雪景色2
独特な幸福感
食事をする〇〇園まで歩いて10分もかからないところまできたけど、いよいよわたしの足は限界になってしまっていた。
雪水がしみ込んで痛いほどしびれてぎこちない歩き方になってしまいそう。
「あ、火鍋だって」
那智さんが、ふと視界に入った料理名を口にした。
はああああ、火鍋〜。
いま、いますぐ、そこに入って温まりたい。
あと数分歩かないといけない〇〇園なんて、予約を入れた〇〇園なんてブッチしてしまいたい。
しかも、予約の電話を入れた際に『料理人が病院いっているから食事を出せるのが12時以降』なんて曖昧な条件だったのだ(個人経営なんだよね)。
いま11:15、それまでこの足を引きずってどこかで時間を潰すことが、たえられない苦行に感じられてしまう。
そして、目の前に火鍋と来たもんだ。
予約を入れたにも関わらず、とても感じのよい応対をしてくれたにも関わらず、目先の誘惑に負けそう。
那智さん、もう火鍋にしちゃいませんか〜;;
足がしびれて、限界のわたしはつい弱音を吐いてしまった。
那智さんもあと45分、この状態でいるのはいろいろ無理があると思ったのでしょう。
わたしの訴えを聞いて、「じゃあ、〇〇園に電話して、食事がちゃんと12:00にはできるか確認して、もしそれより遅くなるようならキャンセルしよう。で、いまから行って、待たせてもらえるかお願いしてみよう」と仏様のような案を出してくれて、電話までかけてくれた(こういうときの判断と行動と、こちらに気を使わせない様子は、毎度ホレボレする^^)
連絡を入れたら料理人さんはもう病院から帰っているようで、食事もできるし、11:30開店より早めに来てもいいと快諾してくれた。
はうう、ありがたい;;
目の前の火鍋にちょっぴり未練もあったけど、あと数分、頑張ればお店に入ることができると思って、もうすこし足のしびれと格闘することにした。
しかし、わたしたちは、この後、火鍋に浮気をしそうになった己の弱い心を、『俺たちがいい人だから〜』なんて戯れ言を言えるおごりを恥じることになるのだった!!
〇〇園は古い民家をレストランに改造した洋食屋。
以前、一度行こうとして臨時休業だったため、今回がはじめて。
いまどきは一軒家を改装してというのはわりとあるけど、ここはもう何十年も前から営業しているらしく、そういうスタイルのハシリだったのかもしれないね。
路地を入るとさらっと看板がある、昔ながらの一軒家。
カラカラと引き戸を引いて声をかけると中から丁寧な笑顔の年配の女性が現れた。
おそらく予約のときにわたしが話した女性だ。
寒い中、ありがとうございます。
開店よりすこし早く来たにも関わらず本当に優しく丁寧な応対をしてくれる。
しかし、この女将の接客のすごさはこの笑顔と応対どころじゃ済まされなかったのだ!!
玄関で靴を脱ぐ。
お宅におじゃまするみたい。
ブーツを脱いでいると『どうぞ』と2人分タオルを用意してくれた。
ありがとうございます!!
なんて気の利く女将。
濡れたニーハイソックスで上がるのはためらっていたから、ありがたくお借りして畳を濡らさずに済ますことができた。
襖を通って、ひとつ奥の部屋を案内される。
暖房がきいていて、生き返る〜。
お行儀悪いけど、畳を濡らしちゃうといけないから、靴下脱がせてくださいね。
那智さんか、女性か、どちらにも伝えるように断りを入れてニーハイを脱いだ。
席についてほっとひと息。
なるほど、本当にごく普通の民家のようだ。
大きめの座卓に座布団、障子の一部がガラスになっていて、その先の廊下を挟んで庭も見える。
廊下は隣りの和室とつながっているんだ。
なんだかとても懐かしい造り。
とりあえず、ビールでも頼もうかとメニューを取ろうかというタイミングで、一度部屋から出た女性がもう一度戻ってきて、
よかったら、これ使ってください
わたしに靴下を持ってきてくれたのだ!!
うわ、ここで靴下!?
タオルだけじゃなく、靴下まで!!
なんていう気の利きよう!!
