懐く
独特な幸福感
夜、少しだけ会えた。
翌日は一日会える日だったのだけど、那智さんのお薬をもらいに行くのに付き合うから夜も少し会えたのだ。
時間も短いし明日のお酒を美味しくするために、今夜はノンアルコール。
ホテル後の飲みで外に出たとき時々「食べたいね」と話題に出るけれど、ビールよりコーラのほうが合うからと見送られてきた○ンタッキーフライドチキンへ。
ノンアルコールならではを楽しむことに。
チキンも食べたいけど、サンドもほしいなぁ
りん子はポテトだろ?
俺はコールスロー買うかな、りん子もほしいならMにする?
クリニックからケンタに向かいながらメニューを考えるのも楽しい。
いつも前は通っていたけれど、初めて入る2階のテーブル席が想像よりずっと広くてちょっと不思議。
冬の夜、窓の外はもう真っ暗。
人がまばらな広いフロアも控えめな照明に思えて、少し切なげ。
アルコールのないかけ足のデート。
でもかけ足に感じないように笑い合う、なんだか高校生みたいなデートだった。
改札を通り二人してトイレに。
女性用が並んでいた。
乗る予定の電車にはまだ大丈夫だけど、那智さんを待たせてしまうし「遅いな」とちょっとでも心配かけてしまわないか、少し気が焦る。
トイレから出ると見つけやすいところに那智さんはいた。
そばにあったチラシを取って眺めていた。
「お待たせしました、並んでました」
そういうと『ふーん』という感じで、手にしたチラシを眺めながらエスカレーターに向かった。
『青春○きっぷ』みたいな乗り放題きっぷのチラシだった。
わたしが遅かったことなんてぜんぜん気にならなかったようにチラシの文言を読む那智さんがとても好きだと思った。
時間が短かったからかな。
それともファーストフードが広くて切なかったからかな。
いつも楽しくしようとしてくれて、わたしのトイレが遅くても何も心を動かさない那智さんが恋しいと思った。
(これわかるかな、待たせたわたしに「申し訳ない」と思わせない態度なんだよね)
エスカレーターの前に乗り少しこちらに体を向けいる那智さんの肩口におでこをトンと当てる。
ビクともしない。
今度は鼻先をぎゅーっと押し当ててみる。
変わらない。
安心して楽しくなって、おでこでトン、トン、トーンと体重を預けた。
なに、懐いてんの?(笑)
と、チラシに視線を落としながら。
そう、わたしは那智さんに懐いている。
懐いていて、懐いているって知られていることが幸せ。
短い時間だったけど、そんな確認をした時間だった。
ノンアルコールもたまにはいいかもしれませんね、那智さん(ウソ笑)
「等式」「懐く」感想です。
「懐く」言葉のチョイスが面白いですよね。
希に、りん子とお互いの関係性が客観視出来るような表現をするのがスキです。
夜、少しだけ会えた。
翌日は一日会える日だったのだけど、那智さんのお薬をもらいに行くのに付き合うから夜も少し会えたのだ。
時間も短いし明日のお酒を美味しくするために、今夜はノンアルコール。
ホテル後の飲みで外に出たとき時々「食べたいね」と話題に出るけれど、ビールよりコーラのほうが合うからと見送られてきた○ンタッキーフライドチキンへ。
ノンアルコールならではを楽しむことに。
チキンも食べたいけど、サンドもほしいなぁ
りん子はポテトだろ?
俺はコールスロー買うかな、りん子もほしいならMにする?
クリニックからケンタに向かいながらメニューを考えるのも楽しい。
いつも前は通っていたけれど、初めて入る2階のテーブル席が想像よりずっと広くてちょっと不思議。
冬の夜、窓の外はもう真っ暗。
人がまばらな広いフロアも控えめな照明に思えて、少し切なげ。
アルコールのないかけ足のデート。
でもかけ足に感じないように笑い合う、なんだか高校生みたいなデートだった。
改札を通り二人してトイレに。
女性用が並んでいた。
乗る予定の電車にはまだ大丈夫だけど、那智さんを待たせてしまうし「遅いな」とちょっとでも心配かけてしまわないか、少し気が焦る。
トイレから出ると見つけやすいところに那智さんはいた。
そばにあったチラシを取って眺めていた。
「お待たせしました、並んでました」
そういうと『ふーん』という感じで、手にしたチラシを眺めながらエスカレーターに向かった。
『青春○きっぷ』みたいな乗り放題きっぷのチラシだった。
わたしが遅かったことなんてぜんぜん気にならなかったようにチラシの文言を読む那智さんがとても好きだと思った。
時間が短かったからかな。
それともファーストフードが広くて切なかったからかな。
いつも楽しくしようとしてくれて、わたしのトイレが遅くても何も心を動かさない那智さんが恋しいと思った。
(これわかるかな、待たせたわたしに「申し訳ない」と思わせない態度なんだよね)
エスカレーターの前に乗り少しこちらに体を向けいる那智さんの肩口におでこをトンと当てる。
ビクともしない。
今度は鼻先をぎゅーっと押し当ててみる。
変わらない。
安心して楽しくなって、おでこでトン、トン、トーンと体重を預けた。
なに、懐いてんの?(笑)
と、チラシに視線を落としながら。
そう、わたしは那智さんに懐いている。
懐いていて、懐いているって知られていることが幸せ。
短い時間だったけど、そんな確認をした時間だった。
ノンアルコールもたまにはいいかもしれませんね、那智さん(ウソ笑)
「等式」「懐く」感想です。
「懐く」言葉のチョイスが面白いですよね。
希に、りん子とお互いの関係性が客観視出来るような表現をするのがスキです。