たちと意気投合して、その夜は楽しく過ごした。
ディスコを出て、みんなでお茶をする。
聞くと2、3ヶ月前から私たちのことは知っていたらしい。
毎週同じ曜日に来る派手な人たちと思ってた。
その当時、私とあと2人が中心で、あとはその週によって人数が増えたりメンバーが変わったりしてたから、そのゆうじくんたちは、私たちが現れるたびに「今週の○○さんたち」と私たちの勤め先の百貨店にさんを付けて呼んでいたのだそうだ。(なぜか知られてた)
「ハロウィンのときも来てたでしょ?制服着て。」
「そう、ゆうじくんもいたの!?気付かなかった!なんで私に声掛けないの?」
この自分勝手な態度に出てしまえることが、気持ち良かった。
でも、その日はそのまま、バイバイした。
私はこのときYさんとお付き合いをしていた。
だから、遊びに行った先で「お友達」ができたという枠から、はみ出さないように「また、○○で会おうね〜。」と、バイバイした。
結局、YさんがS子さんより私がいいと言ってくれていても、私はどこかで私を抑えていたのかもしれない。
まあ、それは言い訳かな、いま思えばこの時の私もYさんも、お互いを心底必要としている関係ではなかったのだろう。
Yさんは密かにS子さんと連絡を取り続け、私はディスコで内緒の友達を作る。
「怒らない私」で書いたように、私だけが被害者とは思ってないのね、怒らないということが言いたかったから、Yさんの酷いことも書いたけど、全体的に見ればお互い誠実に付き合う関係を築けなかった同罪だと思ってます。
ああ、言い訳してますね。
詳しい経緯は飛ばしちゃうけど、私はゆうじくんと、もっと仲良くなってしまう。
ただの可愛らしい男の子かと思っていたけど、このゆうじくんはとてもユニークな人だった。
最初は年上のお姉さんぶっていたけど、私はその魅力にぐいぐいと引かれていった。
隣の地方から専門学校に通うため、この地域に独り暮らしをしている。
学校には、あまり合う人がいないらしく、自分の気に入ったお店を見つけては、そこに通い続け、お店の人と仲良しになるという方法で、独り暮らしを満喫していた。
一緒にディスコに来ていた子とも、その子のバイト先のコーヒー屋に通いつめて友達になったそうだ。
普通の客席から死角になってる特等席があって、そこでいつも煙草を吸っていた。
私たちは、急激に仲良くなった。
親友のような双子の兄弟のような、恋人のような、不思議な関係だった。
ゆうじくんの部屋に何回か泊まったこともある。
一度だけキスをして、一度だけ抱き合った(抱かれたという感覚ではなかったな)。
それ以外は、ずっと笑っていた。
毛布にくるまったり、お酒を飲んだりしながら、ずっと笑っていた。
私にはYさんという彼がいて、ゆうじくんには同じ専門学校に通う年下の彼女がいた。
2人とも、決定的ななにかを避けるように、この不思議な関係を保っていた。
テレビは見ないと部屋にはテレビがなく、家具は似合わないからと洋服は皮のトランクに収納している。
寝具は全部ブルーで、カーテンなどのファブリックは全部茶色。
リーガルの靴しか履かない。
オレンジジュースが恥ずかしくって、ストローも恥ずかしい。
サイコロの出た目で住む場所を決める。
ドーナツを買うときには、店員さんに「おいしいの3つ」なんて言い方をする。
メニューのカクテルを、りん子が上からひとつずつ飲んでいって、俺が下から飲むから、真ん中でぶつかったお酒を記念のお酒にしよう、なんて言う。(飲みきれず、2人してゲーゲー吐いたけど^^;)
とにかく自分のお気に入りの方法で、お気に入りの暮らしを手に入れているような子だった。
ゆうじくんのお気に入りで過ごすのは、なんだかとっても楽しかった。
ゆうじくんのお気に入りの空気が充満している部屋は、なんだか私の隠れ家のようだった。
私も始発に乗っていきなり部屋に押し掛けていったり、深夜に2時間車を飛ばしてバイト先のガソリンスタンドに、わざわざ給油だけしにいったり。
私のサプライズもゆうじくんのお気に入りにさせてしまっていた。
こんなことがあった。(あれ?やっと別なりん子になるかな?)
