グルーミング
独特な幸福感
常宿のシステムの都合で最近は那智さんが先にチェックインしている。
(変なのよ、早く入るほうがサービスタイムが長く設定されているの)
先に入って朝風呂を楽しんだりしてくれている。
この日も、ホテル飲み用の買い物で手間取って少し遅れそうな連絡を入れると『風呂上がり!!』とお返事がきた。
朝イチで行動してくれたのだから、どうかひとりラブホをのんびり過ごしてくれるといいなと思いながら急ぐ。
フロントに伝えてロックを解除してもらい、中に入ると那智さん全裸でリモコン操作していた(笑)
那智さん、なぜ全裸(笑)
笑いながら、上着をかけたり買い物を預けて冷蔵庫にしまってもらったりひと通り落ち着いてから、ベッドにごろ〜んと寝転がる那智さんの横に正座して寄り添いながら
わたしはどうしますか?
と聞く。
今日は先、マッサージ(笑)
ああ、は、はい(笑)
そういえば、先週は前半に飲んで酔っぱらってマッサージをサボっていたのだ^^;
なんとなく、ズルがバレたみたいなバツの悪さと、もしかしたら、マッサージって有効なの!?というよろこびで妙なテンションになる。
お風呂入りますか?
入って来なよ
バイキンマンだから(笑)
那智さんはお風呂上がりだから、わざとからかっているんだ。
一瞬、うっとなってから、ちょっと弾みをつけて
そうですよ〜、バイキンマンですよ〜〜〜
と抱きついた。
そうだね〜
と、いつもより強めに抱き寄せてくれる那智さん。
『バイキンマン』とからかっても、それが汚いものではないと腕の力が伝えてくれる。
那智さんらしい。
ねえ、那智さん
わたし、すこし成長したと思いませんか?
昔だったら、『バイキンマン』って言い方に傷ついていたと思うんです
傷つきはしないか、悲しくなっていたと思うんです
でも、いま大丈夫でしょ?
そうだね、でも、悲しくなっていたのはごく初期の頃じゃない?
ああ、そうかもしれませんね
じゃあ、こうだ
すこし前のわたしだったら、ここで那智さんの冗談に対して「違います」とかまじめに返したり、ただ固まってギクシャクしたりしてたと思いませんか?
いまは冗談に楽しく返そうと思ってできましたよ
ちょっとぎこちなかったけど^^;
わたしだったらどんなに親しい人でも言わないな〜ということを那智さんに言われて悲しくなることもあったけど、那智さんに『悪意はない』と思えるようになってからは悲しくなることはなくなった。
でも、生真面目な一面もあるので、上手に楽しく変換することはできず、悲しくはないけど楽しい出来事にもならなかった。
それはそれで問題はないし、その生真面目さもわたしの特性なので否定もしないけど、たまには『楽しい出来事』に変換できるときがあってもいいよね。
幅が広がるほうが、ふたりにとっては豊かだもの。
そう思って、ちょっと弾みをつけた気持ちをお話しする。
そうだね、いいこ、いいこ
さっきと変わらぬ力で抱き寄せたまま頭を撫でてくれた。
さて、満足(笑)お風呂に入ろうかな。
と、タイミングが悪くて下半身の毛の処理ができていないことも伝える。
那智さん、今日、ここキレイになっていませんけど、どうしましょう
那智さんは基本はキレイにしておくことを好むけど(那智さんの好みの形状があるのだ)、だからといってそうじゃなくてもマイナスなことにはならない。
なんとなく、わたしたちの間では剃ってもらうことは、『父性』とか『上下』とかの愛情表現のひとつでもあるので、キレイにできていないことを申告するのは、それを催促しているみたいで、ちょっとためらう部分もあるのだけど。
でも、好きな男によりよく思ってほしい気持ちはあるので、申告する。
じゃあ、剃ってあげるよ
今日は一緒に風呂入ろうと思ってたから
最近ゆっくり一緒に入ってない気がしたからさ
たしかに、湯船につかるタイミングがズレたりしていたな。
あの温かな空気、味わわないと^^