きちんと折り目がついていたから、おそらく新品(なんで新品があるのかは不明だけど)を靴下が濡れたわたしのために用意してくれたのだ。
灰色のソックス。
ああ、なんて温かみのある靴下。
感動して、ありがたくお借りした。
もう、こういうのに、那智さんもわたしも弱い(笑)
特に那智さんはめちゃ弱い^^
打ちのめされてた^^
とりあえずビールだけ注文して、女性が出ていってからメニューを広げ
コース、頼まなきゃって気になっちゃったよ(笑)
と敗北のうれしい苦笑をしている。
高級というほどではないけれど、けしてお値打ち価格というわけでもない値段設定、まあ、単品を数品頼んでおしまいかな〜と来る前には思っていたのだけど、こんなに親切にされてしまったら、コース頼むよねぇ。
やっぱり気持ちだよな〜
人を惹きつけるのは気持ち、幸福感を味わえるのも気持ち。
仮にこれが損得を考えてだったとしても、おそらく那智さんは、それをしようと思う気持ちだけでもコースを頼んだだろうけど、何よりこの女将の人の良さそうな笑顔はそんな邪推がバカらしいほどの力を持っていた。
さて、出された料理は、じつは量も味もそれなりでして(笑)
それでもまったく遜色なく感じられる、ううん、むしろ大満足に思えるのは、女将に気持ちだからだろう。
障子から見える庭の雪と梅を見ながら、暖かいポタージュスープをいただいていた。
すべておいしくいただきお会計を済ませ、ふたたび玄関に、わたしはその前にお手洗いに寄らせてもらっていた。
本当はブーツの中がずぶ濡れだったから、最初に無理を言って新聞紙をいただいて入れておきたいなと思っていたのだけど、次々繰り広げられる親切にさすがに言えずにいた。
だから、ちょっとだけブーツを履くのは憂鬱だった。
お手洗いから戻り玄関に靴を揃えてくれていた女将が
すみません、勝手に新聞紙入れさせてもらっちゃって、いま出しますから
と言いながら、ブーツに手を差し込もうとしていた。
だーーーーー、なんてこと!!
取ります、取ります、それくらいはやらせてください!!
なんという気遣い。
もう目眩を起こしそう。
その場にひれ伏したい気分だ。
別に勝負の場ではないのだけど、女将の完全勝利。
火鍋に浮気しそうになって、ごめんなさい!!
もう二度と『俺たちがいい人だから』なんて言いません。
いい人は、あなたです。
ちょっぴり恐縮しつつも、こんなによい気分でお食事をさせてもらったことに心から感謝して、雪の古都を満喫した。
火鍋に浮気しそうになった己を恥じながら(笑)
窓から見える雪の中の梅がうつくしかった。
「等式」雪景色1.2の感想です。
1.そう、珍しくりん子が古都に行きたい発言があり、これで私のテンションが上がりました。先頭に立ち決めるのは好きですが希には後ろを押して欲しいと思う事もあります。
2.りん子が予約をキャンセルしようと思う程、状態が悪かったのは現状理解できました。(笑)
3.「何よりこの女将の人の良さそうな笑顔はそんな邪推がバカらしいほどの力を持っていた。」この通りなのです。されたサービスの大きさや手厚さよりも、女将の言葉の色やその調子などがりん子の言う、「過剰な自意識やこちらの遠慮」などを凌駕するほど気持ち良く申し出て頂けるのです。
食事をする〇〇園まで歩いて10分もかからないところまできたけど、いよいよわたしの足は限界になってしまっていた。
雪水がしみ込んで痛いほどしびれてぎこちない歩き方になってしまいそう。
「あ、火鍋だって」
那智さんが、ふと視界に入った料理名を口にした。
はああああ、火鍋〜。
いま、いますぐ、そこに入って温まりたい。
あと数分歩かないといけない〇〇園なんて、予約を入れた〇〇園なんてブッチしてしまいたい。
しかも、予約の電話を入れた際に『料理人が病院いっているから食事を出せるのが12時以降』なんて曖昧な条件だったのだ(個人経営なんだよね)。
いま11:15、それまでこの足を引きずってどこかで時間を潰すことが、たえられない苦行に感じられてしまう。
そして、目の前に火鍋と来たもんだ。
予約を入れたにも関わらず、とても感じのよい応対をしてくれたにも関わらず、目先の誘惑に負けそう。
那智さん、もう火鍋にしちゃいませんか〜;;
足がしびれて、限界のわたしはつい弱音を吐いてしまった。
那智さんもあと45分、この状態でいるのはいろいろ無理があると思ったのでしょう。
わたしの訴えを聞いて、「じゃあ、〇〇園に電話して、食事がちゃんと12:00にはできるか確認して、もしそれより遅くなるようならキャンセルしよう。で、いまから行って、待たせてもらえるかお願いしてみよう」と仏様のような案を出してくれて、電話までかけてくれた(こういうときの判断と行動と、こちらに気を使わせない様子は、毎度ホレボレする^^)
連絡を入れたら料理人さんはもう病院から帰っているようで、食事もできるし、11:30開店より早めに来てもいいと快諾してくれた。
はうう、ありがたい;;
目の前の火鍋にちょっぴり未練もあったけど、あと数分、頑張ればお店に入ることができると思って、もうすこし足のしびれと格闘することにした。
しかし、わたしたちは、この後、火鍋に浮気をしそうになった己の弱い心を、『俺たちがいい人だから〜』なんて戯れ言を言えるおごりを恥じることになるのだった!!