まだ仲良くなって間もないころ。
居酒屋でお酒を飲んだ。
その居酒屋を出て、大酔っぱらいで路上のベンチに腰掛けて、別の電車に乗るのを惜しむようにおしゃべりに興じていた。
そこで、はじめてゆうじくんに彼女がいることを教えてもらったのだ。
まだ、この時はゆうじくんが「自分のお気に入り」で豊かに生きてることをそれほど知らなくて、勝手に「地元を離れて独り暮らしの、ちょっと寂しい男の子」と思っていた。
だから、彼女がいるって聞いたとき、安心して、私はその場で泣いてしまったのだ。
「ゆうじくん、一人じゃないんだね〜。」って、まったく大きなお世話だけどね。
酔った勢いもあって、ベンチで号泣してしまっていた。
そしたら、何か冷たいものが飛んできた感じがして、顔を上げてみたら、目の前にこちらも酔っぱらってる男性が立っていた。
ろれつが回らないようで何を言ってるのかはっきりわからないのだけど、泣いてることが目障りなのか文句を言っているみたい。
それだけなら、まだ許せるけど、手に持っている缶ジュースの中身を私にかけたらしいのだ。
それで冷たいもの。
数滴だったけど、確実の私のコートを濡らした。
「はあ〜、信じらんない!!」
「なんだよぉぉぉぉぉ」ヨロヨロしてる。
「どうしてくれんの!?これ高かったんだから!!」(嘘、バーゲンで安かった^^)
「どうでも、好きにすればぁぁぁぁ」ずっとヨロヨロしてる。
もう腹立つ!!
「そう、好きにしていいのね、じゃあそれ貸して。」
そういって、そいつの持ってた缶ジュースをもらって、頭からそのジュースをかけてやった。
はあ〜、気分いい。
「てめぇ!!」
そいつがつかみ掛かってこようとしたとき、「すいません!!」そいつの連れが羽交い締めにして、謝ってきた。
「こちらこそすみません。」とゆうじくんが私を制して、その場は収まった。
でも、腹が立ってるのは収まらない。
その2人が立ち食いそば屋に入ったのを見つけて、追いかけてその2人の食べてる後ろ姿に向かってガラス戸を蹴っ飛ばしてやった。
幸いそれはガラスじゃなくて、プラスチックの合成なんとかみたいな戸だったから割れずにすんだけど、激しい音に私自身もびっくりして、ゆうじくんの手を掴んでダッシュして逃げた。
寒い冬の夜。
思いっきり走って、酔いも回って、繁華街で2人で大笑いした。
なんて、自分勝手で、なんて伸び伸びした夜。
「独特な幸福感」の「ピンク」で書いていますが、私の本来のキャラはどちらかというと、こっち。
さすがに喧嘩はこの時だけだけど、けっして「可愛らしい」とは言い難い。
どっちもほんとの私。
この時は、楽しくてそうしていたのだけど、なんだかいまの方が満たされてるな。
いま、思えば、私が付き合った男の人で、もしかしたらこのゆうじくんが那智さん以外で「父性」に近いものを持っていた数少ない人ではないかなと、「父性」を知って改めて思う。
自分のお気に入りを見つけられ、自分の足で立ってるように思えるから、そう感じるのかな。
本来の「父性」とは違うかもしれないけど、私の求めていた「父性」に近いもの。
彼の前では、私は「価値がある」と思えていたな。
自分を上にも下にもしないで、フラットに自由にできていたと思う。
それは、那智さんで感じるものに似ていると思うからだ。
ただ、あの時私は、私の心の歪みを自覚していなかった。
ほんの少し「生きにくい」と思っていただけだった。
だから、このフラットな感覚の心地よさを見つけられるほど、自分の心と向き合ってなかった。
そして、ゆうじくんも若く、私がYさんと婚約していくのをどうすることもできず、彼女とも別れずにいた。