だから、りん子がいいタイミングになったら呼びな
「はい」とバスルームに移動する。
体を流し、少し温まってから「お願いしまーす」と那智さんを呼ぶ。
向かい合っていろいろなお話しをして汗が出たころに浴槽に腰かけて剃ってもらった。
お風呂から上がって、汗が引くのを待ってもらってからマッサージ。
部屋の照明を落しベビーパウダーの蓋をあけると、いつもの懐かしい香りが鼻をくすぐる。
先週サボってしまったから、今週はちょっとがんばろう。
パウダーを指ですくって那智さんの皮膚を滑らせる。
グルーミング。
わたしたちのこれ、グルーミングだ。
全裸でいちゃうのも。
『バイキンマン』ってからかって、いつもより強く抱き寄せるのも。
楽しく返せましたよっていうのも。
お風呂に一緒に入るのも、湯船につかっていっぱいおしゃべりするのも。
恥ずかしいと思いながらも、刃を当てられているのを忘れるくらいリラックスしてしまうのも。
グルーミングしているみたい。
お猿が毛をかき分けてノミを取るみたいに。
ネコがお互いを舐め合うみたいに。
わたしはそんなに強い人間ではない。
那智さんだったわたしよりずっと強いけど、でも、普通の人だ。
責任感もある分、もしかしたら、日常生活はわたしよりダメージを受ける場面が多いかもしれない。
『この人はぜったいに味方だ』と心から思える相手と心の毛繕いをしているのだ。
スーパーマンじゃない、ごく普通の人間のわたしたち、でも、ちょっと優しくありたいと願う人同士のグルーミング。
なんだか、那智さんといるといちいちなんでも楽しくて優しいなぁ。
温かい気持ちになるのでした^^
そのあと、ぎゃーぎゃー大騒ぎなめくるめく時間も来るのですが(笑)
「等式」「グルーミング」感想です。良いタイトルかもです。お互いに行う行為で、長年やり続けている。これを、外に向けると「のろけ」と言い、内に向けると「グルーミング」なのか、本来の意味は当然動物に使うのだろうけれども。「愛とか、恋、好き」なんて言う言葉は使いたくないな。(笑)
常宿のシステムの都合で最近は那智さんが先にチェックインしている。
(変なのよ、早く入るほうがサービスタイムが長く設定されているの)
先に入って朝風呂を楽しんだりしてくれている。
この日も、ホテル飲み用の買い物で手間取って少し遅れそうな連絡を入れると『風呂上がり!!』とお返事がきた。
朝イチで行動してくれたのだから、どうかひとりラブホをのんびり過ごしてくれるといいなと思いながら急ぐ。
フロントに伝えてロックを解除してもらい、中に入ると那智さん全裸でリモコン操作していた(笑)
那智さん、なぜ全裸(笑)
笑いながら、上着をかけたり買い物を預けて冷蔵庫にしまってもらったりひと通り落ち着いてから、ベッドにごろ〜んと寝転がる那智さんの横に正座して寄り添いながら
わたしはどうしますか?
と聞く。
今日は先、マッサージ(笑)
ああ、は、はい(笑)
そういえば、先週は前半に飲んで酔っぱらってマッサージをサボっていたのだ^^;
なんとなく、ズルがバレたみたいなバツの悪さと、もしかしたら、マッサージって有効なの!?というよろこびで妙なテンションになる。
お風呂入りますか?
入って来なよ
バイキンマンだから(笑)
那智さんはお風呂上がりだから、わざとからかっているんだ。
一瞬、うっとなってから、ちょっと弾みをつけて
そうですよ〜、バイキンマンですよ〜〜〜
と抱きついた。
そうだね〜
と、いつもより強めに抱き寄せてくれる那智さん。
『バイキンマン』とからかっても、それが汚いものではないと腕の力が伝えてくれる。
那智さんらしい。
ねえ、那智さん
わたし、すこし成長したと思いませんか?
昔だったら、『バイキンマン』って言い方に傷ついていたと思うんです
傷つきはしないか、悲しくなっていたと思うんです
でも、いま大丈夫でしょ?
そうだね、でも、悲しくなっていたのはごく初期の頃じゃない?