〇〇園は古い民家をレストランに改造した洋食屋。
以前、一度行こうとして臨時休業だったため、今回がはじめて。
いまどきは一軒家を改装してというのはわりとあるけど、ここはもう何十年も前から営業しているらしく、そういうスタイルのハシリだったのかもしれないね。
路地を入るとさらっと看板がある、昔ながらの一軒家。
カラカラと引き戸を引いて声をかけると中から丁寧な笑顔の年配の女性が現れた。
おそらく予約のときにわたしが話した女性だ。
寒い中、ありがとうございます。
開店よりすこし早く来たにも関わらず本当に優しく丁寧な応対をしてくれる。
しかし、この女将の接客のすごさはこの笑顔と応対どころじゃ済まされなかったのだ!!
玄関で靴を脱ぐ。
お宅におじゃまするみたい。
ブーツを脱いでいると『どうぞ』と2人分タオルを用意してくれた。
ありがとうございます!!
なんて気の利く女将。
濡れたニーハイソックスで上がるのはためらっていたから、ありがたくお借りして畳を濡らさずに済ますことができた。
襖を通って、ひとつ奥の部屋を案内される。
暖房がきいていて、生き返る〜。
お行儀悪いけど、畳を濡らしちゃうといけないから、靴下脱がせてくださいね。
那智さんか、女性か、どちらにも伝えるように断りを入れてニーハイを脱いだ。
席についてほっとひと息。
なるほど、本当にごく普通の民家のようだ。
大きめの座卓に座布団、障子の一部がガラスになっていて、その先の廊下を挟んで庭も見える。
廊下は隣りの和室とつながっているんだ。
なんだかとても懐かしい造り。
とりあえず、ビールでも頼もうかとメニューを取ろうかというタイミングで、一度部屋から出た女性がもう一度戻ってきて、
よかったら、これ使ってください
わたしに靴下を持ってきてくれたのだ!!
うわ、ここで靴下!?
タオルだけじゃなく、靴下まで!!
なんていう気の利きよう!!
きちんと折り目がついていたから、おそらく新品(なんで新品があるのかは不明だけど)を靴下が濡れたわたしのために用意してくれたのだ。
灰色のソックス。
ああ、なんて温かみのある靴下。
感動して、ありがたくお借りした。
もう、こういうのに、那智さんもわたしも弱い(笑)
特に那智さんはめちゃ弱い^^
打ちのめされてた^^
とりあえずビールだけ注文して、女性が出ていってからメニューを広げ
コース、頼まなきゃって気になっちゃったよ(笑)
と敗北のうれしい苦笑をしている。
高級というほどではないけれど、けしてお値打ち価格というわけでもない値段設定、まあ、単品を数品頼んでおしまいかな〜と来る前には思っていたのだけど、こんなに親切にされてしまったら、コース頼むよねぇ。
やっぱり気持ちだよな〜
人を惹きつけるのは気持ち、幸福感を味わえるのも気持ち。
仮にこれが損得を考えてだったとしても、おそらく那智さんは、それをしようと思う気持ちだけでもコースを頼んだだろうけど、何よりこの女将の人の良さそうな笑顔はそんな邪推がバカらしいほどの力を持っていた。
さて、出された料理は、じつは量も味もそれなりでして(笑)
それでもまったく遜色なく感じられる、ううん、むしろ大満足に思えるのは、女将に気持ちだからだろう。
障子から見える庭の雪と梅を見ながら、暖かいポタージュスープをいただいていた。
すべておいしくいただきお会計を済ませ、ふたたび玄関に、わたしはその前にお手洗いに寄らせてもらっていた。
本当はブーツの中がずぶ濡れだったから、最初に無理を言って新聞紙をいただいて入れておきたいなと思っていたのだけど、次々繰り広げられる親切にさすがに言えずにいた。
だから、ちょっとだけブーツを履くのは憂鬱だった。
お手洗いから戻り玄関に靴を揃えてくれていた女将が
すみません、勝手に新聞紙入れさせてもらっちゃって、いま出しますから
と言いながら、ブーツに手を差し込もうとしていた。
だーーーーー、なんてこと!!