それから、いろんな経験をしていろんな思いを重ねて、泣いてもがいて、やっと那智さんに出会った。
その時には、自分に足りないものがあるということは、気付きはじめていた。
そして那智さんは若くなく、見抜く力と、自分の力で私を引き寄せる術を知っていた。
タイミングだ。
私たちは、希少な出会いをした。
もしかしたら、同じような、もしかしたらもっと合う人が世界中を探せばいるかもしれない。
でも、私たちは出会えた。
そして、このタイミングで出会えた。
きっと、このタイミングも必然だと思いたい。
はあ、長いのにお付き合いくださった方、最後までありがとうございました。
お疲れさまでした。
こんな話、困っちゃいますよね。
私も書いてて、戸惑いました、「何書いてんだろ?」って。
戸惑うような内容だから、分けないで一気に終わらせちゃった。
ほんと自己満足で失礼しました。
でも、いちおう最後は、那智さんに繋げたから、私的にはよしとしよう^^
そんな健全な夜遊びをしていたハロウィンパーティの翌週、私は一人の男の子と出会った。
注:いつものことですが、すごーく個人的で長いです。「だから、何?」ってなってもかまわないと思う方はどうかお付き合いくださいね。
ハロウィンパーティの翌週で、今週は人が少ないかもね、などなど言いながら飽きもせずまた出かけていた。
普段とそれほど変わらない店内。
一杯飲んで、フロアで音楽に身を任せていたとき、台の上にいる2人の男の子が視界に入った。
一人は背の高いなかなかのハンサム顔。
もう一人は、細くて背が小さくて、面長に切れ長の目が可愛らしい、もうほんとに「男の子」。
どう見ても、背の高いほうに視線が行くはずなのだけど、当時「母性本能をくすぐる」タイプが好みだった私はその子には目もくれず、スルー。
その隣の小さい子に「か、かわいい!!」となってしまったのだ。
まるでターミネーターが獲物に照準を合わせるように「キュイーン」とその子に私の視線は釘付け。
紺のブレザーにデニムにローファーのお上品な格好をした少年。
高校生!?と思うほど、幼く見える。
もう、かわいい、仲良くなりたい。
そのディスコでは、目的が「フォークダンスのランナーズハイ」だから、そういう感情ははじめて。
でも、少なからずその場所では「常連」のうちの一人という自負もあって、私はためらいなくその子に近づいて行った。(ここで、ターミネーターの音楽ね)
もうまったく図々しいにもほどがあるけど、おかまいなしでその子の台に乗っかる。
いまでいう「逆ナン」ってやつだ。(ああ、何やってんのあたしったら)
「はじめて会うよね?」
「ううん、僕は知ってたよ。」
大音響の中、それほど会話はできない。
とりあえずもう一人の男の子とも挨拶して、一段落するまでそのまま。
席を一緒にしてもらって、はじめてまともな会話をする。
「いくつ?」
「19才」
私よりちょっと年下。
「え〜、絶対仲良くなりたい。お友達になってくれる?」
「うん、いいよ。」
「じゃあ、名前付けていい?君は今日から『ゆうじくん』ね。」
なんとも横暴な私。
初対面の名前も知らない子に勝手な名前を付けてる。
なんだかね、その場所では、そういうキャラの私が許されてる気がしてたんだ。
もう一人の子も、とてもいい子で私たちと意気投合して、その夜は楽しく過ごした。
ディスコを出て、みんなでお茶をする。
聞くと2、3ヶ月前から私たちのことは知っていたらしい。
毎週同じ曜日に来る派手な人たちと思ってた。
その当時、私とあと2人が中心で、あとはその週によって人数が増えたりメンバーが変わったりしてたから、そのゆうじくんたちは、私たちが現れるたびに「今週の○○さんたち」と私たちの勤め先の百貨店にさんを付けて呼んでいたのだそうだ。(なぜか知られてた)