ああ、そうかもしれませんね
じゃあ、こうだ
すこし前のわたしだったら、ここで那智さんの冗談に対して「違います」とかまじめに返したり、ただ固まってギクシャクしたりしてたと思いませんか?
いまは冗談に楽しく返そうと思ってできましたよ
ちょっとぎこちなかったけど^^;
わたしだったらどんなに親しい人でも言わないな〜ということを那智さんに言われて悲しくなることもあったけど、那智さんに『悪意はない』と思えるようになってからは悲しくなることはなくなった。
でも、生真面目な一面もあるので、上手に楽しく変換することはできず、悲しくはないけど楽しい出来事にもならなかった。
それはそれで問題はないし、その生真面目さもわたしの特性なので否定もしないけど、たまには『楽しい出来事』に変換できるときがあってもいいよね。
幅が広がるほうが、ふたりにとっては豊かだもの。
そう思って、ちょっと弾みをつけた気持ちをお話しする。
そうだね、いいこ、いいこ
さっきと変わらぬ力で抱き寄せたまま頭を撫でてくれた。
さて、満足(笑)お風呂に入ろうかな。
と、タイミングが悪くて下半身の毛の処理ができていないことも伝える。
那智さん、今日、ここキレイになっていませんけど、どうしましょう
那智さんは基本はキレイにしておくことを好むけど(那智さんの好みの形状があるのだ)、だからといってそうじゃなくてもマイナスなことにはならない。
なんとなく、わたしたちの間では剃ってもらうことは、『父性』とか『上下』とかの愛情表現のひとつでもあるので、キレイにできていないことを申告するのは、それを催促しているみたいで、ちょっとためらう部分もあるのだけど。
でも、好きな男によりよく思ってほしい気持ちはあるので、申告する。
じゃあ、剃ってあげるよ
今日は一緒に風呂入ろうと思ってたから
最近ゆっくり一緒に入ってない気がしたからさ
たしかに、湯船につかるタイミングがズレたりしていたな。
あの温かな空気、味わわないと^^
だから、りん子がいいタイミングになったら呼びな
「はい」とバスルームに移動する。
体を流し、少し温まってから「お願いしまーす」と那智さんを呼ぶ。
向かい合っていろいろなお話しをして汗が出たころに浴槽に腰かけて剃ってもらった。
お風呂から上がって、汗が引くのを待ってもらってからマッサージ。
部屋の照明を落しベビーパウダーの蓋をあけると、いつもの懐かしい香りが鼻をくすぐる。
先週サボってしまったから、今週はちょっとがんばろう。
パウダーを指ですくって那智さんの皮膚を滑らせる。
グルーミング。
わたしたちのこれ、グルーミングだ。
全裸でいちゃうのも。
『バイキンマン』ってからかって、いつもより強く抱き寄せるのも。
楽しく返せましたよっていうのも。
お風呂に一緒に入るのも、湯船につかっていっぱいおしゃべりするのも。
恥ずかしいと思いながらも、刃を当てられているのを忘れるくらいリラックスしてしまうのも。
グルーミングしているみたい。
お猿が毛をかき分けてノミを取るみたいに。
ネコがお互いを舐め合うみたいに。
わたしはそんなに強い人間ではない。
那智さんだったわたしよりずっと強いけど、でも、普通の人だ。
責任感もある分、もしかしたら、日常生活はわたしよりダメージを受ける場面が多いかもしれない。
『この人はぜったいに味方だ』と心から思える相手と心の毛繕いをしているのだ。
スーパーマンじゃない、ごく普通の人間のわたしたち、でも、ちょっと優しくありたいと願う人同士のグルーミング。
なんだか、那智さんといるといちいちなんでも楽しくて優しいなぁ。
温かい気持ちになるのでした^^
そのあと、ぎゃーぎゃー大騒ぎなめくるめく時間も来るのですが(笑)
「等式」「グルーミング」感想です。良いタイトルかもです。お互いに行う行為で、長年やり続けている。これを、外に向けると「のろけ」と言い、内に向けると「グルーミング」なのか、本来の意味は当然動物に使うのだろうけれども。「愛とか、恋、好き」なんて言う言葉は使いたくないな。(笑)