取ります、取ります、それくらいはやらせてください!!
なんという気遣い。
もう目眩を起こしそう。
その場にひれ伏したい気分だ。
別に勝負の場ではないのだけど、女将の完全勝利。
火鍋に浮気しそうになって、ごめんなさい!!
もう二度と『俺たちがいい人だから』なんて言いません。
いい人は、あなたです。
ちょっぴり恐縮しつつも、こんなによい気分でお食事をさせてもらったことに心から感謝して、雪の古都を満喫した。
火鍋に浮気しそうになった己を恥じながら(笑)
窓から見える雪の中の梅がうつくしかった。
「等式」雪景色1.2の感想です。
1.そう、珍しくりん子が古都に行きたい発言があり、これで私のテンションが上がりました。先頭に立ち決めるのは好きですが希には後ろを押して欲しいと思う事もあります。
2.りん子が予約をキャンセルしようと思う程、状態が悪かったのは現状理解できました。(笑)
3.「何よりこの女将の人の良さそうな笑顔はそんな邪推がバカらしいほどの力を持っていた。」この通りなのです。されたサービスの大きさや手厚さよりも、女将の言葉の色やその調子などがりん子の言う、「過剰な自意識やこちらの遠慮」などを凌駕するほど気持ち良く申し出て頂けるのです。
COMMENT
ほんと、すごくいい女将さんですね。
自分に相応しい縁があるわけですから
お二人もいい人なんですよ~
間違いないです^^
自分に相応しい縁があるわけですから
お二人もいい人なんですよ~
間違いないです^^
はじめてコメントします。
素敵なお店で、よかったですね(^-^*)
読んでるこっちもほっこりしました。
わたしはお客様相手の仕事をしているものですから、
この女将さんのようにありたいものだなあと
思いました……
ああそれにしても楽しそうで羨ましいです(笑)
また、寄らせていただきますね(´∀`)
素敵なお店で、よかったですね(^-^*)
読んでるこっちもほっこりしました。
わたしはお客様相手の仕事をしているものですから、
この女将さんのようにありたいものだなあと
思いました……
ああそれにしても楽しそうで羨ましいです(笑)
また、寄らせていただきますね(´∀`)
でしょ!!いい女将さんでしょ!!
えへへ、ご縁を信じて^^
じゃあ、わたしたちと縁のあるあこさんもいい人ね♪
えへへ、ご縁を信じて^^
じゃあ、わたしたちと縁のあるあこさんもいい人ね♪
はじめまして、ようこそおいでくださいました^^
ほっこりしていただけて、よかったです♪
わたしも接客業ばかりしていたので、良い接客をしてくれる人に出会うとすごーーくうれしく感じます。
できそうで、できないものですよね^^
わたしのブログはいろんな要素が入り交じっていますので、お気に入りを見つけてくれたらうれしいです。
よければ、またお越しくださいね。
ほっこりしていただけて、よかったです♪
わたしも接客業ばかりしていたので、良い接客をしてくれる人に出会うとすごーーくうれしく感じます。
できそうで、できないものですよね^^
わたしのブログはいろんな要素が入り交じっていますので、お気に入りを見つけてくれたらうれしいです。
よければ、またお越しくださいね。
火鍋に浮気しそうになったことより、火鍋に浮気しなかったことが凄いです^^
那智さんの機転ある行動と、開店前でもいいと快諾してくれたお店とが重なったからこそのご縁。
素晴らしいです。
やっぱりいい人にはいいご縁も寄ってくるんですね(^_−)−☆
那智さんの機転ある行動と、開店前でもいいと快諾してくれたお店とが重なったからこそのご縁。
素晴らしいです。
やっぱりいい人にはいいご縁も寄ってくるんですね(^_−)−☆
ホントにこのときは浮気寸前でした^^;
寸でのところで那智さんと女将さんに救われたわけです。
うふふ、いい人ご縁の輪で、じゃあ、めいさんも新しく増えたいい人認定です^^
あ、那智さんはそろそろ『いい人』説に照れはじめてますけど(笑)
寸でのところで那智さんと女将さんに救われたわけです。
うふふ、いい人ご縁の輪で、じゃあ、めいさんも新しく増えたいい人認定です^^
あ、那智さんはそろそろ『いい人』説に照れはじめてますけど(笑)