「ハロウィンのときも来てたでしょ?制服着て。」
「そう、ゆうじくんもいたの!?気付かなかった!なんで私に声掛けないの?」
この自分勝手な態度に出てしまえることが、気持ち良かった。
でも、その日はそのまま、バイバイした。
私はこのときYさんとお付き合いをしていた。
だから、遊びに行った先で「お友達」ができたという枠から、はみ出さないように「また、○○で会おうね〜。」と、バイバイした。
結局、YさんがS子さんより私がいいと言ってくれていても、私はどこかで私を抑えていたのかもしれない。
まあ、それは言い訳かな、いま思えばこの時の私もYさんも、お互いを心底必要としている関係ではなかったのだろう。
Yさんは密かにS子さんと連絡を取り続け、私はディスコで内緒の友達を作る。
「怒らない私」で書いたように、私だけが被害者とは思ってないのね、怒らないということが言いたかったから、Yさんの酷いことも書いたけど、全体的に見ればお互い誠実に付き合う関係を築けなかった同罪だと思ってます。
ああ、言い訳してますね。
詳しい経緯は飛ばしちゃうけど、私はゆうじくんと、もっと仲良くなってしまう。
ただの可愛らしい男の子かと思っていたけど、このゆうじくんはとてもユニークな人だった。
最初は年上のお姉さんぶっていたけど、私はその魅力にぐいぐいと引かれていった。
隣の地方から専門学校に通うため、この地域に独り暮らしをしている。
学校には、あまり合う人がいないらしく、自分の気に入ったお店を見つけては、そこに通い続け、お店の人と仲良しになるという方法で、独り暮らしを満喫していた。
一緒にディスコに来ていた子とも、その子のバイト先のコーヒー屋に通いつめて友達になったそうだ。
普通の客席から死角になってる特等席があって、そこでいつも煙草を吸っていた。
私たちは、急激に仲良くなった。
親友のような双子の兄弟のような、恋人のような、不思議な関係だった。
ゆうじくんの部屋に何回か泊まったこともある。
一度だけキスをして、一度だけ抱き合った(抱かれたという感覚ではなかったな)。
それ以外は、ずっと笑っていた。
毛布にくるまったり、お酒を飲んだりしながら、ずっと笑っていた。
私にはYさんという彼がいて、ゆうじくんには同じ専門学校に通う年下の彼女がいた。
2人とも、決定的ななにかを避けるように、この不思議な関係を保っていた。
テレビは見ないと部屋にはテレビがなく、家具は似合わないからと洋服は皮のトランクに収納している。
寝具は全部ブルーで、カーテンなどのファブリックは全部茶色。
リーガルの靴しか履かない。
オレンジジュースが恥ずかしくって、ストローも恥ずかしい。
サイコロの出た目で住む場所を決める。
ドーナツを買うときには、店員さんに「おいしいの3つ」なんて言い方をする。
メニューのカクテルを、りん子が上からひとつずつ飲んでいって、俺が下から飲むから、真ん中でぶつかったお酒を記念のお酒にしよう、なんて言う。(飲みきれず、2人してゲーゲー吐いたけど^^;)
とにかく自分のお気に入りの方法で、お気に入りの暮らしを手に入れているような子だった。
ゆうじくんのお気に入りで過ごすのは、なんだかとっても楽しかった。
ゆうじくんのお気に入りの空気が充満している部屋は、なんだか私の隠れ家のようだった。
私も始発に乗っていきなり部屋に押し掛けていったり、深夜に2時間車を飛ばしてバイト先のガソリンスタンドに、わざわざ給油だけしにいったり。
私のサプライズもゆうじくんのお気に入りにさせてしまっていた。
こんなことがあった。(あれ?やっと別なりん子になるかな?)
まだ仲良くなって間もないころ。
居酒屋でお酒を飲んだ。
その居酒屋を出て、大酔っぱらいで路上のベンチに腰掛けて、別の電車に乗るのを惜しむようにおしゃべりに興じていた。
そこで、はじめてゆうじくんに彼女がいることを教えてもらったのだ。
まだ、この時はゆうじくんが「自分のお気に入り」で豊かに生きてることをそれほど知らなくて、勝手に「地元を離れて独り暮らしの、ちょっと寂しい男の子」と思っていた。
だから、彼女がいるって聞いたとき、安心して、私はその場で泣いてしまったのだ。
「ゆうじくん、一人じゃないんだね〜。」って、まったく大きなお世話だけどね。
酔った勢いもあって、ベンチで号泣してしまっていた。
そしたら、何か冷たいものが飛んできた感じがして、顔を上げてみたら、目の前にこちらも酔っぱらってる男性が立っていた。
ろれつが回らないようで何を言ってるのかはっきりわからないのだけど、泣いてることが目障りなのか文句を言っているみたい。
それだけなら、まだ許せるけど、手に持っている缶ジュースの中身を私にかけたらしいのだ。
それで冷たいもの。
数滴だったけど、確実の私のコートを濡らした。
「はあ〜、信じらんない!!」
「なんだよぉぉぉぉぉ」ヨロヨロしてる。
「どうしてくれんの!?これ高かったんだから!!」(嘘、バーゲンで安かった^^)
「どうでも、好きにすればぁぁぁぁ」ずっとヨロヨロしてる。
もう腹立つ!!
「そう、好きにしていいのね、じゃあそれ貸して。」
そういって、そいつの持ってた缶ジュースをもらって、頭からそのジュースをかけてやった。
はあ〜、気分いい。
「てめぇ!!」
そいつがつかみ掛かってこようとしたとき、「すいません!!」そいつの連れが羽交い締めにして、謝ってきた。
「こちらこそすみません。」とゆうじくんが私を制して、その場は収まった。
でも、腹が立ってるのは収まらない。
その2人が立ち食いそば屋に入ったのを見つけて、追いかけてその2人の食べてる後ろ姿に向かってガラス戸を蹴っ飛ばしてやった。
幸いそれはガラスじゃなくて、プラスチックの合成なんとかみたいな戸だったから割れずにすんだけど、激しい音に私自身もびっくりして、ゆうじくんの手を掴んでダッシュして逃げた。
寒い冬の夜。
思いっきり走って、酔いも回って、繁華街で2人で大笑いした。
なんて、自分勝手で、なんて伸び伸びした夜。
「独特な幸福感」の「ピンク」で書いていますが、私の本来のキャラはどちらかというと、こっち。
さすがに喧嘩はこの時だけだけど、けっして「可愛らしい」とは言い難い。
どっちもほんとの私。
この時は、楽しくてそうしていたのだけど、なんだかいまの方が満たされてるな。
いま、思えば、私が付き合った男の人で、もしかしたらこのゆうじくんが那智さん以外で「父性」に近いものを持っていた数少ない人ではないかなと、「父性」を知って改めて思う。
自分のお気に入りを見つけられ、自分の足で立ってるように思えるから、そう感じるのかな。
本来の「父性」とは違うかもしれないけど、私の求めていた「父性」に近いもの。
彼の前では、私は「価値がある」と思えていたな。
自分を上にも下にもしないで、フラットに自由にできていたと思う。
それは、那智さんで感じるものに似ていると思うからだ。
ただ、あの時私は、私の心の歪みを自覚していなかった。
ほんの少し「生きにくい」と思っていただけだった。
だから、このフラットな感覚の心地よさを見つけられるほど、自分の心と向き合ってなかった。
そして、ゆうじくんも若く、私がYさんと婚約していくのをどうすることもできず、彼女とも別れずにいた。
それから、いろんな経験をしていろんな思いを重ねて、泣いてもがいて、やっと那智さんに出会った。
その時には、自分に足りないものがあるということは、気付きはじめていた。
そして那智さんは若くなく、見抜く力と、自分の力で私を引き寄せる術を知っていた。
タイミングだ。
私たちは、希少な出会いをした。
もしかしたら、同じような、もしかしたらもっと合う人が世界中を探せばいるかもしれない。
でも、私たちは出会えた。
そして、このタイミングで出会えた。
きっと、このタイミングも必然だと思いたい。
はあ、長いのにお付き合いくださった方、最後までありがとうございました。
お疲れさまでした。
こんな話、困っちゃいますよね。
私も書いてて、戸惑いました、「何書いてんだろ?」って。
戸惑うような内容だから、分けないで一気に終わらせちゃった。
ほんと自己満足で失礼しました。
でも、いちおう最後は、那智さんに繋げたから、私的にはよしとしよう^^